コトダマ一覧
『モノクマファイル3』
『モノクマファイル4』
『拳銃』
『岸和田先輩の遺体の状態』
『岸和田先輩の手帳』
『磔台』
『モノクマメダル』
『パチスロ』
『手岡先輩の衣類』
『岸和田先輩が抱いていた疑惑』
『動機メモの割り当て』
『ラブアパートの注意』
『カムクライズルプロジェクトに参加する瑞倉先輩の映像』
『ペットボトルと括りつけられたスマホ』
『瑞倉先輩のスマホ』
『破られたリスト』
『モノクマポイズンA』
『竹枡先輩の証言』
『寮内の洗剤』
『モノクマメダル獲得履歴』
『モノクマファイルの違和感』
『擦りガラスの円形の傷』
『破り捨てられていたリスト』
『水の染みこまない動機メモの紙』
『パチンコ・パチスロとその用語』
『手岡先輩の部屋にあった手紙』
『遺体を残さない殺人鬼』
みたび、この場所に来てしまった。……赤いバッテンがのせられた遺影も三つ増えている。霧生先輩のバッテンはハリセン、岸和田先輩のはペン、手岡先輩のは釣り針を模したような意匠だ。そして前回の学級裁判の最後、霧生先輩に叩き割られた福添先輩の遺影は、セロテープでおざなりに補修されているだけだ。……額縁や写真ぐらい新しく調達することも簡単だろうにあえてそうしているのは僕らへの当てつけなんだろうか。と思いながら、各々に割り当てられた証言台へと向かう。
「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう! 学級裁判の結果はお前らの投票により決定されます! 正しいクロを指摘できればクロだけがオシオキ! だけど、もし間違った人物をクロとした場合は、クロ以外の全員がオシオキされ、クロは晴れて卒業となりまーす! なお、今回は亡くなった人が二人いるので、それぞれクロを指摘してくださいね! 投票タイムのとき逆に投票する、なんてことがないように気を付けてね! それでは議論を開始してください!」
「始める前にちょっといいかな?」
と一目先輩が挙手する。
「ラブアパートで見張りをしていた僕と追跡者君で記者さんと釣り師さんの電子生徒手帳とスマホを見つけたよ。これも証拠として提出しておくね。記者さんはスマホ二台を手荷物として持ち込んでいたみたいね」
と言って電子生徒手帳二台とスマホを三台取り出して隣に渡し始めた。それは順繰りに僕の元まで回ってくる。
電子生徒手帳は特に変哲もない。手岡先輩のスマホには自分が釣った魚を掲げてどや顔してるような写真がたくさんある。岸和田先輩のスマホは仕事用とプライベート用に分かれているようだ。そしてそれらを左隣の羽月先輩に渡す。
コトダマ『岸和田先輩の電子生徒手帳』を手に入れました。
コトダマ『岸和田先輩のスマホ』を手に入れました。
コトダマ『手岡先輩の電子生徒手帳』を手に入れました。
コトダマ『手岡先輩のスマホ』を手に入れました。
黒須「いつものようにモノクマファイルに書いてあることから確認していこうか」
瀬戸「亡くなったのは岸和田チャンと手岡チャン……」
竹枡「死亡推定時刻は手岡さんが午前0時、岸和田さんが午前0時30分だね……」
勝「そして今朝、二人ともラブアパートで発見される」
瀬戸「ところで、なんで二人ともラブアパートなんかに行ったんすかね?」
一目「そりゃあもちろん、あんな部屋ですることなんか一つしかないでしょ」
竹枡「えっ……女の子同士なのにー?」
一目「世の中には男を買う男だってゴロゴロいるんだよ。だったら女同士もよくあることなんじゃないかな?」
琴間「それは違います!」『岸和田先輩の手帳』→『することなんか一つしかない』
琴間「いえ、岸和田先輩の部屋にあった手帳なんですが、一番上のページをえんぴつでこすって浮かび上がらせてみたんです……そしたら『手岡さんへ 脱出に必要だけどどうしても監視カメラに映りたくない密談があるから、同衾して話そう。ラブアパートなら自然にできる 岸和田より』という文章が浮かび上がってきたんです。だから手帳の上にあったページをちぎって手紙としてだした、ということがわかっているんです」
黒須「その手紙は手岡さんの部屋にもあったよ。だから手岡さんの手に渡ったことも確実」
琴間「だから……その……」
一目「女の子同士でするために行ったんじゃないわけだね」
琴間「……まあ、そういうことです。そんなちょっと大胆な申し出でも、現状が好転するような情報が聞けるかもしれないとなれば応じてしまったでしょうね」
