岸和田先輩。
ちょっとひょうきんなところもあって、ちょくちょく振り回されたりもした。
けど、記者としての知識を活かし、この事件を解決するために情報の提供を惜しまなかった岸和田先輩。
手岡先輩。
料理の負担が一人に偏らない様に、得意なおでんを作り置きしたり、魚の知識も豊富で料理の技も素晴らしくて、その腕を振るってくれた手岡先輩。
ああ、この二人とは三日前、一緒にお風呂で水鉄砲で遊んだっけ。楽しかったなあ。あんなふうに無邪気にはしゃいだのは本当に久しぶりだったなあ。
その前にも、岸和田の名にかけて! なんて意気込んだりもしてたなあ。……その後に僕にも振ってきたりして、あの時はちょっと恥ずかしかったけど、可愛いなんて言ってくれたなあ。
もう一回、いや岸和田先輩に頼まれたら何度だって『琴間の名にかけて!』ってやってあげますよ。何度でも。
だから……起き上がってくださいよ。眼を開けてくださいよ。
手岡先輩が見せてくれたルアー、きれいだったなあ。
あのルアーを使って、春めいてきた陽気の中、さんさんと輝く太陽の下で、波の音なんか聞きながら、釣りにでも行ってみたいなあ。手岡先輩とならたとえなかなか釣れなくても、魚の話なんかして過ごせばきっと退屈しないだろうなあ。
一緒に行きましょう。狙いは何にしましょう。僕は初心者なんで、防波堤からでもかかるような魚がいいですね。……もし釣れたら、捌き方とかも教えてほしいですね。
だから……起き上がってくださいよ。眼を開けてくださいよ。
そんな願いを込めた視線を送っても……もう彼女たちは、その願いには応えてくれない。
理解してる。理解しているのに。伝えたい言葉はどんどんあふれてくる。止められない。
「二回もアナウンスが鳴ったけど……まさか」
「……っ、なんていうことだ」
「……岸和田チャン、手岡チャン」
他の先輩方も、アナウンスを聞いて集まってきたようで、そんな声が耳に届いてくる。
「あーらら、新たな命を授かるための場所……いや女の子同士だから出来ないか。でもまあそういう目的のところで逆にコロシアイが起きちゃったようだね! それも一度に二人も! うぷぷ、皮肉だなあ。絶望的だなあ」
その中にモノクマも紛れているようで、そんな下品な冗談を飛ばしている。
「てなわけで、はい、いつものモノクマファイルね! 今回は二人分あるからちゃんと目を通しておいてちょーだいな! それでは、一定の捜査時間を設けた後、学級裁判を開きます! じゃあねー!」
「待て、モノクマ」
宣言だけして、すぐに去っていこうとするモノクマを、堀津先輩が引き留める。
「なにさ、なんなのさ、堀津クンは僕のなんなのさ?」
「……今回、二人の被害者が出ているだろう。その場合の裁判はどうなる?」
「特に変わらないよ? 一回の裁判を通じて、岸和田さんを殺したクロはだれだれで、手岡さんを殺したクロはだれそれだ、ってきちんと指摘してもらうからね? 最後のクロ指摘のところだけ二回になるから、間違って逆に投票しないように気を付けてね。あ、被害者の部屋は入れるようにしてあるからね必要なら調査にでも行ってね。もういいかな、今度こそバイバーイ!」
そう言って、消え去るように逃げていったモノクマ。奴に拘泥したところで話は進まないだろう。とにかく捜査を始めなければ。
……悲しんでいる暇はない。真実にたどり着くために、まずはモノクマファイルに目を通さなければ。
『モノクマファイル3
被害者は 準・超高校級の記者、岸和田安美。
死体発見現場はラブアパート。
死亡推定時刻は午前0時30分前後。
左胸に円形の傷の他、右手に打撲痕あり』
『モノクマファイル4
被害者は 準・超高校級の釣り師、手岡漁子。
死体発見現場はラブアパート。
死亡推定時刻は午前0時前後。
眉間、後頭部に円形の傷あり』
