ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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3レ前:遅すぎた最速、スーパーブライト

「《クヌガノシンキロウ》!」

「くっ、《ハイブリッド・アクセラレーション》!」

 

 成岩さんは攻撃を後ろに下がって躱し、そして追撃を《特別通過》で避けると、その緑に赤のストライプのノリモンにオオカリベを振り下ろした。

 

「俺達の、勝ちだ」

「どーやらこのユニットが恐ろしく強くなってるっつー噂は本当だったみたいだなー」

「へえ、そっちまで噂が広がってんのか、スーパーブライト号」

 

 今日は本部から派遣されたノリモンとの実戦形式での演習だった。

 そして今、それはオオカリベがブライトさんのシールドを割ったことにより僕達の勝ちに終わった。

 成岩さんがラッチを開けに行く間に、先にシールドを割られていた僕達はラッチコアに戻る。

 

「お手合わせ、感謝するよ」

「別にそれほどでもー。これも仕事だし、そもそも俺ぁー今は暇を持て余してるんだ。()()()()()()()()()で」

 

 ブライトさんは早乙女さんの言葉にそう返した。

 ……そう、彼は僕と同じ購買部に所属している、ノリモンである。まさかこんな形で久しぶりに顔を合わせるとは思いもしていなかったけど。

 

「なんだ、山根君の知り合いだったのか。うちはこの後は昼休みだから、話でもしていったらどうだい」

「えっ」

「おや、いいのかい? それじゃー彼は借りてくよ」

「あの、僕の意志は」

「嫌ならいいけど」

「嫌ではないですが……」

「じゃあ借りてくわ」

 

 いや、一応形だけでもいいから確認くらいはしてからにしてもらえませんかね……。

 そんな思いも裏腹に、皆は昼休みにと散り散りになってしまった。

 

「すまんなー、時間取らせて。予定あるなら帰っていいぞー」

「いや、せっかくなので少し話でもしましょう。早乙女さんの提案に乗ったってことは、そっちから何かあるんでしょ」

「いや特になーんもないけどな。相変わらず店長にゃー連絡つかんし……」

 

 ブライトさんはそう頭を抱える。店長がバックヤードの部屋以外で捕まらないのは相変わらずのようだ。

 

「そーいや、お前戻ってくるのか? ユニットに入ってるってことはもう終わってるんだろ、研修」

「4月には終わったので戻ろうとしたんですよ。それで行ったら、ね?」

「あー、3末の異動退職に合わせて工事入りしたからなー。そりゃータイミングが悪かった」

「そもそも再開っていつなんですかね」

「知らねー。この前もヤッちゃんとは一般公開には間に合わせて来るだろーって話はしてたけど、店長の考えてることは分かんねーからな」

 

 いや、まだブライトさんにも知らされてすらないんかい。なんで彼が店長やってるんだ? ここまで放置されると……うん、根本的な疑問が出てきたぞ。

 

「ブライトさんは何してたんですか、この半年」

「里帰りしたり、旧い知り合いに会いに行ったりするついでに旅行とか、後は昔やってたスポーツにふらーっと顔だしたりだな。けどそればっかなのも飽きてきてー、こっち戻ったら模擬戦の募集かかっててな」

「だから珍しく今日仕事してたんですね……」

「どーいう意味だオイ」

 

 文字通りだけど?

 ブライトさんは仕事を始めるとペースに乗ってかなりの実力を発揮する。だけど、その一方でかなりの面倒くさがり屋で、よっぽどやる気のある時以外はそもそもあんまり自発的に仕事をしようとしない。言えばやってくれるけど……。

 なので一緒にシフトに入ったときは結構、まぁ、その……。体はともかく心が疲れやすい、というのが正直な感想だったのだ。

 

「まーいーか。そーいうお前はどーしてたんだ、この半年?」

「僕はユニットの先輩のラボにインターン行ってましたね。厳密には今もインターン中なんですが、海外出張行っちゃったんでそこのノリモン預かって面倒見てます」

「今そこにいるのがそーなのか?」

 

 ほへ?

 彼女なら成岩さんと一緒に……って。

 振り返れば、ポラリスがこちらに飛びかかろうとしていた

 

「まだいたの!?」

「ポラリスもお話しようと思ってたんだもん」

「悪ぃーな嬢ちゃん、山根君をとっちまって。おじさんはスーパーブライト、彼とはまー同じ場所で働いてた仲間でね」

「……ポラリスです。真也はポラリスと初めてトレイニングしてくれたトレイナーなの」

「そーか。そりゃ嬢ちゃんにとって大事な人だ。俺は元気そーなこと確認できたからもう用は済んだし、君に返すよ」

「だから勝手に人の所有権を設定して取引しないでもらえますかね……」

 

 僕を半ば無視して挨拶し、握手を交わすふたり。なんだろう、言っても無駄な気がしてきた。たぶん本当に無駄なんだろう。

 クイクイと、ポラリスが僕の袖を引っ張った。抵抗すると生地が伸びるどころか破断するので、僕は従わざるを得ないのだ。

 

「じゃ、ポラリス()は行くね!」

「わかったから、引っ張らないで。ブライトさん、ヤチさんとかにも僕は元気だって伝えといて下さい」

「……おう。伝えとく」

 

 僕はポラリスに引っ張られるがまま、ポラリスと握手していた手を見つめるブライトさんを置いて演習場から去った。

 


 

「あの嬢ちゃん……ポラリスっていったっけ? やるじゃーないか」

 

 演習場にひとり残されたスーパーブライトは、そう後輩の連れてきていたノリモンを思い出しながら呟いた。

 

「あんな幼く見える子なのに、いきなり握手で自元(アイゲン)領域(ゾーン)を見せてくるなんて、面白いねー」

 

 ノリモンはウェヌスとの間でモヤイという超次元的な繋がりを持つ。一部のノリモンは、そのモヤイの中にそれぞれが存在的に内包する、自元領域と呼ばれる有限の広さの空間を持つのだ。

 

「しかも、あの光景……北斗七星(グランシャリオ)。それって、そーいうことでしょ? ちょいっと調べてみよーかな。彼女が()()()()()()()()()()()()()()の遺した夢の結晶、かの幻の特急じゃーないかってね」

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