織斑一夏の兄が行く   作:ふくろう639

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このすば編をご覧になる際は、流し読み程度の軽い気持ちでお読みください。


………このすば編は息抜きのつもりだったのになんでがっつり書いてるんだ………?

このすば編は書いていて、独自設定じゃ補えていない気がしている今日この頃です。
百春の職業はオリジナルですし、別枠に分けた方がいいんですかね?

ちなみに、百春は異世界転生して若干はっちゃけてます。


 百春 in このすば 百春と初クエスト

(次の人に話しかける次の人に話しかける次の人に──)

 

 どうも。紅魔族のゆんゆんです。パーティを組んでもらおうとギルドに入ってくる人に話しかけようとしていますが、なかなかうまくいきません。

 

 この前出会った、占い師を志している人の友人から話を聞いた人に教えてもらったという旅人さんに、

 

『パーティを組みたい? なら・・・この日ギルドに1人で入ってくる人に話しかければいいんじゃない? たぶん1人なら大体冒険者になりに来た人でしょ

 

 と言われ、その日になったので話しかけようとしていますが、今日に限って1人で入ってくる人がいません。入ってきたとしてもパーティで入ってくる方々だったり、よく見る職員さんだったりです。いつもなら他の街の冒険者らしき人を見かけるんですが・・・

 

(あれ、あの人………もしかして1人?)

 

 今入ってきたのは見かけたことのない男の人でした。黒いシャツに青いズボンでプレートを通したネックレスを付けてます。年はわたしの少し上でしょうか?

 

 建物の中を眺めるように見回した後、受付に行って何かを話してます。もしや、念願の冒険者になりに来た人では!?

 

 受付のルナさんと話している内容もまさしくそれ。後は話しかけるきっかけがあれば………………え、お金がない? チャンスです! 

 

『よ、よよ、よろしければ私がお出ししましょうか!?』

 

『ん〜………………すまんが頼めるか? 年下の女の子に出させるのは気が引けるんだが』

 

『大丈夫です! よく友達に「私達友達だよね?」って言われて奢ってるのでこのくらいは!』

 

『っと、挨拶が遅れたな。モモハルだ。助けてくれてありがとな』

 

『い、いえ! そ、それでは私も改めまして………』

 

 は、恥ずかしいからあまりやりたくないけど、ここはやるしかありません! 最初が肝心と誰かが言ってました!

 

『わ、我が名はゆんゆん! アークウィザードにして上級魔法を操る者!』

 

 ………そんな可哀想な子を見る目で見ないでください!

 

 

────────────────────

 

 

「………で、この子は一体?」

 

 なんというか、その、独特な挨拶をした黒髪の女の子は顔を隠して蹲ってしまった。嫌ならやらなきゃよかったのに。

 

「え、え〜と、紅魔族のゆんゆんさんですね。よくソロで活動してまして、アークウィザードという上級魔法職の方です」

 

「紅魔族?」

 

「黒髪に紅い目と高い魔力が特徴の一族ですね。実力も高い方が多いんですが、その、独特な文化を持っていまして………」

 

「………あぁ、確かに独特だな。自分で言って恥ずかしがってる辺りも」

 

「いえ、それはゆんゆんさんだけですね。他の方は嬉々としています」

 

「そうなのか………」

 

 ………つまり紅魔族は中二病一族ということか?

 

「っと、すみません。登録手続の途中でしたね。次はこの水晶に触れてください。職業を選ぶにあたって現在のステータスを確認しますので」

 

 言われるままに、差し出された水晶に触れると淡く光った。こういうのやってるとファンタジー感あるな。

 

「それではステータスの方は………すごい! 魔力と幸運はほぼ平均ですが、それ以外がとても高いです! 中でも筋力と生命力がカンスト寸前なんて!」

 

「本当だ! すごいですねモモハルさん! これなら前衛職が向いてますよ!」

 

「前衛というと………戦士とか騎士とかか?」

 

