【完結】ウマ娘プリティーダービー企画短編集ーAutumnー   作:またたね

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極めて近く、限りなく遠い未来に

 

 ベンチに座っているメジロマックイーン。柔らかな太陽の光を浴びて、読書をする彼女はまさしく深窓の令嬢を思わせる。

 そんな彼女の背後には、ゴールドシップが立っていた。

 

「なぁマックイーン、暇だー遊ぼうぜー」

 

「既に私の髪で遊んでいるじゃありませんか。……って、私の髪で遊ばないでくださいまし!」

 

 ツインテール、ポニーテール、編み込み、三編み、サイドポニー、などなど。思いつくまま、髪型をどんどん変えていく。少しでも痛みを感じるなら、即強制ストップをかけようと思っていたメジロマックイーン。だが、ゴールドシップは妙に手慣れていた。痛みどころか、軽い頭皮のマッサージも交え、またたく間に変えていくのだから、むしろ心地いい。

 だが、それを悟られたらゴールドシップはもっと調子に乗る。

 メジロマックイーンは勇気の抗議を行った。

 

「ちぇー。じゃあアタシはどうやってマックイーンで遊べば良いんだよー?」

 

「そもそも私で遊ぶという選択肢はどこかに放り投げていただけませんか!? はぁ……貴方は本当、自覚というものが足りていませんわ」

 

「自覚? 何の話だ?」

 

 メジロマックイーンは人差し指をゴールドシップへ向ける。

 

「このトレセン学園にいるウマ娘たちは皆、ライバルです。常に一つのゴールを目指し、競い合う間柄。……この意味が分かりますか?」

 

「ぜーんぜん分からん。マックイーンちゃんよお……アタシまどろっこしいの苦手だから、サクッと言えよ~」

 

 

「私と全てをかけて戦う日が来るのですよ。極めて近く、限りなく遠い未来に」

 

 

 メジロマックイーンの真っ直ぐな言葉。ゴールドシップは、思わず頬をポリポリとかいた。

 

「なぁマックイーン、駅前に新しいケーキ屋出来たらしいぜ。一緒に行くか?」

 

「ゴールドシップさん。私は今、真面目な話をしています」

 

「おいおい……こりゃ困ったな。……やらかしたっていう言い方も出来るか」

 

「私はメジロ家の悲願を達成するため、存在しています。本来ならば、こうやって呑気に言葉を交わすことすら――」

 

 そこでメジロマックイーンは手で口を押さえた。

 そこから先は、言い過ぎだと、彼女は知っていた。それでも、こうして口に出してしまった。

 互いに気まずい空気になった。両方口を閉ざす。先に動いたのは、メジロマックイーンだった。

 

「……とにかく、ゴールドシップさんはもう少し自分がトレセン学園にいるという自覚を持ってください。失礼します」

 

 ゴールドシップは歩き去っていくメジロマックイーンの後ろ姿を見送るしかなかった。

 追いかけるつもりはなかった。それをしてしまえば、本格的に拗れることは、良く分かっていたから。

 

「ったくよー。あいつはなんでこうカタイんだよー」

 

 メジロマックイーンの目標は分かっていた。当然それを邪魔するつもりはない。

 

「ゴールドシップ?」

 

 背後から声をかけられた。振り返ると、そこには異次元の逃亡者サイレンススズカが心配そうな表情を浮かべていた。

 

「その……ごめんなさい。見るつもりはなかったんだけど」

 

 それが先程の一件だと気づいたゴールドシップは、サイレンススズカに駆け寄り、肩を叩く。

 

「おー悪いなスズカー。ちょーっといつもどおりマックイーンちゃんを怒らせちまっただけだからよ~」

 

「本当に? そうじゃないでしょう?」

 

 偶然通りかかったサイレンススズカは一部始終を見ていた。彼女は、メジロマックイーンがいつもの調子で怒っているわけでないことを正確に理解していた。

 だからこそ、彼女はゴールドシップにあえて踏み込んだ。

 

「ゴールドシップ。私、これはもう一度マックイーンと話さなければならないことだと思う」

 

