もしもゼオンが魔界でガッシュと会っていたら   作:ちゃんどらー

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遅くなって申し訳ありません。



第四十三話:先を行く背

 

 高嶺清麿という人間にとって、これまでの魔界の王を決める戦いは苦難の連続であったと言える。

 出会って来た敵は全て強敵だった。氷の魔物も、樹木を操る魔物も、素早い魔物も大地を操る魔物も……。

 その中でも、飛び抜けて強いと思ったのは二体。

 

 重力を操る「ブラゴ」。そして戦闘になったが奇跡的に“見逃してもらえた”「バリー」。この二体である。

 

 ブラゴとはしっかりと戦ったわけではない。しかし感じた強さはバリーと戦ったことによって理解した。今まで出会った中でバリーとブラゴだけが別格だと感じたのだ。

 

 故にこの遺跡に入りデュフォーから説明を受けて焦りと不安を大きくした。

 あの時、彼はこう考えた。

 

――バリーやブラゴみたいなのが、五体も居る。

 

 ガッシュと清麿にとって、バリーという魔物との戦闘は苦い思い出だ。

 自分達の信念を貫き通して戦ったはいいが、結果は完膚なきまでの敗北ただ一つ。術は当たれども大して効果はなく、パートナーの人間はバリーを成長させることのみに意識を割いて戦っていた。

 切迫した戦いではなく、片手間の試合。

 自分達の実力が明確に低いと理解させられた一戦であった。

 

 その後、千年前の魔物の襲撃によって現在があるわけだが、ガッシュの地道な努力を陰ながら知っている上で清麿は大きく疑問に感じていることがある。

 

“仲間の魔物達と数体集まったとして、そのレベルと真正面から戦ってもいいのだろうか”と。

 

 操られて理不尽にさらされている人間が居るから助けたい。ガッシュの想いも、自分の想いも同じだ。

 しかし冷静な頭脳は皮肉なことに、敵との実力差を冷ややかに計算して答えを出してしまう。

 

――ティオとキャンチョメ、そしてロップスとガッシュが力を合わせればきっと倒すことは出来る。いや、倒してみせる。

 

 清麿は誰よりも冷静でなければならない。

 

――だけど……深手を負わず、誰も失わずに勝利するとなると遺跡内部の地図や魔物の配置から考えると残された時間は……

 

 しかし彼は、冷酷になることは出来なかった。

 

――絶対に……全員で今日を生き残る。

 

 心に決めて、清麿は敵を見据えた。

 

 デュフォーから知らされた大きな情報の通りだというのなら、目の前の愉快な魔物は強敵なのだ。

 

 まずは敵の動きを見てから――そう考えて、ポンと肩に置かれた手によって思考が途切れた。

 

「緊張してるかい?」

「あ……アポロ……」

 

 いつの間にかテラスの入り口から近寄ってきていたアポロが清麿に声を掛けつつ微笑んでいた。

 同時、ロップスはゆるりと飛び立ってデュフォーの肩の上へ飛んで行った。

 

「ふふっ、ボクもだよ。あいつはどうやら強いみたいだからね」

「……分かるのか?」

「ああ。今までに出会った中でも大きな力を感じる」

「やっぱりか」

 

 アポロの不思議な力でも感じるならと、清麿は眉根を寄せる。

 小さく吐息を吐いたアポロが不思議そうに言葉を投げた。

 

「少し焦ってるのかな? キミらしくないね」

「どういうことだ?」

 

 意外な言葉に聞き返すと、くっと彼は視線の先をVの魔物ではなく、人間の方へと向けた。

 

「おかしいとは思わないか? あいつを見て」

「あいつを……?」

 

 奇抜なファッションをした人間。額に数字の一を描いた世紀末の暴徒のような男。

 明らかに見た目からおかし過ぎるのだが……アポロが言いたいのはそういうことではない。彼がこんな所でそんなことを言うわけがないとは清麿とて分かっている。

 

「かーっ。相棒よぉ、お相手さんはちっとばかしビビっちまってるらしい」

「ほぉう? やはりこの私の華麗さにやられちまったと?」

「そりゃそうだ。なんたってあんたは……」

「「華麗なる……ビクトリーム!!!」」

 

