「もはや法律も何もねぇけどな!」
「規律はあるぞ!サボってないで働け!」
「ひぃ!」
駐屯地西部 仮設農場
三壁一等陸士
「よっ!」
肥えた土に振り下ろされるのは間に合わせの素材で作られたクワ。
ドーザで大まかに形成した畝の形をこれでうまい具合に整えて行くのだ。
…なぜ武器課の俺が農作業などやっているのか、これにはちゃんとした理由がある。
これはもちろん口に入れるための大切な食料を生産する畑でもあるのだが、俺がここにいるのは武器課のニーズを満たすものを生産できるという理由からだ。
アイルーたちから貰ったこの世界の特殊な植物、その名を『火薬草』。
見た目はやや肉厚なサボテンのような多肉系植物(それ系のものと比べると少し薄みがあるが)。
その特筆すべき特徴とは…
火薬成分を微量に含む、という事だ。
詳しい事は分からないが、化学科からちらっと聞いた話では地中の成分を吸い上げて植物体内で火薬成分を合成しているとか、特殊な光合成を行って硝酸から火薬成分を作り出しているとか。
とにかく抽出してそのまま使えるレベルの火薬が採れるサボテンという規格外の植物なのだ。
しかも多肉系の例に漏れず非常にタフで葉っぱから次の葉っぱを出してどんどん増えるため採取も容易、増やすのも簡単らしい。
生育条件は寒冷地には向かないが温暖な気候ではよく育つと言われた。
…ものすごい草だ。
こんなものが普通に生えていて陳腐化しているなんて、つねづね異世界に来たのだなと思う。
もしも地球にこんな草があったならば早々に危険物として規制され、大麻のような扱いを受けていただろう。
んで裏社会で流通したりしていたかもしれない…
とにかく炸薬を求めてやまなかった我々武器科にはとんでもなくありがたい代物。
さらに化学科の協力で成分を抽出し濃縮、少量試作した火薬草製の炸薬は通常の無煙火薬より少し威力に劣るものの使用には問題なく煙も多少多い程度。
改良を加えればさらに威力を高めて煙の問題も解決できるかもしれないと化学科隊員たちは興奮して語っていた。
あの様子ならば実用化も遠くないはずだ。
武器科としてもこの基地の自衛隊としてもライフライン問題と並ぶ非常に大きな問題だった弾薬問題の解決の糸口が見えたことでだいぶ肩の荷が下りた感じだ。
あとはこれが育つのを待ち、採取して火薬成分を抽出し炸薬を生産すればよい。
くそ、待ちきれねぇ…
成長は早い方らしいので一朝一夕とは行かずともしばらくすればに成果は出るだろう。
「作らなきゃ」
そうなればいよいよ本領発揮である。
…そういえば、アイルーたちはこれが食用にもなると言っていた。
火薬成分を含んだ草を食うというのは少し気が引けるが、食べられるのならば食料としての運用もアリかも知れない。
それに抽出後に残った葉の使いみちもできるかもしれない。
いざ実食。
………
………………?
「!!」
かっ…
「かっっっっら!辛っっ!」
その後5日の間俺の口の中には痛いほどの辛味が残り、二度と火薬草を生で食ってみようとは思わなかった…
モンハン不思議作物シリーズその1。
化学科の努力により火薬草のみからそこそこ高性能な火薬を作ることに成功。はじけ魚はいらなかった。
投稿者は農大生です。(どうでもいい)
就活が近く投稿頻度が落ちそうなのが悩みの種。