「……スズカもそう思うか?」

 

「マックイーンはいつも真剣よね。悲願を達成するため、血の滲むようなトレーニングをしている」

 

「天皇賞……か。本当ならあいつは時間を全て練習に注ぎ込みたいんだろうなぁ」

 

 サイレンススズカは黙って聞いている。

 この話にはまだ続きがある。

 

「けど、あいつすげーんだぜ。そんなんだってーのに、アタシと馬鹿やってくれるんだ。普通は出来ねえだろ? スズカはどうだ?」

 

「私はマックイーンじゃないから分からないけど……。それでも目標があるなら、ただ先頭を走るだけ。私はそう思う」

 

「だよな――」

 

「けど」

 

 サイレンススズカは、メジロマックイーンとゴールドシップの仲の良さを知っていた。

 二人のやり取りを見ていると、無性にスペシャルウィークと話したくなる。それくらいの仲の良さ。

 

「それだけなら、味気ないと思うの。私達ウマ娘はもちろん走るために存在している。だけど、決してそれだけじゃないでしょう?」

 

 サイレンススズカは美しい笑顔を向ける。

 

「私はスペちゃんから教えてもらった。走るためだけに、私達はいないことを。貴方は? ゴールドシップは、誰にそれを教えてあげられるのかしら?」

 

「……ったく、なーんかスズカと話していると調子狂うな~」

 

 ゴールドシップはワシャワシャと両側の髪をかいた後、そのまま自分の両頬を叩いた。

 

「さんきゅーなスズカ。アタシ、ちょっくら行ってくるわ」

 

「ええ、気をつけてね」

 

 サイレンスズカの激励を受け、ゴールドシップは駆け出す……はずが、ゴールドシップは急停止した。

 

「……どうしたの?」

 

「……そういやあいつ、いつも通りなら、これから練習なんだよな。スズカちょっと付き合え~! 駅前のスイーツ買いに出発だ~い!」

 

「私もこれから走ろうかと……」

 

「目も眩むような金銀財宝スイーツがお前を待ってるぞ?」

 

「私、そんなに甘いものは――」

 

「スペが喜ぶだろうなぁ」

 

「……」

 

 ゴールドシップは、サイレンススズカのしっぽがぴくんと動いたのを見逃さなかった。

 追い込みが得意なウマ娘ゴールドシップ、ダメ押しの一言を放つ。

 

「“わぁ! スズカさん! ありがとうございます!”って、そんりゃあもうスズカに感謝すること間違いなし。アタシのゴルシちゃんハットをかけてもいい」

 

「…………ずるいわ、ゴールドシップ」

 

 スペシャルウィークの笑顔を想像したのか、サイレンススズカの尻尾の挙動が大きくなる。

 承諾と受け取ったゴールドシップは、とある物を持ってくるため、駆け出した。

 時間にして数分。ゴールドシップはすぐにサイレンススズカの元へ戻ってきた。――セグウェイに乗って。

 

「ゴールドシップ、それは……」

 

「ゴルシちゃん号だ。折角だからスズカも乗せてやるよ」

 

 もはや、こうなってくれば“はい”も“いいえ”も無い。

 サイレンススズカはゴールドシップの言われるがままに、セグウェイに乗った。ゴールドシップの背中から腹部へ手を回す。

 

「ゴールドシップは背が高いわね。なんだか安心するわ」

 

「アタシの背中はグランドキャニオンを背負えるからな~。って、んなこたどうでもいいんだよ! スズカ、ちゃんと掴まってろよ~! 出航~!」

 

 爆音を上げ、ゴルシちゃん号が発進する!

 サイレンススズカは思わぬ勢いに、ついしがみつく力を強くする。

 すると!

