自衛隊inモンハン 異空の守り人   作:APHE

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「お前が逝のうとギルドは感知しない、分かっているな」


3話 ふたつの作戦 ②

駐屯地 司令室

陸奥陸将

 

 

今頃会議室では作戦内容を確認しているのだろうか。

無作為に選ばれた隊員たちとアイルーに深い意味はない。彼らには語られた作戦をそのまま実行して貰えればいい。

その上でライダーとの軋轢を解消できれば万々歳、だ。

 

重要なのはその時間に自衛隊が動いたという事実のみ。

 

現在進行中の共同調査はハンターズギルドとの関係改善の上で非常に重要なものだと認識している。

しかし、彼らはひとつの国家組織だ。

ただの調査で満足して再び信頼を向けることはないだろう。

 

「…………」

 

私は憤る。

自衛隊に入隊したきっかけは純粋な愛国心。ただこの国(日本)が好きで、守りたいというだけだった。

しかし自衛隊が1つの組織である以上、そして同じく組織である国家を相手にする以上、簡単で純粋なだけの思いが全ての行動の理由にはならなかった。当たり前だ。

しかし、それでもとかざしていた正義感が上の人間には目障りだったのか、結果的に私は整備拠点のような駐屯地へと飛ばされてしまった。

そのギャップを糧にしてここまで登り詰めたが、当時感じたやりづらさとやりきれなさは今でも覚えている。

 

それをまた感じている。

『仕方がない』という言葉に頼ればそれっきりではあるのだが、どうしても嫌気がさすのだ。

 

「実行は可能か」

 

私は隣に立つ隊員へと声をかける。

 

「準備は整いました、明後日の定刻に実行可能です」

 

「ご苦労、成功を期待している」

 

「はい」

 

漆黒の戦闘装備を纏った隊員は敬礼し、部屋を出ていった。

肩に揺れる短機関銃と減音器付きのライフルはその対象が何であるかをおのずと悟らせる。彼は特戦群だ。

必要なことだと分かっていても、気の進むことではない。

 

「…これで手に入れた平和は偽りだ」

 

「だが、私たちは今までもそうしてきた…これは地球でもやっていたことだ」

 

私は自分にそう言い聞かせて、デスクの資料を再び確認する。

 

 

共同調査チームの出発後しばらくして、対人警戒チームに基地へと迫るハンターの隠密部隊が発見された。

なんの事はない、探り合いが再開したことでよく見かけるようになったもの。領空侵犯機のように警告を受ければ引き返す。筈だった。

 

それは今までいずれかを受ければ引き換えしたはずの身振りによる警告、レーザー光による警告、最終警告の威嚇射撃をすべて無視して接近し、それでいて大人しく取り押さえられたのだ。

そうして取り調べてみれば彼らはハンターズギルドが直接寄越した連絡係、その任務はとある依頼を我々に持ちかけることだった。

 

「救出…とはな」

 

『商隊の救出』、それだけ言えば聞こえは良い。

だがその最終目的以外はすべてがきな臭いものだ。

ふた月ほど前に駐屯地の周辺で商隊が行方不明になったという話は情報科が既に掴んでいた。単なる噂として処理していたが、もしこれが事実でありその犯人が人間であるとしたらどうだろう。

 

ハンターズギルド直々にもたらされた"密猟者により商隊が拘束されている"という情報は幹部たちに激しい頭痛を起こさせるには十分だった。

 

密猟者とは即ちこの世界における犯罪者の代名詞であると前回の会談でレヴラスの口から聞いた。

ハンターズギルドの法を守らずモンスターを不当に狩猟し、時には人間にも手をかける。表の社会から締め出すように強く取り締まってはいるが、締め付ける程にそれは横暴になり人を標的にすると。

それが犯人だというのは分かった。

 

だがそれから商隊を救出せよというのは戦えと言っているのと同義だ。

戦え、つまり殺せと。我々の価値観では人間とモンスターとでは訳が違う。

軍組織であることを見込んだ依頼だと言うのか。

 

密猟者のような存在を取り締まるのがギルド直轄のハンター、ギルドナイトの仕事だと聞いた。そのギルドナイトからはそれがギルドの仕事だと聞いた。

それを以前まで密猟者と疑っていた勢力においそれと託すものだろうか。

我々を信頼してのことか?この近辺の管理を任せるためか?

表向きには平和を重んじる我々への正当な依頼、治安維持への協力を理由に挙げられたが答えはどれもノーだ。当然ながら裏があるだろう。

おそらく真の目的は対人戦闘組織である我々の、状況次第では彼らハンターの敵にもなり得る我々の戦闘能力を測ること。

緊急で開かれた会議ではほぼ満場一致でそう解釈された。

 

…そんな依頼を受ける必要があるのか。

我々にメリットはない。

しかし我々の領域内に近い場所に密猟者のアジトがあり、さらに商人を監禁している恐れがあるというのは到底許容できない。

 

幹部の意見は真っ二つに割れたが私は承諾する方を選んだ。

見返りとして提示された関係改善の保証と今後の不干渉の約束はどう考えても不釣り合い。

 

しかし求める平和のためには必要だ。歯がゆく、悩ましく、憎らしいことに必要なのだ。

本当に幸いなのは彼らギルドの影響が民間まで及ばないこと。

単純に我々を信じて讃えてくれるものがいると信じてこの依頼を受ける事にした。

この決定と緊急会議の内容を知るものは情報科隊員数名と各科幹部、そして特戦群のみだ。

 

「初の実戦(対人戦)だ」

 

複雑な感情を押し殺して窓の外に広がる森林の先、密猟者が潜伏しているという地点を睨む。

戦いなのだ。人死にが出るだろう。こちらにも出るかもしれない。だが特戦群の部隊を纏める彼はむしろ敵の戦闘能力を測ってくるので期待してくれと言っていた。

それが私を安心させるための言葉だということは分かっている。

しかし私は彼を信じた。

 

「…力がなければ、平和は守れない」

 

その力で、我々の平和を。

未来を守る。

 

 




機密依頼のことは完全にギルドの暗部の動きなので一般ハンターはおろかギルドナイトですら知りません
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