「そうですね。しかもこのステータスなら上級職のソードマスターやクルセイダーあたりがいいかもしれません。こちらがモモハルさんの選べる職業リストになりますのでどうぞ」

 

 受け取ったリストには下級職と上級職に分かれて様々な名前が並んでいる。魔力が足りないのかウィザードがあってもアークウィザードが無かったり、剣が駄目だからかソードマンがあってもソードマスターが無かったりと個人を反映してんだな。受付の人もソードマスターが無いのがおかしいのか首を傾げている。

 

 気になる職業の中身は、と。冒険者が一番基本的な職業なのか? 上級職はクルセイダー、バトルマスター………狂戦士もあるんだが適性あんの俺?

 

「色々あるもんだな………ん? アイテムマスター? 戦闘職なのかこれ?」

 

「わ! 珍しいですね。上級職ですがとてもレアな職業ですよ。まぁ、あまり人気はないんですけど………」

 

「レアなのにか?」

 

「えぇ………こちらは様々な武器・アイテムを駆使して戦う職業でして、その関係上『鍛冶』『調合』を始めとした生産系のスキルを覚えます。極めれば聖剣や魔剣といった武器も作れるようになるとか。ですが………」

 

「ですが?」

 

「………他の職業で言うところの『スラッシュ』や『狙撃』といった戦闘用のスキルをほとんど覚えないんです。レベルを上げるのにも一苦労どころじゃない、まだ冒険者の方がマシ、ということでして。自分なら、と思って選んだ方も途中で転職するほどです」

 

「なるほど………………ならこれにするか」

 

「ですよね。ではこちらで手続きを………はい? 今、なんと?」

 

「俺はせっかくだからこのアイテムマスターを選ぶぜ」

 

「話聞いてました!? いや、私が口を挟むのもあれなんですけどいいんですか!? ステータスでは前衛職が天職といっても過言じゃないんですよ!?」

 

「おう。戦う方法については当てがあるし、転職も可能なんだろ? なら、一旦選んでもいいだろ。それに、不遇の職業を選んで活躍する方がロマンがある」

 

「ロマンで選ぶ人がありますか! ゆ、ゆんゆんさんも何か言ってあげてください! この人と一緒にクエストに行くつもりなら前衛職の方がバランスいいですって!」

 

「不遇職が活躍するロマン………!」

 

「ダメだこの子も結局紅魔族だ」

 

 受付嬢はかなり食い下がってくるが、俺にはちゃんと考えもある。口には出してないけど。

 

 まず、俺のIS。滅多に使うつもりはないが、仮に使った場合にエネルギーや弾薬の補給にどうしても悩む。試してないがエネルギーは魔力で補えるらしいからさておいて、弾薬の方は『調合』のスキルがあるなら火薬も作れるはずだ。それで補給できるだろう。

 

 それとまだ試していないが、女神アクアから貰った『修復』のスキル。隠し持って使うのもいいが、いつか絶対バレる。その時の対応が面倒だからな。これを持っててもおかしくなさそうな職業がこれくらいだった。

 

 そんな理由を知る由もない受付嬢に渋々、といった感じで冒険者登録をしてもらった。ちなみにゆんゆんは目がシイタケになったままだった。

 

 

────────────────────

 

 

『せっかくですし、その、一緒にクエスト行きませんか!?』

 

 と冒険者カードを受け取った後に迫ってきたゆんゆんに誘われて2つ返事で受けた俺は、アクセルの街の外にある森に来ていた。

 

「それにしても、ありがとうございますモモハルさん! 1人じゃないクエストなんて久しぶりです!」

 

「おう、悲しい事を言うな。それに礼を言うのはこっちだ。登録料も出してもらってるのに、ダガーまで買ってくれるなんて礼どころか頭が上がらないんだが」

 

「お、大げさですよ。それにダガーだって安売りの物で………さっき装備したその腕の鎧? だけじゃ私が不安になっただけですから」

 

