もしもゼオンが魔界でガッシュと会っていたら 作:ちゃんどらー
いつもありがとうございます。
これほどまでに追い詰められたのはいつぶりだったか。
あの時……親友と出会ったあの崖下での一時以来だろう。
いや、きっとあの時よりもひどい。何故なら自分はもう、一歩だって動けないのだから。
身体から滴る血が止まらない。頑強に出来ているはずのこの身体は……自分達よりも弱いと思っていた“人間”という種族によって追い詰められた。
魔界の王を決める戦いの為にこちらに来たのはいいが、自分の恐ろしい見た目は人間を恐怖させるのに十分すぎて、森の中で偶然に姿を目撃されてからずっと人間達に追われていた。
『話を聞いてくれ。私はお前達人間の敵ではないんだ』
『ウソを吐け! そうやって油断させて俺達を取って喰う気なんだろう! お前のような化け物の話など誰が聞くか!』
語り掛けた自分の声は彼らの耳には届いていても、この見た目が与えた恐怖によって信じてなど貰えず。
敵意は、彼らの持つ武器によって自分の身体を貫いた。
初めは数発。次に十数発。
鉛玉を発射しているらしいその武器によって、自分は魔物の術を受けるよりも酷いダメージを負ってしまった。
幸いなことに急所をやられることはなく。しかしながら受けた鉛玉が多すぎた。
どうにか力を振り絞って跳躍して遠くに逃げたはいいものの……もう、身体がいうことを聞いてくれそうにない。
視界が霞む。
―――戦いによって命を落とすのではなく、こんな終わりを迎えるのか、オレは。
ぼんやりとした思考で思ったのはそんなこと。
別に誇りなどは抱いてなかったが、自分のことを勘違いされたままで終わるのは……寂しく感じた。
何故だろうな。
不思議と“人間”という種に対して憎しみはわかないんだ。
死ぬほどの重傷を与えられたっていうのに。
多分、親友に出会ったからだろうな。
親友なら……自分の大切な友のガッシュなら……話を聞いてくれと、最後まで訴え続けただろう。
昔の自分なら間違いなく人間に爪を立てていた。でも、今回はただ逃げた。戦うことが間違いな気がして。
―――オレは、少しはガッシュのようになれたのだろうか。
あの優しくて強い、オレの大切な親友のように。
ふと……オレの身体に違和感を感じた。
ずるり、ずるりと……ゆっくりではあるが勝手に動いていた。
霞んだ視界で必死になってその正体を見る。
そこには小さな……小さな背中があった。
いつのまにか台車に乗せられていたオレは、小さな背中に運ばれていた。
昔に見たことのある、あいつの背中のような、小さいのに大きな背中。
薄れゆく意識の中で、親友と重なるその姿に……オレは何処か安堵と憧憬を覚えていた。
○△○
「ふむ……やはりヨーロッパの国とはだいぶ街並みも違うな」
「東南アジアの気候に合わせた建築がされているからな。歴史も宗教も文化も全く違うから気を付けろ」
ガッシュの様子を確認してから一月が経った頃。漸くヨーロッパの国々をある程度回りきった。
主要都市や大きな街、有名な観光処ばかりではあったが、デュフォーと共にそれぞれの国の文化や風習を見て回る日々は悪くなかった。
イロイロと国々を回ったが、オレ達は一応の主な拠点としてオランダに居を構えることとなった。魔力でのポイントを設置しているため瞬間移動を使えばどの国にも行けるし、デュフォーがこの数か月で蓄えた財によって目立たないところに寝る場所もそれぞれ確保してある。
美味いホットドッグ屋がオランダのとある街にあったのでどうせならとそこを主軸として行動することとした。海に面しているから新鮮な魚も食べられるし、少し肌寒いが人間達の気前もよく、目立った争いなどもなくいい国だ。
そんなこんなでオレ達は鍛錬をしつつヨーロッパを回りきり、デュフォーからの提案でオレ達の目的の為に次の段階へと駒を進めることにしてこの東南アジアの国に来ている。
あの夜に話して決めていたことだ。
オレ達と共にガッシュを護る同志を作ること。
デュフォー曰く、以前に聞いたガッシュの友であるレインにやっとパートナーが出来て状況も落ち着いたらしく、今のタイミングが話をしに行くには一番いいらしい。
オレとしてもガッシュの友に会えるのは楽しみにしていた為、どのような魔物なのかと興味が尽きない。
一応、レインのことは知識として知っている。
