転生者の憂鬱   作:ウミノ シオ

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相変わらず、転生モノが好きな私です(笑)


キャラの口調とか、違ったら申し訳ない……

楽しんで頂けたら幸いですm(_ _)m


◆2024年9月2日(月)◆こっそり修正。
隊員総動員でラッド掃討してる時、防衛任務なんて無いよね……ゲート開かないようにしてるのに……今頃気づくとかorz


第1話

「なーんで……今、思い出すかねぇ……」

 

 はー……と、ため息を吐きながら鳴り止まない携帯端末を見る。

 空は腹が立つほどの晴天だ。

 

 

 学校の屋上でサボり、ちょいと昼寝をし――着信音で目が覚めると……前世を思い出していた。いや、甦った?

 端末の画面には『本部長』の表示――着信音の少し前に警報が鳴ったからそれのせいだろう。

 

 “本部長”といえば前世でハマっていたマンガ『ワールドトリガー』に登場する『境界防衛機関ボーダー』の本部長――“通常(ノーマル)トリガー最強の男”といわれている忍田(しのだ) 真史(まさふみ)が思い浮かぶ。

 

 高校生である俺の携帯に『本部長』で登録されているのは十中八九、“忍田本部長”だろう。

 俺、ボーダー隊員だし。

 

 

 『ワールドトリガー』の世界に転生した。思い出した(甦った?)のは今さっき。

 

 四年前、この三門市に近界民(ネイバー)が現れた。その時、俺は捕獲用トリオン兵(バムスター)に喰われそうになったが忍田さんに助けられ、ボーダーに――――入ったのは、それから二年後の高校に入ってからだ。

 

 

 いつまでも鳴り止まないスマホ(ボーダー支給の端末)に諦め、出る。

 

「はいはい、こちら()()()神戸(かんべ)くんです、どーぞー?」

《……もう少し早く出れなかったのか?》

「すんませーん、ゴハン咀嚼(そしゃく)してたんで~」

 

 してないけど。寝てたし。

 

《今居るのは学校だな?》

 

 無視か。

 

「そらまぁ……高校生ですし?」

《“トリガー”も携帯しているな?》

「……“謹慎中でも携帯しとくように”って言ってましたよね~? それに()()()()位置情報、確認 出来たと思いましたけどぉ?」

 

 トリガーは常に携帯しておくように言われている。

 今回は謹慎中だから家に置いててもいいかな~なんて思ってたんだけど……()()()()()()()()()携帯しておくよう言われた。

 位置情報は紛失・盗難にあったか確認出来るようにトリガーにGPS的なのが付いてる、らしい。

 でなきゃ、今連絡がくる訳がない。

 

 

 前世の()は平凡な喪女で。まぁまぁなオタクだった――が。今世は前世からは想像できない“問題児”“不良”になっていた――どうしてこうなった……?

 痛いことなんて嫌いなのに、今世は喧嘩三昧な日々を送っている。なんでや……ホント意味わからん。

 そしてボーダー隊員だ。

 今世の私、アグレッシブすぎるな?!

 

 んで、やらかす→ポイント減→やらかす……を繰り返した結果。今回、ポイント減と共に謹慎処分をくらった、ってなワケだ。

 ――何故にボーダー入ったんだよ、私ぃ……

 

 ……トータルでいったいいくつのポイント失った? 三千と五千。今回は一万だから……一万八千?

 ――今ポイントいくつだろ……

 

 

「つーか回りくどすぎ…… ――要件(よーけん)は?」

 

 十中八九、イレギュラー(ゲート)だろうけど。

 

《――警戒区域()に門が開いた。

防衛任務についている“嵐山(あらしやま)隊”が現場に向かってはいるが……》

「“現場に一番近いボーダー隊員”が()ってことね…… ――謹慎解除?」

《あぁ、そうだ。――神戸隊員、現場に向かってくれ》

「神戸、了解(りょーか~い) ――んじゃまぁトリガー起動するんで電話切りまーす。

情報なんかはそっちにヨロシク~」

 

 通話を切りながら学校の屋上から飛び降りる。同時にトリガーを起動、トリオン体(戦闘体)に換装。

 グラスホッパーを起動し、光りの板を踏んで移動する。

 視界の端に現場である中学校への最短ルートのマップが映る。記されたルートを走っていく。

 上空だから邪魔な障害物はない。

 そのまま速度を上げていく。

 

 うーん……このまま行くと――原作介入になる、のかなぁ?