 そう、ゆんゆんの言う通り、俺は森に入ってから爪鉄を腕にだけ装備し、節約のためISの機能はカットしている。ちなみにアリスは転生の影響かスリープモードから抜けていなかった。

 

 何も持ってないはずなのにいきなり出てきた爪鉄にゆんゆんは驚いていたが、故郷の今はもう会えない人に作ってもらった物だと言ったら、

 

『ってことは形見………? だ、大事にしないといけませんね!』

 

 と信じてくれた。すごいいい子だった。ちょっと心配になる。

 

 ちなみに買ってもらったダガー(10本500エリスの叩き売り)は束ねて腰に吊るしている。アイテムマスターの数少ない戦闘スキルの『投擲』は取得しておいた。なんでも物を投げた時の命中率が上がるらしいから、いざという時は投げナイフとして使うつもりだ。

 

「年下の女の子にここまでしてもらってる、ってのは男としても年上としてもすごい申し訳ねぇんだよ。何か頼み事があったら遠慮なく言えよ? 可能な限り応えさせてもらうから」

 

「え? えっと、頼み事、頼み事………………」

 

「別に今すぐ言えって訳じゃない。気楽に気長に考えてくれ」

 

 腕を組んでうんうん悩んでいる姿を見ると、なんかほっこりする。たぶんあれだ。向こうじゃ癖のある奴が殆どだったからな。こういう純粋な子と接するのは珍しいからだろう。………あいつらは元気でやってるといいんだが………

 

「………さて、そろそろ目的地か?」

 

「あ、はい、そうですね。この先にゴブリンが住み着いてしまったらしいです」

 

 今回のクエスト内容はゴブリンの討伐。農家の作物を盗んだり、いたずらをしたりと迷惑をかけているらしい。

 

「そういえば………ゴブリンは緑色の小さい人型の奴、って認識で合ってるか?」

 

「合ってますよ。モモハルさんの故郷にもいたんですか?」

 

「あぁ。大体の情報は合ってそうだな。じゃあ、この先にはどんな奴がいるんだ?」

 

「? どんな奴、とは?」

 

「ん? ホブとかシャーマンとかチャンピオンとか色々種類がいるんだろ?」

 

「いませんよ!?」

 

 良かった。この世界は某さまようよろい案件じゃなかったらしい。ちょっと不安に思ってボケてみたが大丈夫そうだ。

 

 だからゆんゆん。そんな『ゴブリンにもそんなに種類がいるなんて、モモハルさんの故郷はここよりも………?』なんて考え込まなくていい。嘘だから。

 

 そんなこんなでたどり着いた目的地。2人で茂みから覗くと合計で20匹ほどを発見した。武器は棍棒か………イメージそのまんまだな。

 

「いましたね………どうしますか?」

 

「どこまで通用するか知りたいから、俺がひとまず突撃する。フォロー頼んでいいか?」

 

「え、危ないですよ? まず私が魔法で牽制してからとか、ダガーを投げてからとか」

 

「その辺も含めて知りたいんだよ。ソロならどこまでやれるのかもな。じゃ、行ってくる」

 

「あのちょっと!?」

 

 と、茂みから1人飛び出してゴブリンの群れに突撃する。当然、すぐに気付かれるがそれでも1匹目に攻撃を仕掛ける方が早い。

 

 思ったよりゴブリンは背が低いな。殴るより蹴ってみるか。

 

 そう思った俺は俺に対して棍棒を振りかぶるゴブリンの頭目掛けて、サッカーのボレーシュート気味に右脚を全力で振り抜いた。

 

 ────ボールを相手のゴールにシューッ! 超! エキサイティン!

