「風を纏った龍…いったい何に興味を持ったんだ?」
大森林 調査キャンプ上空
ラダン
「チャコ!どこだー!」
返事はない。
どのタイミングで抜け出したのかは不明だが、気が付いたら息子とオトモンの姿がなくなっていたのだ。
それにクックの襲撃があったとかでハンターたちは大騒ぎだ。もしそれに巻き込まれてしまっていたら…
気づけなかった自分が不甲斐なくて仕方ない。
今は俺のオトモン、リオレウスのリディに乗って空から息子の姿を探しているが、普段から鍛えた目でも生い茂った森の中に子供の姿を探すのは難しかった。
どこにいるんだ?
あの子は素直でいい子だった。
少し背伸びをしたがるところもあるが、何かをするときは助力や助言を求めてきた。
それもなしに出て行ってしまうなんて。
胸騒ぎを覚えつつも、森林上空から必死に息子を探し回った。
…結果見つかったのはケガをしたクックだった。
飛んできた方向から、ハンターたちが撃退した個体だろう。
モンスターの力を借りずにこの短時間で追い払うとはさすがハンターだ。
クックはハンターの調査キャンプがある方向の正反対、とにかく遠くへ行こうと羽ばたいている。
のだが、俺はその様子に違和感を覚えた。
今の俺と同じような雰囲気、まるで何かを探しているようなソレだ。
そしてその対象すらも同じもののように思えてくる。
キェェェェェ!
クックが咆哮し、高度を下げる。
同時に悲鳴が聞こえた気もする。
直感的に感じた。
こいつを行かせてはいけない!
「行くぞ、リディ!」
グォォ!
相棒の名前を叫び、息を合わせて突撃する。
グェェ!?
火竜の突撃を受けたクックは大きく体制を崩し高度を下げる。
上を取られたクックは上手く立て直すことができず背の高い木に激突した。
「このまま叩き落とす!」
体制を整えて昇ってきたクックをリディの翼撃で突き飛ばし、格闘戦に持ち込む。
リオレウスの爪はクックの皮膚をやすやすと切り裂く。力で負けはしない!
もともと逃げ腰だったクックは火竜の登場と執拗な攻撃にパニックになり、わたわたと翼をばたつかせて暴れることしかできていない。
クエエエエエッ!
グオッ!
と、油断したかクックの破れかぶれの一撃がリディの頭に命中し、少しバランスを崩してしまった。
勢いづいたクックは高度を上げてさっき俺と相棒がやったようなことを逆に仕掛けてきた。しかし。
「はっ!」
クエッ!?
俺が騎上から射かけた矢が翼に命中し、クックは再び高度を下げた。
リディしか目に入っていなかったクックは何が起こったのか分かっていないようだった。
人とモンスターの連携、それがライダーの基本であり最大の強みでもある。
強大な力を持つモンスターと、技術と作戦、応用力を持つライダーが協力し、一つの完璧な体制をとる、それがライダーの戦い方だ。
このお互いに足りないモノを補い合って適宜連携して戦う戦い方は強力だが、性質上重要なことがある。
お互いの動きを邪魔しない動作を自然に行える下地、言うなればお互いの信頼、絆を培わなければならない。
乗り手とモンスターの息が合わなければ乗る前よりも弱体化してしまう。
それを連携と信頼、絆の力で2倍3倍に高めるのが真のライダーなのだ。
…これは長の受け売りだが、きっとそうなのだろう。
怯んだところにリディの尻尾の追い打ちが入り、完全にバランスを崩したクックは墜落していく。
俺達はさらにトドメのサマーソルトと矢の雨をお見舞いし、墜落を加速させた。
バキバキと巨木の枝を折りながら墜落したそれは倒れたまま動かない。
やったか…?やったな、ああ。
クックの首が捻じれて本来向かない方を向いている。
きっと首の骨が粉々に砕け散っているだろう。
その傍らに縮こまって震えているものを見つけた。
俺の探していたものだ。心配させてくれたな。
「チャコ!」
「父さん!」
リディを降下させ、俺はその背から降りる。
俺は駆け寄る息子を胸いっぱいに抱きしめた。
「父さん、ごめん」
「お前が無事ならいいんだ」
オトモンのバリーもチャコに寄り添っている。
怪我もなく元気そうだ。
「後でしっかり話は聞くぞ」
「えーっと…ちょっと紹介したい人がいて…」
紹介したい人?
そういえばさっきから誰かの気配を感じる。
ハンターかと思ったが違うな、これは。
リディも木の陰をじっと見つめている。
「誰だ?」
姿を現したのは緑の服を身にまとった、謎の人物だった。
「あなたがラダンさんですね」
やっと接触(なおつま先程度)