 

 ()()()()()介入したくないんだよね。関わることで原作が変わるとか嫌だし、予測し(にく)くなるだろうし……。

 けど、行かないワケにはいかない。人死には()()のは()()()()()()が、ボーダー隊員だから。

 

 ぐだぐだ思考を廻らせていると現場――“三門第三中学校”が見えてきた。が、グラウンドに人が多くいる。

 ん? コレって既に空閑が戦闘用トリオン兵(モールモッド)を倒し終えた、ってことか?

 

 はっえ~

 

 いや……本部長と駄弁りすぎた?? ――無駄口、叩きすぎたかなぁ?

 

 けど……メガネくん(C級隊員)にトリガー起動させ(引かせ)ちゃったってことなんだよなぁ……

 

 

サイレンが鳴り、門が開く。

 

()()()()()()()()()()()()――――

 

 

 はぁあ?!

 原作はモールモッド()()()()だろ!? なのに門がもう一個開くだなんて……!

 

「――――ッ! “スラスター”ON!」

 

 攻撃手(アタッカー)用トリガー『レイガスト』の専用オプショントリガー『スラスター』を起動し、門から頭を出すバムスターに向かって行く。

 

 

 レイガストとスラスターを装備していたのは“A級8位 片桐(かたぎり)隊”の攻撃手『一条(いちじょう) 雪丸(ゆきまる)』と“レイガスト対戦”をした時のトリガー構成のままで謹慎になったためだ。

 ……何やってるんだろう、私。

 

 

 バムスターの一メートルぐらい手前に光りの板(グラスホッパー)を出し、それを踏んで跳ぶ。

 

「おっ……らぁぁぁ!!」

 

 バムスターの頭上に上がり、レイガストを突き刺す。

 トリオンを多く流し、レイガストの強度を上げ、刃を長くする。

 レイガストをバムスターに突き刺したままスラスターを起動、トリオン兵の弱点である()を斬るように飛び降りる。

 

 着地と同時にバムスターが倒れた。

 

◇◆◇

 

「神戸、現着。トリオン兵との戦闘、終了。沈黙、確認――もう残ってないでしょ?」

《トリオン反応はないわ。お疲れ様》

 

 耳に手を当て、本部に連絡、報告、確認を取ると本部オペレーターの沢村(さわむら)さんが応えてくれた。

 

「んじゃまぁ……“回収班”、お願いしまーす」

 

 倒したトリオン兵は構造を調べるためのサンプルになった後、トリオンに還元され基地の中に蓄えられる。そのために回収している。

 

 

 ふい~お疲れ、俺! 頑張った、私!

 

 それからほどなくして――

 

「これは……もう終わってる……?」

「嵐山隊、現着しました」

 

 嵐山隊の登場に「嵐山隊だ……!」「A級隊員だ!」と、生徒たちがざわめく。

 

 

『A級5位 嵐山隊』

 爽やかイケメンな隊長『嵐山(あらしやま) (じゅん)

 ツンデレ女子『木虎(きとら) (あい)

 出来るキノコ『時枝(ときえだ) (みつる)

 いつも忘れられる狙撃手(スナイパー)佐鳥(さとり) (けん)

 皆のお姉さん(私のイメージ)なオペレーター『綾辻(あやつじ) (はるか)

 

 ――の、四人の戦闘員とオペレーターで出来ている(チーム)だ。

 

 広報をやりながらA級5位にいる実力派チーム。一部からは“顔だけ”だの“マスコット部隊”だの言われているが……

 

 

 そんな『ボーダーの顔』が やってくれば、皆テンション上がって騒ぐことになるだろ。

 

 俺の時とは大違い……と苦笑いになる。まぁ、モブだし? 仕方ない、仕方ない。

 

「到着が遅れて申し訳ない!――負傷者は!?」

 

 トリオン兵を倒した人間が誰なのかの詮索を後にした嵐山さんは近くにいた教師たちに怪我人の有無を訊ねる。

 

「今、確認できました! 全員、無事です!」

「よかった……!!」

 

 手を上げ応えた教師のセリフに嵐山さんが安堵する。もちろん俺も。

 

「しかし……これは……」

 

 キョロキョロと辺りを見渡す嵐山さんと目が合う。

 

「神戸! 君が これをやったのか!?」

「お疲れ様っす、嵐山さん。“そうです!”って言いたいとこだけど……バムスター(コレ)は俺で、モールモッド(あっち)は俺が着いた時には倒されてた(あぁなってた)

 

 嵐山さんに問われた俺は、バムスターや学校の壁に立て掛けられるように置かれてるモールモッドを親指で指しながら答える。

 

「なんで神戸先輩が現場(ここ)にいるんですか!!」

「……本部長命令?」

「……」

 

 俺を見つけて噛みついてくる木虎。俺のセリフで眉間に縦皺が数本、増える。すんげー顔になってるぞ、ボーダーの顔。

 

 木虎は同級と年上には当たりがキツい。ナメられたくないらしい。

 マンガやアニメで見てた頃は「うわぁw」って思ってたけど、実際にやられる立場になると……まぁムカつくよね?

