「こりゃ商売が捗るぜ」
「…で、売りに行くか?」
「……」
駐屯地 防衛拠点東方面
佐島一等陸士
「……」
俺と同僚たちの
俺のは鋭くない?そう…
目が鋭かろうが鋭くなかろうが、とにかく警戒度は上がっている。
ジャギィやランポスをまだ赤だの青だの呼称していた時よりも、だ。
それに伴い俺は掃除当番の罰則とチビジャギィの世話の任から離れる事を許され、人手不足になった監視任務に加わっている。
チビの世話は武に
駐屯地及び分屯地には部外者の侵入を阻む対人障害システムや怪しい存在を捉えるセンサの類が増設され、陣地の掩蔽も念入りに行われた。
監視の目も行き届いてカメラ等機械の目も合わせて24時間死角なし。
内はともかく外のプライバシーは無いだろう。
そしてそのプライバシー皆無の状況に異を唱えるもの…俺たちを探りにやって来たものが居たならば、即刻捕縛だ。
こちらの情報が漏れている。
その
司令が発表したそれにはどこまでの情報が漏れてしまっているのかまでもが含まれており、正直なところ相手のことを舐め腐っていた俺達には衝撃の内容だった。
そんなこともあり、同時に発令された警戒令の実行が滞ることはなく…むしろ日常生活に支障が出るほどに施行されている。
転移後にここで過ごしてきて色々経験したが、その中で日本人の習性を見た気がする。
どうにも、いざ自分たちに危険が向いた時に過敏に反応して極端な方へと振れるところがあるらしい。
現に昨日まで談笑しながら銃底をベルトに引っ掛けて重量軽減しつつ手抜きジョギングしていたような愉快な連中がいきなり血相を変えて親の敵を探し回るように森の中を睨んでいるのだ。
もっともそうなるのも無理ないくらいに重大な事件であることは確かだし、そういう俺もさっきまでこちらを探ろうとする何かを憎々しげに探していた。
にしても、『敵』もなかなか…
駄目だ、『敵』なんていない、俺達は戦いに来たわけじゃない!
その役回りはモンスターで充分、そのモンスターさえも明確な敵ではない。
友好的な関係を築こうとしていたはずなのにいつのまにか目的がすり替わっている。
やはり脅威の方へと知らず知らずのうちに視線が移ってしまうらしい。
これは日本人というより人間の問題な気がしてきた。
この状況で本能と人格が試されることになっているのか、負けないぞ。
俺はそう思うことにした。
自分で自分をはぐらかしている所になにかむず痒いものを感じる。
何がどうあれ、仕方ないのだ。今は動けない。
この『仕方ない』に関しては何に対してのものなのかは違えど転移前に幾度となく経験してきたのでわかっている。
微妙とも絶妙とも言える位置にあった
それゆえにそのようなことへのアレルギー的反応が出てしまったのだろう。
とにかく、これから相対するものは『敵』ではない。
と、この詰まった一月で鍛えられた感覚が何かを訴えていた。
さっきの話繋がりで視線といえば、どこかから見られているような気がする。いや、見られている。
注意深く森の中を観察すると、光る点が2つ見えた。
俺は愛銃に手をかける。
「…!?」
茂みの奥に居たのは黒い体毛のアイルー。
いや、確かアイルーたちの話によると黒いのはメラルーだったか?
メラルーは俺の視線に気づいて距離を取る。
その目は油断なくこちらを見つめている。
こちらの一挙一動を見逃さず、少しでも動いたら逃げ出されそうだ。
一対の目を俺を捉える。
が、彼を見つめる目は一対だけではない。
そのメラルーが異変に気がついたらしいのはほぼ全てが終わったあとだった。
上から横から背後から、多方向からの目を感じた彼が振り返った先にいたのはギリースーツを纏った隊員数名と最近(3日前)新設されたパトロール隊のアイルーたち。
「確保!」
「御用ニャ!」
掛け声とともに隊員たちとアイルーたちが一斉に掴みかかり、メラルーはほとんど何もできずに捕獲された。
俺は彼を見つけた時点でほぼ間違いなく黒だと判定し増援を呼んでいたのだ。
発表された情報には続きがあった。
それは相手がアイルーを使って偵察しているかもしれない、というもの。
俺は(罰則を受けていて)見ていないが、この頃不審なアイルーの目撃情報がいくつかあったという。
何かを探るように動き回り、見つかるとそそくさと逃げてしまう。
そんな怪しい存在ならすぐ見つかるだろうと思うかもしれないが、もともとこの基地周辺にはアイルーが沢山居たために見分けがつかなかったのだ。
基地所属のアイルー達を通して出歩かないようにお願いしたり新たに雇い入れたりすることで紛らわしい存在を減らしていたが、こんなに早く成果が出るとは思わなかったな。
これで相手のことが少しはわかるだろう。
…もしかしたら本当に興味を持って近づいてきただけのメラルーかもしれないが。
他の更新したい小説や新たに書きたいモノがいっぱい
オラにモチベを分けてくれ…