ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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更新開いてしまいましたが生きています


14レ後:心象風景

「おい山根」

「なんでしょう」

「やっぱり、()()()()()()()()んじゃないのか?」

「いや、本当に何もなかったですよ? 送り返してもらっただけですって。そもそも、どこでもないゾーンで気がついた段階ではトレイニングは解けてましたし」

 

 僕の感覚で言えば、たぶん技を生みだしたのはそこじゃない、と思う。自分でもその感覚をあんまり信用できない気がしてきたけど……。

 

「莫迦野郎、お前が何かをしたんじゃない、お前が何かをされた方だ。その会ったノリモンにだよ」

「えっ……? たぶん? 特に、何も? されて、ない……と、思います?」

「その微妙な間は何だ」

 

 しょうがないじゃんここんところ色々情報量が多いんだから。

 そう悩んでいると、佐倉さんが口を挟んだ。

 

「成岩。それは、聞くだけ無駄」

「はぁ? どういうことだよ」

「相手は超次元に干渉できる。私達が普通に認知できない外側から、影響を与えられる。まさに今でさえ」

 

 そして、電話口の向こうからも佐倉さんの論の補足が飛んでくる。

 

『そうじゃよ。現に多くのノリモンやトレイナーは、超次元からウェヌスの力を得ておるが、その力が他人に与えられておるのを認識できんじゃろ?』

「だが博士、本人は気づけてる」

『それはの、自ら意図して力を得ようとして得たものじゃからじゃよ。そうでなく、押し付けられるものに関しては……ノリモンはともかく、トレイナーに知覚しろというのは余りにも酷じゃ』

 

 逆にノリモンはできるのか。

 いや、でもそうか、そういえば彼らはモヤイを出してトレイナーを見定めしているし、それを僕達は認識できていないんだった。

 うん、これって……。

 

「成岩さん、僕達、傲慢だったのかもしれません」

「……何がだ?」

「考えれば原因がわかるということを、前提条件として話を進めてたじゃないですか。でもこうやって考えたら原因の特定なんて無理ですよ。だって、僕達には認識すらできない次元の話ですから」

「そう、かもしれねえな……」

 

 無理なものは永らく考ていても無理なのだ。気付けない、手がかりすらない答えにたどり着ける訳などない。

 

『のう、ところで何の話をしとるんじゃ君達』

「あ、この話しようとして連絡しようとしてたんだった。簡潔に言えば、山根が出処不明の技を何故か使いこなしてた」

『ふむ。事例自体は無いわけではないが……』

「あるんですか!?」

 

 やっぱり持つべきものは有識者へのコネだ。これに勝るものはなかなかない。

 

『参考になるか否かは保証はできんぞ』

「聞かせて頂けますか」

 

 そして電話口から告げられた内容は、僕の想像を遥かに超えるものだった。

 

『そもそもじゃ、技というのはウェヌスからの力を受けてこの次元内に()()()()()()()()()()ものなのじゃ』

「ずいぶんふんわりとしてますね」

『詳しいことはまだわかっとらんゆえ。兎に角、これがウェヌスに由来するというのが重要じゃ。前にも話したと思うのじゃが、トレイナーはトレイニングしたノリモンを経てウェヌスに繋がる。じゃが、そのノリモンのモヤイの放出の方向によってはウェヌスと直接繋がる大きなモヤイと途中で交わってしまうことが起きうるのじゃ。するとその点を通じて短絡し、ノリモンを介さず直接ウェヌスからトレイナーへと情報が流れうる。この状況においてのみ、トレイナーがノリモンより先に技を知覚しうるとされているのじゃよ』

「情報が電気だとすると、モヤイは導体」

 

 わかりやすいように、軽く佐倉さんが補足を入れてくれた。なんだかわかるようなわからないような。とりあえず、特殊な状況下においてのみそれが起きうるということはわかった。

 だとしたら、なぜあのタイミングで……?

 

「……あの、その状態ってどれくらい珍しいものなのかってのはわかります?」

『正直に言えば、分からん。そもそも、その状態であるかどうかを確かめる術すら我々にはない。ただ、事象が起きればそうであるだろうと言われておるだけじゃ。もしかしたら常にそうであり、我々の定説が誤っているのやもしれぬ』

 

 あぁ、なるほど。

 でも、それって……。

 

「あの、鳥満博士」

『何じゃい』

「要するに、まだわかってないってことのように聞こえているのですが……」

『そうじゃよ。言ったじゃろう、()()()()()()()()()()()()()()()と』

 

 それってそういう意味なの……。

 でも、これでスッキリした。専門家でもわからないことが僕達にわかる訳がない

 そう納得していると、急に真横から奇声が聞こえた。

 

「いいややっぱ納得できねえー!」

「どうした成岩」

「いやな、今の説明でよ、山根が《クンネナイ》を使えるようになった理由がわからない事はわかった。これはいい。だけどよ、じゃあなんで使いこなせてたんだよ、初回から」

 

 ……確かに、そこは謎なまんまだ。

 そう頭を抱えたところで、電話口の向こうからまた解説が飛んでくる。

 

『モヤイを経て心象風景が伝達される事例は数多く報告されておる。それでビジョンがみえたのではないのかね』

「んな事俺は一度も無かったが?」

『じゃが彼の場合、当該ノリモンとトレイニングする以前からその事例が報告されておるよ』

「そんなことありましたっけ?」

「山根、チッキの時」

 

 そういやそうじゃん、思いっきりあった。

 いや、トレイニングするより遥かに前の話だから脳内で除外していたけれど、確かにモヤイから映像が送られてきたんだった。

 

「で、どうなんだ山根。見えたのか?」

「たぶん、似たようなものだと」

 

 厳密には見えてきた訳じゃなくて、たぶん気づかないうちに送り付けられてインストールされていたって言った方が正しいような気もするけれど。

 いかんせん、無意識のうちに全部終わっていたので確証が持てない。

 

「ならいいんだ」

「成岩は、こういうとこ拘るから厄介」

「悪いかよ」

「全然。でも、巻き込まれたくはない」

 

 その後戻ってからの検査の日程を詰めてから、僕はようやく解放されたのだった。

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