ノリモントレイナー:輸送の生命   作:だぶるすたぁ

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16レ中:モヤイに繋がって視えたもの

「待ってください。ウェヌスシステムって、一体何です? どうしてそれにアクセスするとトレイニングができるんですか」

「……申し訳ないが、まだパブリッシュしていない情報があるゆえ、全ての質問には答えることはできない。それでも構わぬのなら」

 

 鳥満博士はそう言いながら、新聞に挟まっていた広告紙を数枚、机の上においた。

 

「まずは超次元空間について確認じゃ。どこまで認識しておるかの?」

「僕達が認知できる三次元空間を内包するように、もっと高い次元の空間が存在する、というものですよね?」

「そうじゃ。ノリモンの挙動については三次元空間の物理学だけでは到底説明がつかん。ゆえに、私達は世界がそれに限定されていないことを認めざるを得なかったのじゃよ。そして、ウェヌスシステムはこの三次元の外側に有る情報集積体なのじゃ」

 

 続いて博士は一枚の紙の上方に小形モップを掲げた、曰く、下の紙が僕達の認知している三次元で、このモップがウェヌスシステムのイメージらしい。

 

「ノリモンは生まれるとともに、このウェヌスシステムと超次元の繋がりを持つ。この繋がりをモヤイと呼んでいるのじゃが、トレイニングとは、そのモヤイを通じてトレイナーがウェヌスシステムとの繋がりを持って、そこから力を引き出すことなのじゃ。ゆえに、何もない場合はノリモンの近傍でしかトレイニングはできん」

「そこで、チッキのようなデバイスを通じて繋がりを維持する、という事ですか」

「その通りじゃよ」

 

 なるほど?? 分かるような、分からないような。

 でも、話を聞いて余計に分からなくなったこともある。

 

「……もしかして、このチッキに触れたときに()()()ものって」

「モヤイに繋がって視えたものじゃろうな。オモテのトランジットをしたノリモン、そして同様に同じノリモンと同時にオモテをトレイニングしているトレイナーとの間で相互にテレパスのようなものが使えるようになるメカニズムと同じじゃろう」

「このチッキに()()()()()()()()()()()()()()()()()()のに、ですか?」

 

 そう尋ねると、鳥満博士の顔が強張った。そして液体窒素を撒いたかのように、空気が凍結する。

 

「……そうじゃよな、当然気になることじゃろうな。先程言った通り、ここから先はまだパブリッシュしていない事じゃ。じゃが君は()()()()()()()

「守秘義務の宣誓ならしますよ」

「落ち着きたまえ、その必要はないように準備はしておる。そもそも、チッキは既に繋がったモヤイを繋ぎ止めておくだけのものに過ぎん。ゆえにそのチッキを手にしたとて、それだけではモヤイに繋がる訳がないのじゃ。どちらかといえば、それは()()()()()()()()()()モヤイで、そのチッキによって()()()()()()()()という意志があるのではないかと踏んでおる」

 

 既に繋がっている、モヤイ……?

 ってことは、もう既に僕の手元にチッキのある……。

 

「クシーさんのモヤイ、って事ですか」

「否。クシー号のチッキは別にあるのじゃろう? ()()()()()()()()ノリモンのじゃよ。それも、チッキがどういう用途なのかをきちんと理解しておる」

 

 え、どういうことだろう?

 もしかして、なにか前提を間違って認識している?

 どこだ。何が間違ってるんだ。

 恐る恐る、間違っている可能性のある箇所を聞いてみる。

 

「えっと、繋がっているノリモンというのは、トレイニングのできるノリモンという認識なんですが、もしかして誤っていますか?」

「うむ。モヤイが繋がることはトレイニングの必要条件であるが十分条件ではない、と言えば伝わるかね。繋がることができたとて、その繋がりが貧弱で情報伝達に耐えられないのであればトレイニングは不可能じゃ」

 

 そういうことだったのか。

 つまり、ノリモンはこのモヤイの繋がりで他者に自分の模倣子を受け渡すこともできるってことで、その極地がトレイニングなのだろう。

 ……もしかして。ノリモンからだけトレイニングができるかどうかがわかるのって。

 

「あの、トレイナー側からはその繋がりを認知する術は」

「無い。じゃが、対面すれば半分以上の割合でされていると考えていいじゃろうな。ノリモンは()()()()()()()トレイニングの可否を認知しているのじゃから」

 

 おお? だとすれば、あのイメージを見せたノリモンの候補がぐぐぐっと広がる。事実上、会話をしたノリモンほぼ全てに可能性があると思っても間違いはなさそうだ。

 それはそれで、ものすごく特定しにくいんだけれど。

 

「とはいえど、視えた理由は私の仮説に過ぎん。もう一つだけ考えられるものはあるにはあるのじゃが、結論はほぼ同じな上にパブリッシュ前の論理ゆえまだ伝えることができんのじゃ」

「いえ、その結論を聞けただけでもかなり勉強になりましたし、参考になりました」

「なら良かった。最後に、仮説から繋がる考え故、かなり不正確やもしれぬが伝えておこう。そのイメージを見せたノリモンは、恐らく君とのトレイニングを強く望んでおるじゃろうな」

 

 ……僕とのトレイニングを強く望むノリモン、ねぇ。そうなってくるともうなんか答えが1つに絞られてくるんだけど。

 

「だとしたら、もしかしてポラリス……?」

「ポラリス……北極星か。佐倉から聞いている君の視たイメージにも近い」

 

 あ、ポラリスってそういう意味の単語だったのか。

 ただ、ベーテクさんがポラリスの()()()()()についていつかは僕に伝えなきゃいけないとこの前口走っていたからなぁ。イノベイテック号がベーテクになるんだから、ポラリスは響きだけで近い単語に合わせてきた、そこに意味は無い愛称な気がしている。

 

「それは、ポラリスが愛称に過ぎなくても言えることですか?」

「愛称じゃったか。難しいところじゃな。本来の名前から一部をそのまま抜き出してきた愛称なら間違いは無いとは思うがね」

 

 ……うーん。今度ベーテクさんに名前を聞いてみるかなぁ。

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