 ツンデレも二次元に限る、だな。

 

「じゃぁ、一体、誰が……!?」

 

 一人の少年――メガネくんが一歩、前に出てきた。

 

「君か……?」

 

「C級隊員の三雲(みくも) (おさむ)です。他の隊員を待っていたら間に合わないと思ったので……自分の判断でやりました」

 

「C級隊員……!?」

「C級……!?」

 

 まぁ、うん。驚くよな~。すげーキレーに斬られてるし。まぁ、実際はメガネくんじゃなくて“傭兵近界民”空閑なんだけど。

 

 嵐山さんたちが驚く意味が分からないからか、C()()()()が何なのか分からないからか、生徒たちがざわざわしだす。

 メガネくんは固唾を飲むかのように沈黙する。そんなメガネくんの肩に嵐山さんは両手を乗せた。

 

「!!」

「そうだったのか! よくやってくれた!!」

「……え?」

 

 メガネくんは嵐山さんに褒められて鳩が豆鉄砲をくらったかのような顔になる。

 怒られると思ったんだろうなぁ……まぁ、普通なら怒られる案件だもの。当然だ。でも、嵐山さんはそんな人じゃない。『街の安全が第一!』な“忍田本部長派”だからな。

 

 因みに。『楽しければ、どうでもいい』だった俺だけど、前世を思い出して『安全、安心が一番!』がプラスされた()は、“本部長寄りの中立”だ。

 

 

 本部から通信が入る。相手は本部長だ。

 

《神戸、現場を嵐山隊に任せて本部に来てもらえるか?》

「え? えぇ?」

 

 くぉれは……お説教ですかねぇ…………イヤだなぁ……

 

 俺が本部長と話していると木虎が機能停止になったモールモッドを攻撃手用トリガーの一つ『スコーピオン』で切り刻んだ。

 え、何事? 何が、どうして、そうなった?

 

「できますけど。でも私はC級のトリガーで戦うような馬鹿な真似はしません」

 

 あぁ、アレか。モールモッドが一撃で見事に倒されてたから嵐山さんが「木虎(おまえ)なら出来るか?」って訊いたやつか。

 

「神戸、了解(りょーか~い)……はぁ……」

 

 通信を切る。

 

「神戸も?」

「ま、普通()()らないよね――出来なくはナイけど」

 

 C級のトリガーは出力が低く設定されてるからそれで戦おうとは普通なら思わんな。

 

「そもそもC級隊員は訓練生――訓練以外でのトリガーの使用は許可されていません。彼がしたことは明確なルール違反です。

嵐山先輩、違反者を褒めるようなことはしないでください」

 

 木虎のセリフに生徒たちが「訓練生……?」「違反者……?」とどよめく。

 

 C級が本部外でトリガーを使用するのはルール違反だ。確かにそうだけど……

 

「あぁ、俺があと5分……いや、10分早く着いてればよかったのか。――なんかゴメンね、メガネくん」

「え、いや……」

「なんで神戸先輩が謝るんですか!?」

「いや、だって……正隊員(俺たち)の到着が遅れたからメガネくんはトリガーを使用せざるを得なかった、ってことだろ?」

「うぐ……」

「確かにルール違反ではあるけど結果的に市民の命を救ったわけだし……」

 

 嵐山さんのセリフに「そうです!」「三雲先輩はおれたちを助けてくれたんです!」と生徒たちが訴えかける。

 生徒たちの訴えにメガネくんは冷や汗を流す。罪悪感を感じてるのかね……真面目さんだなぁ。

 

 

「……えーっと、嵐山さん。あと任せちゃって良いです? 俺、本部に呼び出されちゃって……あ、回収班は呼んであるんで!」

「あぁ、わかった。あとは任せてくれ!」

 

 嵐山さんに、本部に呼び出されたことを話し、中学校を離れた。

 

 木虎って意外とお喋りさんだからなぁ……まだまだ話が続くし。

 いや、でも。空閑に言い負かされるとこは見たかったかも~(悪い顔)

 

 

 

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 ――――散々だ……ッ!