……本当に二人も亡くなってしまったんだなあ。しかし、このモノクマファイル、今までとは少し違う。死因が書いていない。
コトダマ『モノクマファイル3』を手に入れました。
コトダマ『モノクマファイル4』を手に入れました。
それにいつもの生徒名簿と……おや、新しく『ラブアパートの注意』『モノクマメダル獲得履歴』という欄も追加されているぞ。これも目を通しておいたほうが良いだろう。
『ラブアパートの注意』
1、部屋の中にちょうど二人いる場合、その二人の電子生徒手帳に『休憩する』という欄が現れます(捜査時間中は除く)。どちらか一方でもその欄を押下したら『休憩』が始まります。
2、休憩が始まった場合、事件が起こる以外のことではいかなる理由があろうと扉が開かなくなります。
3、休憩は時間設定ができますが、最低二時間からです。
4、設定した時間になると内側からは開けられるようになりますが、プライバシー保護のため、外からは開けられません。
5、休憩中のラブアパートでは例外的に就寝が認められます。
コトダマ『ラブアパートの注意』を手に入れました。
『モノクマメダル獲得履歴 たくさん集めてコロシアイに役立つものを手に入れよう!』
一目……1枚
勝……0枚
カディナ……0枚
岸和田……15枚
霧生……2枚
黒須……10枚
琴間……2枚
瑞倉……50枚
瀬戸……2枚
竹枡……2枚
手岡……2枚
羽月……5枚
福添……5枚
堀津……0枚
芳賀……2枚
……岸和田先輩に1枚渡した僕が2枚になってるってことは、現在の所持数じゃなくて『今まで何枚手に入れたか』ってことか。それにしても瑞倉先輩だけずば抜けてるなあ。
コトダマ『モノクマメダル獲得履歴』を手に入れました。
それと……電子手帳には載ってないけど、先日の動機配布のときに誰が誰の秘密を受け取ったか、もまとめておいたほうがいいだろう。と今度はスマホを取り出してメモをしていく。
(順番は公開順)
堀津
「堀津圭司は加害者を追い詰めることのみを優先し、被害者の不利益になる手段もいとわない」
一目
「一目蔵人は、トレーダーを始めるための元手となるお金を売春で稼いだ」
羽月
「竹枡紅は、瀬戸政直に惚れている」
瀬戸
「芳賀愛の上げている動画は、著作権的にグレーなものも多い」
岸和田
「福添志穂はまだ家族と一緒にお風呂に入ることがある」
芳賀
「瀬戸政直に好意を寄せる女子は多くいたが、それをやんわりと断ってきており、恋人いない歴イコール年齢である」
勝
「琴間恵那樹は、 授業態度の良さで美術3をもらっているが、実は絵が下手」
黒須
「岸和田安美は追っている事件がある」
手岡
「羽月聖来の自宅の部屋はモノクマグッズで埋め尽くされている」
竹枡
「勝富士山は大食いや激辛チャレンジ番組といったものが嫌いであり、テレビで見たらチャンネルを変える」
琴間
「黒須鈴は小さいころから長女として下の子の面倒を見る、小さなママ、としての役割を求められてきたが、本当はもっと甘えたかった」
これで間違いないはずだ。
コトダマ『動機メモの割り当て』を手に入れました。
それと、カムクライズルプロジェクトに参加した瑞倉先輩の映像か……モノクマは『もう死んじゃってる瑞倉クンの秘密を見たところであまりコロシアイに結びつかなそうだったからね!』って言って第二の動機として秘密メモをランダムに配布したけど、こっちも覚えておいたほうが良いだろう。
コトダマ『カムクライズルプロジェクトに参加する瑞倉先輩の映像』を手に入れました。
さて、捜査するに当たりやはり一番情報があるのは現場だろうと、電子生徒手帳から目をあげると、すでに堀津先輩と一目先輩が保全に当たっている。今回は二人のご遺体があるのに、現場に残る人は一人減ってしまったのだなあ。……寮内の捜査に当たる人員も必要だから仕方ないのかな。
