「…正確にはこれしかないんだ」
分屯地
細田一等陸士
駐屯地と一緒にこの世界にやってきてしまった分屯地。
ここが自分、細田小夏(ほそたこなつ)の職場だ。
この仕事を始めてから数年になるがここでの生活はちょっと奇妙だ。
その立場は倉庫の倉庫、駐屯地の方でもあふれてしまったさらなる旧式装備が流れてくる関係上よくても型落ち、悪ければジャンク品に近いものが現役というすごい状態だ。
型落ちの型落ちと言ったところか。
見回せば周りの隊員が纏っているのは
銃器に至ってはグリースガンにトンプソン、BARや
そしてM9ロケット発射筒やM20ロケット発射筒もある。
もちろん62式機関銃や64式小銃、九九式改といった国産銃もあるぞ!
帯刀している隊員もいるな。万歳!
…ひどいもんだ、まったく。
新しい装備といえば駐屯地の方に収まりきらなかった整備待ちのNBC偵察車が1両だけ。
それ以外の戦闘車両はM4特車やM24特車、60式装甲車、ハーフトラックに
ちゃんと動くし戦えるのが救いか。
「戦えない訳ではないが…」
いや、戦えるか戦えないか以前に戦うしかないか。
自分は分屯地司令が駐屯地へ向かう際に機銃手として同乗し、あのジャギィの襲撃を経験した。
UHの62式を取り外して防衛戦に加勢し、一斉射を受けても向かってくるジャギィの親玉を見た。
恐ろしかった。
あの場にあったすべての武器を持ってしてやっと倒せるような相手がその辺に沢山いる世界とは何者か。
一緒にいた同僚も、司令も同じ気持ちだったと思う。
分屯地への帰還後すぐに小隊での行動が義務付けられ、隊内には必ず一人対戦車装備を持たせろという制約がついたのはその現れだろう。
駐屯地への道が開通した今となっては少々やりすぎだった気もするが、警戒していなかった所でいきなり
駐屯地の方で(M2機関銃で)そうしていたように基地外周にはそれぞれの辺にM4特車を2両固定砲台として配置し、A6を集中配備した機銃座も設けられた。
バックアップとしてM24特車が各方面4両待機し出動時はM9及びM29で武装した隊員がデサントして迅速に配備される予定だった。
…やっぱりやりすぎだったな。
自分は一気に重くなった戦闘装備に肩がやられてしばらくぶりの筋肉痛になった。
しかしこの件のおかげと言っては癪だがそれまで実感のわかなかった危険を認識し戦う覚悟を決められたという副産物もあった。
危機感を持てたということで大いに価値はあったか。
「でも、悪いことばかりじゃなかったな」
最近の嬉しいニュースと言えばやはり油田の発見だ。
駐屯地司令が自ら発見したという噂もあるがそれが本当かどうかは置いておいて、その開発にはこの分屯地も大きく関わっている。
敷地の一部が原油を精製する製油施設の予定地に選ばれ、ゆくゆくはここに燃料製造プラントが置かれることになるのだ。
現在その場所には試製1号の簡易製油施設が鎮座している。
また、この基地には超大型の埋込式タンクが8つあり、大量の燃料を保管していたため先にガス欠となった駐屯地の方へ燃料の提供をすることができた。
そして燃料を運び出してカラになったタンクに代わりに原油を貯め込み、施設完成の暁にはさらに大量の燃料を送り出す。
なかなかいいじゃないか。
分屯地は転移前もサポートとバックアップばかりの仕事だったが、何よりそれを求められているし俺の性にも合う。
それなら応えて助け会って、どこまでも行こうじゃないか。
ここで少ししゃれた言葉を使うなら、『運命共同体』だろうか。
燃料を満載にして駐屯地へと帰っていくトラックを見つめて、自分は少し口元が緩んだ。
お茶濁しまくりでスミマセン…イキテマス
やりたいこととやるべきことが多すぎて手が回らないのが現状です…