自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

60 / 86
「さっきから爆音がするんだ」

「ハンターが何かしら狩猟してるんだろ」


10話 環境不安定①

駐屯地より5km地点 大森林

佐島一等陸士

 

 

「なんだこいつ!?」

 

きのこ狩りをしていた俺達の目の前にいきなり躍り出てきたモンスター。

オレンジと紺の体色、体のあちこちに生えた羽毛、そして尻尾の大きな…

 

ドスッ!

 

「危ねえ!」

 

尻尾の先の大きなカギ爪!

とっさに躱さなければ腕を持って行かれていた。

ジャギィでもランポスでもない、話に聞いたイーオスでもゲネポスでも…ちょっと話の中のゲネポスに色とか口の端から飛び出した牙とかが似てる?

よくわからん見たことのないモンスターだ。

一旦ゲネポスもどきと呼ぶことにしたこいつはかなり手強い。

その手の小型モンスターとの戦闘を経験していたことと転移前に比べ3倍以上に行われるようになった近接戦闘訓練によってなんとかいなせたが諸々の経験がなければさっきの一撃で戦闘不能になっていたかもしれない。

 

「密集せよ!」

 

ゲネポスもどきはというと俺達が陣形を組んだのを見て一旦後ろへ、6mほど下がってこちらの様子を伺っている。

その数は3…4匹、4匹だ。

こちらはきのこ狩り依頼のメンバーとして俺と長野、普通科の同僚たちが6人、アイルーが2人の計8人と2匹だがどうなるか怪しい。

ゲネポスもどきは密集陣形を組んだ俺達の周りをうまく包囲するように立ち回り、ジャギィやランポスと同程度の大きさながらも無被害で勝つのは難しそうだ。

いや、難しくてもやるんだ。

 

「準備…」

 

俺は愛銃のグリップをかたく握りしめる。

安全宣言や最近の平和な雰囲気で気が抜けていたところもあるが、それでも俺達は"いざというときに戦う力"を持っている。

というよりも、俺達自身がその力だ!

 

「防衛射撃!」

 

「撃て!」

 

タンッタタンッ

ズガガガッガガガガッ

 

放たれた弾丸は素早く身を翻したゲネポスもどきに躱され…ない!

 

ギャアッ!

 

ゲネポスもどきの胴体に複数の弾丸が着弾し鮮血が吹き出す。

発砲音に怯まず身を動かしたあたり、ボウガンを持ったハンターとの交戦経験があるか群れで情報が受け継がれていたのだろう。

だが経験と訓練を重ねた俺達のライフル弾を簡単に躱せると思うな!

 

グオーッ!

 

「来るニャ!」

 

と、一匹がさっきやったようにカギ爪をちらつかせて飛び込んできた。

隊員たちはすぐに着地地点から遠ざかり、それに合わせて後ろから飛んできたもう一匹に照準を合わせる。

 

「てぇ!」

 

タタタンッ

ズガガガッ

 

グァッ!?

 

正面から7.62mm弾と5.56mm弾の閃光を浴びたそいつは首周りをズタズタに切り裂かれて卒倒し血を吐いてもがき苦しんだ。

攻撃を外したゲネポスもどきはその様子を見て激昂し大振りな動きでカギ爪を振り上げ…

 

ズガンッ!

 

バシュ!

 

たところに長野が狙いすました一撃を放ち、顎の下から斜め上に入射した弾丸に脳髄を吹き飛ばされたゲネポスもどきはカギ爪を振るうことなくぐらりと崩れ落ちた。

最初に胴体へ攻撃を受けた手負いのゲネポスもどきはピンク色の肉片が飛び散るのを見て一歩後ずさる。

 

「手榴弾!」

 

俺たちはそのスキに手負いのゲネポスもどきと同じ方向にいた無傷の一匹めがけて破片手榴弾を投げ込み全員で距離を取る。

 

グァオゥ!

 

「うおっ!」

 

しかし一石二鳥とは行かず、手負いの一匹が俺の隣にいた隊員に追い縋って攻撃を仕掛けてきた。

隊員は咄嗟に銃で受け止めたがカギ爪に銃が両断されてしまい、そのまま振り下ろされた爪で肩に斬撃を受けた。

しかし意に介さずに真っ二つになった89式を捨ててローリングで距離を取り素早く拳銃を抜き、射線が通ったところで射撃を開始した。

 

タタタタンッ

ズガガッ

パンッ

 

頭を狙った執拗な銃撃で中枢神経を破壊されたゲネポスもどきはバタリと倒れ込んであっという間に動かなくなった。

 

ズドォン!

 

グァ…オ゛…

 

破片手榴弾の破裂音に合わせてうめき声が上がる。

現場を確認すればこちらの動きを制限するように飛び回っていた無傷の個体が半身を両断された形で転がっていた。

 

「敵を撃破!」

 

 

 

敵の殲滅を、あるいは状況の終了を告げるその声が俺を現実へと引き戻す。

ああ、俺、俺達は、やったんだな…やったんだよな?

汗だくになっていた手を何度も握り直す。

倒したはずの敵を何度も見て確認する。

久しぶりの、平和宣言後の、依頼中のいきなりの襲撃に内心死ぬほど驚いた俺はアドレナリンが出まくってコンバットハイになっていた。

隣で肩で息をしている長野も、銃剣で死体をつついているあの隊員もそうだろう。

警戒しているつもりでいて、やっぱり平和な気持ちでいたらしい…何度目だよ、クソ。

そろそろそんな気持ちは完璧に抜けただろうと思っていたのだがそうでも無かったと言うのか。

この意識はかなり根底からのものらしい。

 

「無線を使わせてくれよ」

 

「動いちゃダメだニャ…」

 

肩を切られた隊員は傷は浅そうではあるがそこそこ出血している。

アイルーたちの応急処置を受けて当分は大丈夫かもしれないが、早いところ衛生科に診てもらったほうが良さそうだ。

幸い、会敵した時点で無線で本部へ連絡はとっているのでそろそろ迎えのヘリが来るはずだ。

 

バタタタタタタ…

 

そんなことを言っているうちに2機のヘリが来た。

空気を叩きつける音とともに強い下向きの風が吹き付けるなか、ドアガンナーが念入りに周囲を睨んだあと数本のロープを俺たちのもとへ垂らす。

 

「負傷者を先に!」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

そんなこんなでヘリに回収された俺たちは眼下の森を眺める。

安全宣言とは何だったのか、いきなり現れた同じ種類のモンスターに依頼任務中の部隊が襲われているらしい。

無線からはそれに関する報告がひっきりなしに入り、それを聞かされる俺たちは戦々恐々としていた。

 

「佐島、またあんなことにはならないよな?」

 

長野は本気で不安そうだ。

あんなこととはやはりあのジャギィの大規模襲撃のようなことだろうが、どうなるかなんてわかりっこない。

この安全宣言下の謎の襲撃も全貌が全くつかめていない。

ちょうど通り過ぎた駐屯地も明るい雰囲気から急転直下でピリピリとした空気に包まれているようだった。

 

「…今度は俺が庇ってやるよ」

 

「期待しないでおく」

 

笑えない冗談をかまして向かう先は直通道路。

依頼任務から期間中き襲撃を受け、一番激しい攻撃にあっているらしい。

そういえば、あの輸送任務には武が…

 

〈応答してくれ!重症者が出た!〉

 

この声は武の同僚だ。かなり焦ったような…

…まさか!?

 

 

〈野川武一等陸士が奴らの親玉にかっ捌かれた!〉

 

 




最新作からの参戦。
例によって戦闘は複数回に分けます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。