まずは岸和田先輩……とは思ったがほぼ専門職の堀津先輩が検分するように眺めているので、あまり僕が口出しするべきではないか。と遠巻きに見るにとどめよう。……左胸から出血して、左手を胸の上においているのでその手は血に染まっている。右手に打撲痕ありとのことだったがそれほどひどいものではないのでちらっと見ただけではわからない。左手と違って血に染まっているような状態ではないが、人差し指の先端にだけちょこっと血液が付着している。……そして、その右手の近くには、拳銃が投げ出されていた。
……って、いや、拳銃だって? あまりに何気なく落ちていたのでスルーするところだったけど二度見してきちんと目に収めた。
コトダマ『岸和田先輩の遺体の状態』を手に入れました。
コトダマ『拳銃』を手に入れました。
さて、次は手岡先輩か。……布団をめくったときにちらっと見て、眉間以外には傷がなさそうだったが、今遺体の側にいる一目先輩とも聞いて確認してみるべきかもしれない。
「予備学科志望君は釣り師さんの遺体を見たんだよね」
「はい、見ました。……眉間の穴は、岸和田先輩の傍に落ちてた拳銃でしょうね」
「それに違いないみたいだね。モノクマファイルにも書かれているように眉間から後頭部にかけて貫通して、ベッドにまで穴をあけてるよ」
……やはり銃で撃たれたことに間違いはないのか。
「それにしても、釣り師さんの方には『眉間、後頭部に円形の傷あり』って書いてあるのに、記者さんのほうは『胸部に円形の傷あり』としか書かれてないよね。銃で撃たれたなら身体の裏面である背部にも同じような傷ができるはずなのになあ」
確かにそうだ。……なんらかの理由で減速し、貫通しなかったというのか?
コトダマ『モノクマファイルの違和感』を手に入れました。
「それと、釣り師さんの衣類はきれいに畳んでおいてあったよ」
コトダマ『手岡先輩の衣類』を手に入れました。
……しかし、一目先輩を内通者だと疑っていた岸和田先輩が亡くなってしまったのか。岸和田先輩の言動に関して、今までのことを思い出しておいたほうが良いかもしれない。
コトダマ『岸和田先輩が抱いていた疑惑』を手に入れました。
さて、堀津先輩と一目先輩は遺体を主に調べているから、僕のほうは部屋全体を調べてみるか、と思い立つ。……滑り台付きのお風呂、壁にかけられた鞭、二台の回転木馬、どれもトリックにおあつらえむきかもしれない、と念入りに目を通したが、特に細工された様子はない。これは外れか。
……いや、磔台も調べなくては。福添先輩のオシオキを思い出してしまうようなそれをあまり見たくはないが、だからこそ、なにかを隠すには向いているだろう。と意を決する。……案の定、その足元の陰の白いじゅうたんの上に隠されるようになにかが置かれていた。
倒れたペットボトルと、それに糸で括りつけられたスマホ?
……なんだろうこれは? スマホの中になにか手掛かりがあるかもしれない、と中を調べてみるが、画像やアプリどころか、通話履歴も連絡先もない。ただマナーモードに設定されていること、午後11時50分にアラームが設定されていること、だけがわかった。
コトダマ『磔台』を手に入れました。
コトダマ『ペットボトルと括りつけられたスマホ』を手に入れました。
さて、この部屋だけでなく他の場所も探さなければ……と思い部屋から出ようとしたとき、扉にはめ込まれた擦りガラスに円形の傷……それこそ銃で撃ったような傷があることに気づいた。これもまた何かの手掛かりになるだろう。
コトダマ『擦りガラスの円形の傷』を手に入れました。
今回もまた薬品棚のものが使われたかもしれない、と思い立ち、保健室へと足を運ぶ。今回は芳賀先輩が一人で、スマホを見ながら棚の調査に当たっている。……あれ、リストじゃなくてスマホを見ながら?