 

 そんな言葉が脳裏を思わずよぎった。いや、だってなぁ………ゴブリンって弱いんだなぁ………

 

 振り抜いた右脚は見事にゴブリンの頭を捉えて、遥か前方に飛んでいき、何匹かのゴブリンを巻き込みながら盗んだであろう積み上げられた作物の山を吹き飛ばした。………ゴブリンの身体は俺の目の前に残して。

 

 つまり、ボール(ゴブリンの頭)ゴール(作物の山)にシューッ! してしまった訳だ。

 

 今起きた光景に思わず目を擦ったし、何ならゴブリン達も蹴られたゴブリンと吹き飛んだ山を交互に見て目を擦ってる。『え………いやまさか………』なんて後ろから聞こえるからゆんゆんも目を擦ってるだろう。

 

 うん。これはあの台詞が合いそうな場面だな。

 

「俺、なんかやっちゃったか?」

 

「なんかどころじゃないですよ!?」

 

 だろうな。知ってた。

 

「ど、どこの世界にゴブリンを蹴りで倒す人がいるんですか!? いや、探せばいるかもしれませんけど頭を蹴り飛ばす人なんて絶対にいませんよ!?」

 

「おう、残念ながらここにいるんだよなぁ………ん?」

 

 ツッコミを聞いていると、茂みからこちらを見ているゆんゆんの後ろに2つの丸い何かが浮いていた。それは段々と大きくなって、丸の下に白い鋭角三角形が上下にズラッと………………

 

「………マズい! ゆんゆん後ろだ!」

 

「後ろ?」

 

 作物の山を吹き飛ばした音で気付いたか、ゆんゆんのツッコミで気付いたか。暗がりで全体像が見えないが、大きな肉食獣らしきモンスターがゆんゆんに襲いかかろうと爪を振り上げた。

 

 

────────────────────

 

 

『………マズい! ゆんゆん後ろだ!』

 

 後ろ? とゆっくり振り向いた時にはもう間に合いませんでした。早く振り向いていても間に合ったどうかは分かりません。

 

 振り向いた時には、私を見つめて爪を振り上げている初心者殺し。ゴブリンなんかの弱いモンスターの回りを徘徊するモンスターがいることなんて、すっかり忘れていました。

 

 たぶん、浮かれていたんです。久しぶりにパーティーを組めて、私が先輩なんだと張り切って色々話して。初対面なのに話しやすくて、つい気安く話しちゃったりして。道中の会話はすごく楽しかった。

 

 魔法を使う頭もなくて、考えていたのは色んな人のこと。お父さんとお母さんを悲しませちゃうなぁ、とか。めぐみんやあるえ達も悲しんでくれるかなぁ、とか。あ、めぐみんは『私のライバルを名乗っておきながらこんなのに負けるんですか』なんてバカにしてきそう。

 

 振り下ろされる爪を見て、思わず目を瞑る。もしかしたら爪じゃなくて足が当たって助かるかもしれないと、持っていた杖も防ぐように持ち上げて上から来る衝撃に備えた。

 

 けど、私に来た衝撃は上からじゃなくて横からのものだった。

 

 ザリザリザリ、と擦る音が徐々に小さくなっていき、音が止まったと同時に身体にかかっていた勢いもなくなった。

 

 恐る恐る目を開けると、 

 

『────ふぅ〜………あっぶねぇ。怪我ないか、ゆんゆん?』

 

 目の前でそう言い放ったモモハルさんはまるで、本で読んだ勇者のようでした。

 

 

────────────────────

 

 

「────ふぅ〜………あっぶねぇ。怪我ないか、ゆんゆん?」

 

 本当に危なかった。あの位置と軌道じゃあ、杖ごとゆんゆんが切り裂かれてただろう。回復魔法もアイテムもない今じゃ出血でゆんゆんが死にかねなかった。

 

「………………え、あの、モモハルさん………?」

 

「そうだよ、モモハルだ。それで怪我は?」

 

「だ、大丈夫です。どこも痛くは………………あの位置から間に合ったんですか?」

 

「おう。実はこの鎧は腕だけじゃなくてな、翼もあるんだよ。そのお陰だ」

 

