もしもゼオンが魔界でガッシュと会っていたら   作:ちゃんどらー

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いつもありがとうございます。


第四十話:入り口での邂逅

 デボロ遺跡の遥か上空。

 ガッシュ達の到着の時刻に合わせて座標へと瞬間移動したゼオンは、遺跡を睨みつけながら腕を組んでいた。

 

 その姿は、万が一のことを想定して“リエム”に化けており、何処からどう見ても少女である。

 

「ピポパパパパ、まさかあの雷帝ゼオンが女装とは……ピピピ」

 

 嘲るように電子音のような声が隣から上がり、彼はビキビキとこめかみに青筋を立てていく。

 

「ピパパパッ、この画像は後々の為に永久保存するピヨ。さあ、これを魔界中にばらまかれたくなかったら私のいう事を――」

 

 小型のロボットのおもちゃのような見た目の魔物が嬉しそうにカシャリと音を立てて写真を保存する。

 魔物自体が持つ特殊能力だろう。機械型の魔物の厄介な能力を思い出したゼオンは、舌打ちを一つして、

 

「おい」

「ピッ」

 

 ガシリと頭を掴んだ。

 だらだらとロボなのに冷や汗を流すその魔物は、これから自分が何を受けるかを理解した。してしまった。

 

 バチバチと掌から上がる白い雷は、術を使わなくても放出されるモノ。

 

 この戦いでの魔物の術は、待機状態で何かしらの魔力を纏うモノもある。

 ゼオンはデュフォーとの訓練によってその待機状態を任意で起こせるようになっており、出力は微々たるものだが雷を纏えるのだ。

 

 そして同時に、彼は雷という現象の何たるかの理解を深めている。

 己の魔力で電子を誘導してやれば……雷の出力を上げることなど容易い。

 術として認識されず、雷の魔物の持つ能力として確立されてしまったゼオンだけの力。

 

「ノォォォォォッ!」

「調子に乗るなよコーラルQ。お前の成すべきことを忘れたか」

 

 出力低めのスタンガンを当てられているような攻撃に涙を流しながら叫ぶコーラルQと呼ばれた魔物。

 先日の戦いを観測していた魔物であり、ゼオンが負かした魔物であった。

 

「ノォォォォォッ! ビッボババババババbbbbbbbbb」

 

 叫んでいるのも構わずにゼオンは雷を緩めない。

 

「“バルギルド”でないだけありがたく思え。デュフォーがお前の有用性に気付いたから魔界へと還していないだけで、本来なら此処にお前は居ないんだぞ」

 

 ふっと雷が止む。

 これ以上はコーラルQの能力に支障を来すと思った故のこと。

 

「オレの写真を撮って強請ることがお前の役割か?」

「ポピピ……写真を撮ることじゃない、です」

 

 紫電が覗き込む。

 

「言え。デュフォーとオレに与えられたお前の役割は?」

「ガッシュとその仲間達の戦いを……中継すること、です」

「ならさっき撮った写真は必要ないな? 消せ」

「パパポペ……ピ」

「よし。オレのこの姿は仕方なくしていることだ。勘違いするな。今後、このことに触れたら……コロス」

 

 物凄い圧力を放って威圧してくるゼオンに、コーラルQはガタガタと震えながら無言で頷く。

 

「では……やれ」

「ピッポッパ……グラブ!」

 

 体内に仕込んでいるらしい通信機で、コーラルQは地上にいるパートナーへと声を送る。

 すぐに変化は起こった。

 術の声は聞こえずとも、コーラルQが突然光出したのだ。

 

 ガキン、ゴキンと二度の変化を経て……途中の変形からは全く別のカタチへと姿を変えた。

 

 クルクルと廻る頭のアンテナ。腹部にモニター。両肩にスピーカー。

 機械型の魔物特有の変形能力にて、コーラルQは遠くの情報をより正確に受信できる姿へと為った。

 元々体内にあるアンテナでずば抜けた感知能力を持っている彼だが、術を使うことによって自分は危険をあまり冒さずに情報を調査できるのだ。

 ゾフィスのような勘の鋭い魔物の感知をも潜り抜けて千年前の魔物達の情報すら集めることに成功していた彼は、まさにデュフォーとゼオンにとってほしい能力を持っていた。

 