動物型の魔物であり、森の付近で農業や狩りなどをしながら慎ましく暮らしている温厚な一族。その中でも突然変異の特殊個体として生まれたレインは、もともとは村で暴れん坊として疎まれていたと聞いている。
後に村を出て暮らしていて、魔界の学校に通いだし、その実力の高さが評価されていた。この魔界の王を決める戦いに参加する魔物たちの中でも実力者の一人として数えられているほどだ。
まさかガッシュと友だったとは思わなかったが……あの夜に聞いた通りならばレインが弟と出会って変わったのは明白。やはりガッシュには他者の心を良い方向に導く何か特殊な才能があるのかもしれない。さすがはオレの弟だ。
レインのパートナーもいい人間ならば嬉しい。金銭面や生活の不便があるのならデュフォーがカバーしてくれるからある程度は自由が利くだろう。
まあ、そういったギブアンドテイクのビジネスな関係でもいいが……出来ればデュフォー自身の凍り付いた心を少しでも解かしてくれる優しい人間なら嬉しいな。この戦いが終わった後に、そういった繋がりは必ず必要になるだろうから。オレとしてもデュフォーのようなすごいヤツには笑顔をたくさん浮かべて生きていって欲しいのだから。
閑話休題。
のんびりと二人して街を歩いているうちに目的の場所に着いた。
場所は海岸。レインのパートナーが住んでいる住居とかに行くのかと思ったが、どうやら今は外出しているらしい。
腰を据えて話し合うのが前提としても、まずはレインとそのパートナーのなりを確認してからというのは悪くない。どんな関係性で日常を過ごしているのかを見れば、二人の心の距離が見れるし交渉にも役立つ。
魔力の放出を極限まで無にしているから、感知型の魔物であってもよほど鋭いヤツでなければ至近距離に行くまで気づかれることはないし、気付かれたらその時はその時。敵意がないことをアピールしつつ話すこととしよう。
歩くこと数分。
車も人も通らなくなった海岸線の森の付近で、デュフォーが立ち止まった。
「どうした?」
「あれだ」
すっと差された指の先、海岸線を走ってきた一匹の魔物が居た。
遠目に見えるその姿は……大人の魔物の中でも大型の部類に入る大きさ。ラジン中将といい勝負かもしれない。
ふさふさの水色の毛に覆われたクマのようで、背中と肩に合わせて四本の角があり、筋骨隆々の体躯は見てくれだけでも分かる強さを表している。
反して、その表情は柔らかい。海岸線を走るレインの表情はまるで子供をあやす父のような微笑みを携えていた。
見た目は強そうだが……そいつは魔力をコントロールして感知しにくくしているらしく、魔力でのヤツの魔物の本質までは計りきれない。
そういったコントロールが出来るという時点で強者なのは間違いない。実力者であることの証左に、オレの口角は自然と吊り上がっていた。
「その顔でレインとそのパートナーに話しかけるなよ、ゼオン」
「む……なぜだ?」
「お前が強者を前にした時の顔は威圧感が強すぎる。それでは警戒心や恐怖を与えてしまってまともな交渉など出来ない。もっと柔らかく笑え」
そんな表情をしているのか、オレは。
デュフォーにそう言われても、オレは自分の笑顔など鏡で見たこともないのだから無理だ。
しかもこいつにそんな指摘をされることに微妙に腹が立つ。
むっとして睨むと、デュフォーは僅かに目を細めた。
「理由があるんだ。レインのパートナーは……多分オレやお前と相性が悪い」
「何……?」
言いながらオレから視線を外したデュフォーはレインの背中に目を向ける。
オレもその方をじっと見ると……レインの背に小さな影があった。
「あれは……子供か?」
「ああ。
『ミ――――――ッ!!!』
デュフォーの言葉の途中、突然その子供が奇妙な叫び声を上げた。
「なんだ?」
「……海岸にウミヘビがうちあがっていたようだ」
「は……? そんなことであんな叫び声を?」
「ああ。あれがオレやお前と相性が悪い理由だ」
言われてまた目を凝らすと、レインがウミヘビを海に放り投げていた。
その間もそのパートナーは震えてレインの毛皮に顔を埋めていた。
「……ビビッている、のか?」
「極度の怖がりなようだな。虫一匹が不意に飛んできても震えて飛び上がる程のビビりらしい」
「あー、なるほど。オレやお前のように、他人に友好的な笑顔があまり得意でないモノが近づくとそれだけで怖がってしまうと、そういうことか」
コクリと頷く。
遠くでレインも盛大なため息を吐いていた。
なんとかあやしているようだが……アレで魔物との戦いなどやっていけるのか?