 沈黙していた空間に耐えきれなくなったのかその人間はVの魔物へと小粋な言葉を投げて楽し気に笑っている。Vの魔物もそれに乗り気で返していた。

 

――人間も魔物も何から何までおかしいが……え……あっ

 

 少しだけ、思考が晴れた。

 魔物ばかりに気を向けていた。それこそが間違いだったと彼は気付いた。

 

 驚愕に目を見開いた清麿はアポロへと顔を向けると、ニッコリと笑みを返してきた。

 

「あ、あんた!」

「あん?」

 

 急ぎ、大きく声を張った清麿はVの魔物……ではなく、モヒカンの人間へと言葉を投げた。

 

「さっきからその魔物と喋ってるけど意識があるのか!?」

 

 その一言に、ガッシュやティオもキャンチョメも、恵もフォルゴレも表情を変えた。

 

 楽し気に魔物と喋っている人間。

 そう、明らかに他の千年前の魔物のパートナーと違い、彼だけは自然体で声を出して動いている。間違いなく自意識があって自立した思考をもっているのならば、意識があることに他ならない。

 

 一瞬きょとんとしたモヒカン・エースと呼ばれていた人間が……ニィッと口を歪めた次の瞬間――本が大きく光った。

 

「マグルガァ!!!!」

「っ!!」

 

 唐突に放たれた攻撃は、清麿達の質問と同時にゆらりと動いていたデュフォーとその肩に乗っているロップスを狙われて放たれる。

 まるで来ることが分かっていたように避けた彼らではあったが……まだ敵の攻撃は続いていた。

 敵の術は、心の力の放出を続けている限り途切れないタイプの術。そのまま敵の魔物が方向を変えたことで、清麿達の方へと攻撃が向かった。

 

「くっ!」

 

 ヴィィィィィと異様な音を立てて壁を抉っていくビームをそれぞれがどうにか散らばりながら避ける。

 アポロと共に避けた清麿は、転がりながら体制を整えてモヒカン・エースへと向き直った。一度立て直すことにしたのか、デュフォーはフォルゴレと恵の方へと合流した。

 

「あの兄ちゃん、不意打ちでも避けるかぁ。リズムが合わねぇな」

「なかなかに骨のある相手ということか。私の名乗りを邪魔する無粋な輩のクセにな! ベリィィィィィィシィットゥ!!」

「ハッハ!! 他のやつらにしても肩慣らしには丁度いいってことかぁ! んでぇ……?」

 

 会話を終え、コキコキと首をストレッチしながら清麿へと向き直ったモヒカン・エース。

 

「意識はあるのか、だったよなぁ?」

 

 ぐっぐっと屈伸をして、肩を伸ばす動きを続けて、最後にぐるんと肩を一つ回してから……胸ポケットから取り出した櫛でモヒカンを整えながら笑う。

 

「ああ。あるぜ。ちゃぁんとオレはオレを意識してる。こいつは華麗で素敵でクールな相棒ビクトリーム。そんでオレは、モヒカン・エース!」

 

 斜めに決める脚、ビシリと前へと突き出した腕。親指とから中指までの三つを清麿へ向けたそのポーズに、いつの間にかビクトリームもポーズを合わせていた。

 いちいち行動の主張が激しい敵に、突っ込みたくなる衝動を抑えつつ清麿は質問を再び投げる。

 

「じゃああんたは、他の人間達と違って心を操られていないんだな!?」

「ああ、そうだ。オレはオレ。ハートが疼くままに此処にいる」

 

 胸に立てた親指。にやりと笑う顔。しかし悪意のようなモノはあまり見えなかった。

 

「な、なんで――」

「“なんで他の人間達を助けないのか”“なんで悪人に手を貸しているのか”“なんでこの戦いに参加しようとしてるのか”……だろ?」

「っ!!」

 

 言葉を遮ったモヒカン・エースは、清麿の疑問に思う所の三つを先取りして紡ぐ。

 

「シキブのように人の心情と文脈を読むのが得意か」

 

