自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「海も空も、静かなんだ」

「静かすぎるんだ」


8話 情報収集

人里観測地点から3km

前沢陸士長

 

 

「あれがそうなのか」

双眼鏡を握る手に汗がにじむ。

この私…前沢東次(まえざわ とうじ)は初めての実戦任務に最高潮のプレッシャーを感じていた。

 

機甲科として初めて授かった任務の内容は接触予定の人里の偵察。

やっと見つけた生き残りのチャンスを絶対にふいにしたくない俺達は『不幸な行き違い』を起こさないために少しでも情報を集めておく必要に迫られていた。

UAVでの偵察は何度も敢行されているが、深い森に阻まれて僅かな開口部から見える情報量は少なく決め手にかける。

それにドラゴンを乗り回す相手では撃墜される危険もあり、1機しかない貴重な無人機を失うわけにも行かない。

…というわけで最終手段から5つくらい前の手段として地上からの偵察を敢行することとなったのだ。

 

問題の地点へと続く道約150kmの整備は施設科の怒涛の作業により一週間で半分まで終わっている。

終わっているというか、止まっている。

道が途切れる地点、作業が止まっている地点までRCVと機動戦闘車の部隊で移動し、そこからは徒歩でここまで来た。

道を開通させるのは正式に関係を結んだあと。それまでは半分の道のりで不便を強いられるだろう。

 

身軽な偵察装備でも75kmのマラソンはきつい。それに帰りのこともある…

しかし私の同僚はまだ生き生きとしている。

こいつのスタミナはどうなっているんだ?

 

 

本題の偵察任務は今のところ順調だ。

双眼鏡の先には未知の文明の村が広がっている。

立ち並ぶ家屋は石造りか木造、ところどころ漆喰壁だったりレンガ造りだったりと建築技術は予想よりも高かった。

家屋は村の真ん中にある広場を囲むように配置されており、その広場の上は森の開口部、空から見えていたのはここか。

 

村はわりと栄えており、出歩く人々は毛皮や骨を加工して作られたと思われる服を着用している。

その中には大型の刀剣や弓といった武器を帯びている者もいた。華やかな装飾の鎧を身に纏った彼らは戦士だろうか。

重武装した者たち数人が集まって何かを話している。

と、そこに意匠の異なる装備を纏った者たちが近づいていた。

動物の革と金属を組み合わせて防御力と動きやすさと防寒性諸々に気を使って作られたように見えるそれは華やかな鎧よりも『実用的』に見えた。

双眼鏡の倍率をさらに上げて見るとその防具にはコンパスのようなものがついているようにも見えた。

 

しばらく観察しているとその2つの集団は何やら言い争っているようでお互いにどつき出す。

あっ、他の人たちが仲裁に入った。

最終的に実用的な鎧の集団は去っていき、華やかな鎧の集団が勝ち誇ったように後ろ指を指す。

まさか、この世界でも人間同士での争いごとがあるのか。

これから関係を持つ(と希望的観測で予定中の)相手が因縁持ちとなるとだいぶ話が変わる。

これは報告しなければならない。

文化レベルの推察と家屋の写真を収めることが今回の目的だったため、そにプラスアルファを手にしたらもう上出来ではないか。

あの距離を走ったかいがあったもんだ。

私は一部始終をしっかり写真に収めて撤退の準備をする。

 

「…!?」

 

何だ?これは何かの足音…?

大型動物の足音、それはこの世界では十中八九モンスター。

私と同僚は9mm拳銃を構え、さっきよりもさらに姿勢を低くして隠れる。

その状態でも周囲を注意深く索敵し見えない敵を警戒する。この状況で襲われたらたまったものではない。

 

しばらくするとその足音の主が現れた。

青地に黒い縞が入った体、朱色のトサカ、黄色いクチバシ。

ランポスだ。

それだけならむしろ良かった。

 

その背中にはあろうことか人が乗っていた。

 

 

最悪だ。

最の悪で最悪。なんでこうなる?

ここでの接触はまずいなんてもんじゃない。

コソコソ偵察してるところを見つかったなんてことになれば初手で有効的な関係を結ぶことができなくなってしまうかもしれない。

あの村の住人であるとは限らない、という声が頭の中で響いたがランポスに跨るその人物はさっき遠巻きに眺めた華やかな鎧と同じ意匠の防具を身に着けており残念ながらあの村の住人である可能性は高い。

 

どんどんこちらへ近づいてくる。

ランポスも人間もまだ気づいていないようだがこの方向が巡回ルートだとしたら時間の問題だ。

クソ、なにかいい策は…

 

 

「そこにいるのは誰だ!」

 

 

考える猶予さえもナシか!

俺はフラッシュグレネードを手に取りいつでも投げられるようにし、同僚はスモークを焚く準備を…ん?

ランポスに跨った人間は俺たちの方を向いていない。

油断させるつもりかとも考えたがそんなことはなかった。

その視線の先には2人の実用的鎧を着た戦士が立っていたのだ。

 

「ライダーのクセにいっちょまえだな!」

 

「こちとらギルドに帰るとこなんだ、余計な時間を使わせないでもらいたい」

 

ランポスに乗った人間…ライダーに野次を飛ばす2人。

 

「お前たちが賛同しなかったから長引いたんじゃないか!」

 

ライダーの方も負けじと言い返す。

ライダーじゃない方はハンターなのだろうか?

近くで聞くことになるかもしれないと急いで習得した現地語だが早速役に立っている。

会話内容の6割くらい暴言なので本当に役に立ってるかは微妙だが…

と、ここでハンター(推定)がとんでもないことを言った。

 

「ジャギィの巣を壊滅させた密猟者集団の調査は我々が主導すると言っているのだ!」

 

「きな臭い巨船の話があるというのに…」

 

2人目の言葉は耳に入らなかった。

ジャギィの巣を壊滅させた密猟者集団と言われて真っ先に浮かんだのは俺達。

彼らの目にどう映っているのかはこの際どうでもいい。

 

重要なのは俺たちの存在が看破しているかもしれないことだ。

 

駐屯地から10Km地点のジャギィの巣の状況が知れているとなると本拠の駐屯地も彼らにばれているのでは?

最悪ではないが、だいぶまずい。

 

同僚に目配せしてゆっくりとこの場からの離脱を図る。

幸いかライダーたちは言い争っていてこちらに気づいていない。

 

 

 

俺たちは持てるだけの情報を持って走る。

正式な接触を友好的なものにするために。




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モチベが…
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