 そう、なんとか間に合ったのはISのお陰だ。近くにいたとはいえあのままじゃ間に合わないと思った俺は咄嗟にISを展開、瞬時加速は身体への負担から使わなかったが思いっきり加速してゆんゆんを姫抱きにし、そのまま地面を滑って止まった感じだ。

 

 尚、ISはゆんゆんが目を開ける前に解除している。こんなオーバーテクノロジーは余程の事がない限りなるべく隠しておくに限るからな。

 

「早速ですまんが、あの虎みたいなのは何だ?」

 

「あれは初心者殺しです。今回みたいに弱いモンスターの回りをうろついて、そのモンスターを倒しに来た冒険者が餌食になっています」

 

「初見殺しじゃないだけマシか、な!」

 

 飛び掛かりながら爪を振るってくる初心者殺しをバックステップで回避する。その後も次々振るわれる爪を回避し続けるが、埒があかない。

 

「ゆんゆん立てるか? 両手が塞がったままじゃ攻撃どころか防御もできん」

 

「だ、大丈夫です! それよりもどう倒しますか?」

 

「ん〜………動きを止める魔法とかあったりするか? 拘束したりとかでもいいが」

 

「ありますよ。ただ、動きが早いと上手く当たらないですね………」

 

「なら俺が怯ませるから、一瞬止まった後に使ってくれ。頼んだぞ!」

 

「はい!」

 

 ゆんゆんをその場に立たせて突撃する。すぐに怯ませようとしても避けられる可能性がある以上、ある程度俺に集中させる必要があるな。

 

 突撃してくる俺に対して振り下ろされた爪を両腕の爪鉄で受け止める。受け止めた衝撃で足が地面にめり込むが、そこまで強くはなかったな。身体のバネで吸収できそうだ。

 

「おら、よッ!」

 

 左腕で爪を跳ね上げて初心者殺しは一瞬無防備になった。その隙を逃さず、左腕を下ろす勢いを利用して右腕のアッパーを叩き込む。追撃も考えたが、一旦引いて距離を取る。手負いの獣は何をするか分からんからな。

 

「すごい………!」

 

「構えろゆんゆん。そろそろやるぞ!」

 

「はい!」

 

 一旦爪鉄を解除し、ここで取り出すのは腰にぶら下げていたダガー。両手に一本ずつ手に取り初心者殺しの顔を目掛けて投げるが、ダガーの軌道は両方ともわずかに顔の方向から逸れている。まぁ、スキルも使ってないしこんなもんだろ。

 

 所で、俺が持っているこのダガー、店の職人が言うには新米の練習で作ったが出来がそこそこだったから叩き売りしていたそうだ。新米は細工の方が得意なようで、柄は冒険者用とは思えないほど手を加えられていた。………柄の端が綺麗な円になってるほどに。

 

 モンスターを倒すための牽制と言ったら視界を奪うしかないだろう。普通にやっても駄目なら普通にやらなければいい。ということで、

 

「『投擲』!」

 

 続いてさっきと同じように取り出した2本のダガーを今度は全力でスキルを使ってぶん投げる。………刃の方を持って、柄が当たるように先に投げたダガー目掛けて。

 

 柄と柄、つまりは円と円同士が上手いことぶつかるとどうなるか。

 

『ガァァァッ!?』

 

 初心者殺しの顔を沿って飛んでいくと思われた一回目のダガーの軌道が突如変わり、さすがに目には刺さらなかったがそれでも目の周囲に突き刺さり初心者殺しを怯ませた。

 

 俺がやった事は要はおはじきだ。球体だったらビリヤードの要領だな。ぶっちゃけ俺にはそんな細かい狙いはつけられないが『投擲』はそういったのも可能なようで上手くいった。

 

「ゆんゆん!」

 

「いきます! 『ボトムレス・スワンプ』!」

 