 

 呼び出しに応じて本部に行くと――本部長だけじゃなく他の上層部もおった。いや、連れていかれた部屋で気付けよ! って話なんだけどな。マイガッ!

 チクチクねちねちと……

 喧嘩だって売られたから買っただけだし……? それが駄目だ! って。

 ……うん。私の記憶が甦ったから多分もうシナイヨ?

 

 説教と報告で精神的にへろへろになってるけど、学校に戻んないとな~って出入口に向かってたら学校に居るはずの米屋に捕まった。

 なんで居るんだよ、五時限目じゃん!

 ……まぁ、対人戦の勘を取り戻すのに丁度良かったけど(ポイントがっぽり!)――おかげで放課後になっちまったがなッ! 散々だ!

 

 

 学校に戻り、鞄を持って家に帰ろうとしたら――緊急警報が鳴り……門が市街地に開く。

 出てきたのは空を飛ぶトリオン兵――爆撃用トリオン兵(イルガー)だ。

 

 ……行かないとダメか? ダメだよなぁ……

 

 トリガーを起動し、グラスホッパーで跳んで(かけ)る。

 

◇◆◇

 

 四年半前を思い起こさせる爆撃跡――

 

 ニュースなんかで見る戦時中や紛争地のような有り様だ。

 近界民と戦争してる訳だから三門市も紛争地っちゃー紛争地なんだけど。

 

 しっかし、景気良く爆撃してくれやがったな。

 いったい玄界(こっち)が何をしたってんだ。――あぁ、アフトはボーダー(こっち)の動きをみてるんだったか……? チッ、いい迷惑……

 

 

 イルガーへ向かっていくと――市街地に向かっていこうとしているところだった。うわ、ギリギリ……

 

 イルガーの上にいると思われる木虎に内部通信を入れる。

 

《そこを退()け》

《え? 神戸……せん、ぱい……?》

イルガー(そいつ)と一緒に叩っ斬られたくなかったらとっとと退()け、木虎》

 

 涙声な木虎とか、ちょっとレアだけど。優しく言ってやれないが緊急事態だ。悪く思わないでくれよ。

 

 ふむ? レプリカ先生は何処にいるのかな……?

 

 

 米屋とのランク戦前にトリガー構成を変えた(元に戻した)

 攻撃手用トリガーの一つ『弧月(こげつ)』――これならイルガーを叩っ斬ることが出来るはずだ。俺の攻撃力は太刀川さんぐらいあったはずだし……

 

 グラスホッパーで近づき、木虎がイルガーから離れるのを確認する。

 

旋空(せんくう)……」

 

 太刀川さんが原作でやっていた場面――ボーダー本部の屋上からグラスホッパーを使ってイルガーを旋空弧月で叩き斬るのをイメージする。

 『とりまる』も原作でメガネくんに言ってたからね。“イメージが大事”だって。

 

「――弧月ッ!」

 

 トリオンを消費して攻撃を拡張させる弧月の専用オプショントリガー『旋空』を放つ。

 イルガーに斬撃を食らわせ、空中爆破に成功した。

 

 原作介入したくないって言っといてコレである。

 原作主人公のメガネくんたちに遭遇し(あっ)ちゃったからなのか、こんな時間まで本部に足止めされた感あるし…………気のせい?

 

 う~ん……アフト戦の本部攻撃(イルガー)がどうなるかが気になるな。

 増量とか勘弁なんだけど……

 

「あ」

 

◇◆◇

 

 

「あー……ヒデェ目にあったぁ……」

 

 うっかり足場作る(グラスホッパー出す)の忘れて川ポチャした。

 トリオン体だから溺死するとかはないけど……水、飲んじゃった。うへー……

 

 川岸から上がると木虎が市民と対峙していた。すまねーな、使えない年上で。

 

「お? たしか……かんべ、さん?」

「あ? あぁ、昼間の……」

 

 『空閑遊真 に 遭遇 し た !』なんてRPGで敵にエンカウントした時みたいなテロップが脳内に浮かぶ。

 

 服から水滴がポタポタ落ちるのが煩わしくて絞ってると空閑がやってきた。

 

 知らないふりってのも嘘になるのかな……? だとしたらやっべー。副作用(サイドエフェクト)に引っかかんないように喋んないといけないとか……面倒(めんど)っ!