 答えを出す者(アンサートーカー)でその能力を知ったデュフォーは、コーラルQを従えることをゼオンに提案した。

 パムーンが敵となり、千年前の魔物の戦力が上がると“答え”が出たことで、デュフォーはガッシュ達のサポートをすることに決めた。

 本来ならばデュフォーも遺跡の外部から見守り、必要ならばブラゴとシェリーに助言しつつ誘導をしてガッシュ達を助けるつもりだったのだが……新たに出た“答え”がそれを許さなかった。

 

 デュフォーが“答え”を出したガッシュ達の戦力は、補助能力を抜きとすれば上から――ロップス、キッド、ガッシュ、ウォンレイ、シュナイダー、キャンチョメ、ティオの順であり、アポロとロップスが居ればブラゴ到着までは大丈夫だと計算されていた。

 しかし先日の戦いで千年前の魔物の能力がどれだけ上がるか判明し、アポロとロップスをデュフォーが直接補助する形が一番ベストだと“答え”が変わった。

 

 王により掛けられた呪いがある限り、ゼオンはガッシュに近付くと術が使えず満足に身体も動かせない。

 何より、呪いによりゼオンが弱ってしまえば……ガッシュの中に眠る“バオウ”がどういった反応をするのか未知数だった。

 

 デュフォーだけならば問題はない。

 ガッシュの成長という面に於いても、行き過ぎたアドバイスをすることもない。

 ツボを圧すことも考えたが、ゾフィスとの決戦前に彼らの“慣れ”を乱すことこそ敗因に繋がることと、“バオウ”の暴走という不確定要素を危険視してやめた。

 

 答えを出す者(アンサートーカー)でも答えの出ない未知数な“バオウ”という特殊なチカラを起こしてしまわないことがゼオン達にとっての最優先事項。

 

 よって、デュフォーに出来ることはあくまでもサポートのみ。

 ゼオンがこの戦いで関わるには、ブラゴが到着してガッシュ達とゾフィスを引き離してからになるだろう。

 どの敵と戦わせるか、どうやって勝たせるか、どうやってブラゴ到着まで時間を分配するか、そしてどうやって……“ゼオンという最強の駒を使う”か。

 

 コーラルQの通信能力は其処で役に立つ。

 遺跡内部の敵の移動、位置把握、戦力の高さまで分かるのだ。戦場の目と耳全てをそろえられる。

 戦いに於いて、情報こそが何よりの宝だ。

 そうしてゼオンがその情報を通信機器でデュフォーへと伝えれば……無理に能力を使い続けなくとも、デュフォーは盤上を操るプレイヤーとなれるのだ。

 

 コーラルQを従えたことで、自分が直接ではなくとも想定していた以上の状態でガッシュを助けられる。

 そのことに、ゼオンの心は少し弾んでいた。

 

「いい術だ。有能だな」

「ピピ……当然だ。コーラルQは偉大なロボットだぞ」

「くく、そうだな」

 

 モニターに映し出されたのは、デュフォーから見た視点。音も拾えている。

 満足げに頷いたゼオンはコーラルQへと語り掛ける。

 

「“ファウード”と“クリア”の捜索が上手くいったならば、お前もオレと来い」

 

 突然の勧誘。

 目をぱちくりさせたコーラルQが紫電を見詰めた。

 有能な補助能力、そしてある程度の戦闘力を持つコーラルQを、ゼオンは引き入れることにしたらしい。

 

「……魔獣レインと雷帝のタッグ、アシュロンとも協定を結んだと言っていたな。“ファウード”と“クリア・ノート”、私でも捕捉していない情報だったが……レインとアシュロンのような大きい戦力を集めているのに、なぜ私が必要なんだ」

「お前の能力が必要だからだ」

「何をバカな……索敵や魔力感知ならばもうすぐ私に追いつくだろうに」

「そんなこと程度じゃない。オレが欲しいと言った。つべこべ言わずにオレと来い」

 

 説得するとか、頼み込むとかではなく、ゼオンはただ自分について来いと語る。

 その目はモニターに映されたガッシュを見ていた。

 

