パーティの翌朝。今日の午前中の競技は二人三脚で、ウルサから出るのは
……え? なんで二人三脚で半日潰れるのかって? それはこの二人三脚のレースが、車輪の使用や連続した5秒以上の浮遊が禁じられているのに20.1kmもあるからに他ならない。ぶっちゃけこの競技、平均して時速30kmくらいしかスピードが出ないし、遅いところはとことん遅いので、このコースでさえ数時間もの競技時間が用意されているのである。
「それじゃ、行ってくる」
「勝つのは、俺達だ」
僕達は2人を見送って、スタート地点横へと陣取った。陣取るのがそんな場所でいいのかとの疑問があるかもしれないが、各ユニットに残された応援側は普通に車輪を回して追いつくことが簡単にできる。というか、運営側が追いかけての応援を普通に推奨しているくらいだ。
「位置について、ヨーイ、ドン!」
スターターの方がそう宣言すると、全24ユニット、24組48人が同時に走り出す。マススタートだ。
まずハナを切って進むのは、路面を凍結させて疾走と滑走するドラコユニットの2人。早速反則ギリギリの意味不明な走行が出てきたし、後ろを走る人達からすれば路面が部分的に凍っててめちゃくちゃ走りにくそうだ。
というか、抗議の声が思いっきり出ている。
「ジャッジー!」
「これルール上アリなんですか?」
「地面から足は離れていないし、浮いている訳ではないからルール上は
「「「えーっ!」」」
そんな阿鼻叫喚の後方集団を横目に、第二集団に躍り出た走者が5組。その中にはウルサの2人もいた。
「この酷い路面状態でよく走れますね……。凄い」
「よく見なさい、佐倉君の足跡を」
早乙女さんに促されるままに地面を見れば、彼女の足跡は遺された氷にしっかりと
どういうことだ? そう思って少し前方、佐倉さんの足跡を見れば、
……おかげで、それよりも後ろを走る者からすれば路面状態はさらに悪化しているのだけれども。あんなデコボコとしてて凍結した路面、僕は二人三脚じゃなくても走りたくない。視線を戻せば、案の定後方集団では盛大にすっ転んでるし、それに5組くらい巻き込まれてもう見ていられない惨状だ。
「ボケっとしてないで、追いかけようよ!」
「あ、うん、今行く」
北澤さんに誘われるまま、その惨状から逃げるように僕は2人を追って移動した。一応走者に接近さえしなければコース内を追いかけても良いことにはなっているけれど、こんなクソ路面を走りたくは当然ないのでコース外のオフロードを駆け抜ける。後で走行妨害取られてほしい。
ただ、あの単独で先頭を暴走するドラコのスピードは異常に速く、おそらく速度が3ケタに乗っているくらい。第二集団の平均速度の倍をゆうに超えている。
そして、今の季節は夏だ。足元路面の氷なんてそう長くは持たず、暫くすると第二集団が通る頃には路面がビショビショに濡れているだけになっていた。それはそれで走りにくいんだろうけど。
「1、2! 1、2!」
歩調を合わせるための掛け声が聞こえる。第二集団の中で、ウルサは前から2番め、この集団の中での先頭、サギッタリウスの2人の真後ろにピタリとつけて進んでいる。成岩さんが虎視眈々と前を狙うタイミングを見計らうのと同時に、佐倉さんは後ろにプレッシャーをかけているのか、後ろが抜き出そうとした瞬間にそれはできないんだぞと少しだけ前へと出る素振りをする。完全な役割分担ができているうえに、お互いの動きを読み慣れているのか、少しの動きがあっても二人三脚が崩れることはない。
「先輩たち、どこでサギッタリウスを抜くんだろうね?」
「さぁ? でも、いつでもできるようには見えますね」
「やっぱり? 2人とも、もっと速いもんね」
成岩さんが仕掛けようとする素振りを見せれば、前のサギッタリウスの2人も少し前めに出ようとする。そして成岩さんは速度を戻す間に、さり気なく佐倉さんも少しだけ迎えに行く形で加速し、サギッタリウスは
そして、その度にサギッタリウスのフォームに
いつでも抜ける。でも、
「僕だったら、路面の水が引くくらい
「アタシもそう思う。となると、時間的にドラコがゴールしてしまうくらいの時間じゃないかな?」
じゃあ、あと少しだな。
そう思いながら、僕達は2人をコース外から追いかけたのだった。
ようやく冬コミ原稿が完成して、明日は製本しなきゃいけないので更新は多分ないです。
ただ、余裕ができたらするかもしれませんが……。