 

「空閑ッ! ――と、ボーダーの……」

神戸(かんべ) (みなと)、18歳。高校3年のB級ソロ……ヨロシク~

しっかしキミら。日に2回もイレギュラー門に巻き込まれるとか……今日は厄日か何か?」

 

 メガネくんが勢いよくやってきたが、俺が視界にはいったからか落ち着いた。

 そして俺にもブーメランだった。厄日だな……

 

「C級隊員の三雲です。あの……神戸先輩はなんで濡れてるんですか?」

「おれも気になってた」

 

 二人の視線が痛い。

 トリガーを解除すりゃ、キレイさっぱり乾いた状態(生身)になるワケだけど。

 

「訊いちゃうかー……まぁ、何てことはナイんだけどね? 爆撃型トリオン兵を斬って爆破した、までは良かったんだけど……うっかり足場作るの忘れちゃってね~――池ポチャならぬ川ポチャですよ」

 

 実際はバッシャーン! だったけど。

 

「おぉ……アレやったのカンベさんだったのか! すごいな」

 

(そんなに凄いのか?)

(自爆モードのイルガーを斬るのはなかなか骨が折れるんだ。あの場合は川に落とすのが一番楽かも……被害も最小限に抑えられるだろうし)

(そうなのか……)

 

「いやいや、それほどでも……」

 

 空閑にこそっとメガネくんが訊ねる……が、お二人さん。内緒話が丸聞こえですよー。トリオン体は生身より身体能力上がってるんだからさぁ……。

 苦笑しながら返答する。

 変に突っ込みは入れない方がいいな。サイドエフェクトに引っかかって揚げ足をとられかねん。

 

「神戸先輩」

「おぉ。市民への対応、お疲れ~」

「仕事ですから」

 

 トリガーを解除し、生身に戻ったところへ木虎が市民の対応を終えてやってきた。相変わらずツンツンしている。

 

「――神戸先輩、先程はありがとうございました。助かりました」

 

 礼を言う木虎に驚き、目を見開く。ツンがデレた……?!

 

「? 先輩……?」

「いや……お前が素直に礼を言うから驚いて……」

「むっ! 私だって私の方が悪いと思えば謝罪だってするし、お礼だって言います! 私をなんだと思ってるんですか!?」

「プライドが高い真面目さん、かな~」

「馬鹿にしてます?」

 

 いやいや、空閑もメガネくんも驚いてるよ? 素直に認めるとは思ってなかったんだろうな。俺もだ。

 

 

 俺はメガネくんたちと共に本部へ向かった。

 

 

◇◆◇

 

 

 本部に戻った俺は報告書を書いて提出。つっても、俺が対峙したイルガーは自爆モードに入った状態のだから詳しくは書けないんだけど。だから『木虎からの報告書を参照』って書いといた。

 

 翌日、昼夜問わずの隠密偵察用トリオン兵(ラッド)狩り(小型トリオン兵掃討)に他の隊員と同じように参加し、汗を流した数日後、本部長に呼び出された。

 この時期に“呼び出し”とか、嫌な予感しかしない。

 

 

「……迅、さんの……手伝い?」

「あぁ、迅からの指名だ」

 

 本部長室に入って開口一番に「迅の手伝いをしてほしい」と言われた。

 

 案の定でしたー、ありがとーございますぅー

 …………拒否権ありますかぁ? ありませんねッ! 知ってますぅー

 

 迅さんから名指しとか――要らぬぇ……

 

「…………因みに、“拒否権”は?」

 

 念のため。念のために訊いてみた。

 

「無いな」

「で す よ ね ー」

 

 知ってたー! ド畜生がッ!!

 

 脳内で頭抱えていると、嵐山さんが本部長室にやってきて……そこで迅さんに外堀を埋められていることに気付いた。

 くっそー! バックレてやろうと思ったのにぃーーー!!

 嵐山さんが居たらバックレる(そんな)ことも出来ないじゃないですかー、やだ~

 

 

 

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 A級トップチーム(遠征組)が帰還した、運命の『十二月十八日』――俺は嵐山隊と共に迅さんが指定した地点へと向かう。

 

 本部で合流した時、木虎に驚かれた。

 俺だって行きたくねーよ! 誰が好き好んでA級隊員しかいない(だらけの)場所に行きたいか!

 ……知ってるか? 俺だけがB級隊員なんだぜ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋根から屋根へと飛び乗りながら進むと、レーダーに一つのトリオン反応。これは迅さんか? なら、この先には迅さんと遠征組+三輪隊がいる――

 

 

 

◇◆◇

 

 

「嵐山隊、現着した。忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する!」

 

 空き家になって久しい民家の屋根に着地。嵐山さんが宣言した。

 

「嵐山……!」

「嵐山隊……!?」

 

 俺たちを視認した風間さんと三輪が驚いたように名前を口にする。

 俺は視界に入ってないのかな……?