黒須「他にも……手岡さんがされていた手錠、これも気になるよね」
勝「そんなもの倉庫にあったかな?」
竹枡「……手錠も犯行に使えそうな危険なものだったからあったとしたら倉庫のリストを作ってる私たちが気づいていたはずだよー」
一目「みんな意識してあまり話さないようにしてるけど、ラブアパートってそういう部屋なんでしょ? だったらプレイに使うような拘束具があってもおかしくないんじゃない?」
琴間「それに賛成です!」『磔台』→『プレイに使うような拘束具』
琴間「確かに、一目先輩の言う通りです」
一目「おや、珍しく僕の推理が当たったみたいだね」
琴間「ラブアパートには磔台がありました……だから手錠のようなもっと簡易なものがあってもおかしくないんです」
黒須「手錠は現地調達したのはわかったけど、どうして手岡さんは亡くなったんだろう?」
竹枡「モノクマファイルに書いてなかったっけー?」
勝「たしか……眉間、後頭部に円形の傷ありって書いてあったよ」
竹枡「円形の傷って言われても……どんな傷だったんだろ」
堀津「現場に残った俺と一目は確認したが……1㎝に満たない小さな穴が貫通するように開いていたぞ」
竹枡「そんな傷を作るような凶器なんて思い及ばないねー」
琴間「それは違います!」『拳銃』→『思い及ばない』
琴間「いや、そのような傷を作る凶器が岸和田先輩の遺体の近くに落ちていました」
竹枡「……そうだったんだね。やっぱり私、遺体がある部屋にいるのが怖くて、手岡さんの遺体を見た後すぐに逃げるように他の場所に捜査に行っちゃったから」
琴間「……仕方のないことです。また寮内に捜査に行くことも重要なことです」
瀬戸「ところですごく気になることがあるんすけど……拳銃なんてどこにあったんすかね?」
芳賀「倉庫の中にもそんなものなかったな」
竹枡「うん。私も倉庫のリストを作ったけどなかったよねー」
堀津「考えられるのは……モノクマから渡された、とかだろうな」
黒須「え、なんで一人だけにそんなものを?」
堀津「……この手の集団監禁事件には、監禁被害者の中に加害者の息のかかった内通者を仕込むのが定石といっていいんだ。つまりどちらかが内通者、状況的におそらく岸和田だろうが、だったってことだろうな」
琴間「それは違います!」『モノクマメダル』『パチスロ』→『どちらかが内通者』
琴間「いえ。他に考えられる可能性があります。それはパチスロです」
芳賀「は? パチスロって娯楽室にある奴やろ? なんでそれが?」
琴間「モノクマメダルは『コロシアイに役立つものが手に入る』との触れ込みです。そして使い道はパチンコかパチスロしかない。ということは、それで当たりを引いた人にのみ与えられる景品があったと考えられます。……それが拳銃だった可能性が高いです」
「パチスロなんて中々当たらないものだろう? そんなもので都合よくあたりを引いて拳銃を手に入れた、というのか?」
と割り込んできた堀津先輩からの追及。僕としてもこれは憶測であって確信しているわけではないのだが、岸和田先輩が内通者でモノクマから銃を譲り受けていた、という仮説よりは腑に落ちる考えではある。
「でも、僕は岸和田先輩がパチスロでロングフリーズを引いたのを聞いたんです。ロングフリーズって確か、当たりの中でも特別に強い当たりだったはずです」
「琴間、お前中学生だろ? なんでそんなに詳しいんだ?」
「この事件に関係あるものだと思って、パチスロの筐体の横にあった冊子を読んできました」
「だとしても、岸和田が内通者という線を消して考えるより強い根拠はあるのか?」
僕の説明にも食い下がる堀津先輩だが……
これで説明できる! 『岸和田先輩が抱いていた疑惑』
「岸和田先輩、もともと彼女は一目先輩のことを内通者だと疑っているようでした」
「あれ、記者さんやっぱり僕のこと疑ってたんだ」
名前をあげられた一目先輩はこともなげに言葉を漏らす。
「ですが、その後、『一目先輩に対する疑惑は少し薄れた』とも言ってました。もし彼女が本当に内通者なら、僕に『一目先輩は本当に内通者だった』とでも吹き込んでおけば、仲間同士で疑心暗鬼に陥らせて、真の内通者である自分に対するマークは逆に薄れてうまく立ち回れたはずです」
「それで信頼を得る、というのも考えられないことではないと思うが?」