「芳賀先輩、どうしたんですか?」
「ああ、えなきんか……カムルンが作ったリスト、破り捨てられとったから、カムルンのスマホで撮っておいてくれてたリストの画像の方で見て比較してんねん」
……そうだ。リストは瑞倉先輩が作ったもので、元々用意されてたものじゃないから、破り捨てたとしても校則5の備品の破壊には当たらないんだ。しかし、瑞倉先輩がリストを写真に収めたのは、このような事態にも気を回しておいてくれていたのか。
「それで、なにか無くなってたものはあるんですか?」
「ああ、これと同じ『モノクマポイズンA』っちゅーのが一本、無くなっとった」
といって、ペットボトルのような容器を手渡してきた。その注意書きには『密閉状態だと液体だが大気に触れると常温で気化、数十分曝されると酩酊などの前兆が起き、その時点で危険水域。その後高濃度酸素吸入などの適切な処置がなされなければ、死に至る。水を加えると無毒になる。変色あり』と記載されている。……密室で毒ガス、みたいなことがあったならひとたまりもないだろう。
コトダマ『モノクマポイズンA』を手に入れました。
コトダマ『瑞倉先輩のスマホ』を手に入れました。
「……それとな、さっきまでベニヤンと一緒に調査しとったんやけどな、モノクマポイズンAがなくなっとることに気づいたら、『気になることがある』っちゅーてメイクルームに向かう、って言っとったで。同じモノクマポイズンAを一本持ってな」
……毒を持って? 気になるな。確認しに行くか、と芳賀先輩に情報提供のお礼を告げて、再び地下二階にとんぼ返りするのだった。
ドアが開け広げられたままのメイクルームに入った僕の目に飛び込んできたのは、医者か研究者がつけるような物々しい大型のマスクで口を覆った竹枡先輩だった。ごおごおと換気扇が回っている音もする。
「竹枡先輩、何されてるんですか?」
「あー琴間くん。ちょっと実験をねー」
マスクをしたままそう答える竹枡先輩。これだけでもいつもと違う雰囲気に見えてくる。
「実験ですか?」
「私だけが知ってても証拠にならないかもしれないから琴間くんも見ててほしいなー。そこに置いてあるマスクつけてね」
促されて、マスクをつける。かなり大型のマスクなので口や鼻だけでなく目まで隠れてしまいそうだ。そうして竹枡先輩の正面に座ると、彼女はスポイトで抽出したなにか透明な液体を、白い布の切れ端のようなものに垂らした。すると、白い布はみるみる緑色に代わっていく。それを確認した竹枡先輩は、すぐさまその緑色の部分に別の透明な液体を垂らす、というよりこぼすといった表現が適切なほどの量をかけた。
「……これは?」
「最初にかけた液体がモノクマポイズンA、その後にかけた液体が水」
「え……あの気化して毒を発生させるモノクマポイズンAですか?」
「そう。でも水を加えると無害になるとも書いてあったから、すぐ水をかけたのー。とにかく、モノクマポイズンAは繊維に触れると緑色になる、っていうのがわかったよねー」
その口調は、子供向けの科学番組の司会のお姉さんのようだった。
「こういうのも失礼かもしれませんが……竹枡先輩がこういうことできるって意外でした」
「ビューティーアドバイザーって、メイクのおススメとかコツとかだけじゃなくて、化粧品の成分の科学的分析とかもスキルの範疇に入ってるからね。それで『変色あり』としか書かれてないモノクマポイズンAが何をどう変色させるのか気になって、ちょっと実験してみたんだー。化粧品で衣類に変色を起こさないか、とかのチェックはよくしてたからね」
そう答える竹枡先輩。なんだかまだ見てなかった一面、って感じだ。
コトダマ『竹枡先輩の証言』を手に入れました。
一回目の事件と同じように、刃物のような調理器具が使われているかもな、と思いつき一階に戻って、厨房へと赴く。そこには勝先輩と瀬戸先輩が調査にあたっていた。
「……なにか無くなっていたり、不自然なところがあったりしませんか」
「うーんまだ途中だけど、少なくとも刃物のようなものは無くなってないよ。瀬戸くんにも手伝ってもらって確認したから間違いない」
と返答した勝先輩は、今は洗剤のような消耗品を調べているようだ。何本も並んでいる洗剤を調べるのも大変だろうな……ん? 並んでるボトルは一種類しかないけど、ここにはこの種類の洗剤しかないのかな?
