ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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16レ後:第18種目・サバイバルクイズ

 サバイバルクイズ。この種目も前日のビーチフラッグスと同じように、最後の1人になるまで終わらない種目である。

 しかも1回のレース毎に必ず1人がドロップアウトするビーチフラッグスと違って、こちらはクイズに全員が正答したり、あるいは逆に全員が間違えたりすればそのクイズは結果に対して全く意味のないものとなってしまう。ゆえに、いつまでかかるかが全く予想できない種目なのだ。

 

 この種目で出されるクイズは全て○×クイズだ。ユニットメンバーが()()()()()()相談して答えを出し、各々独立で指定された○または×のエリアに入って答えの発表を待つ。その繰り返しである。

 そしてそれらのエリアの目の前、待機ゾーンに僕と佐倉さん、早乙女さんの3人で入ってからしばらくすると、競技が始まって放送がかかった。

 

『ではまず第1問。五元神のうち、常に帽をしているのはSans Pareal神のみである』

「Cycloped様では」

 

 佐倉さんがすぐにそう口に出した。

 そうなのか? そもそも五元神なんて絵画や像でしか見ることがないからあまり参考にはならないかもしれないけれど、帽子の五元神といえばあの特徴的な帽子を被っているSans Pareal神のイメージが強い。

 言われてそれを思い出してみれば、確かにCycloped神も帽子を被ってはいる。だけど、こっちはやや鍔の広いだけの普通のハット帽なのでいまいち印象が薄い。

 

「確かにSans Pareal神はときおり脱帽している姿が描かれているものもあるが、逆に脱帽しているCycloped神が描かれているものは見たことがない」

「でしょ」

 

 僕には教養がないのでよくわからないけれど、2人が言うにはそうらしい。というわけで3人で×のエリアへと踏み込む。全体としてはだいたい20人弱が○を選んで――そして敢え無くリタイアとなっていった。

 ただ、その次の問題からはほぼ全員が同じ選択肢のエリアに入り、リタイアは殆どでないものが続く。たまに思い出したかのようになって10人弱が落ちるクイズもあったけれど、それ以外はかなり残存率が高い。

 これは長くなるぞ。そう感じていた中で、急にそれまでとは一味異なるものが出る。

 

『ウェヌス現象が初めて確認されたのは、博多発名古屋行きの寝台特急「金星」号の車内である』

「たしかウェヌスってその列車名から取って名付けられたんですよね」

「そう。金星は、ラテン語でウェヌス」

 

 なら○じゃないのか。そう思ったところで、早乙女さんが待ったをかけた。

 

「だが、ウェヌスが初めて確認されたときは、『明星』号も走っていた」

「明星は、金星の異名……」

 

 なんで同じモチーフの寝台特急が複数も走ってたんだ。しかも早乙女さんによると、彼はそのウェヌス現象の始まりたる車のノリモンと話をしたことがあったらしいのだけれど、その車は金星と明星のどちらも担当していた車だったのだとか。

 つまり、ますますわからない。

 

 結局この問題、シンキングタイムの中で僕達の答えもまとまらず、リスク分散で佐倉さんと僕が○、早乙女さんが×へと進むことになった。

 他のユニットもなかなかに答えがまとまらない様子で、全体としても○×がほぼ半分に割れた形だ。

 

 そして答えは×。つまり、僕と佐倉さんはリタイアになった。

 ちなみに×の理由は『ウェヌス現象が確認されたのは確かに博多発名古屋行きの寝台特急金星号ではあるが、それが起きたのは列車の外であり、車内ではない』だった。全然違うじゃん。

 つまり、ウルサ・ユニットは早乙女さんの懸念した明星号は全く関係ないのにその懸念だけでギリギリ首の皮一枚繋がったということになる。

 

「確かに、車内ならわざわざウェヌス現象に頼る必要、ない」

「……それもそうですね」

 

 車内なら普通にトレイニングは維持できるのだから、わざわざウェヌス現象を発見する手がかりにすらならない。冷静に考えたら、あたりまえのことだ。これはこの種目が○×クイズだからこそ助かった、とでも言うべきだろう。

 

 その後、早乙女さんは孤軍奮闘したけれど最後までは残ることはできず――彼が間違えたのは、過去にJRNに在籍していた、今はデザイナーをしているノリモンに関する問題だった――に、途中でおしまいになってしまった。あの人の交友関係広いはずなのに、意外な問題を落としてくんだな……。

 

「すまない、間違えた」

「謝らなくても、先にリタイアしたのは僕達ですし」

「山根の言う通り。リーダーは1人でがんばった」

「君達が間違えた問題は私も本質的には間違えていたのだが……」

 

 早乙女さんはそう苦笑いをしながら答えた。

 

 それから他の残った人達がクイズに答え続けるのを見ているだけだ。まだ知らないことのクイズも結構あって、役立ちそうな内容もいくつかあったのでけっこう見ているだけでも面白い。最初の方でけっこうリタイアが多かったから早めに終わるかとも思ったけれど、残り5人になってから20問くらい残る全員が正答し続けたので、終わるまでにはかなり時間がかかっていたけれども。

 これで全20の種目のうち18種目が終わり、ここまで短いようで長かった夏合宿もいよいよ終わりが見えてきた。

 最後まで、気を抜かずに頑張ろう。

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