「この先へ進むには、正しいスイッチを押さないといけないの。」
「でも大丈夫。ちゃあんと
トリエルさんについていった先には、広い廊下のような空間が広がっていた。……周りを見ているうちにトリエルさんは先に行ってしまった。
「レイ、これはなんて書いてあんだ?」
また、さっきの石板みたいなものがあったのかな?
……目の前に看板があった。周りを見回してしまったからちょっと恥ずかしい。
「えっと…… 『看板の前でZを押すと読める』……?」
「ゼット?それ押しゃあ、俺でも読めるのか?」
「……どうだろ。」
これに関してのトリエルさんの説明は全く無かった。何かの暗号...?さっき見た罠、もといパズルもあったし、やはり何かしらの侵入者を意識しているんだろう。
……私もあのビルでは部屋中に罠を仕掛けていたけど、この遺跡の罠はただ回りくどいようにしか感じられない。もっと直接的に、間違えたスイッチを踏んだら矢とか岩が降ってくる、じゃダメなのかな?
つい脱線しちゃった。……疑問が尽きない。ここから先のこういう疑問は、覚えておいて後でノートか何かに書き起こしてから考えよう。
「んだよ。結局俺は読めねーのかよ。」
「今のところそうみたい。落ち着いたら少しずつ読み書きを教えてあげるから。」
それはそうとして……
……視線を感じる。
と思ったら、あの子供が私をじっと見ていた。話しかけてみよう。
「こんにちは。私はレ…レイチェル。あなたのお名前は、なんて言うの?」
偽名を言おうかと思ったけど、どのみちこの真っ白な目立つ格好じゃ意味ないかな。ザックにも名前を伏せてなんて伝えてないし。
「……僕の名前はフリスク。」
「そう、じゃあフリスクって呼ぶね。」
しまった、ザックのことをなんて紹介しよう。考えてなかった……
「えっと、あの人の名前はザック。……ちょっと怖い見た目だけど……トイレットペーパーが大好きなの。ほら見て。顔にだって巻いてる。」
「あぁ!?無茶苦茶言うな! クソ、無駄にいい顔しやがって、ぶっ殺すぞ!」
「アハハ!トイレットペーパー巻いてるの?ザック、変なの!」
ザックが鎌を構え始めた……
「ガキが!殺す!」
「ザック、ダメ!」
うーん……グッドコミュニケーション……?なんだか仲良くなったような気がする?
「俺にそんなシュミはねぇ!」
「そうなの?」
「あたりめーだろ!俺はマトモな成人男性だからな!」
それ、いつまで言い張るんだろう……自分が普通じゃないって知ってるくせに。
「私はトイレットペーパーを体に巻く趣味がある成人男性がいてもいいと思う。」
ザックだって『幸せそうな笑顔をした人を殺す』趣味があるんだから、普通の成人男性ならそういうことが好きな人だっているかもしれない。
「おっと、ここ水が流れてんのか。」
ザックに言われて、足元を見てみる。
スイッチに気を取られていて見落としていたけど、きれいな水が流れてる。水道が通ってるのかな?
トリエルさんが温かい目でこっちを見てる……早くパズルを進めよう。
壁に黄色いものがある。見てみよう。
『このスイッチをおすのよ』
……なんだろう、このすごく強調されたスイッチ……いや、押し下げる方式みたいだからこれはレバー?
スイッチを押したのを確認して、トリエルさんは先に進んでいった。
……しまった、フリスクにやってもらった方が良かったかな。私とザックはともかく、フリスクはまだ小さいから、もし一人でここを通らないといけなくなったときに、どうすればいいのかわからなくなってしまうかもしれない。
「フリスク、次はあなたがやってみて。」
「わかった!」
乗り気みたいでよかった。次のギミックも、数が二つに増えているけど、今のと同じ種類のスイッチみたいだからスムーズにできるかな。
「左のスイッチを押すのよ。」
フリスクが押しに行ったのを見てトリエルさんがヒント……答えをくれた。やっぱり、過剰なくらいスイッチが強調されている。
「よくできました!偉いわね。さあ、次のお部屋に進みましょう。」
スイッチが押されると、トリエルさんの背後にあった地面のトゲが引っ込んだ。この場所で初めて見た、明確な攻撃の意思を持った罠だ。
……褒められてもフリスクはあまり嬉しそうじゃない。それもそうか。いくら子供といっても、こんな簡単なことで褒められても面白くないだろう。
でもよかった。あんまり楽しそうにされたら、ザックが殺したがるかもしれない。今は暇そうにしてるだけみたいだけど……あまりストレスをため込むと暴れちゃうかもしれないから、どこかに殺してもいい人がいるといいんだけど。この地下の様子だと、その機会も望み薄かな。
トリエルさんに続いて次の部屋に入る。このパズル、いつまで続くんだろう……
「ザック、どうしたの?」
「ああ、ナンかに見られてる気がした。」
「そう……」
後ろを振り返る。
あれ?あんなところに、花なんて咲いてたっけ?