 

「嵐山隊と……」

「神戸。お前、何さらっと嵐山隊に混じってんの」

 

 明らかに嵐山隊のメンバーじゃない俺を見つけた奈良坂と当真。

 当真とは学校は違うが同級生ってこともあって本部で会うと軽口を叩き合うぐらいの仲だ(他の十八歳組含む)

 

 さらっとなんて混じってない。

 

「混じってない」

 

 おっと、心の声が漏れた。

 

「……機嫌、悪くない?」

「悪くなるだろ……迅に名指しされて? 俺が拒否るのを見越して本部長室に嵐山さん呼んでさぁ……拒否れなくされて……」

 

 機嫌も悪くなるだろう?

 それに、嵐山さんの“爽やか笑顔”見て拒否れるか? 拒否れないだろ!

 いくら問題児に分類されてる俺でも「嫌です! 行きません!!」なんて断れないっつーの!

 ……まず本部長を前にして断るとか出来ないけどな?!

 

 ――どうにも()は迅さんのことが好きじゃないらしい。俺が()()()()()()() ()()()() だからか……

 迅さんに対して態度が悪いのも、“さん付け”しないのも、前世を思い出したのがつい最近だからだ。急に“さん付け”って気味悪いだろ?

 

「あーうん、ドンマイ?」

 

 当真の気遣い気な視線が痛い……心が痛い……!

 

「忍田本部長派と手を組んだのか……」

 

 太刀川さんが嵐山隊(と俺)を見て静かに呟く。

 

 

 下に降り、黒トリガー奪取組と対峙する。あ、俺は嵐山隊の後ろ……一番後ろです。

 

「遅くなったな、迅」

「いいタイミングだ、嵐山。助かるぜ」

 

 迅さんと嵐山さんは親しげに会話を交わす。友人同士だから当然だ。

 まぁ、嵐山さんが迅さんを信頼・信用しているってのもあるだろうけど。

 

「三雲くんのチームのためと聞いたからな。彼には大きな恩がある」

 

 大きな恩――弟妹大好きだな、嵐山さん。

 

「木虎もメガネくんのために?」

「命令だからです」

 

 木虎はツンツン……メガネくんが関わってるから、かな?

 

「神戸も、ありがとね?」

「……」

 

 ぶすっとした顔になってるのは許してほしい。あと、無言も。巻き込まれたことへの抗議だ。

 無言なのは()()()毒を吐いちゃいそうで……すまんな。

 

「嵐山たちがいればはっきり言ってこっちが勝つよ。

――おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

 

 嵐山さんたちとの会話を終えた迅さんが遠征組の方に顔を向ける。

 

「おれだって別に本部とケンカしたいわけじゃない。退いてくれると嬉しいんだけどな、太刀川さん」

 

「なるほど……『未来視』のサイドエフェクトか。ここまで()()の お前は久々にみるな。おもしろい――」

 

 太刀川さんが腰の弧月に手をかけ――

 

「お前の予知を覆したくなった」

 

 言うと、弧月を鞘から抜く。

 

「やれやれ……そう言うだろうなと思ったよ」

 

 迅さんも風刃を抜く。

 

 戦闘開始――!

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 ドンパチをちょいとやってから遠征組+三輪隊から離れ、民家の屋根で作戦会議。

 

「……次はこっちを分断しに来そうだな」

「その場合はどうする?」

「別に問題ないよ。何人か嵐山たちに担当してもらうだけでもかなり楽になる。――風間さんがそっちに行ってくれると嬉しいんだけど……こっち来るだろうなぁ」

 

 風間隊が嵐山隊の方に行く確率は……限り無く低いだろ? 無し寄りの無し。未来視が無くても判る。

 俺と嵐山隊を瞬殺。迅さんは太刀川さんに任せて、他の部隊は玉狛に行けばいい訳だ。

 それをわざわざ嵐山隊に何人かつけて足止めなんて……わざわざ戦力を分散させるメリットがない。

 

 ……あれ? 分断に成功か、これ?