「……加えて、僕らは『浴場に監視カメラがない』と思い込んで、詳細は避けますがかなり重要なことを不用意に話しているような状況でした。ですが彼女は『本当に隠された監視カメラがないのかな』ともおっしゃってました。……岸和田先輩が内通者なら本当は監視カメラがある浴場でべらべら機密情報を喋るような状況は歓迎していたはずです」
「……『浴場には本当に監視カメラがなく』『黒幕はその状況を快く思わなくて』『浴場で機密情報を喋るような状況を止めさせたい』というケースは」
「それだったら浴場に監視カメラをつけるだけでいいんです。個室にもカメラを置くような黒幕が今更プライバシーに配慮するわけがないんですから」
「……監視カメラを付けるコストを嫌った、という可能性は」
「日本の重要施設である希望ヶ峰学園で監禁事件を起こすような周到なテロリストがその程度のコストを避けるとは考えにくいです」
「金銭の問題ではなく、手間の問題では」
「それこそモノクマにやらせれば簡単なことでしょう。生徒間の不審な動きも察知してすぐに対応できるモノクマなら」
「……なるほどな。自分で言い出したことだが、岸和田内通者説は半信半疑だったがとりあえず出してみたものだが、こうまでみごとに反論されるとひっこめるしかないようだな」
とようやく引き下がってくれた堀津先輩。
「それじゃあ、記者さんに誘われた釣り師さんは、密談目的ということがばれない様にプレイ目的であることを装うために服を脱いでベッドに横たわったところ、本当は釣り師さんを殺す目的だった記者さんに手錠で拘束されて撃たれた……ってことなのかな? あれ、もう半分謎は解けちゃったんじゃない?」
「……まだまだ解き明かさないとならない謎はたくさんあります。もう半分、と侮ってかかれるような事件ではないでしょうね」
「おや、これは手厳しいね。まあ予備学科志望君の言う通りだね」
(それにしても……なんで岸和田先輩は手岡先輩を……混浴のときにはあんなに仲良さそうに一緒にはしゃいでいたのに)
堀津「岸和田が手岡を誘い出し、そこでパチスロで手に入れた拳銃を向けたことは分かった。だがどうしてそのようなことを?」
羽月「もしかして動機が関係してるのかな?」
黒須「岸和田さんが受け取った動機って誰のだったっけ?」
羽月「確か……福添さんのだったよ」
芳賀「内容は……『福添志穂はまだ家族と一緒にお風呂に入ることもある』」
勝「それじゃあ動機にならないよね」
竹枡「じゃあ……岸和田さんには動機がない、ってことなの?」
琴間「それは違います!」『動機メモの割り当て』→『岸和田さんには動機がない』
琴間「モノクマが動機を配るときに言ったことを覚えていますか……? 確か『亡くなった瑞倉クンの秘密を見たところであまりコロシアイに結びつかない』、と言っていました。なのに同じく亡くなった福添先輩の秘密が入っているのは不自然なんです。そして、動機メモの中にその時点で生きていたのに誰も受け取ってなかったのが手岡先輩の秘密……これは『岸和田先輩は本当は手岡先輩の秘密を受け取っていたけど嘘を言った』と考えるほうが自然なんです」
一目「それで本当に殺しちゃうなんて、釣り師さんはよっぽど重大な秘密を抱えていたんだろうね。気になるなあ」
一目「で、記者さんは釣り師さんの秘密を知って殺しちゃった、っていうのはわかったよ」
竹枡「でもどうしてその岸和田さんまで……亡くなっちゃったのかな?」
黒須「……岸和田さんにも、胸で銃で撃ったような小さな穴が開いていたよね」
勝「まさか……罪の意識にさいなまれて、自らに向けて撃ったんじゃ」
瀬戸「自らに向けて撃った、って……それって自殺って事っすか?」
琴間「それは違います!」『モノクマファイルの違和感』→『自らに向けて撃った』
琴間「いえ。手岡先輩のことが載っているモノクマファイル4には『眉間と後頭部に円形の傷』と表記されていましたが、岸和田先輩のモノクマファイル3には『胸部に円形の傷』とのみ書かれていたんです。もし貫通してたとしたら、『胸部と背部に円形の傷』という表記になるはずなんです。これは銃はもともと貫通するだけの力があるはずなのに、岸和田先輩を傷つけた弾丸が貫通してないことを意味します。……つまり自分に向けて撃ったのではなく」
琴間「跳弾……どこかに撃って跳ね返って射出された際の威力よりは弱まった弾が岸和田先輩の胸部に命中した……と考えられます」
芳賀「どこかに撃って跳ね返ったって……それはどこやねん?」
これで説明できる!『擦りガラスの円形の傷」
