ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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7レ中:封じられし宝玉、ココマ

 それから善は急げということで、新しく結成された臨時ユニットでは早速模擬戦を執り行うことになった。

 その相手として名乗り出たココマは独り演習場に待機している。

 

「あの3ユニットには私が迷惑をかけてしまった。償いをしないと」

 

 ココマははじまりのクィムガン、ルースの落し子そのものであったノリモンである。それゆえいくら自我を失って暴走していた時の話と言えど、7()()()()()()()()()超次元の彼方へと飛ばしてしまったことに大きな罪悪感を感じていた。

 もちろん被害の大きさで言えば、ルースの落し子が最初に発生したときのものの方が大きい。だがしかし、今の彼女には当時の記憶はなく、もう片方の片割れの記憶の方が強く残されているがゆえ、その片割れと親交の深い顔ぶれを飛ばしてしまった事の方に強く罪悪感を感じているのだ。そして、その片割れを伏せて騙してしまっていることも。

 

「今、私にできることをやらないと。それが償いになるんだから」

 

 間もなくして、演習場に5人がやってきた。みな、ココマの記憶にある顔だ。そのうちの1人を見て、なるほど彼を呼んだのかと彼女は納得した。

 

「どうも、ココマと申します。本日はどうぞよろしく」

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

 ラッチが張られ、それに呼応するようにココマはシールドを張った。それに5色の色が染まっていることは、彼女に自分自身がもうノリモンであることを強く意識させる行為の1つだった。彼女はもう、人間ではないのだ。

 そんなココマの心情も知らず、臨時ユニットのトレイナー達は意外にも落ち着いた様子でトレイニングをしココマの方を見ている。そしてラチ外からシールドを張った最後の1人が到着して、模擬戦は幕を開けた。

 

 まずは佐倉空が飛び出して、ココマの動きを封じんと《アークティック・ホワイト》を繰り出す。だがしかし、ココマはその攻撃の特性を十分に理解していた。その技の数少ない弱点をも。

 そして、ココマはそれを突きに動いた。

 

「こんなもの、《エアーコンディション》」

「対策された、初見で!?」

 

 ココマは心の中で謝りながらその氷を溶かし、佐倉を吹き飛ばした。だが次の瞬間、入れかわるようにその佐倉の時間稼ぎの間に準備を終えていた紀勢佐奈、そして高山各務が前に出てきて、彼らによる攻撃がココマに襲い掛かる。

 もちろん、それらの攻撃もココマは知っていた。ゆえに、対策しようとしたのだが。

 

「《安全鉄則 先ず止まれ》。そして《銀桜花》」

「……! 体が」

 

 トランジットを終え動きを止める技の準備の整った北澤百合により、ココマはクリティカルなタイミングで対策を阻害され、2人の攻撃をもろに受けることになった。これで黄色と赤のシールドが削れて……。

 そう思って、残りのシールドを確認したココマは気がついた。青のシールドがもうほとんど残っていないことに。

 

「いつの間に……!?」

「おっ、今更気がついたのか?」

 

 その攻撃を放っていたのは綾部綾だった。それは、空を舞う不可視の刃。それを彼は最初の佐倉の攻撃の頃から少しずつ、少しずつだが確実にココマに当て続けていたのである。彼女がシールドが削られていることに気がついたころには、もう遅すぎたのだ。

 ココマは記憶をあさり、そのからくりを探る。その中には心当たりが1つ。

 

「この技は、コダマ号の……! わかっていたら対策が」

「相手の攻撃がどんなのかなんて、事前にわかるわけねーじゃん? なら削られ始めた頃に気付けないのが悪い」

「くっ……」

 

 ココマは悔しがって歯ぎしりをした。なぜならば、その綾部の発言は彼女がかつて人間のトレイナーとして活動としていた頃に口酸っぱく言っていたことでもあったからだ。つまり、何も言い返すことができないのである。

 ここでココマは、青色を捨てた。もうほとんど残っていない青のシールドを死守することを諦め、残りの4つの防衛に注力することにしたのだ。

 だが、しかし。綾部は青のシールドを全て削ったあとも、攻撃の手を緩めなかった。むしろ、そこからはわざとココマが見えるような攻撃に転換して彼女に受けていい攻撃と受けてはいけない攻撃の判断を強制し始めたのだ。その間にも佐倉の、紀勢の、高山の、そして北澤の攻撃がココマに入れかわり立ち代わりに雪崩のように襲い掛かっていた。

 

 綾部の攻撃の他にもう1つ、ココマにとっての想定外だったのは、その残る4人の動きが完全にココマの攻撃を封じている事だった。だがしかし、これに関しては至極当然ともいえることだ。なぜならば彼女ら4人はルースの落し子の対応にあたり、そして仲間を失ったトレイナーなのである。ルースの落し子の攻撃がどのようなものかは把握しているし、そもそもS(シールド)バーストさえなければルースの落し子を完封していたような対策をあの場で取れて、そして連携して動くことができていた。それを無意識のうちに強く意識した動きは、もちろんその変化した存在であるココマにも適用しうるものだったのである。

 つまりココマは、唯一ルースの落し子に対面していなかった綾部の攻撃を防げなかった時点で、遅かれ早かれ敗北が確定してしまっていたのだ。

 動きを知っていると言えどもその攻撃を防ぎきることができずに徐々に削られていくシールドに、まだ自らの技の把握すら終わっていない現状では手も足も出ないことをココマが察知して、そしてサレンダーを言い渡すまで時間は長く要さなかった。

 

「私の負けです」

 

 そして、この勝利を以て5人による臨時ユニットは、一定の結束と自信を得たのだった。

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