 

「うちの隊を足止めする役ならたぶん三輪隊ですね。三輪先輩の『鉛弾(レッドバレット)』がある」

 

 オモリね。アレ、ウザいんだよな~。シールドに干渉しないから突き抜けてくるし。……使う分には便利なんだけど。

 

「どうせなら分断されたように見せかけて……こっちの陣に誘い込んだ方が良くないですか?」

「そうだな、賢と連携して迎え撃とう」

「おっ、来たな」

 

 おっと? 何人かやってきたようだ。

 

「上手いことやれよ、嵐山」

「そっちもな、迅」

「神戸はおれの方に着いてきて」

「……わかった」

 

 どうやら俺は迅さんと共闘するらしい。

 

 嵐山隊と別れた俺と迅さんは“風間隊”“太刀川さん”“三輪隊狙撃手”が居る方へ向かう。

 

 

◇◆◇

 

 

《うおっと、ほいっと》

 

 迅さんの攻撃を回避する声が聞こえる。

 俺は迅さんと別行動になった。そのためにレーダーからトリオン反応を消す隠密トリガー『バッグワーム』を展開し、目的地へ向かっていた。

 

《どうした、迅。なんで『風刃(ふうじん)』を使わない?》

《……》

《何を企んでる? ずいぶん大人しいな……昔の方が まだプレッシャーがあったぞ?》

 

 ――っと。射線の感じからだと()()()()なんだけど……

 

 バッグワームを起動してる間、セットしてる方のトリガーを使うことが出来ない。

 (バグワを)セットしてない方のグラスホッパーを使えば いいワケだが……トリオンが反応して位置がバレる。だから己の足で地道に登るしかない。

 

 ――正直、しんどい……

 

《まともに戦う気なんかないんですよ。

この人は単なる時間稼ぎ……今頃きっと玉狛の連中が近界民を逃がしてるんだ》

 

 菊地原って迅さんのこと過小評価してるよなぁ……まぁ、本気で戦ってるとこ見たことないから、なんだろうけど……

 けど目上に対して――――おっとブーメランだった……!

 

 あ、

 

「みーつけたー《いつでも行動起こせる場所に待機する》」

《(了解(りょうかーい))》

 

 相手に視認されないよう慎重に姿を隠す。

 迅さんからの返事をもらい、直ぐに走り出せる体勢で出番待ち。

 

《いいや……迅は予知を使って守りに徹しながらこちらのトリオンを確実に削っている。こいつの狙いは――

俺たちを()()()()()()()()退()()()()()()だ》

《……!?》

《あらら……》

 

 ……バレちゃってんじゃん。

 いや、行動が消極的だから……って考えれば思い付くか……?

 

《……なるほど。あくまで俺たちを帰らせる気か。『撃破』より『撤退』の方が本部との摩擦が小さくて済む》

《戦闘中に後始末の心配とは……たいした余裕だな》

 

 流石、未来視。負ける未来は視えていない(確率が低い)らしい。

 

《……風間さん。やっぱりこの人は無視して玉狛に直行しましょうよ。ぼくらのターゲットは玉狛の黒トリガー……この人を追い回したって時間のムダだ》

《……確かにこのまま戦っても埒があかないな――玉狛に向かおう》

《……》

 

 あーあぁ……

 

《やれやれ。やっぱ、こうなるか……》

 

《え……》

 

【戦闘体、活動限界――緊急脱出(ベイルアウト)

 

 迅さんが風刃を起動したんだろう。

 確か原作は菊地原が首を飛ばされて緊急脱出してたはず……

 

《出たな『風刃』》

 

《仕方ない――プランBだな》

「……やっていいんだな?」

《(仕方ないよ)》

 

 グラスホッパーを展開し、バッグワーム、解除。――駆ける。

 

《奈良坂先輩! く……首、飛ばしたよ、迅さんが!》

「怯むな、章平……一撃で仕止めるつもりなら頭か胸を―― ッ!」

 

 古寺と話してた奈良坂が俺に気付き振り向く。だが遅い。目が合う。

 

「――悪く思うなよ?」

 

 逆手に持った、スピード型の攻撃手が使用することが多い刃の形を自在に変化させれるスコーピオンでスナイパーライフルごと奈良坂の首を撥ね飛ばす。

 グラスホッパーを出し、方向を変えて古寺が居る建物へ速度を上げて向かう。

 

【戦闘体、活動限界――緊急脱出】

 

 後ろでドンッ! という破裂音がし、光りの筋が本部へ飛んでいく。

 

《! 誰だ!?》

《――神戸か……!》

 

 通信の向こう側がわちゃわちゃしだしたな。

 

《……申し訳ないけど――太刀川さんたちにはきっちり負けて帰ってもらう》

《……!》

《! カメレオンか……!》

 

 古寺を目視。

 あ、向こうもこっちに気付いた。イーグレットを乱射してくる。弾が頬をかする――けど……!

