ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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3レ後:本格化する高速化、ナマラシロイヤ

「シルバーに、青と萌黄色。同じ色だねー、あの嬢ちゃんは」

 

 スーパーブライトは、図書室で数多くある蔵書の中、1冊の雑誌から探し当てた画像を見ながらそう呟いた。

 

(でも、これだけじゃ決定的な証拠とは言えない。後は証拠になりそーなのは……)

「《()()()()()()・アクセラレーション》かなー。同じユニットの人のラボにインターンしてたってことは、関係があるよーな気はしなくもないんだけど」

 

 その技が使われたとき、成岩の周りに漂っていたのは青い光、つまりノーヴルだ。

 スーパーブライトは、ノーヴルにコネを持っていないわけではない。だがしかし、彼はあまりそれらを積極的に使いたいとは考えていなかった。

 

(まーコダマ号に聞ーてもわかるかどーか。そもそも、答えてくれる訳もなさそーだしな)

 

 そう思い、雑誌を閉じて書庫に戻そうと立ち上がったとき。彼を呼び止める者がいた。

 

「その車に興味をお持ちですか、ブライト先輩」

「……誰かと思えば、ロイヤかー。まー、ちょっとした興味だね」

「私は、いくつかの情報を保有しています」

 

 スーパーブライトに話しかけたブラックとシルバーのゴシック・ドレスに身を包んだノリモンは、名をナマラシロイヤという。数年前に運命的なものを感じた彼に勧誘されてJRNの門を叩き、この度ノーヴルに所属することになったノリモンである。

 

「いくつか、ねぇ」

 

 スーパーブライトは怪訝な顔を浮かべる。そこでナマラシロイヤは、持っている情報の一部を開示して興味を惹くことにした。

 

「イエス。私が車でした頃、ラストランを終えて工場へ回送されましたまさにその時、ちょうどこの車が解体されておりました。そして私はそのすぐ後を追ってノリモンに成ったのです」

「わかった、場所を移そーか」

 

 そしてスーパーブライトは食いついた。ナマラシロイヤの持つ情報の中に、()()()()()()があると判断したのだ。

 

「単刀直入に聞こーか。その車は、ノリモンに成っているのか」

 

 場所を移した先で、早速スーパーブライトは切り出した。だがその問にナマラシロイヤは答えない。彼女からも彼はまた、尊敬すべき先輩の一人であることは間違い無いのであるが、その一方で彼が切り込んできていることは一部の者しか知り得ぬ機密情報の一つでもあったからだ。

 

「確認。雑誌を読んでいたということは、かの車が生まれてから解体されるまでの経緯を把握されているはずです。それでも聞くということから、先輩も何かしらの情報を持っているものと推測」

「うんうん、情報の交換かー、わかるよ。でもなロイヤ」

 

 スーパーブライトはニヤリと笑う。

 

「そこで明確に否定しないことが、答え合わせになっている」

 

 しまった。ナマラシロイヤはそう思った。自分の反応はその主張を認めているものだと後から気がついても、もう遅かった。彼女の取りうる選択肢は、黙秘しか残されていなかった。

 そしてそれを、スーパーブライトも察知していた。

 

「成っているんだな、その車は。ノリモンに。黙秘は肯定とみなすぞー」

 

 最早ナマラシロイヤに選択肢は残っていない。それはただ一つ、スーパーブライトを()()()()に引きずり込むこと。

 

「約束。あの日あの場に居合わせた全員で結んだ約束。先輩にもしていただきます」

「おー。何だ」

「保護者の代理たるイノベイテック号。彼または本人の判断するその時まで、本人が顔を見せていない者に対しその存在を決して告げぬこと。逆に顔を見せた者に対しては、極力その車の話をしないこと。それが、あの場で交わされた約束です」

「つまり、ノリモンと車が結びつかないよーに、と?」

 

 ナマラシロイヤは静かに頷いた。

 なぜそんなことをするのか。その言葉がスーパーブライトの喉を通ろうとして……彼は思いとどまった。思い出したからだ。その車が落成した時のかの大地の、かの鉄道を取り巻く状況を。

 そして意趣返しに、スーパーブライトは決定的な情報を開示するのだった。

 

「そうか。ポラリスはそういう車だったもんねー」

 

 その言葉に、ナマラシロイヤの表情が少し強張る。それを見たスーパーブライトは、内心ニヤリと微笑んだ。これでより情報を引き出す土壌が揃った、と。

 

「やはりご存知でしたか。ポーラーエクリプス号を。どなたが先輩に漏らし……」

「今日の午前に直接会った。彼女とな。そして握手したその瞬間にこの俺を自元(アイゲン)領域(ゾーン)に引きずり込みやがった。そのおかげで嬢ちゃんがかの幻の特急じゃないかって疑えた訳だ」

 

 そして遮ったその言葉に、ナマラシロイヤは驚愕を抑えきれなかった。この時点でこの場の支配権は、完全にスーパーブライトへと移ったのだ。情報を持つスーパーブライトと持たざるナマラシロイヤの形に。

 

「会っ、た? 彼女はイノベイテック号に引き取られ、保護されているものと記憶しています」

「俺はそのイノベイテックっつーノリモンは詳しくは知らない。だが、嬢ちゃんが間違いなくここJRNにいるのは確かだ」

「彼女は今どこに。詳細を所望したく」

「落ち着けロイヤ。顔を見た方が安心できるっつーなら、取引を進めよーじゃないか」

 

 かくして、スーパーブライトはポーラーエクリプスの情報を得たのであった。

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