琴間「ラブアパートの扉の内側の擦りガラスにはちょうど銃弾ぐらいの傷がありました。……きっと岸和田先輩はそこに向かって撃ったんだと思われます」
勝「え、なんでわざわざ? 開けられない状態だったの?」
琴間「はい。岸和田先輩は扉を開けられなかったんです。なぜなら」
これで説明できる!『ラブアパートの注意』
琴間「ラブアパートは部屋の中に入ると、電子生徒手帳に『休憩』という欄が現れるんです。そこで『使用時間』を入力すると、その時間が経過するまでは内側からも外側からも絶対に開かなくなってしまうんです。そしてその時間が経過すると、内側からだけ開けられるようになる」
芳賀「今朝外側から開かなかったのはそのせいやな」
琴間「しかし……入力した使用時間が過ぎる前に、ドアの破壊という校則に違反する危険を冒してでも、外に出なくてはいけない状況に陥ってしまった岸和田先輩は……どうにかして外に出ようと擦りガラスを銃で撃ったんです。しかし擦りガラスは銃弾で割れることなく、逆にそれを跳ね返して、岸和田先輩の胸を抉ったんです」
芳賀「それじゃあ……その『なんとしてでも外に出なくてはいけない状況』っていうのはまさか」
琴間「はい……おそらく芳賀先輩が想像しているとおりです」
琴間「芳賀先輩、モノクマがラブアパートを開けるまでに少し時間がかかりましたよね」
芳賀「ああ、『踊ってないで早うせいや』って思ったけど、『オマエラの安全のためにやってあげてるんだ』って言っとったな」
琴間「……つまりラブアパートの中は危険な状況だった。もっとも考えられるのが毒ガスが充満していた、ということです」
芳賀「……ならその毒ガスについて話してみよか」
芳賀「毒ガスの発生元はどこやと思う?
黒須「あの部屋には怪しいものがたくさんあったよね」
竹枡「お風呂、滑り台、回転木馬、鞭、磔台……ほんと色々怪しいよねー」
瀬戸「よく覚えてるっすね竹枡チャン」
竹枡「それはいざ使うってなったときのために……って言わせないでよー」
琴間「それに賛成です!」『磔台』→『ペットボトルと括りつけられたスマホ』
琴間「磔台の下に……死角に隠されるようにペットボトルが置かれていました。それにはスマホが括りつけられていて午後11時50分に目覚まし設定されてました。ですがマナーモードに設定されていたので、その時間にはアラームはならずに振動するだけだったでしょう。振動で出てしまうかすかな音も、じゅうたんの床に吸収され、また拘束して銃を突きつけるような修羅場なので二人とも気づけなかった。そして、その振動でペットボトルが倒され、中の液体がこぼされ、次第に充満していってのでしょうね」
羽月「ってことは、その仕掛けをした人は、今スマホを持ってないはずだよね!」
堀津「よし、みんなスマホを出すんだ。もちろん、亡くなった者の荷物を受け取った者は、自分のスマホだけじゃなくその者のスマホもだ」
……そう宣言され、ポケットに手を入れると、二つのスマホの感触があった。そうだ、僕は自分のスマホだけでなく、『外部と連絡のつくスマホ』も今持っているんだ。一回目の裁判で『モノクマが部屋にあったものを持ってくる』という展開があっただけに、自室に置いておくと回収されてしまい危険があると思って肌身離さず隠していたんだ。
……いや、これは『持っているはずのものを持っていないか』という確認だ。仮にこの後『全員持っているはずのスマホを持っている』ことになっても、『ではボディーチェックを行うとしよう』という展開にはならないだろう。ここは自分のスマホだけ提出するのが正解だ。と、元々の僕のスマホだけかざすと……先輩方も同じようにかざしていた。
加えて、勝先輩、黒須先輩、芳賀先輩、羽月先輩の四人は両手に一つずつ持っている。芳賀先輩のうちの一つは捜査中に言っていたように瑞倉先輩のもので、勝先輩が持っているのは自分のものと霧生先輩のもの、黒須先輩が持っているのはカディナ先輩のものだろう。……そして、一目先輩に至っては、五つも持っている。これは手岡先輩の一つ、岸和田先輩の二つ、自分の二つ、という振り分けだろうか。
「えっと、私が二つ持ってるのは、福添さんのね。絵を描くときに、芳賀さんが福添さんの荷物を受け取った岸和田さんから借りたんだけど、芳賀さんが三つも持ち歩くのは大変かな、って思って預かったの」
「僕は元々二台持ちに加えて、釣り師さんのと記者さんの二つちょうど持ってるからね」
と羽月先輩、一目先輩が補足を付け足す。