 喜色を浮かべる紫電の眼光は、コーラルQの知らないやさしさを映して。

 だから、魔界の情報を多く知っている彼は、一つの真実に気付く。

 

「ピポポパ……そういうことか」

「お前の術は……いい術だ」

 

 素直にほめられて、コーラルQは悪い気がしない。

 ゼオンのその言葉が、コーラルQの気づきへの答えだった。

 

「“クリア・ノート”については眉唾モノだが、“ファウード”は間違いなく魔界の危機。調べるのには協力してやろう」

「……」

「だが、仲間になるとかそういうのはお断りするピヨ。この戦いは結局残るのは一人。この前は負けたとしても、今はお前に協力していたとしても、私は必ず王になる」

 

 真っ直ぐに伝えてくる。

 

「すぐに本を燃やさなかったことは礼を言うぞ、雷帝。しかし……王になりたい気持ちに、ウソはつけない」

「そうだな……許せ」

「ピッポッパ、構わん。“ファウード”と“クリア・ノート”の調査までは交換条件。それ以外は契約通りに好きにする。ただ……」

 

 言いながら、ジーッとコーラルQの口から一枚の写真が出てくる。

 

 今映っているガッシュの写真。しかも、一番きれいに笑顔が映っているモノだった。

 

「これくらいのサービスは定期的にしてやってもいいピヨ」

 

 写真を受け取り、紫電を輝かせたゼオンはふっと優しい吐息を漏らす。

 

 こういう繋がりもいいかと、立ち位置を決める。

 

 その後はガッシュ達の動向を見ながら時間が進んでいく。

 敵ではあるが、今はそうではない不思議な関係のまま。

 

 

 

「……お前が言っていた変形合体ロボ。魔界に帰ったらできる可能性がある」

「プピッ!? kwsk」

「オレが倒した魔物に一体、物体を思い通りに操る魔物が居て――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○△○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡に辿り着いた清麿たちは、其処でフォルゴレ・キャンチョメペアと再会したことで共に再会の喜びを分かち合っていた。

 

「君がナゾナゾ博士の言っていたキャンチョメとイタリアの英雄、パルコ・フォルゴレだね。初めまして、ボクはアポロ。こっちはボクの相棒のロップスだ」

「よろしく頼む。今回の作戦での拠点提供、感謝するよ。休める場所があるってだけでありがたい」

「よろしくな、アポロ、ロップス。キミ、小さいのにすっごく強いって博士から聞いてるぜ」

「かう~♪」

 

 互いに初対面の為に挨拶を交わすアポロ達。

 共にナゾナゾ博士と関わっているからか面識はなくとも認識の共有は出来ていた。

 

 皆の紹介が終わったところで、フォルゴレの後ろから一人の人物が現れる。

 

 ラフな格好をした気怠そうな青年は、あくびを一つしてから軽く手を上げた。

 その青年の登場に、誰よりも驚いたのはアポロだった。

 

「久しぶりだな、アポロ」

 

 忘れるはずもない。アポロの行く道を変えた人物なのだから。

 驚愕で言葉も発せない彼の状況を理解してか、彼は全員を見回して……キャンチョメへと視線を向ける。

 

「さっき遺跡の入り口で出会ったんだ。心細かったけど面白い話をたくさんして気を紛らわせてくれたんだぜ。アポロは知り合いだったんだね」

「あ、ああ……前に少しね」

 

 人間が一人でゾフィスの拠点に居ることを不自然に感じた清麿は、少しの警戒をもってデュフォーを見ていた。

 その様子からは隙が無い。アポロの知り合いとは言っても、彼はアポロの戸惑った反応から逆に気を引き締めた。

 

 ただ、警戒はすぐに杞憂に変わる。

 

「かうぅ~!」

「……元気そうだな、ロップス」

「かう!」

「強くなったのは見て分かる。頑張っているようで何よりだ」

「かう?」

「残念だがあいつは此処には来ていない。あいつはあいつですることがある」

 

 嬉しそうに手を広げて飛んで行ったロップスが、優しく受け止められ、抱き上げられたのだ。

 よじよじと彼が肘をまげて上げた腕に立り、ふんすと胸を張っている。

 ロップスと自然に会話している彼は、軽く撫でつけたあとでアポロへとロップスを渡して他の者達の方へと向き直った。

 