 建物から飛び降りる古寺を追う。スコーピオンとスコーピオンを繋げて刀身を伸ばす『マンティス』で首――いや、胸の方が近いな。マンティスで古寺の胸を貫く。

 

《誰が負けて帰るって?》

《出来れば全員がいいな》

 

【トリオン供給機関、破損――緊急脱出】

 

 また光りの筋が本部へ向かう。

 

 着地前にバッグワームを起動。着地し、建物の影に隠れる。

 

《……今度は古寺か!》

《スナイパーが二人共殺られるとは……》

 

「三輪隊の狙撃手2人、緊急脱出させ(撃破し)たぞ――――嵐山隊の方に行っていーい?」

《こっちに来てくれると有難いんだけど……》

「別に俺、居なくても余裕じゃん?」

 

 原作、余裕だったじゃん?

 

 ふぅ…と息を吐き、一呼吸。

 

「――ちょっと休憩したいなぁ……」

 

 俺、めっちゃ働いてない……?

 

 

 




◆PROFILE◆

神戸(かんべ) (みなと)

◇ポジション:アタッカー
◇年齢:18歳 ◇誕生日:7月23日
◇身長:176㎝ ◇血液型:A型
◇星座:ぺんぎん座 ◇職業:高校生
◇好きなもの:ジャンクフード、チョコ菓子
◇家族構成:父、母

◇トリオン:12 ◇攻撃:14
◇防御・援護:8 ◇機動:8
◇技術:8 ◇射程:3
◇指揮:2 ◇特殊戦術:3
◇トータル:58

◇主/弧月、シールド、旋空、グラスホッパー
◇副/スコーピオン、シールド、アステロイド、グラスホッパー
※普段のトリガー構成。
※ちょいちょい変えてる。

◆黒鳥奪取戦時のトリガー構成。
◇主/スコーピオン、シールド、Free Trigger、グラスホッパー
◇副/スコーピオン、シールド、バッグワーム、グラスホッパー
_______________

◆本部所属のB級ソロ隊員。

◆スカウトでボーダーに入った。
スカウトってか、喧嘩してたとこを忍田さんにみられ連行。本部でトリオン測って、普通より多かったためボーダーに……って感じ。

◆ボーダーの提供校ではない進学校に通っている。
実は頭が良い。

◆本部長派寄りの中立。
元は完全中立…『楽しければ、どうでもいい』な自由派。
今は『安全、安心が一番!』が↑にプラスされました。

◆やらかす→ポイント減→やらかす→ポイント減...を繰り返した結果、今回 謹慎処分をくらった。
元は22000p台(弧月)だったが、今は4000p台になっている。
次点、スコーピオン(一万前後)

◆実は、元 “アタッカー4位” なのだが、本人はランクとかポイントとか気にしてないので、自分の実力を知らない。

◆トリガーは取り敢えず、全部使ってみる派←
アタッカートリガーは全部マスタークラス(弧月は現在4000↑5000↓ぐらい)

◆『ポジション:アタッカー』になっているが、アタッカートリガーとガンナー(シューター)トリガーが6000p以上なので万能手(オールラウンダー)だったりする。

◆トリオン量が多いのにアタッカーなのは「え? 喧嘩は接近戦でしょ?」な “戦闘部族” だからです

◆トリオン量が多いから二宮さんに絡まれがち。
イニシャルKだからか、二宮さんに絡まれているからか……加古さんにも絡まれる。
______________________
◆10/30◆
『PROFILE』の一部を削除しました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【あとがき】

 『異世界転生じゃ……ない、だと?』の続きじゃなくて申し訳ありません。なかなか12月15日から進まなくて……
(新キャラ出したせいか??)

 もう暫く、お待ち下さい……

◇◆◇

 別の話を投稿。
 前作の『二刀流はオレが先(仮題)』と同時に書いてたやつです←

 あっち書いたり、こっち書いたり、異世界転生~⑧書いたり……
 おや? 意外と同時進行できるんだな、私←

 書いてたら長くなったんで、分けようと思ったんですが、迅さんルートか嵐山隊ルートかで悩んで……「続き書けないなら分けなくても……?」と←

 文字数が過去一で震えてます((( ;゚Д゚)))

(分けて投稿し直した方がいいのかな……)


◆11/26◆
『アタッカー→攻撃手』『ベイルアウト→緊急脱出』に修正しました。

『《三輪隊の奈良坂くんです!》』を消しました。
オペレーターの声が聞こえるの、おかしいよね……
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