 射線を空けるように斜めに下がると、初心者殺しの足が地面に沈んだ。てっきりどこぞの魔法使いみたいに属性の帯が巻き付いて拘束するかと思ってたが、こういうのもあるのか。

 

 足が沈んで頭の位置が低くなった初心者殺しを踏み台にして俺は跳び上がり、空中で回転して勢いをつけた後に爪鉄を全て展開する。重さは威力に直結するからな。

 

「ぶっ潰れろ!」

 

 と勢いよく握り締めた右拳を踏み台にした頭目掛けて振り下ろす。初心者殺しは勢いよく地面に叩きつけられ、そのまま動く事はなかった。

 

 ………ゴブリンの前例があるせいで、これで地面に真っ赤な花が咲いたらどうしよう、とか殴る時に思ったのは秘密である。

 

 

────────────────────

 

 

「ふぅ〜………お疲れさん」

 

「は、はい。お疲れ様でした………」

(なんでこの人前衛職じゃないんだろう………)

 

 初心者殺しを倒した後、本来の目的であるゴブリン退治を済ませた。初心者殺しの攻撃を避けたりしてた影響でゴブリンがいた場所から離れていたおかげか、逃げ出してるなんて事はなくて助かった。

 

 殴ったり蹴ったりダガーを投げたりとしていたが、初撃で分かったように弱かったからなんか無双ゲーをしてる気分だった。ゆんゆんの魔法を最初にいくつか見せてもらった後は、もう1人で倒してたし。

 

「これでギルドで報告すればいいのか?」

 

「はい。登録した時にもらった冒険者カードに倒したモンスターが記録されてるので、それを確認してもらって完了ですね」

 

「便利なもんだなぁ、これ」

 

 カードを取り出してなんとなく眺める。スキルもこれから取得だし、ゲームで言うところのメニュー画面みたいなもんか?

 

「じゃあ、アクセルに帰るとするか」

 

「………モモハルさん! その、帰る前にお話がありまして………」

 

「?」

 

「あの、来る時に話していたモモハルさんへの頼み事というかお願いが思いつきまして………」

 

「お、なんだ?」

 

「で、できれば! その、私と友達になってほしいな、って思いまして………ど、どうでしょうか?」

 

「え、嫌だけど」

 

「嫌なんですか!? ここは友達になってくれる場面では!?」

 

 ゆんゆんは申し訳なさげに言ってきたが、すっぱり切らせてもらった。確かにここは『分かった! よろしくな!』って場面だが、だってなぁ………

 

「………やっぱりそうですよねちょっと親切にしたからって私なんかと友達になってくれる訳がなかったんですよあははめぐみんに自慢できると思ったらこれで──」

 

「せいっ」

 

「あうっ………何するんです?」

 

 座り込んでのの字でも書き始めそうなゆんゆんにチョップを落とした。

 

「あのな………別に友達になってくれ、って頼まなくてもそのくらいなら普通に言ってくれればいいし、なによりそういうのは気付いたらなってるもんだよ。それとも、出会ってからクエスト通して仲良くなれた、と思ったのは俺だけか?」

 

「いえ! 私も、その、仲良くなれたと思って、友達に、と」

 

「どうせならもっと欲張れ。こういう時は『私とパーティー組んでください』くらい言ってみろ」

 

 ほら、とゆんゆんに促す。『え、でも』と悩んでいるゆんゆんを急かさずにただ待つ。………これで『パーティーは組みたくないんです』とか言われたら泣いていいよな?

 

「………あ、あの! 私とパーティー組んでください!」

 

「おう。これからよろしくな、ゆんゆん」

 

 こうして、ゆんゆんとパーティーを組むこととなった。

 




ちょっと皆様にアンケートです。

前書きにも書いている通り、独自設定より捏造が合いそうな内容になってきている気がするので、ご意見をお聞かせください。

このすば編の扱いどうしよう

  • このままここに置いといて
  • 別枠であげた方がいいと思う
  • 作者の好きでええんやで
  • それより他のコラボはないんですか?
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