 ぽつりと零したビクトリームの言葉を拾ったのはデュフォーだけ。意識が清麿へと向かっているその間に、彼は恵とフォルゴレへとそっとナニカを手渡した。

 

「ご先祖様にはありがとうだな。ま、兄ちゃん。オレは別に答えてもいいんだけど、ロードの野郎とめんどくさい取り決めをしてるんでな……」

「一つだけ……聞かせてくれっ、あんたは、操られている人達を見て何も思わなかったのか!?」

 

 何か制約を課せられているのか、人質か、はたまた他の何かか。モヒカン・エースの言葉に予測を幾つも立てながら清麿は一番聞きたいことを尋ねた。

 そんな彼に、少しだけ目を瞑ったモヒカン・エースは……楽し気に笑った。

 

「そりゃぁ思うぜ。アルベールのヤツがレイラみたいにノリよくダンスしてくれるのはいつになるんだってな」

「アルベール……? レイラ……?」

「ふん。そのあたりにしておけい! 私の準備はいつでもいいぞ、モヒカン・エースよ」

「おう。んじゃあ、さっさとやあぁってやるか!」

 

 ビシリ、とビクトリームがVの体勢を取り始める。同時に、彼の本から大きな光が溢れ出た。

 

「兄ちゃん。あんた甘いな。そっちの目つきの悪い兄ちゃんを見習えよ。聞きたけりゃ……力ずくで頼むぜ!」

「分離せよ! 我が美しき頭部よ!」

「ハッハー!! いかしてるぜ相棒ぉ!」

荘厳回転(グロリアスレヴォリューション)! 3・6・0(スリーシックスオー)!! 加速(アクセル)加速(アクセル)加速(アクセル)加速(アクセル)加速(アクセル)!!」

 

 空中に浮いたビクトリームの頭は、ぐるぐると勢いをつけて回転しはじめた。

 

「くっ……戦わなきゃ、ダメか! それにアレは……っ。アポロ!!」

「うん、やばいねアレは」

「みんな! 恵さんの元へ!」

「ロップス! 彼を信じろ(・・・・・)!」

 

 バッと本を抱えた清麿は、敵の動きから次を予測してガッシュ達に指示を出して恵とティオの元へと駆け、アポロはロップスへと一つだけ言葉を投げた。

 全員が恵とティオの元へと集まった。

 

「マグルガァァァァァ!!!」

 

 直後に放たれた敵の術は、360度全ての方向へと攻撃を放つとんでもないモノで。

 術自体の威力が大きく、部屋の壁は次々に大きく破損していく。

 全方位への攻撃に対してティオと恵はデュフォーの指示通り(・・・・)に一つの術を使った。

 

「セウシル!」

 

 すっぽりと覆うバリアは薄い。

 心の力の減っている恵でどれほど持つか分からないが、それでも全員を護れるようにと心の力を込めていく。

 

「フハハハハ! なんとも貧相なバリアよぉ! パムーンやツァオロンのバリア程ではないのならぁ……やれぇい! モヒカン・エース!」

「おうよ!」

 

 更に大きくなる心の力。本の光に呼応してマグルガの威力が増した。

 

「く……もってよ……」

「時間の問題だな! この部屋の崩壊と共に貴様らも消えていくだろう!」

 

 次々に壊れる壁。

 

「部屋の壁、大破!」

 

 外の光の見えるテラスも。

 

「テラス、粉砕!」

 

 そしてマグルガのビームはビクトリームの身体へと

 

「我が身体……ダァァァァンスィン!」

「HEY!!!」

 

 くるりくるりと、モヒカン・エースがビームを躱せるように誘って踊る。

 ディスコさながら。ビクトリームの頭部はさながらミラーボールのよう。二人は踊る。

 モヒカン・エースが目となり誘導し、ビクトリームの身体が魔物の力で回避を容易にする。

 

「ナイトパーティにゃまだ早いがよ。止まったままでいいのかい? そんなビートじゃオレたちのダンスにゃついてこれねぇぜ」

 