「しかし、全員が持っているはずのスマホを持っているってことは、犯人は一目と同じように最初から手荷物として二台持ち込んでいた、ということになるな。俺たちはみな、高校生ながら才能を生かしてビジネスにも取り組んでいる者ばかりだから、仕事用とプライベート用として誰が二つ持ち込んでいたとしても不思議ではないが……」
「それだったら、仕事用とプライベート用に分ける必要がない、予備学科志望君は容疑から外れたかな?」
と一目先輩。たしかにこの中だったらスマホを二台持つ必要性が少ないのは僕だろうな。
「なにか持ち主につながる手がかりはなかったのか?」
「いや、それが写真やアプリはもちろん、電話帳や通話履歴すらも全くなかったです」
「……それもそうか。トリックの都合上、必ず現場に残るようなものから足が付くようなヘマはさすがにしないか。……それでは別の角度から追ってみるとしよう」
堀津「では、視点を変えてその毒ガスの出どころから考えてみよう」
黒須「えっと、やっぱり薬品棚が怪しいよね」
瀬戸「それが……リストが破られてたんすよ」
黒須「えっ、リストを破るのって、校則で禁止されてる設備や備品の破壊に当たらないの?」
モノクマ「そりゃあ、オマエラが勝手に作ったリストだから備品には当たらないよ」
勝「それじゃあ持っていかれたものがあったとしてもわからない?」
琴間「それは違います!」『持っていかれたものがあったとしてもわからない』→『瑞倉先輩のスマホ』
琴間「前の学級裁判でも見せたと思いますが、瑞倉先輩、リストを写真にとってたんですよ。だからそれの持ち主である芳賀先輩がそれと見比べてくれてたんです。そうですよね?」
芳賀「ああ。それと比較してみたら、案の定、『モノクマポイズンA』っていうのがなくなっとった」
黒須「モノクマポイズンA? 前の事件に名前があがったやつ……確かモノモノチッソクンとは違うの?」
芳賀「ああ、名前は似とるが全然違うで。待ってな……『密閉状態だと液体だが大気に触れると常温で気化、数十分曝されると酩酊などの前兆が起き、その時点で危険水域。その後高濃度酸素吸入などの適切な処置がなされなければ、死に至る。水を加えると無毒になる。変色あり』やって」
堀津「それでは状況的に見てもそれが使われたと見てよさそうだな」
琴間「それは違います!」『竹枡先輩の証言』→『それが使われた』
琴間「いえ、そのモノクマポイズンAは繊維に触れると緑色に変色するらしいんです。そうですよね竹枡先輩」
竹枡「うん。捜査中に芳賀さんからモノクマポイズンAがなくなってるって聞いて、ちょっと気になったから試してみたんだー」
瀬戸「竹枡チャン……そんな危険なことを」
竹枡「瀬戸くん! 心配してくれてありがとう! でも換気扇のあるメイクルームで安全を確保してやったから大丈夫だったよ!」
琴間「ですが磔台の下のじゅうたんにそのような痕跡はなかった。つまりここで使われた毒ガスはモノクマポイズンAではなかったのです。」
堀津「では、他の物か。薬品棚からは他になくなっていないとなると、日常で使うようなものになるだろうな」
黒須「日常で使うようなものか。思いつくのは洗剤かなあ? 『まぜるな危険』って書かれている奴を混ぜちゃうと、毒ガスが発生するけど……」
琴間「それは違います!」『寮内の洗剤』→『洗剤』
琴間「いえ。『まぜるな危険』と表記されている洗剤で混ぜてはいけないのは塩素系ガスが発生する酸素系洗剤と塩素系洗剤です。ですが、この寮内にある洗剤は全て酸素系洗剤でした。厨房にあるものも、倉庫にあるものもです」
黒須「それじゃあこの線もなしか」
堀津「しかし、薬品棚でも日常品でもないとなると……」
皆一様に頭を抱えてしまう。……他の角度から考えてみようとしても、スマホからたどり着けずに毒ガスに焦点を当てて考えてみよう、ということになったのだ。なのにその毒ガスでも行き詰まるとなるとお手上げだ。
そもそも、岸和田先輩も、毒ガスを発生させた人物も、なんでこんなことをしたんだ?……その動機が分からない。昨日モノクマが配布した動機も、大した問題にならないようなものだったじゃないか。
……いや、岸和田先輩はその配布された動機に関して、嘘をついた。他にも嘘をついている人物がいるかもしれない。
……嘘をつけた人物がいるのか? ランダムに配られた秘密、そしてその秘密の持ち主当人に見せて、許可をとって公開する形になったのに?
……いや、岸和田先輩の他にも、一人だけいる。
いるのだが、……まさか