自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「あの龍は何がしたいんだ」

「龍の考えることは人間にはわからぬさ」

「我々の考えることが龍にはわからぬように…な」


21話 会議は踊らず①

駐屯地 会議室

陸奥陸将

 

 

ハンターとライダーを招き入れ、歓迎も程々にようやく開かれた話し合いの場。

それは思ったとおり…難航した。

 

「我々はそのような話をしに来たのではないのだ」

 

こちらの謝罪を軽くいなし、しっかりとこちらを睨みつけるハンター、レヴラス。

我々を調査する団体のリーダーだという彼の筋骨隆々の肉体と鋭い眼光に気押されそうになる。

彼だけではなく控えるハンター達もかなりの熱量を秘めているようで痛い目線を飛ばしてくる。

話し合いは一進一退を繰り返し、謝罪は今切り捨てられた。

しかし私もこの基地を纏めるリーダーである以上、引き下がることはできない。

久しぶりに礼服も着た。

 

「では、何をお求めか」

 

偵察によって双方ともにある程度の情報は持っている。

それを踏まえた上で求めるものとは何か。

 

「あなた方、ジエイタイの目的は何だ」

 

質問はシンプルだった。

もっと踏み込んだ質問や要求を受けるかもしれないと戦々恐々していた我々は内心安堵していた。

…これについては答えもシンプルだ。

嘘をついたり、捻じ曲げたりする必要もない。

我々の目的は当初から変わらない。

 

「この地で生き残ることです」

 

「生き残ること…?」

 

レヴラスが眉を寄せた。

向こうにとってこの単純な答えは予想外だったらしい。

突然現れて武力を振りかざす集団が一体何を考えているのか、私も彼と同じ立場なら同様の疑問と危機感を感じるだろう。

しかし、その実我々は妙なことを考える余裕などなかった。

とにかく命を先に伸ばすことしか考えていなかった。

接触計画でさえその一環でしかない。

 

「我々はそれ以外に気が向かない状況にいます」

 

「…我々はこの世界のものではなく、転移してきた…と私は考えております」

 

ハンター、ライダーの面々がぎょっとしたように固まり、それぞれの中でざわめきが起こった。

疑いの声や説明を求める声も聞こえてきた。

こういうことはできるだけ正直に言うべし、という方針のもとにこの事は包み隠さず最初に言ってしまおうと思っていたのだが流石に無理があったか。

ただレヴラスとライダーの長だけは冷静にこちらを見ていた。

 

「信じがたい話かもしれませんが、どうか信じていただきたい」

 

「儂はその言葉、信じる」

 

今までこちらを観察するばかりで口を開かなかったライダーの長…メイサが立ち上がった。

レヴラスから受けたそれに近い威圧感を放っているこの立派な白髭を蓄えた老人はある種の確信を持ったような口で話し始めた。

 

「儂は若い頃に世界を見て回った。名のついていない大陸をいくつも渡ってきた。しかしその中でもおぬしらのようなものは見たことがない」

 

メイサは窓の外を指差す。

 

「この建物、その服、あの乗り物…儂は知らぬ。おぬしらが異界から来たというのならと儂の中で合点が行ったのだ」

 

「それならばこの世界の理を知らないことも仕方がないことだ」

 

長の言葉に納得したのか、ライダー達は頷いて静かになった。

ハンター達はまだ納得行かない様子ではあるが、これで大前提は全員が理解してくれたようだ。

 

「…そういう訳で、我々は異世界人なのだ」

 

私は思わぬ助け舟に感謝しつつ話し合いを進める。

…やっと進んだ。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「我らは誤解をしていたらしい」

 

やれやれ、と頭をかくレヴラス。

しかしその目から完全に疑いの色は消えていない。

背後に控えるハンター達も完全に納得しているわけではないようだ。

それでも話し合いが始まった当初よりは遥かにマシな帰結点にたどり着けたことは間違いないだろう。

 

「いえ、私達も誤解していた」

 

こちらから話したのは我々がどこから来たのか、我々の現状、外部との友好関係を結びたいこと、資源や採取物、労働力を対価として物資の援助を、ゆくゆくは交易をしたいこと。

特に争うことは絶対に避けたいということを強調して話した。

異世界に来てまで戦争などしたくはない。

 

逆に向こうからはこの世界のこと、モンスターのこと、彼らハンター、ライダーのことや文明、文化、歴史のことをおそらく要点だけではあるが知りたかった情報を教えてくれた。

ライダーの里がある方向のさらに遠くにはハンターやこの世界の平民たちが暮らす大きな街もあるという。

 

とまぁ、話し合いはおおむね円満に終わり、双方の誤解も溶けることになった。

総評として、話してわかる相手で良かった。それにライダーの長、メイサの後押しも大きかった。

双方の行き違いがあくまでも不幸なものであり、直接的な被害がなかったのも大きい。

 

言語や思想の違いも大きかったがそれの概要を少しでも知れただけで大収穫だと言えよう。

なんと言っても、お互いかつてのお隣の国の同類やら密猟者やら言い合っていたのが顔を向き合わせて談笑できるくらいには認識が回復できたのだ。

とにかく危惧していたような事態にならず終わったことは非常に喜ばしい。

 

「今日は私達の都合に応じて頂き感謝します…良ければですが、皆さんでお食事をしませんかね」

 

できるだけ、彼らには良い印象を持ってもらいたい。

これはこれから続くことになる…なってほしい、彼らとの関係の第一歩だ。

 

 




書く視点が増えた関係で2分割となりました
うまくダイジェストに纏めて単一視点から振り返る、というのがいい書き方なのでしょうが、いかんせん私には文才がない故…

ハンターってどの地域、団体でも思想等が統合されてますけど、ライダーって地域場所ごとにかなり異なるイメージです。
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