 

「いだだだだだ!! スズカ! 肋骨! アタシの肋骨がライブやってるぞ!」

 

「な、何を言っているのゴールドシップー!? 聞こえないわー!」

 

「アタシ! ゴルシちゃん! 肋骨! ロックンロール!!」

 

 ゴルシちゃん号は日々アップデートをしている。多少、走行音がうるさくなることもあるが、それはご愛嬌。

 だが、この瞬間に限っては、最悪のタイミングだったと言わざるを得ない。

 ウマ娘の力は人間を容易く超える。線の細い美少女サイレンススズカと言えど、その腕力は常人のソレではない。

 結果、サイレンススズカは騒音に遮られて声が聞こえず、しがみつく力を強めるだけ。ゴールドシップも叫びが届かず、自分の肋骨が悲鳴をあげるのをひたすら聞いているだけ。

 もう少し駆動音を改良しよう。痛みの中、ゴールドシップは珍しく反省した。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「はぁ……はぁ……! まだですわ……! これくらいで天皇賞は獲れない……! もっと走り込みの量を増やさなければ……!」

 

 そう言ってから、またメジロマックイーンは走り込みを再開する。既に何回同じことを言ったのか、忘れてしまった。

 だが、これしきのことで音を上げられない。練習して、練習して、練習を続けて、いつか、きっと――。

 

 一瞬、ゴールドシップの顔がちらついた。

 あの、いつも笑顔でちょっかいをかけてくる憎らしい存在。

 

「……」

 

 メジロマックイーンの走るペースが落ちていき、やがて歩いていた。あり得ない。本来なら、あり得ない。練習を続けろ。息をつく暇なんてありはしない。

 

「……どうして、ゴールドシップさんの顔ばかり浮かぶのでしょうか」

 

 練習に身が入らない。

 ……そもそも、原因なんて分かっているのだから、それは些か正確ではない。

 

「マックイーンさん!」

 

 遠くから自分を呼ぶ声がした。

 メジロマックイーンは声のした方を振り向くと、元気娘スペシャルウィークが手を振りながら、駆け寄ってきた。

 

「マックイーンさん、追加練習ですか? お疲れさまです! はい、これ!」

 

 メジロマックイーンはスペシャルウィークからタオルを受け取り、汗を拭き取った。新品のタオルだろうか、非常に柔らかで、心地が良い。

 

「ありがとうございます。スペシャルウィークさんは、今帰りですか?」

 

「はい! 今日はお母ちゃんに手紙を書こうと思って!」

 

「それはとても良いですわね。私もたまにはおばあ様に手紙を書こうかしら……」

 

「絶対それが良いですよ! じゃあ、私のお気に入りの便箋あげますね!」

 

 そう言って、スペシャルウィークが差し出したのは、人参の柄が入った便箋だった。これは中々、良さげなものだったので、ありがたく受け取るメジロマックイーン。

 ふと、スペシャルウィークが質問した。

 

「なんだかマックイーンさん、元気がないように見えますけど……どうしたんですか?」

 

 善意百パーセントで聞いてくるものだから、メジロマックイーンはどう返そうか、少し考えてしまった。

 

「あっ、ごめんなさい! マックイーンさんが元気なさそうだったから、つい……」

 

「いえ。お気になさらず。そうですわね……」

 

 メジロマックイーンはじっとスペシャルウィークの顔を見る。

 

「……えと、マックイーンさん、顔が綺麗だからその、見つめられると照れるというか……あはは」

 

「! ご、ごめんあそばせ! その、スペシャルウィークさんはスズカさんと仲がよろしいですわよね?」

 

「はい! すっごく仲良しです!」

 

 メジロマックイーンは口を動かしながら、“何を聞いているのだ自分は”と少しだけ後悔した。

 だが、後悔と同じくらいに、興味があった。

 スペシャルウィークとサイレンススズカは仲が良い。それだけに、例えばもし“今、自分が置かれている立場になったら”、それが非常に気になった。

 

「もしもの話なのですが、スペシャルウィークさんが、スズカさんに強い言葉を使ってしまったとします。後悔した貴方は……どうしますか?」

 

「わ、私がスズカさんに!? 考えただけで泣きそうですよぉ……」

 

「ごめんなさい。ですが、もしスペシャルウィークさんがよろしければ、聞かせて頂けないでしょうか……?」

 

