自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「漁村が巨船と取り引きしていると?」

「あれには人間が乗っています」


8話 交流の裏で

調査キャンプ 天幕

フレキ

 

 

ジエイタイとの会談から2週間。

先鋒的な調査と接触の任務が終わり役目を終えたこのキャンプと俺たち調査隊のハンターにはさらなる任務が課された。

 

「本調査キャンプは今後、かの里との中継拠点となる。引き続きの勤務だがよろしく頼む」

 

団長がギルドからの命令書を片手に俺たち全員に告げると天幕には好意的な声や落胆の声、相槌や文句など様々な意見が響いた。

元よりすぐに帰れるものとは思っていなかったが、今回の事例の特殊性を鑑みればかなりの長期任務になることが必至、反対意見が出ることも頷ける。

 

「静かに!話は最後まで聞くものだ」

 

団長は少し笑って言葉を続ける。

調査キャンプは正式な中継拠点としてライダー等に配慮しつつ再整備し、拠点化に伴い勤務条件も交代任期制になること、皆が思っているような長期任務の心配は無いこと。

 

「拠点化期間が終われば本部から派遣メンバーが来る、あとは残りたい者だけ志願してくれればいい」

 

「それを先に言ってくださいよ!」

 

今度は天幕に笑いの声が響く。

彼ら(自衛隊)との接触前に比べると同僚達の間に流れる空気はだいぶ和やかだった。

彼らとの話に折り合いがついたことは調査団のハンター達の心理的負担を大いに軽くした。

考えればそれもそうだ。密猟者か未知の攻撃的勢力だと警戒していたのがそうではないとわかったのだ。

剣を交えて人の血を流すことなく平和的な解決ができたことは喜ばしい。

 

そういえば直近に彼らと接触した際、彼らの間の空気もだいぶ柔らかくなっているように思えた。

気が張っていたのはお互いさまだったようだな。

 

その後団長はいくつか確認事項を述べてから俺を含めた数人、ギルドナイトのメンバーのみを残して会合を解散した。

 

「さて…言わなくてもわかっていると思うが、お前たちは継続勤務だ」

 

「そんなぁ」

 

「当たり前だろ!」

 

アルが少し肩を落として言うが冗談のようだ。

それを言えるくらいには今は余裕がある。

だがこれからはどうだろうか。

 

「冗談はこのくらいにして"本題"だ。今後彼らと付き合っていく中での方針と対応、我々の次の行動を決める」

 

それを聞いた皆は着衣を正して真剣な顔になり、団長が懐から取り出したギルドの報告書に目を落とす。

そこには彼らに対して取って欲しい行動や集めてほしい情報などギルド側からの今後の対応要求が記されていた。

交易の開始と人と物の流通、交換、交流。

同時にそれらが増えすぎないよう制限も行い慎重に友好的に接するようにとの基本方針。

さらに協議を行った上で依頼の斡旋と協力の要請、もし可能であればかの里を補給地点として使用できるよう交渉。

さらに並行して彼らの思想改革。

ハンターの理念と自然との付き合い方、そしてそれを軽んじかつて滅んだという神話文明の戒めを教えること。

 

「まぁ、だいたい我々が今からやらなくてはならないと息まいていることと同じですな」

 

「しかしギルドからのお墨付きが出たわけだ」

 

俺自身は最後の意識改革については微妙な反応になってしまった。

仲間はだいぶ納得して、少し強硬派なところがあるヴェザに至っては激しく頷いているが…俺は、うまく行かない気がする。

彼らの考え方がだいぶ違うというのはわかっていたし、会談である程度の相互理解が進んで偏見の類は少なくなったがまだ何か根底で抜けているものがある気がする。

平和を愛するという彼らが多くの武力を持つ理由や、安全だと知らされてもなお外に武器を向け続ける理由、安全を知らされてあそこまで喜んでいた理由など気になることは多い。

接触以前に偵察で確認していた彼らの情報を纏めて、改めて話を聞きに行くか。

 

「だが前向きな話ばかりではない…」

 

半分暗部のようなものである俺たちだけにする話というのはもともとそういうものだろう。

俺は覚悟を決めて聞くことにした。

 

「彼らの戦力の詳細の多くが不明であり出自についてもほぼ知ることができていない。彼らは場合によっては脅威ともなりうる」

 

ノリスはやや遠慮気味に、ヴェザは深くうなずいた。

 

「そこで友好的に接しつつも彼らの動向に注視しわかったことがあればすぐに報告、情報を集めて常に目を光らせておけ…との事だ」

 

「まだ腹の探り合いを続けるんですか?」

 

「確かに会談では折り合いがついたかもしれんが、まだ正体については謎のままだ。ギルドは彼らを警戒している」

 

不満そうに述べるアルだが、団長、もといギルドの意向にも一応の納得は行く。

直接会うのと話を聞くのは違うように、ギルドの方では彼らに対する認識がまだあまり良い方向には行っていないようだった。

この件はあまりことを急ぐのは良くないし、急いだとして解決する問題でもない。

時間をかけてゆっくりと信頼を形成していかなければならないだろう。

 

「彼らに全幅の信頼を置くにはまだ早急だということだ…そうだろう、フレキ」

 

「はい、この件は時間をかけるべきです」

 

早急に動かねば解決しない問題もあるが、時間がなければ解決しない問題もあるのだ。

 

「さて…手始めに、彼らに簡単な依頼をしようか」

 

…そして、まず歩み寄ることも重要だ。

 




気づけば合計10万字、4万UA行っていて驚きました。
観覧、評価、感想など本当にありがとうございます。
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