「勝先輩、厨房にある洗剤って、この種類のしかないんですか?」
「うん、それだけだよ」
……少し気になった僕は、勝先輩に許可をとってそれを手に持つ。やはり、と言っていいが『まぜるな危険 酸性洗剤のため、塩素系洗剤とまぜないでください』と書かれていた。厨房にはこの種類のしかないが、もし寮内に塩素系洗剤があるとしたら、これで毒ガスを発生させることができるだろう。
他に洗剤がありそうなところといえば……ランドリーと倉庫か、と思い立つ。そうだ、これも証拠になるかもしれないから写真に収めておこう、と胸ポケットからスマホを取り出すと……一緒に、はらり、となにかの紙が舞い落ちてしまった。この数日間、色んなメモ紙を行ったり来たりさせたので、思い当たるものいくつかはあったが、これは……動機に配られた黒須先輩の秘密が書かれたメモだ! それはひらひらと舞い、シンクの中に落ちていった。
……ちょっと濡れちゃったかな、と思いそれを拾い上げると、濡れるどころか、自ら水をはじくようで、全くしみ込んだ様子もない。……こんなところにわざわざ良い紙使ってんのか。そういえば、選挙のポスターや投票用紙は、破損汚損があると公平性を担保できなくなるから高級な合成紙にしていると聞いたが、それに近いものなのだろうか?
コトダマ『水の染みこまない動機メモの紙』を手に入れました。
二人に一言告げてから、まずはランドリーに向かったが、ここにも酸性洗剤しかなかった。そしてそのままの足で倉庫に向かう。物品の量は膨大だが、ここにもリストがあるはずだ。……薬品棚のリストのように破り捨てられてないといいが、その不安は杞憂に終わってくれたようだ。さっそくリストを確認すると、『モノクマ洗剤(酸性)』ときちんと性質まで記録してくれていた。リストを作ったのは竹枡先輩、芳賀先輩、……霧生先輩、福添先輩だったか。
その後もリストの端から端まで目を通したが、塩素系洗剤の欄は存在しなかった。他の部屋も確認しないといけないが、倉庫にも塩素系洗剤がないってことは、『この寮内には酸性洗剤しか存在しない』と考えてよいだろう。
コトダマ『寮内の洗剤』を手に入れました。
とりあえず他の部屋にもなにか手掛かりになるようなものはないか、と考え、まずは一階の娯楽室へと足を運ぶ。相変わらずパチンコ台とパチスロ台がのんきにペカペカと光を放っていた。そうだ、岸和田先輩が監視カメラのないところを探しながらパチスロを打ってたよな。もしかしたら何か遺しておいてくれているかもしれない、と思い、筐体に近づいてみると、冊子のようなものが挟まっていた。……これはもしや予想通りか、とそれを開いてみる。
パチンコ・パチスロ用語
ロングフリーズ……当たりの中でも特に恩恵の強い大当たり。
天井……ここまで回せば必ず当たるという試行回数。パチンコにもパチスロにもある。
※この台は当たりを引いたら玉やメダルで出てくるのではなく、景品として出てきます。モノクマメダルを入れて遊びましょう。
……が、なんのことはない。ただの説明書だった。それにしても、今のところモノクマメダルの使い道はこれしか見つかってないなあ。
コトダマ『パチンコ・パチスロとその用語』を手に入れました。
コトダマ『モノクマメダルの使い道』を手に入れました。
「あ、琴間君、こんなところにいた」
と僕に話しかけてきたのは羽月先輩だった。
「ねえ、ちょっとこれ読んでみて」
と言って僕に一冊の手帳を手渡してきた。それは一見、鉛筆で塗りつぶされたように真っ黒だが……よく目を凝らすと筆圧で押されたようなへこみがある。これは鉛筆で擦って、上のページに書かれた文字を浮かび上がらせるってやつか。しかし思ったより読みづらいな……えーと、『手岡さんへ 脱出に必要だけどどうしても監視カメラに映りたくない重大な密談があるから、同衾して話そう。ラブアパートなら自然にできる 岸和田より』、だって?