 別に誰と誰を重ね合わせているわけではない。

 これはあくまで参考に。メジロマックイーンは自分に言い聞かせた。

 スペシャルウィークは当然、そんなことは分かるはずもなく、もちもちとした頬に指を添え、考えていた。

 

「そうですね……謝ります! すっごく謝ります! あ! あと人参も渡すと思います!」

 

 きっぱりと、スペシャルウィークは言った。

 

「謝る……ですか」

 

「はい! だって、スズカさんを傷つけていたらって考えると、もう……胸が痛くなって」

 

 想像力豊かなスペシャルウィークはその光景を想像しているのか、泣きそうになりながら、胸を押さえていた。

 そんな彼女の光景を、メジロマックイーンは何故か自分と重ねてしまっていた。

 

 あぁ、そんなのは当たり前だろう。

 そんなことを聞いている時点で、既にメジロマックイーンは己の中で、何をすべきかがまとまっていたのだから。

 

「ありがとうございます、スペシャルウィークさん。貴方のおかげで私、やることが出来ましたわ」

 

「私でお役に立てたなら嬉しいです!」

 

「これはそのお礼です」

 

 そう言って、メジロマックイーンはポケットから一枚のチケットを取り出した。

 受け取ったスペシャルウィークはそのチケットに書かれている内容を読み、思わず突き返してしまった。

 

「こ、これあの超有名な食べ放題専門店の一時間無料チケットじゃないですか!? こんな貴重なもの、受け取れません!」

 

「いいえ、これは私を助けてくれたスペシャルウィークさんにこそ、貰ってほしいのです」

 

「だって! 私知ってますよ! これを手に入れたときのマックイーンさん、すっごく嬉しそうでした! それに、よだれも少し出てました!」

 

「なぁっ!? わ、私はそんなはしたないことしていませんわよ! 何かの見間違いではなくて!?」

 

「見間違いなんかじゃありませんよ! その後、マックイーンさん、物陰でとっっっても嬉しそうに『うまぴょい伝説』踊ってましたし!」

 

「な、何かの陰謀ですわ! というか、何でそれを見られて……!」

 

 メジロマックイーンはここで失言しそうなことに気づき、咳払いで誤魔化す。

 空気を変えた彼女は、スペシャルウィークの手を取り、改めてチケットを握らせた。

 

「私は心の底からスペシャルウィークさんに貰ってほしくて渡しました。私のためにも、貰っていただけないでしょうか?」

 

 スペシャルウィークは彼女に促されるまま、チケットを握りしめた。

 あのメジロマックイーンにここまで言わせて、受け取らないウマ娘はいないだろう。スペシャルウィークは満面の笑み、そして大量のよだれと共に、頭を下げた。

 

「スペシャルウィーク、ありがたく受け取りました! マックイーンさんの分まで食べてきますね!」

 

「ええ、ぜひそうしてくださいな。さて、私もそろそろ――」

 

 メジロマックイーンは練習を切り上げたのと同時だった。

 

 

「マックイーン!」

 

 

 目的の人物であるゴールドシップが手をブンブンと振っていた。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 ゴールドシップとメジロマックイーンは場所を変え、事の発端とも言えるベンチまでやってきていた。

 ゴールドシップはすぐにメジロマックイーンへお洒落な小袋を突き出した。

 

「ほいこれ」

 

「これは?」

 

「クッキー。スズカと選んで決めた」

 

 袋を開けると、そこには美味しそうなクッキーがたくさん入っていた。

 

「さっきは悪かったな。それで許してもらえるとは思ってないけど、受け取ってくれ」

 

「いえ……ありがとうございます」

 

「そんでよ、マックイーン。お前が言っていたことだけど……」

 

 ゴールドシップはそこで一度言葉を区切った。

 何て言おうか、ずっと考えていた。言いたいことはあるのだが、それをどう伝えたらいいのか、分からない。すると、ゴールドシップの脳裏には、サイレンススズカが浮かんだ。

 

「あ~もうしゃらくせえ!」

 

 ベンチに上がり、ゴールドシップはズバッとメジロマックイーンを指差した。

 