 彼の纏う空気に、彼の持つ不思議な威圧感に、清麿と恵は少し呑まれる。

 

「オレはデュフォー。アポロ達と以前に戦ったことがある者だ。魔物の方は少し用事があるから此処には来られないが、敵の情報や遺跡の内部構造に関しては他の誰よりも把握している」

 

 デュフォーからの説明に目を見開いた清麿達。アポロは急いで付け足した。

 

「彼のことは信用していいよ。ボクに情報を教えてくれたのも、ボクやナゾナゾ博士、そしてシェリーと一緒に連れ去られた人達の家族のケアを一緒にしているから。というより……ゾフィスの狙いを見極めて真っ先に準備を始めてくれていたのが彼なんだ」

「な……」

「あんたが……」

 

 呆然と、全員が衝撃を受ける。

 アポロはそのまま清麿に語る。

 

「彼がボクとロップスの戦った強い魔物のパートナーだ。悪い魔物じゃないし、彼も悪い人じゃない。そう警戒しなくても大丈夫」

「いや、お前の警戒は正しい」

 

 順を追って説明しようとしたのに対して、デュフォーの方から清麿へと切り込んだ。

 

「敵や遺跡内部の情報を知っているのならスパイの可能性もある。強大な敵との戦いの前から不確定要素に気を付けるのは大切なことだ。誰かが指揮をとらなければならない今の状況だからこそ、お前のようなことができるヤツが居るのは勝利する為に必ず必要だろう」

 

 歩み寄り、視線がはっきりと合わされる。

 

「つまり、お前がこのグループのリーダーだ。お前の決定がこのグループの決定となる。きっとお前の仲間達は信頼を置いている。オレもそれにオレの力を預けよう」

 

 集団には率いるモノが必ず必要で、デュフォーはそれが清麿だと示す。

 うやむやにしたままの有象無象ではなく、一個小隊としての自覚を促したのだ。

 明晰な頭脳からデュフォーの狙いを理解した清麿は、自分との隔絶した状況誘導の力の違いを感じて身震いを一つ。

 

 少しの恐怖を。しかし清麿は呑まれず、一つだけ言葉を返した。

 

「これだけ聞かせてくれ。あんたとパートナーは……どうして俺たちに正体も明かさずに隠れていたんだ?」

 

 きっと誰かが聴いたであろうことを。

 先手を打って仕掛けたその心は、一番初めのど真ん中ストレート。清麿の真っ直ぐさが出ている問い。

 

 サポートしてくれていたのは知っていて、せめてとお礼に写真を送っていた。

 情報を出してくれない相手に不信感を抱くのは無理もない。清麿とガッシュは手伝ってくれていることに感謝でいっぱいだったが、他のモノがどうかは分からない。

 その相手が急に出てきたのだから、この質問はしなければならないモノ。

 

 悩む……ことなくデュフォーは短く語った。

 すっと手に持った端末を表示しつつ、耳に着けていたイヤホンを取りながら。

 

 イヤホンからは何やら喚く声のようなモノが流れていたが、デュフォーは無視して清麿へと端末を見せた。

 

「強いチカラを持つと厄介事も多いしゾフィスの他にも敵は居る。そのせいであまり姿を知られたくないんだ。だが……この前の写真の礼だ。お前とその子にだけ見せてやる。あと、オレのパートナーは少し照れ屋なのもある」

「っ!」

 

 のぞき見したアポロがどうにか噴き出すのを堪えて顔を背け、ずるいと不足を示すティオ達を置いて。

 清麿と横に居たガッシュは端末を覗き込んだ。

 

 透き通るような肌。艶やかな黒髪と怪しさを宿す翡翠の瞳。怒った横顔。急いで隠そうとして失敗している手。

 愛らしい少女の魔物が其処に居る。

 

 清麿は何処か見知ったような顔とは思ったが、それを違和感と思わせないようにデュフォーは写真をすぐにしまい込む。

 

「ウヌゥ、おぬしとその子がわたし達を手伝ってくれていたのだな!」

「そうだ」

「名前はなんというのだ? ちゃんと名前を呼んでお礼をしたくてのぅ」

 

