ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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8レ中:大いなる新計画、ジュゥンブライド

「派閥の揃った5人組。……もしかしてJRNの方ですか」

 

 成岩さんに呼ばれてラッチコアに行くなり、そこにいたその不思議な雰囲気を纏う真っ黒なタキシードに身を包んだノリモンは、僕達を見定めてそう言った。

 

「あぁ、その通りだが」

「それはそれは。おっと、名のり遅れたね。俺はジュゥンブライド、見てわかる通りバランスのノリモンさ」

「君がやったのか、これは」

「うーん、ちょっと違うな。まぁ、もうすぐはじまるだろうから見てな」

 

 そう言うとジュゥンブライトはクィムガンを指さした。

 

「待てやジュゥンブライド号。仲間を全員集めたらもう1名の居場所を教えてくれるんじゃなかったのか」

「そんなに焦るなって。すぐわかるから」

 

 ドクン。

 

 その言葉を聞いたとき、何かを感じた。彼の指差す、クィムガンの方から。

 そしてその方を見れば、薄っすらとまとっていた赤い光が少しずつ、じんわりと強くなっているのが確認できた。

 

「何が始まってるの?」

「これ、まるで……」

 

 ピキリ。クィムガンの表面にひびが入って、そこから眩しい赤色光が漏れ出ている。

 

「各位、念の為警戒を」

「「「「承知」」」」

 

 光はどんどん強くなり、表面はクィムガンの表面を割って呑み込む。そのまま少しの時間が経てば、ついに全ての肌が見えなくなると……今度は逆に、急激にしぼんだのだった。

 そして、しぼむとともに体積に反比例してさらに光が強くなる。それはもう、直視できないほどに。

 嗅覚聴覚を研ぎ澄ませ、目を瞑る。音もなく、ただ光だけがそこにあって……そして、まぶた越しの光が弱まったのを確認してから目を開いた。

 

 弱まった光の発光源は、いつの間にやら人型をしていて……最終的には、ひとりのノリモンだけがそこに遺されていた。

 そのノリモンは光が収まると、ふらりと倒れかけて……そこに、ジュゥンブライドさんが飛び込んで受け止める。

 

「あちゃー、気絶しちゃったか」

「終わった……のか?」

「あぁ。ここにはもうクィムガンはいない。いるのは君たち5人のトレイナーと、僕とこの子の2人のノリモンだけさ」

 

 ジュゥンブライトさんはそう言いながらその気絶していたノリモンを背負う。すやすやと、穏やかな寝息を立てているようにもみえた。

 確かに、念の為あたりを見回しても他の存在はラチ内に見当たらない。

 

「どうやらそのようだな。ならば佐倉君、ラッチを……佐倉君?」

「……ん、いや、なんでもない。開けてくる」

「出場したら、本部への連絡も頼むよ」

 

 佐倉さんは何かを考える素振りを見せながらも、ラッチを開けに向かった。

 

「さて、君達も真ん中の方へ。そうしないと開けられん」

「そうなのか。ラッチの中に入るのは初めてだから何もかもが新鮮だ」

「確かに、トレイナーと深く接しない限りはノリモンがここに入ることは普通はないからな。後で神奈川県警には強く言っておこう」

「ははは。あいつらマジしょーもないしな。でも、貴重な経験にはなったよ。危なかったけど」

 

 そんな話を交えながらラッチコアに辿り着く。まだ佐倉さんは出場していないようで、成岩さんが出たらすぐ開けていいと無線を飛ばしていた。

 

「ジュゥンブライド号。1つ、こちらからも参考までに聞いておきたいのだが。最後のクィムガンがああなったのは君がやったのではない、と言っていたが。それはつまり、今君の背中で寝ている子がそうしたという認識で誤りはないだろうか」

 

 早乙女さんは、ジュゥンブライドさんの背中のノリモンを指してそう確認すると、彼からは肯定の答えが戻ってきていた。

 

「俺は暴走したクィムガンのシールドを叩いて割る直前まで持っていくだけで精一杯だった。あとは全て、この子がやったことだ」

「そうだったか。ご協力感謝すると、伝えておいてほしい。私達はこの子が目覚めるまでこの現場に居られはしないだろうから」

「わかった、伝言承るぜ。JRNの……」

「早乙女だ」

 

 そのやりとりの直後に、ラッチコアの周りに光の壁がそびえ立ち、エキステーションと切り離される。ラッチが開く合図だ。

 

「入れられた時はめっちゃ焦ってたからよく見えなかったけど、こんな感じなんだな」

 

 そしてこの光景を目を輝かせて見るジュゥンブライドさん。僕達からすれば当たり前の光景も、彼からすればそうではないんだ。彼の目にはかなり新鮮なものに映っているのだろう。

 それから少しの浮遊感を経てラッチが開かれれば、早乙女さんが警察官の方へとすぐにすっ飛んでいった。アレは相当頭にきているとみえる。

 

「……わかりました。至急戻ります。……あれ、リーダーは」

「警察官の説教しにいったぞ」

「山根、呼んできて」

「えっ僕がですか?」

「至急戻るようにって指示だから」

 

 えー……。あの見たこともないほど怒ってる早乙女さんのとこに突っ込みたくないんだけど。

 まぁ、これも仕事か。

 

「ふたりともノリモンだったから大事には至らなかっただけで、これが普通の人間を巻き込んでみなさい、最悪の場合が発生するまで短ければ1分もかかることは」

「早乙女さん、上から速やかな帰還命令です」

「ない……と、そうか、ありがとう、山根君。……後でJRNより県警本部を経由して通達が行くので、そのつもりでいるように」

 

 意外にも、早乙女さんは僕が要件を伝えればすぐに怒るのをやめて言葉を切り、震える警察官を置いて皆のもとへと戻った。

 

「おかしいなぁ、ラッチ張るときに見えたのは片方は間違いなく人間だったはずなんだけどなぁ……」

 

 そうつぶやいた警察官の言葉は、早乙女さんを追って戻る僕の耳には入らなかった。

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