「マックイーン! お前、言ったよな! 全力をかけて戦う未来が来るって!」

 

「え、ええ……言いましたとも」

 

「そうだよな! 確かに、お前といつか戦う日が来る! だけどそれがどうした! それでアタシが“はい、じゃあもう近寄りません”だなんて言うと思ったか! ベ~ロベロバ~」

 

「なぁっ!? ゴールドシップさん、それ乙女がして良い顔じゃありませんわよ!」

 

 ゴールドシップはベンチから大きく跳躍し、見事な三回転半ひねりでメジロマックイーンの至近距離へ着地する。

 

「そん時はそん時だろーが! アタシとお前が勝つか負けるか、それだけだろうが! それでアタシとお前の関係がどうこうなるとでも思ってんのか、お馬鹿マックイーン!」

 

「ゴールドシップさん、貴方は私がどれほど……。勝負ですよ、かけているモノがあるでしょう! それを考えたら私は……」

 

 

「その時は恨みっこなしだ。遠いのか近いのか分かんねーけど、お前が言っている未来で勝負した後、二人で飯食いに行こーぜ? それで良いんじゃね?」

 

 

「……」

 

 メジロマックイーンは(いか)った。そんなにあっけらかんと言ってしまえるゴールドシップが、そんな彼女の言葉で肩の力が抜けてしまった自分が。

 メジロマックイーンは大きなため息を一つつく。体の中の酸素とこのモヤモヤを全て吐きだすために。

 

「私、何でゴールドシップさんに強い言葉を使ってしまったんでしょうね……」

 

 すると、メジロマックイーンはゴールドシップに頭を下げた。

 それを見たゴールドシップが珍しくうろたえていた。

 

「な、何やってんだよマックイーン? 何か変なもんでも拾い食いしたか? マカロンか? ケーキか? それとも王道の角砂糖か?」

 

「どこの王道ですか! ……ごめんなさい、ゴールドシップさん。私、少し色々なことに苛立ってしまっていたようですわ。貴方に嫌な思いをさせてしまいました」

 

「はぁ? 何のことだよ、ったく~! すっかり忘れちまったよ、んなこと!」

 

「そうですか。そういうことなら、改めて……」

 

 そう言いながら、メジロマックイーンは右小指をゴールドシップの前に突き出した。

 

「約束しませんか? いつかの未来、貴方と私が本気の勝負をした後、一緒にご飯を食べに行くと」

 

 微笑みながらゴールドシップを真っ直ぐ見つめてくるメジロマックイーン。そんな彼女に、ゴールドシップはこれまた珍しく頬を赤くし、そっぽを向き、鼻頭をかいていた。

 上を見たり、下を見たり、地団駄を踏んだ後、ようやく覚悟が決まったゴールドシップは、同じく小指を突き出した。

 

「……ん、約束する」

 

「そうこなくては」

 

 二人は小指と小指を交わした。

 

 

「私は負けませんわ。勝利のご飯を味わうために」

 

「うわ、お前とうとう食い意地隠さなくなってきたな。でもま、アタシもその勝利の飯の味が気になるから、ちょっくら本気出すとすっかな」

 

 

 それは二人の約束、より強固になった絆。

 これからまたこうやって、様々な事がキッカケでぶつかり合うことになるだろう。しかし、すぐに二人はこうやって仲直りをする。

 ゴールドシップとメジロマックイーンの勝負は一体どうなるのか、一体どちらが勝利をするのか――。

 

「そういやマックイーン、さっき駅前のくじ引きでこんなんもらったんだけど要る? 超有名な食べ放題専門店の一時間無料チケット」

 

「要りますわ!!!」

 

「うおっ!? ちょっ、マックイーン! お前目がこえーよ! やるから! やるからまずそのよだれ拭え!」

 

「め、メジロ家のウマ娘がよだれなんてありえませんわ! 優雅に美しく、それがこの私なのですから」

 

「言ってることとやってることちげーぞオイ!」

 

 

 

 ――それは、いつかの未来にきっと分かる。

 

 

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