ただ、遠目に見ていてもレインはそのパートナーの怖がりを気にしていないようだ。
笑いかけるその顔は変わらず優しく、大きな手でそのパートナーの頭を撫でる様子は深い想いがなければ起こりえない光景だろう。パートナーの方も、震えが収まるとレインに笑いかけていた。それはそれはとても優しい笑顔で。
ああ、そうか。だからデュフォーはレインに会いに行く時機を見計らっていたわけか。
パートナーと魔物に絆が出来上がるまで待っていたのだ。
オレ達が初めから干渉していては、その絆に不純物が混ざってしまったことだろう。
レイン達に出来上がっている絆は、まだ拙くともこれから強くなるであろう暖かいモノ。基礎が出来上がってやっとオレ達が関わることを許される、というわけだ。
ふと、隣を見るとデュフォーは少し眩しそうにレインをそのパートナーを見ていた。
「あいつらを見て何を思う、デュフォー」
問いかけてみると、小さく吐息を零した。
「いいな、と思う」
抽象的で漠然とした感想。自然と、オレの口元が綻んだ。目を瞑る。まるでガッシュとそのパートナーのような関係のレイン達二人に、オレの心も暖かくなる。
「ああ。いいな。きっとお前はあの二人を気に入ったんだろう。オレも気に入った。だから……」
欲しい、と思った。
あの二人を傍に置きたい。オレとデュフォーの目的の為に……否、それだけではない。
話してみたい。語り合ってみたい。なぜだろうな。そう思うんだ。こういう気持ちは、オレにとって初めてのことだ。
ガッシュに会った時とは違う。あの優しい笑顔を浮かべ合う二人に、オレの心が動いたんだ。
「行こうか、デュフォー」
無言で頷くデュフォーと共に、オレは砂浜へと足を踏み出した。
○△○
いつもの砂浜で、その大きな魔物―――レインは、パートナーである少年―――カイルと共に遊んでいた。
怖がりなカイルが砂浜で蠢いているウミヘビに腰を抜かしたので宥めていた時のこと。
不意に近づいてくる気配にレインは気づいた。
ゆっくりと歩いてくる二つの人影。僅かに感じる魔力から……彼は自分の敵が来たのだと、瞬時に悟った。
「カイル、オレの後ろに隠れていろ」
「ミッ!?」
大きな腕でカイルを背に隠し、レインはじっとその近づいてくる二人を睨む。
逆光で視えなかったその姿が次第にはっきりとしていく。
明らかになった相手の見た目に、レインは大きく息を呑んだ。
「ガ、ガッシュ……?」
己の親友と瓜二つの見た目をした少年。
―――いや、違う?
光の加減かと思ったが距離が近くなって髪と瞳の色が違うことに気付いた。
自信に溢れた笑みと、威風堂々とした歩き姿。白銀の髪は艶やかに、紫電の眼光は強者の輝きを宿して。
はっきりと違うと分かりレインは警戒を数段引き上げる。
魔力は小さく感じるも己の野性の勘が告げている。相手の秘めている“強さ”は、間違いなく格が違う存在なのだと教えていた。
逃げるべきだと感じた。しかし逃げられるとは思えなかった。
「ほう、読み取るか。さすがは特殊個体。一般の大人の魔物たちよりも勘が鋭いらしい」
幼さの中に高貴さを含んだ声が耳によく響く。
背で震えるカイルを手で包みつつ、レインは目の前の相手から視線を外すことはしない。
その警戒が伝わったらしく、相手は小さく吐息をついて目を瞑った。
一触即発といってもいい状況で視線を切って、レインに向けて敵意はないと伝えたのだった。
「すまないな。そう警戒しないでほしい。王を決める戦いの最中だということは重々承知だが、今回はお前達と争いにきたわけではないんだ」
一寸のちに開かれた紫電の瞳が、真っ直ぐに見つめてきた。其処に害意は見られない。
少しだけ、レインは警戒を緩めた。それでもカイルを護る姿勢と、すぐにでも逃げられる体勢を崩すことはないが。
「まずは自己紹介をしよう。オレはゼオン。こいつはオレのパートナーのデュフォー。先ほども言った通り、オレ達は争いに来たわけではない。安心してほしい」
言いつつ、デュフォーが砂浜へと本を置いた。
本を持っていなければ術は唱えられない。一歩間違えばレインが燃やそうとすら出来るというのに、彼らは敵意がないことを示す為に本を手放した。
