ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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17レ後:幻の特急、ポーラーエクリプス

「つっかれたー!」

 

 ポラリスはそう言うと、突然倒れるように僕によりかかってきた。

 まあ実際疲れているんだと思う。何せただでさえこの山岳コースを全力で走り抜けていたのに、その後報道陣複数社からの質問攻め、そして表彰式の後にもう一度の質問攻めである。しかも前情報が皆無だった前回と違って今回は向こうもきちんとポラリスに合わせた質問をいくつも用意してくるわけで。

 結果、質疑応答はかなり長引いた。正直やりすぎというか、少しはポラリスに休む時間を与えてやってほしい。僕が強引に止めなかったら今でもまだ取材という名の質問攻めが続いていたと思う。

 

「でも、楽しかったし、何より嬉しい」

「嬉しいの?」

「うん! みーんな、ポラリスの事をもっと知りたいってことでしょ?」

 

 ……強いな、ポラリスは。

 ふと、報道関係者との間で交わしたやり取りを思い出す。

 

『ポラリスね、もうお客さんを乗せて走ることはできないじゃん?』

『そうですね』

『だからね、これからはポラリスの事を応援してくれるみんなの想いを乗せて走ろうって決めたんだ! ポラリスの事をよろしくね!』

 

 ポラリスはどこまでもまっすぐな笑顔だった。

 でもそれがきっと、ポラリスの本心なんだと思う。ベーテクさんが大事に大事に守ろうとしていたのも事実だし、それはポラリスの為を思っていたというのもわかる。だけど、そこから飛び出した今のポラリスの笑顔は、ベーテクさんの下で保護されていた時のものとはまた違う輝きを放っているように見えた。

 

「ねぇポラリス。ベーテクさんがポラリスを守ろうとしてたこと、どう思ってる?」

「別に、嫌だったとは思ってないよ。お兄ちゃんはポラリスをそうするのが、ポラリスにとっても良かったんだって思ってたのは、お兄ちゃんがポラリスの事を真面目に考えてくれてたからだってポラリスわかってるもん」

 

 ああ。きっと、ベーテクさんや、そして僕が、いや【キラメキヒロバ】のみんなが思っていたのよりもずっと。ポラリスは、強い子だ。

 ベーテクさんにこれを伝えたら、彼はきっと喜ぶだろうな。そんなことが頭をよぎった。そして、これからも彼女の力になろうとも。

 

 それから僕たちは運転を再開した有馬線に乗り込み、谷上で乗り換えて帰路に就いた。新神戸の駅では、新開地の方に同席していたロイヤさんと合流すると、新幹線に乗り込んで横一列に席へと掛ける。

 

「1着、おめでとうございます」

「ありがとー、ロイヤ」

「これで貴女も今期のG(グループ)5のステイタスを獲得……一人前の、ランナーです」

 

 ランナーは成績によってステイタスというランク付けがされる。上のステイタスを得るためには、レースで好成績を残してSP(ステイタスポイント)を得るしかない。

 そして上級のステイタスを得られれば、出られるレースの幅も少しだけ広がる。現状、国内で行われるレースの大半は登録さえしていれば条件を問わないオープン競争だ。だけどポラリスが次に出ようとしている武蔵野線24時間耐久がG5以上を出走要件としているように、制限のかけられているリミテッド競争も少ないながらに存在するし、海外では少なくはないのだ。

 まあ、実際は多くのランナーは無ステイタスかG5で、G4ですら狭き門、G3ともなれば一般的にはエリートだ。そんなわけだから、G2以上を要件とするレースなんてのは世界を見回しても片手で数えるほどしか存在しない。

 まぁ、でも。ポラリスならそこまで上り詰めてしまいそうな気もするけれど。

 

「まずは、私と一緒にG3を目指しましょう」

「うん! でも、同じレースを走るときもポラリスは本気だよ!」

「そのときは、こちらも」

 

 そうしてフィスト・バンプをするふたりを横目に、僕たちを乗せた電車は東京へと時速285kmで走ってゆくのだった。

 


 

【鵯越HC】ポーラーエクリプス、衝撃のデビューラン

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11/23(火) 12:34 配信

               

 

 

 

 

後ろを置き去りにして独走するポーラーエクリプス号(記者撮影)

 

◆鵯越ヒルクライム(14M10C、23日)

 

 初めての出走にして混合レースたる鉄道の日記念メガループ(115M、10月11日)を制したポーラーエクリプスのプロデビューランとして注目を集めていた今年の鵯越HC。そのポーラーエクリプスが序盤から飛び出して、そのままぶっ千切って2位ヘミストレージまで1マイル半以上の差を開けた圧倒のレコードVを遂げた。同レースで100チェーン以上の大差がつくのは半数が脱落したシナノグリーン以来6年ぶり。

 

 ポーラーエクリプスは1番線4号車3扉からの発走、序盤から大逃げに出て勢いよく鵯越の峠を駆け上ると、後続を一切寄せ付けずに北鈴蘭台を4分33秒1で通過。箕谷に向かう下り勾配に身を任せてさらに勢いをつけ驚異的なスピードでコーナーを抜けた。

 

 そのまま勢いに任せて首位を独走し焦る素振りもなく有馬温泉に入線。10分を大きく下回る9分46秒8の驚異的なコースレコードを記録し、華やかなデビューを飾った。

 

 ポーラーエクリプスの次走予定は変わらず武蔵野線24時間耐久(∞、12月27日)でのネオトウカイザーとの再戦。勾配曲線蔓延る中短距離レースでも見せつけたその実力は、果たして耐久レースでも通用するのか。

 

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連載:帝王が語る今週のレールレース

 




【TIPS:SPとステイタス】
・SPはレース結果によって1位には10、2位には5、3位には3、4位には2、5位には1のSPが与えられる。
・デビューランの月から翌年前月を1期として、各期末にSPは失効する。
・SPを1獲得すればG5、30でG4、50でG3、80でG2、100でG1のステイタスが与えられる。
・獲得したステイタスは、獲得日からその翌期の期末まで有効である。
・通算2回のG1獲得または1回の獲得かつ50勝以上で半永久的なSGステイタスが与えられる。
・SGランナーは保有するSPにかかわらず、常にG3以上のステイタスが保証される。
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