 ガッシュからの問いに、デュフォーは初めて悩んだ。

 

 このやり取りが通信されていることをデュフォーは知っている。

 この問いへの答えで誰かさんが傷つくことも理解していた。

 

 

 泣きそうな顔で見ているんだろう。

 今にも飛んできたいと思っているんだろう。

 本当は自分で伝えたいと思っているはずだ。

 偽りの名など、絶対に呼ばれたくない相手だろうから。

 

 

 故に。

 

 

「あいつは気位も高いから、オレ達二人とお前達が会した時に初めて名乗るだろう。その時に、直接呼んで……その心を伝えるといい、“ガッシュ”」

 

 優しい、優しい声音だった。

 デュフォーの口から出た音に、清麿も戸惑う程。

 

 こてんと首を捻ったガッシュは、デュフォーの顔を見て、

 

「……おぬし……わたしと何処かであったことがあるか?」

 

 その心のままに、疑問を投げた。

 いきなりの不意打ちでも、デュフォーは動じず。

 もしかしたらと考えていたパターンの一つだったから、彼はガッシュへと答えを返した。

 

「いいや、“初めまして”だ」

 

 ふいと、デュフォーの心に風が吹き抜ける。

 別に大丈夫だろうと思っていたのに。

 存外、自分で放ったその言葉に、デュフォー自身も寂しさが吹き抜けてしまった。

 想定していない心の動き。ガッシュの頭を撫でそうになる手を押さえつけて、その手を清麿へと差し出し視線を移す。

 

「今回オレのパートナーは“最も厄介なモノ”への対処の為に参戦出来ないが、オレが必ずお前達の力になると約束しよう」

 

 清麿はじっとデュフォーの目を見た。

 透き通って、純粋な目だった。

 悪意など欠片もなく、無機質に思えるも奥にあるのは確かな決意の炎。

 

 デュフォーは謎の人物だが、そういえばナゾナゾ博士も大概だったなと思い直す。 

 

「疑ってすまなかった、デュフォー。よろしく頼む。アポロからのメールで知ってると思うけどオレは高嶺清麿。こいつはパートナーのガッシュ」

「よろしくなのだ! デュフォー!」

 

 清麿の警戒は完全に消えた。助けてくれていた相手で、心強い味方を得たのだと胸を弾ませる。 

 

「よろしく……清麿、ガッシュ」

 

 握られた手。信頼を込めてデュフォーも握り返す。

 

 唐突に、清麿とデュフォーの結ばれた手を、満面の笑みを浮かべたガッシュの両手が包み込んだ。

 

 本来であれば繋がれなかった手と手が、此処に繋がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠くの上空で紫電の雷光が光った気もしたし、

 ポケットに突っ込んだイヤホンからは血の涙を流しているような絶叫が聞こえた気がした。

 

 追い打ちをかけるように、デュフォーはアポロに言ってガッシュと清麿との写真を撮ってそれをとある端末へと送信したのだった。

 

 

 せめて、自分のこんなからかいで、彼の哀しい気持ちが少しでも紛れるようにと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「直接は手伝えないんじゃなかったのかい?」

「事情が変わった」

「清麿達には?」

「言えない」

「ボク達には?」

「言えない」

「……で、何をさせたいのかな?」

 

 アポロは、しょうがないなと肩を竦めた。

 

「その都度に言うが……あいつのことがバレないようにだけは徹底して頼む」

「うん。分かった。女装までしてるもんね」

「お前……笑ったのもこの会話もあいつは聞いてるぞ」

「!」

「……後で覚えておけよ、とのことだ」

「あー……あはは」

「とりあえず、直近の課題はお前とロップスに対処して貰わなければならない魔物、ビクト――」

 




読んで頂きありがとうございます。

コーラルQの登場。
ザグルゼムのことも知ってたので、戦いの映像も見れる術とか能力があったのではないかということでこんな感じに。

デュフォーくんが戦闘のオペレーターになります。
映像と音声をリアルタイムできるのはいいことだけれども、ゼオンくんの精神がマッハでやばいという罠。

次はエントランスでの戦闘から。

これからも楽しんで読んで頂けたら幸いです。

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