ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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7レ中:クィムガン

 クィムガン発生のエリアメール。それは、周辺住民への避難の合図と共に近傍にいる対応可能なトレイナーに対する招集の意を持つ。いくら合宿中、競技中とはいえ、JRNに所属するトレイナーがそれを無視していい訳がない。

 ただ、流石にここにいる120のトレイナーが全員で押し寄せたらそれはそれで大変である。なので人数をある程度絞って対応に向かうことになった。

 取り急ぎ第一弾として選ばれたのは、各ユニットから今日の種目に参加しないことが確定している24人。僕達はJRNの保有する路線バス、ゴールドリボンシティハイブリッドに乗り込んで合宿所を後にし、現場へと急行した。

 

「ユニットをバラけさせて対応して、上手くいくんですかい?」

「必要なほどアカン奴だと解ったら、どっちにせよ残りの人達も来るでしょ」

 

 現場へと向かうGRCHの中では、そんな声が聞こえる。

 当たり前だけど、わざわざJRNの本部を経由して出動要請が出るようなクィムガンは、相当ヤバい一握りのものだけだ。そういうクィムガンに対応できるようにやっているからユニットでの連携が必要になるのであって、そうでない大半のクィムガンはきちんと各派閥のを扱えるトレイナーが揃いさえすればその場の提携でなんとかなるし、そもそも色付きのシールドを出せないような低レベルなら単独でもどうにかなる。僕も過去にどうにかした。

 なので、この段階で24人も送り込んでいるのは実際のところ若干過剰気味だ。前に南多摩で練習してるときに是政で発生したときは、そこまで強いクィムガンでもなかったのに新小平から近いのもあって非番のJRNのトレイナーが30人くらい集まったこともあったけど、正直オーバーキルを通り越して逆にやりにくいくらいだった。

 ただ、今回の懸念といえば……。

 

「これだけいるのに、バランスはわたしだけか……」

 

 GRCHの中でそれぞれのできることやスタイルの共有をしていてわかったこと。それは、24人のトレイナーの派閥がわりと偏ってしまっているところだ。一番多いサイクロなんか10人もいるのに、バランスは1人しかいない。競技の特性上、暇な人を取りあえず突っ込んだ偏りが生じてしまうのは仕方がないといえばそこまでであるが……。

 ただ、どうせ第二弾で派遣されてくるのは今やっている()()()の参加者なのでバランスが多めになるだろう。だから、最悪それまで持ち堪えればいいし、なんならトランジットである程度どうにかしたり、あるいは現地に来てくださった野良の方も考えればそこまで懸念すべきことではないかもしれないけど。

 

 まぁ。でも。

 身も蓋もないことを言ってしまえば、このクィムガンがそこまで驚異ではなく、僕達が到着するよりも前に対応が終わってしまっているのが理想ではある。

 だけど、現実はそんなに甘くなかったようで。

 

 僕達がその現場である公会堂前交差点の近くにたどり着いたとき、そこで視界に入ったのは脱線して横倒しになっている路面電車と、ラッチを張ることすらできずに囲むように対応している現地のトレイナーやノリモン、そして暴れているクィムガンだった。そのシールドは既に色づいていて、残念ながらそれなりの力があることが読み取れてしまう。

 

「まずはラッチを張れるように。路面電車かあのクィムガンを最低限交差点外へ移動させたいけど……。取り敢えず前行って既に集まってる人達に話聞いてくるね。皆さん、無線はつけておいて」

 

 中泉さんは、トレイニングして状況確認を兼ねて最前線へと路面電車の軌道を駆けていった。

 しばらくして、情報を得られたのか無線が飛んでくる。

 

『こちらドラコパレイユより各局へ。念の為、一旦全員がトレイニングをしておいてほしい。カンケルサイクロとウルサロケット、キミ達は遠くからの攻撃の準備を。ぼく等JRNに気を引かせる』

『カンケルサイクロ、承知』

「ウルサロケットより、承知」

 

 5色の光が僕達を包み、僕を23のトレイナーがトレイニングをする。僕はそのまま力を溜めて、打つ態勢に入った。

 カンケルサイクロが僕の隣にたって、他の21人は僕達の後ろで走り出せる準備を終えている。

 

『ドラコパレイユより、発射を許可』

「さぁ、始めようか。《サンダーゲート》!」

「《桜銀河》」

 

 クィムガンに桜色の光が伸び、雷が落ちる。それと同時に円陣を組むように取り囲んでいた現地のトレイナー達のうち、僕達のいる方の道路へと通づる場所にいる人達が道を開けるように両の道路脇へとずれた。

 ギ、ギ、ギ。そのクィムガンは、ゆっくりと旋回し、こちらを向く。

 

『こちらドラコパレイユ、公会堂前交差点でラッチを張る準備はできてる。一旦そちらへ向かわせるから、路面電車の搬出が終わり次第交差点に戻す』

 

 クィムガンは4足になってこちらへと動き出した。僕とカンケルサイクロも攻撃を一度止めて、先頭を前衛に譲って集団の中に紛れ込む。

 

『このクィムガンの攻撃方法は……』

 

 中泉さんから、地元の方よりもたらされた情報が無線で入る。どうやらなかなかめんどくさい攻撃をしてくる上に、シールドの外側に壁を作って攻撃を防御してくるようで、こちらも非常にめんどくさい匂いしかしない。

 だけれど、やるしかないのだ。僕達は、ノリモントレイナーなのだから。

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