 ふざけ散らかした敵の動きは、変に息が合っていてまるで隙が無い。

 千年前の魔物と無理やり連れて来られただけのパートナーでは決して出来ない連携は、へんてこなのに強く……そして美しい。

 

 ビキビキとセウシルにヒビが広がっていく。

 

「も、もう……限界……」

「まずい! セウシルが破れるっ」

 

「フハハハハ! 所詮はその程度。どうしたぁ? 貴様らは何かをしたいのではないのかぁ? フフフ、まあ、やはり我らの敵では――」

 

 もうダメだと思った。

 そこで唐突に、一人の声が上がる。

 

「そうだな。さすがは千年前に最終盤まで生き残っただけはある」

「なにっ!?」

「リグロン!!」

 

 バリアが壊れる寸前、身体と踊るモヒカン・エースのすぐ傍にいつの間にか来ていたデュフォーが本へと手を伸ばしていた。

 同時攻撃としてアポロの声により、デュフォーの肩に乗るロップスがリグロンを放つ。

 

 ロープを出して意のままに操る術。リグロンとはそれだけの術だ。

 しかしてその術は……使い手によって幾万の可能性を開けさせる術。

 攻撃も、拘束も、防御も、設置も、誘導も、移動も……想像し創造することで無限の可能性を引き出せるロップスの基礎呪文。

 

 そしてデュフォーはそれの使い方を……絶対に間違わない。

 

「術を止めて躱せぇ! モヒカン・エースぅ!!!」

 

 モヒカン・エースは相手の術も意識した上で咄嗟に本を庇った。指示をしたビクトリームの判断は正しい。しかしながらそれ即ち、ダンスが途切れる(・・・・・・・・)

 リグロンが拾い上げたのはビクトリームの身体。絡めとられた身体は何故かVの体勢に縛りあげられている。

 

「ま、まさかぁっ」

 

 目を見開いたビクトリームは、途切れる寸前のマグルガの光の先を見た。

 其処に縛られたまま持って行かれた自分の身体は……鍛え上げたるVの威光を示すしか出来ない。

 

――う、美しい……はっ!

 

 ビクトリームがそう考えたのも束の間。

 

「我が身体、撃沈!!」

 

 わざわざ声に出して報告するのはモヒカン・エースとの連携の為かは分からない。

 

「ブルァアアアア!!!!」

「相棒ぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 身体は縛っていたリグロンが燃やされて拘束が解けて地面へと。

 頭部もひゅーっと音を立てて、着地は出来ずそのままビターンとフロアへと堕ちた。

 

 ティオのセウシルは半球体。デュフォーは事前に恵たちに指示を出し、自分とロップスだけがセウシルに包まれないようにしていたのだった。

 ビクトリームの攻撃は全方位攻撃とはいっても遮蔽物があれば途切れる直線の光線であるため、届かない場所はセウシルの外側にもあった。

 更に、デュフォーはビクトリームの頭部の高度から見えにくい位置を割り出し、派手な破壊に乗じて見えないように移動。

 踊りだしたモヒカンエースはビクトリームの身体がマグルガに当たらないように集中しているため気付くことは出来ず、そうして……相手の攻撃に対しての“最適解”を出し続けられるデュフォーは、油断しきっているビクトリーム達に攻撃を当てられる必中の距離へと至ったのだった。

 

「くっ、ぬかったわ……しかしモヒカン・エースが無事で何よりだ! 合体して体勢を整え――」

「……まだ終わっていない」

「かう!!」

「なっ」

 

 デュフォーの声と元気なロップスの声。そう、デュフォーがたった一つの攻撃で終わるはずがない。

 ロップスも事前にゼオンと戦っており、今までアポロと修行をしていたのだからその意識が高まっている。

 そのまま大地に垂らされていたリグロンがうねった。

 

「合わせろ、相棒! マグル・ヨーヨー!」

「ちっくしょうがぁぁぁぁ!」

 

 リグロンに合わせるように使われた術によって、ビクトリームの腕が伸びた。

 クルクルと回転する腕の先で鞭のようにしなるリグロンをいなしていく。

 