「それにしても、この手帳はどこで手に入れたんですか?」
「……捜査時間だから、被害者となった人の部屋にも入っていいことになった、ってモノクマが言ってたから岸和田さんの部屋で見つけた」
……確かにそんなことを言っていたな。
コトダマ『岸和田先輩の手帳』を手に入れました。
「もう一つ。……これ」
と言って羽月先輩が差しだしてきたのは、なにかの調査資料のようだった。眺めると『失踪扱いとされる殺人』『遺体を残さない殺人鬼』といった、一目先輩が読んでいた三文雑誌の記事のようだが……
コトダマ『遺体を残さない殺人鬼』を手に入れました。
「それと、手岡さんの部屋の方には黒須さんが調査に当たってたんだけど……」
「あ、二人ともここにいたんだ」
と噂をすれば影、といったように、黒須先輩が現れる。
「黒須さん、なにか手掛かりになりそうなものあった?」
「それが……こんなものが」
と言って、一枚の紙を差し出してきた。そこにはこう書かれている。
『手岡さんへ 脱出に必要だけどどうしても監視カメラに映りたくない重大な密談があるから、同衾して話そう。ラブアパートなら自然にできる 岸和田より』
……岸和田先輩の手帳に浮かび上がった文字でも、手岡先輩の部屋にあった手紙にも、このような内容が書かれているということは、まちがいなく岸和田先輩が書いて、手岡先輩が受け取った、ということだろう。岸和田先輩を騙った何者かがいる、というケースや、岸和田先輩が書いた手紙が別の人物のもとに渡った、というケースは除外して考えられる、というのは大きな発見だと言っていいだろう。……鉛筆で文字を浮かび上がらせた手帳を頑張って解読したことは無駄ってわけじゃないよな。うん。
コトダマ『手岡先輩の部屋にあった手紙』を手に入れました。
『ピンポンパンポーン! 一気に二人も亡くなっちゃった上に捜査する人数も減って大変だっただろうけど、そろそろ学級裁判を始めちゃいまーす! それではみなさん、一階エレベーターホールに集まってくださーい!」
モノクマのアナウンスが寮内に響く。ああ、また始まってしまうんだなあ。だが、避けられない現実だ。
「……行かなきゃね」
「……そうですね」
と、ちょうど一緒にいた羽月先輩と黒須先輩と共に、エレベーターホールへと足を運ぶ。
一階エレベーターホールで他の先輩方を待ちながら、思いを巡らせてしまう。
……今回の事件は一回目の事件のように、周到な殺意のもとに行われたものなのか。
……それとも、二回目の事件のように、全くの悪意がなく行われたものなのか。
……それとも。
いや、どうあったとして、救いはない。救いはないが……乗り越えなくてはならない。
「それでは皆さん、エレベーターに乗り込んでください!」
などと考えていたら、全員集まっていたようで、アナウンスに応じて一人、また一人と吸い込まれるように足を運んでいく。
逡巡しているような場合ではない。
……どんな真実が待っていようと、自分は、自分たちは、そこまでたどり着かなければ。……出来ないときに待っているのは、オシオキ。処刑。すなわち死。
みたび、始まってしまう。
命がけの信頼、
命がけの裏切り、
命がけの騙しあい、
命がけの……学級裁判が。
第三章のクロはだれかな?
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一目 蔵人
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勝 富士山
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カディナ・レオンハート
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岸和田 安美
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霧生 雄大
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黒須 鈴
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琴間 恵那樹
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瑞倉 冠
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瀬戸 政直
-
竹枡 紅
-
手岡 漁子
-
羽月 聖来
-
福添 志穂
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堀津 圭司
-
芳賀 愛