自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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《信じられない》

《あれは龍だ》


15話 意図せぬ接触

駐屯地 会議室

陸奥陸将

 

 

油田発見に湧いていた雰囲気はどこへやら、会議室に集まった幹部たちからはピリピリした空気が漂っている。

やれやれ、この世界に来てからというもの問題ごとはとことん向こうからやってくる。

今回も例外ではない。

 

「では始めようか」

 

この世界に来てからも私が基地司令に着任してからも初となる緊急会議にその場の全員が引き締まる。

緊急対策会議の議題はもちろんドラゴンの件。

 

「本日、基地周辺に大型飛行生物が飛来した…というのは皆知っているな」

 

だがドラゴン単体では全ての業務を中止して幹部を集め会議を開くほどの緊急性はない。

アイルーたちからの情報と対空警戒の強化に伴って大型飛行生物の存在は確認済み、迎撃態勢も整っている。

基地へと接近するルートで飛ぶ飛行生物が実際に現れた時は皆驚きはしたが直接の混乱は起きず、訓練どおり迅速に迎撃準備が進められた。

…現場指揮にあたっていた幹部が望遠レンズであるものを見つけるまでの話だが。

 

「問題はその大型飛行生物に人間が乗っていたことだ」

 

会議室はしん、と静まり返った。

この世界にも存在すると言われていた人間とのファーストコンタクトがまさかのこれだ。

現場にいた隊員は皆、どうすればいいのかわからなかったと証言している。

正直私もわからない。

 

「大型飛行生物だが、アイルーたちに確認したところ『リオレウス』で間違いないとのことだ…記録映像を出す」

 

情報科幹部がプロジェクターを操作して問題の大型飛行生物、リオレウスをスクリーンに映した。

その容姿はまさに西洋の竜、大きな翼で風を捉えて体をしなやかに動かしバランスをとっている。

映像でもかなりの迫力だ。

私はこんな生物が至る所に生息している、という事実を再確認して頭が痛くなった。

ここも少し前まで襲撃を受けていたがそんなのはまだ序の口のようだ。

 

「こいつの大きさは17m、戦闘機とタメを張れる大きさだ」

 

「飛行能力に加えて、口から強力な火炎弾を吐き出すらしい。正確な威力は不明だが人家を吹き飛ばすほどだという」

 

「…ドラゴンだな」

 

「こいつの撃墜は可能か?」

 

施設科幹部の質問に武器科幹部は少し考える。

 

「本体の防御力は不明だが翼の皮膜はそこまで頑丈ではない筈だ。そこを攻撃して飛行能力を奪えば砲撃で仕留められるだろう」

 

「脅威にはならないんだな?」

 

「防御力が不明だ。頭にSAMをぶちこめば流石に生きてはいられないと思うが、常識が通じない相手かもしれん」

 

武器科幹部の言葉に施設科幹部は肩を落とす。

またいつ現れるとも限らない相手に、開発作業は安全が確認されるまで無期限の中断を余儀なくされているのだ。

私は満身創痍になりながらも多数の隊員を負傷させたジャギィの親玉のことを思い出してこれも仕方ないかと思った。

幸い原油は運んだものがあるので蒸留実験は引き続き行えるだろう。

 

「飛行生物…リオレウスについてはわかったと思う」

 

プロジェクターの映像が拡大し、リオレウスの背中に焦点が合う。

 

 

「次はこの人間についてだ」

 

 

さて、ここからが本題だ。

こんなに早い段階でこの世界の人間と出会うとは思っていなかったし、むしろ出会いたくなかった。

この世界の人間たちと接触するための準備は始まったばかりで不安要素たっぷりだ。

現段階でまともにアイルーたちの言葉を話せる隊員は片手で数えるほどしかいないし、交渉材料になりそうなものも我々の手元にない。

本当になんでこんなときに出会ってしまったのか。

これが偵察なら後でもう一度来るかもしれない。

勘弁してほしい。

 

映像ではリオレウスの背中に据え付けた鞍に人間がまたがっているのがわかる。

顔は見えないが、動物の羽や骨を装飾に用いた服からはアメリカの少数民族のようなセンスを感じる。

 

「アイルーたちに情報提供を求めてみたが、モンスターを乗り回すような人間は見たことがないとの事だ」

 

「彼らがわからないなら我々も何もわからないぞ、どうするんだ?」

 

情報科の説明に不機嫌そうな声が上がるが、それがわかれば何も苦労しないのだ。

飛行ルートから鉄塔を見つけて偵察しに来たのかと推測することもできそうだが本人に聞いてみないことにはわからない。

ここに本人はいない。

もう一度来られても困る。

会議室内ではあちこちで憶測が飛び交って収拾がつかなくなってきた。

 

とにかくこの世界で初めて見つけた人間、アイルー以外にも話の通じそうな相手が現れたこの機会を逃すわけには行かない。

私は場を鎮めて口を開いた。

 

「目的も所属も何もかも不明だが、一つだけわかる事がある」

 

「接触する価値は十二分にあるという事だ」

 

幹部たちは黙って頷いた。

もともと、そろそろ動くべきだったのかもしれない。

この件がそれを知らせに来たというのは都合よく解釈し過ぎか。

生き残ることだけを考えて閉じこもっていた我々にはいい刺激になる出来事だった。

 

「我々も打って出る時が来た」

 

 

 

厄介事はいつもあちらからやってきた。

だから今回は、こちらから行こうと思う。




動き出すところまで書けなかった…
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