自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「おっさん、巨船のホラ話聞かせてくれよ」

「本当に見たんだよ!」


9話 情報精査

駐屯地 会議室

陸奥陸将

 

 

「あちらは我々の関与に気づいていると?」

 

「録音データはあなたも聞いたはずだ。まさか密猟者呼ばわりされているとは」

 

「だが我々は自らに向けられた危険を排除しただけに過ぎない、これだけで交渉に響くとは思わないが」

 

「言語も思想も違う相手だぞ?そんな楽観が通るならそもそもこんなことにはならなかっただろう」

 

会議は大荒れだ。

偵察隊が持ち帰った情報は幹部たちの冷静さを失わせる程度には破壊力があった。

私もこの情報に頭を抱えたくなる。

 

ドラゴン騒動があった時点で駐屯地の存在と位置が割れたのは想定していた。

その後発見された人里とはそれなりに距離が離れており、また今日まで大型飛行生物が再び基地周辺で観測されていないことから空からさらなる情報を取られるはずはなく、基地外周及び建設中の道についても周囲に警備の目を巡らせており今まで何かを見たという報告は無かった。

先日の殲滅作戦も極めて迅速に遂行され、警戒部隊も何も見ていない、見られていない筈だった。

 

しかしその殲滅作戦が相手側にバレている。

 

『この基地』の『我々』が関与してあの巣を潰したことがバレているのだ。

 

そして悪いことに録音音声を聞く限りではその事実は相手側にとって良い心情を抱くものではないらしい。

現に『密猟者』などと呼ばれている。

 

「敵…ではなかった、現地人の諜報能力を侮っていましたな」

 

「直通道路の建設計画も見直しが必須になるか」

 

情報科幹部と施設科幹部が渋い表情で答える。

こちらの動きが漏れているとしたらこれからの動きは転移初期の頃よりも慎重にならなければならない。

道路建設も殲滅計画もすべてこちらのみの問題と考えてきたために打って出ることも容易だったが、第三者の利害が絡むと話は変わる。

それにしても、一体どこから情報が漏れたのか…

 

「国家と呼べるものがあるかははまだ分からないが何らかのコミュニティは存在するようだ」

 

「…想定以上に発展した社会形態を持っていると見えるな」

 

「完成した社会に突然放り込まれたのか、我々は…」

 

今までは何も分からなかったが、何も分からなかったからこそ大胆な動きができたのだ。

中途半端に相手を知ってしまうととても動きづらくなる。

それこそ何か下手をやってこちらが糾弾されようものならたまったものではない。

いつも向こうからやってくる厄介事に今度はこちらから出向いて排除しようと試みたが、やはりこちらから動くには時期尚早だったのか…

 

「しかしだな、このまま燻っていてはいずれ我々は燃え尽きるぞ!」

 

機甲科幹部が声を荒げる。

そもそもルールなど知らない部外者である自分たちがなぜ現地人の顔色をうかがってコソコソと動かなければならないのか。

生き延びるのに精一杯なのに。

 

その言い分はもっともだし、積極的に危険を排除して範疇を広げていけばこの地に落ち着くことも難しくないだろう。

しかし。

 

「あれが『ボウガン』なのだろうか?」

 

「50口径かそれ以上…かなりの威力がありそうだ」

 

撮影された写真の一枚に写り込んでいた武器に武器科幹部が釘付けになっていた。

ボウガン…それは我々の言葉ならば弩、即ちクロスボウ、紀元前から存在するとも言われた携行武器だ。

しかしこの世界のボウガンは火薬を使って弾丸を射出する武器、即ち銃なのだ。

 

アイルー達が銃をボウガンと呼称していたことから彼らとの接触時からその概念の存在は確認していた。

その後の情報交流で実際に存在を示唆され、ハンターと呼ばれる者たちがそれを使っているとの情報も得た。

…頭でわかっていても聞くだけでは実感がわかないことと言うのはよくあること、いわゆる百聞は一見にというやつだ。

 

そして写真と映像で見せられてその実際を見てしまった我々の中でこの情報は途端に重みが増した。

 

 

「…我々は争いを避けなければならない」

 

 

幹部たちは頷いた。

機甲科幹部も深く頷いていた。

やりきれない感情を宿した顔をしているがその前提についてはは皆しっかり分かっている。

 

我々は軍事的衝突だけは徹底的に避けねばならない。

転移した先で戦争になるなど全く洒落にならない。

それも銃を持った相手とだ。

 

現地の銃の存在は未だに転移の非日常に染まっていた者たちを一気に現実へと引き戻した。

 

今まで我々が侮っていたことはないが、想定の遥かに上のことばかり起こってきたのは否定できない。

別世界の事などそもそもわかるはずもないのだが、それにしても我々の見立ては甘かった。

 

今一度、考え直す必要がある。

 

 

「しかし我々の平和は守らなければならない」

 

 

幹部たちはより深く頷いた。

もしも直接の害意が向けられた場合は黙ってやられるつもりはない。

争いを避けることと悪意に立ち向かうことは一部で矛盾が生じるのが性であるが、もともとこの矛盾の上に成り立ってきたのが我々自衛隊である。

 

危険を跳ね除けるためにはどんな手も厭わないのが我々だ。

 

「今必要なのは相手の詳細な情報だ…ん?」

 

と、今まで情報科幹部の後ろで黙っていた情報科隊員が発言権を求めた。

有益なものはどんどん拾いたい。私はもちろん許可する。

 

「隊員たちからの報告をまとめている時に興味深い発見がありました」

 

「ほう、何だねそれは?」

 

 

「アイルーです」

 




長らくお待たせしました
間が空いた関係で文章おかしくなってないか心配ッス…

時系列チェックしたらまだ物語内で1ヶ月程度しか経過していない事実
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