驚愕に目を見開くレインを気にせずに、ゼオンは軽く言葉を続けていく。
「まずは……そうだな。レイン、お前に会ったら言いたいことがあったんだ」
ゆっくりと近づいてくるゼオンは無防備そのモノで、レインが腕を振るうことはないと信頼している目をしていて。
すぐそこで立ち止まった彼は、すっと、レインに向けて手を差し出した。
「初めましてだ。我が弟、ガッシュの友よ。あいつの兄として礼を言わせてほしい。弟と友達になってくれてありがとう」
その笑みは、レインにとってよく知っているような、柔らかくて優しい笑みだった。
弟のことを語るゼオンの表情は、溢れるほどの優しい感情に満ちていた。
親友の笑顔とダブって見えて、レインはまた目を見開く。
「ガッシュの……兄?」
「ああ、ガッシュは生き別れの双子の弟だ。オレの本名はゼオン・ベル。魔界の王、ダウワン・ベルの第一子。ガッシュは秘匿され民間に預けられた王族であり、オレの家族だ。あいつとオレのことについては話すと長くなるから何処か腰を落ち着けて話したいところだな」
ウソをついているようには見えない自然な表情と、少しだけ哀しさが浮かぶ瞳の揺らぎ。
数秒見つめた末、レインは漸くゼオンの手をそっと握った。
「……オレはレイン。こっちはパートナーのカイルだ。この子は少し怖がりだから背に隠れているのを許してくれ」
顔を少しだけ覗かせているカイルをちらりと見やったゼオンは、レインに向けてにやりと笑った。
「構わん。オレもデュフォーも育った環境からか優しい顔を作るのが苦手でな。威圧感などを与えてしまうかもしれないから先に謝罪しておこう」
「大丈夫だ。それに……うん、遅れてすまないが、初めましてだ、ゼオン。親友のガッシュには魔界でよくしてもらっていた」
「うむ。この間ガッシュに会った時に少し聞かせて貰った。重ねて言うが、感謝している」
「よしてくれ。感謝するのはこっちなんだ。ガッシュには感謝してもしきれない恩がある」
「そうか。うん……その辺りの話も聞いてみたいところだし、実はこの戦いとガッシュのことでお前に相談したいことがあってこうしてこの国まで来たんだが……どうだ? 茶会でもしながら話さないか?」
「ガッシュのことで相談?」
「王族特有というか我がベル家の厄ネタというか……込み入った事情があるんだ。時間があるなら同席してくれるとありがたい」
手を放して、ゆるりとなされる会話の中での提案。
親友のことと聞いては事情を聴かないわけにはいかない。レインはカイルの様子を伺った。
「カイル、いいか?」
「ミッ!?」
身体にひっついたまま、震えて毛に顔を埋めたカイル。レインは小さくため息を落とした。
「すまない。少し待ってくれ」
背を向けてカイルに顔を近づけて内緒話のように二人は話す。ゼオンには会話は聞こえなかったが、どうやら頷いている様子を見るに茶会には賛同してくれたようだった。
「ではカイルの家で話そうか。其処ならばこの子も少しは落ち着ける―――」
「いや、そこまでしなくてもいい」
唐突に、デュフォーが割って入った。
「ゼオン、いつものピクニックセットとパラソルを使おう」
「ああ。レイン、少し待っていろ」
そういいながら、ゼオンはふっとその場から消えた。
「なっ」
「ミッ!?」
突然消えた彼に、レインとカイルはきょろきょろと辺りを見回すことしか出来ない。
そうして十秒も立たないうちに、ゼオンは大きなパラソルとピクニックセットを持って戻ってきた。
「ああ、言ってないから驚くのも無理はないな。オレは瞬間移動を身に着けているから、魔力でマーキングしてある拠点と自由に行き来出来て、こうして道具を直ぐに持ってこれるんだ。
デュフォーとヨーロッパを旅している時もこうして休憩していたから、この通り……茶会の準備はお手の物だ」
慣れた手つきでパラソルを広げながら語る。
デュフォーも同じく、ゼオンから受け取ったピクニックセットから、シートを広げてティーセットを広げていった。
レインもカイルもその様子に目を丸くして口を開けていた。ゼオン達にとってはいつものことだが、些か彼らにとっては非日常過ぎたのだ。
