自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「ほぅ、ここが噂の…」

「見たことねぇもんだらけだ」


2話 異文化交流①

駐屯地 開拓エリア

佐島一等陸士

 

 

バタタタタタタ…

ヘリコプターが基地の上空を横切る。

木々が風に揺れ、鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

「重労働だねぇ…」

 

接触計画に一区切りがついて開発計画も軌道に乗り地ならしが進む中、俺たちを待っていたのは今までより一層忙しい毎日だった。

内訳は資源貯蔵庫の設営や畑や精製器を始めとした生産施設の設営、整備、点検など一部は自衛隊の仕事の範疇から外れているものもある気がする。

 

「今はコレに集中できるもんな」

 

それでも対外警戒に忙しかった頃と比べれば安心して過ごせる分ありがたい。

先日発表された駐屯地及び分屯地周辺の安全が確認されたという情報は俺を含めた隊員たちの間に多大なる安心感をもたらしてくれた。

 

「で、復帰した同僚に労いの声とかねぇのかよ」

 

「おじいちゃんさっき言ったでしょ」

 

同僚の長野が怪我から復帰して再び冗談や噂を言い合いながら片手間に…じゃなくて楽しく仕事ができるというものだ。

そんなある意味日常が戻ってきた俺たちだが、いくつか以前と違うこともある。

 

「………」

 

日本語で談笑する俺たちをジッと見つめる甲冑姿の大男。

その背中には100キロぐらいありそうな金属の大剣を背負っている。

コスプレのようにも見えるがこれが彼らの装備であり多分背中の剣も本当に100キログラム以上ある。

その正体はつい最近行われた対外接触計画により正式な交流がスタートした現地人勢力、ハンター。

 

『こんにちは』

 

『やぁ、こんにちは』

 

現地語で話しかけると彼は兜のバイザーを上げてニッと笑い、挨拶を返してくれた。

正式な交流が始まったことでこの駐屯地の存在がこの世界の一部に知れ渡ったらしく、新しい商売先や珍しいもの見たさで商人やハンター、ライダーがぽつぽつとやってくるようになったのだ。

比率はだいたい7:2:1でハンター、商人、ライダーとハンター率が高い。

聞いた話、相手側では彼らハンターのまとめ役の組織、ギルドが主体となって交流計画を進めているようなのでハンターが多く来るというのはある意味自然のことか。

…見た目はめっちゃ不自然だけど。

 

『面白いな君達は』

 

『我々からすれば、貴方達もだいぶ興味深いです』

 

ハンターというのはその身一つでモンスターを狩猟し生計を立てる職業らしい。

あの重そうな装備を身にまといながらも素早い身のこなしで大きなモンスターも仕留めてしまうというのは俺達からしたらもうどちらがモンスターなのかと言いたくなるが。

聞いたところでは単独での狩猟任務はあまりしないらしいがそういう問題じゃないと思う。

 

『みんながみんなそうってわけじゃないぜ』

 

ただやはり人によって向き不向きがあるためにすべてのハンターがモンスターを薙ぎ倒しているような事はなく、所属するギルドから仕事を斡旋されて適所で働いているとか。

彼も普段は採集や警備などの仕事をしているらしい。

 

『あまり堅いイメージを持たないでくれ』

 

彼は俺達が少し身構えているのに気づいたのかそう言って首を振った。

彼曰くハンターはこの世界のなんでも屋、困っている人を助ける仕事だと。

 

『解釈は色々あるが、俺はそう思ってやってるよ』

 

大抵のハンターは掲示板に張り出された依頼や個人的な頼み事を解決して生活していて、彼もあてがわれた仕事が無いときはそうやって過ごしているらしい。

 

『まぁ総意だとは思わないでくれ…いろんな考えがあるんだ』

 

彼が浮かべたそのなんとも言えないような表情からは複雑な感情が読み取れる。

下手なことを言えない気分になった俺達はしばらくの間黙っていた。

 

『おーいマークス!ここに居たのか!』

 

そこにもう1人ハンターがやってきた。

こちらは軽装の鎧に大型の銃器…ボウガンを伴っている。

彼らの装備や武器については問題を避けるためなるべく制限しない方向で行っているが、目の前で巨大な銃を見せられてビビらない人間は少なくともこちら側では知らない。

ボウガンを凝視する俺に気づいたそのハンターは背負ったボウガンを少しずらして体の後ろに隠した。

 

『コイツが気になるか?』

 

『ゼイル、彼らをからかうんじゃない』

 

マークスと言われたハンターに注意されたハンター、ゼイルは肩をすくめて一歩後ろへ下がる。

マークスが言うには彼は腕のいい『ガンナー』であり、二人のコンビでいつも依頼をこなしているそうだ。

この駐屯地へとやって来たのは交易の提案をしに来た商人の護衛だという。

 

『口は悪いが良いやつなんだ、勘弁してやってくれ』

 

『おいマークス、そりゃないぜ…ってこんなことしてる場合じゃないんだよ、お前を呼びに来たんだ』

 

『そうなのか?…ジエイタイの人、悪いな。俺達は行くよ』

 

マークスは申し訳なさそうに頭を下げ、ゼイルとともにその場を離れていった。

最後に手を振り合って彼らの姿が見えなくなると俺達は詰めていた息を吐いて知らぬ間に入っていた肩の力を抜いた。

 

「これが新しい日常だな」

 

「なかなか賑やかじゃないか」

 

「慣れねぇや」

 

「そのうち慣れるさ」

 

ハンター達をはじめとした外からの訪問者が加わった新たな日常、案外楽しくなるかもしれない。

マークスが言っていたようにこの世界の人間も色々いるようで簡単には測れない事が多く、地球であったような厄介事に絡まれることも起こり得るだろうが…

 

「いい人たちだったな」

 

「ああ」

 

そのことを考えるとあまり良くない気がしてきた。

何事も人が絡むと厄介になるのはきっとどこへ行っても変わらないのだろう。

だがとりあえず、いい人もいる。

その事実だけでいい。今は安全の喜びと未来への展望に浸らせてほしい…

 

そういえば、名乗り忘れたな…

 




ちょっと構成に手間取りました。
人の交流スタート。
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