「気のせいだろ」
「ニャ!」
大森林 オッカの里
チャコ
「よーし相棒、静かにするんだぞ」
僕はモンスターの厩舎からこっそりとバリーを連れ出していた。
大人たちは誰も気づいてないみたい、よし!
これから、僕だって立派なライダーだってことを見せてやるんだ。
あの集まり…父さんが見つけた野営地のことがあってからもうしばらくたったけど、調査はぜんぜん進んでいない。
ハンターたちと意見が合わないとかモンスターの調子が悪いとか聞いた感じ理由はいくつかあるみたいだけど、ほんとの理由はきっと突然現れた銀龍のことだと思う。
あの龍が放っていた音は今も僕の耳に残っている。
同じようにみんなの心にもあの龍の姿は残っているはず。
速すぎてほとんど見えなかったけど、太陽の光で銀色に輝いていた姿は僕の目に強く焼き付いた。
僕はあんなにわくわくしたのははじめてだった。
未知との出会いに恐怖ではなく胸の高鳴りを感じて、自分の成長を確認した。
だから、そのあとに受けた子どもあつかいが余計にくやしかった。
調査に参加しようとした僕を止めた父さんの言葉は僕を気遣ったものだったと思う。
でも、僕だってもう15歳、一人前のライダーなんだ。
みんなが認めてくれないなら、みんながおどろくようなことをして僕がもう子供じゃないってことを見せつけなきゃ。
そうしないといつまでたってもきっとこのままだ。
「よっと!」
鞍を乗せて相棒の背中に飛び乗る。
この動きにももう慣れた。
最初のころはまたがることさえもできなかったのに…
おっと、昔の事を思い出している場合じゃなかった!
大人たちに見つかる前に里をぬけ出さないと。
相棒を走らせて監視のうすい方向から里の外へと飛び出す。
思えば、里の外に出るのも久しぶりだ。
里の周りのパトロールや狩りの手伝いなんかには参加していたけど、遠く離れるのは本当に久しぶり…相棒のタマゴを取りに行ったとき以来だ。
「あの巣はどうなったんだろう…」
父さんはランポスの巣が跡形もなく消えてしまっていると言っていた。
もし本当なら相棒と出会った場所がなくなってしまったということになる。
それは…悲しい。
本当に何があったのだろう。
もしかして銀龍が関係していたりするのだろうか?
クオッ!
と、相棒が突然立ち止まり警告の鳴き声を上げた。
里からまだ全然離れていないのに、もしかして見つかった!?
みんなに内緒で抜け出しているところを捕まったらお仕置きは避けられない。
ここはいったん隠れてこっそり里に戻り、またの機会にしよう。
そんなことを考えていると、モンスターの羽音が聞こえてきた。だんだん大きくなる。
父さんのリオレウス、リディのものかと思ったけど…違う。
これは…やばい、大変だ!
ズシン!
目の前に着地したのは赤い体と黄色のクチバシに大きな耳、がっしりとした翼に水色の被膜を携えた特徴的なモンスター、『怪鳥』イャンクック。
危険なモンスターだ。
突然舞い降りた怪鳥にすくみ上った僕たちは全く動けずにいた。
幸いクックは向こうを向いていてこちらに気が付いていない。
どうかそのまま、あっちを向いたままで飛び去ってくれないだろうか。
当然、僕のそんな思いは通じず。
クックは
ゆっくりと
振り返った
クオオオオオオオオッ!
クック先生の特別授業!