ぴたりと、デュフォーは洋風のティーセットと共に紛れている和風のモノを手に取って止まった。
「……お前、またカツオブシ持ってきたのか」
「いいだろう別に。オレのおやつはオレの自由だ」
「茶会の雰囲気が壊れるんだが」
「うるさい。食べたいモノを食べるのがオレの茶会だ。お前達の分のお菓子もちゃんと用意してあるんだからいいだろうが」
マントの中からどさりと落ちたクーラーボックスを指さして言うゼオンに、デュフォーは呆れたようにため息をついた。
「レインと共に座るには少し小さいか……」
「あ、気にしなくていい。オレは地面でも」
「バカかお前は。弟の友を地べたに座らせるなんてこと出来るか。待ってろ……」
身体の大きなレインにとって、いつもゼオン達が使っているピクニックセットでは共に座るには小さく。仕方ないとばかりにゼオンはマントを広げてちぎった。
なんでもないことのように、ゼオンとデュフォーはそのちぎったマントに座った。
その様子に、またレインは驚愕を浮かべた。
「新しいシートを買いにいくのも手間だ。ああ、びっくりしたか? 伸縮自在かつ自己修復機能付きの特殊なマントだから気にしないでくれ。オレとデュフォーはこっちでいい。レインとカイルはシートに座ってくれ」
「……なんでもありだな」
促されてふらふらと座ったレインは、ゼオンの多彩な能力の数々への感想を零した。
あぐらをかいたレインの膝の上で、カイルはレインの毛をきゅっと握りながらもゼオンとデュフォーにちゃんと向き合った。
こつり、とゼオンはデュフォーの横腹を肘でつつく。
何がいいたいのかは、
―――人間と話すのはオレの役目、というわけか。
「初めまして、カイル。ゼオンから紹介されたが改めて……オレはデュフォーだ。突然の訪問だが時間を取ってくれて感謝する」
「ミッ! ミミミミミ……」
また飛んで逃げそうになるところを、レインが包み込むようにカイルを両手で抱いた。
せめて少しくらいは挨拶をと、レインなりの気づかいらしい。
デュフォーはそれを見て、“答え”を出した。
僅かにデュフォーの声のトーンと抑揚が変わる。
「大丈夫だ、カイル。ゆっくりでいい。話してくれる気になったらで大丈夫だから、お茶を淹れるからそれを飲みながらにしよう……な?」
カイルと目を
カイルの震えが僅かに収まる。
デュフォーが行っているのは
人間をリラックスさせる効果のあるトーンと抑揚の語りを、風と波の音さえも混ぜ込まれるような自然に心に入ってくる声でもってして。
室内のような切り取られた空間ではなく、自然に溢れた場所の方がヒトの心はゆらぎを感じて落ち着く。それをデュフォーは上手く使ったのだ。
表情の動かないデュフォーが目を合わせないことで、野生的な本能から来る怯えも抑えるようにと意識して。
例え感情があまりあまり籠っていなくとも、デュフォーは出来る限りのフォローをと考えて“答え”を出した。
「ありがとう」
ふっと優しい息をついたレインは、こくこくとデュフォーに向けて頷くカイルの頭を優しく撫でた。
デュフォーもゼオンも、カイルやレインに変に気を使うこともなく。
お茶の準備だけが進められる静かな時間。それは居づらい空間ではなく、何処か穏やかな空気に包まれていた。
見上げると抜けるような青空がよく見えた。
レインとカイルは二人してその空の下、初めての客人との茶会に戸惑いながらも微笑みあった。
読んでいただきありがとうございます。
レイン・カイルとの出会い。
ゼオンくんとデュフォーのどこでもお茶会セット。
お兄ちゃんはガッシュくんの話になるとニッコリ。
此処から数人の魔物達は原作とは違った道筋を辿ることになります。それによって少しずつ変わっていく所があります。
これからも楽しんで読んでいただけると幸いです。
レインが持ってて欲しい術・使って欲しい術は下記のうちどれですか
-
肉体強化系(例ラウザルクなど)
-
部分強化系(例ディガル・クロウなど)
-
アボロディオ以外の衝撃波系
-
種族特有の特殊攻撃系(デモルト等を参照)
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上の項目全部使うところが見たい