 しなる腕も、ヨーヨーのような先端も二人には当たらない。

 冷徹に観察するデュフォーの目は戦場の全てを見極める。

 

「2、4、7の順で縛れ、ロップス」

「かうっ」

「次、投石。3、2、8……9」

「かうぅ……かう!」

「ポイント5。6、6、3」

「かぁう!」

 

 呪文のように数字を並べるデュフォーに、ロップスはその指示に従ってリグロンを操っていく。

 

 ずっとアポロと練習してきた術の使い方。感覚で危機を察知するアポロの能力は言葉で合わせるのは難しい。だから、ロップスへと端的に伝わるように数字だけ。しかして彼らは研鑽を積み、その連携をひたすらに高めてきた。

 それをデュフォーは……視たのも初めてだというのに軽々と完璧にこなしている。

 

 アポロの頬を冷や汗が伝っていた。

 

――まいったな……これがキミの力の一端なんだね。 

 

 前の戦闘では本当の実力を欠片も出していなかったのだと思い知らされる。

 自分の理想形がそこにあるのだ。否が応でも分からされてしまう。

 

 全員がその戦いに見入っていた。

 

「清麿……」

「フォルゴレ? どうした?」

「デュフォーからの指示を預かってる」

「え……な、何を……」

 

 唐突に言われた言葉に、清麿は混乱を。そしてアポロは戦慄を。

 

「合図が来たら、ザケルガを放てと言っていた」

「……」

 

 ロップスのリグロンによって敵の攻撃も避けつつ動くその背を見る。軽々とやってのけていたデュフォーと、清麿は目が合った。

 少し振られた首から、まだだと伝えられた気がした。

 

「そして私とキャンチョメにも指示が来ている。ガッシュと清麿のザケルガの後だ。詳細は……」

 

 見せられた紙きれに掛かれた指示は少ない。

 だが、効果的なのは見て取れた。否、これ以上ない……清麿の求める最適解だった。

 

「……これを、デュフォーが?」

 

 清麿は息を呑み、震えた。

 戦場の全てを操るその姿に、思考に、計算に、頭脳に、胆力に。

 

 まるで未来予知のような戦場の掌握の仕方。

 自分の魔物ではない魔物を操り、最低限の出力で最大限に生かしていく。

 

 合図は……ゆるりと構えられる、デュフォーの手。

 

 デュフォーはガッシュと清麿のやり取りを見ていた。

 術の出し方も、合図も、全てを。

 

 それが清麿とガッシュ二人の信頼の証であることを理解した上で。

 だから彼は……手を伸ばし、指を二本構えた。

 

 清麿はその合図を見ながら……同じく手を伸ばし、指を二本構えた。

 

 ああ、いいな……まさか同じ言葉を使ってるとは……と。

 心の中を満たす不思議な暖かさを感じながら。

 自分達も動きまで真似をしてみようか、いや、きっとあいつのことだから必要ないというだろうな……と。

 そんなことを考えながらのデュフォーは、清麿と声を重ねた。

 

「「セット!」」

 

 リグロンによって跳ね上げられたビクトリームの頭部に向けて二人は構えていた。

 

 ガッシュはいつも通りにそちらを向き。

 ゼオンは“敵”の反応を見る実験も兼ねての為、空の上で上空方向へと手を伸ばし。

 

 同時に、術が放たれる。

 

「「ザケルガ!!」」

 

 

 黄金と、デュフォーしか気づかない程度の少しだけ白銀が混ざった雷が、美しく華麗なVの頭部に――直撃した。

 

 

 この戦いは魔物の強さだけが全てではない。

 

 その背があまりにも遠くにあると、清麿は理解する。

 

 油断なく敵を見たままのデュフォーの背を見て、彼はぎゅっと拳を握りしめた。

 





読んで頂きありがとうございます。

モチベーションが少し下がってしまっており、執筆できませんでした。

また再開していきますので、お付き合いくだされば幸いです。

モヒカンエースとV様はいつも楽しそう。
デュフォーくんによるリグロン講座。
二人で“セット”。

次はあのやべぇ術です。

これからも楽しんで読んで頂けたら幸いです。

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