ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~   作:哀上

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外伝 幼女side 1 お姉ちゃんはすごい!

 外伝 幼女side 1 お姉ちゃんはすごい!

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「お姉ちゃん、一緒に行こうよ!」

 

「あ、うん。……え?」

 

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 お姉ちゃんはすごい!

 

 本当に何でもできる。

 

 頭がよくてどんなことでも知っていて、びっくりするぐらいかわいくて美人でかっこよくて、その上私に魔法を教えてくれたお師匠様でもある。物語で読んだことがある、きっとお姉ちゃんみたいな人のことを賢者様って呼ぶんだ。

 

 私の自慢のお姉ちゃんである。

 

 唯一の不満は、実のお姉ちゃんじゃないということだけ。お姉ちゃんがもし本物のお姉ちゃんで、家でもずっと一緒に入れたらなぁって何度も思ったことがる。

 

 でも、そこまで求めるのは欲張りってものだと思う。お姉ちゃんと一緒にいられるというだけで、私は十分恵まれているんだから。そこまで望むのは罰当たりもいいところだ。

 

 昔、お姉ちゃんは自分の使う魔法のことを古くて時代遅れって言って謙遜していた。けど、絶対にそんなことはないと思う。だって、お姉ちゃんに教わって私はあっという間に魔法を使えるようになったし。自分のことをまだ魔法使い見習いって言ってることもあったし、お姉ちゃんは色々と謙遜癖があるのだと思う。

 

 確かに、魔法を勉強しているとお姉ちゃんの言っていたことと魔法の本に書いてあることが違うということは何度もあった。でも、お姉ちゃんのほうが多分あってる。

 

 だって、魔法っていうのは本来ある程度長い期間をかけて習得する物らしいのだ。それも魔法を自主的に勉強するようになって後から知ったんだけど。私はお姉ちゃんに教わって一瞬で使えるようになったので、そんなに大変なことだって知らなかった。

 

 初めは、魔法ってちょっとがんばったら出来るぐらいのものなんでしょ? って感じの認識だった。それこそ木登りよりも簡単なもの、ぐらいに思っていたかもしれない。

 

 だから魔法をパパとママに見せたとき、どうしてあんな大げさに驚いたのかというのが当時は全く理解できなかった。けど、ある程度勉強した今なら理解できる。いきなり、何の脈略もなく、娘が魔法を使い始めたら誰だって驚く。

 

 だって、本当にあっさり使えるようになったんだもん。いや、魔法をそんなにあっさり? って魔法について勉強するようになった今だからこそ昔を思い出してはびっくりする。

 

 誰だってあそこまであっさり魔法が使えるようになったらそう思う。絶対お姉ちゃんが悪い。だって、普通いきなり魔法を使いたいなんて言ってきた見知らぬ子供にに魔法教えたりする? するわけない。

 

 きっと最近はお姉ちゃんみたいな本物の魔法使いが少なくなっているのだと思う。だから、間違いを間違いだと訂正する人がいなくなってしまった。だから遠の昔に偉大な賢者様たちがたどり着いていたはずの真実を、凡人が濁らせてしまっているのだと思う。

 

 実に嘆かわしいことだと思う。そしてその真実を本物の魔法使いに教わったうえで、全くありがたがることもなくそれどころか簡単なものだと勘違いした自分も情けない。

 

 でも、あんなにあっさり教わったら、誰だって簡単なものだと勘違いするに決まっている。それも、自らを見習いって名乗ってる女の子に。ちょっと使うぐらいなら誰でも出来るようになるのかなって。

 

 もうちょっと前置きとかしてくれないと、勘違いするなという方が無理である。

 

 こういう天才と凡人の意識の違いが、今の濁った魔法にあるのだと思うけど。天才は大事なことも大事じゃないこともすべて同列に語る。いや、実際本人からしたらそこに優劣はないのだろう。全て当然のことだから。

 

 でも、凡人のキャパシティーというのは天才と全く違うのだ。結果、その同列に語られたものから取捨選択するしかなく、大事なものが抜け落ちてしまうのだろう。

 

 お姉ちゃんの魔法使い見習いって発言も、まだまだ先を見てるって意味だったのかもしれない。実年齢がどうなのかは知らないけど、肉体的には私とそう変わらないように見えるし。あれほど極めていてもまだ先を見ているっていうのもお姉ちゃんらしい気もする。

 

 その点、お姉ちゃんはわざわざ天才自ら選択して私に教えてくれたのだし、こういう文句は贅沢を言い過ぎかもしれない。私はその結果、現代の魔法技術ではありえないスピードで魔法を覚えた。

 

 本当にすごい。

 

 ……でも、お姉ちゃんはあの時何を思って私に魔法を教えてくれたんだろう?

 

 私は本当に何でもない子供だった。今でこそお姉ちゃんのおかげで魔法が使えるというかなり珍しい付加要素がついてはいるけど、あの頃の私の何がお姉ちゃんの琴線に触れたのだろうか?

 

 魔法のことを勉強するにつれ、私の中ではそんな疑問が生まれた。そして、それはどんどんと大きなものへとなっていった。

 

 子供が好きなのかとも思ったが、私以外の子供に魔法を教えてるところなんて見たことがない。というか、そもそも私以外に魔法を教えてるところを見たことがない。

 

 それはたまたまで、実際には多くの弟子がいるのかもしれないけど。でも、私はずっと長い間一緒にいるし、思い上がりかもしれないけど私はお姉ちゃんの特別だと思ってる。

 

 だからこそ、いつかふわりといなくなっちゃう気がして怖い。お姉ちゃんは時々何を考えているのかわからない時があるから。私の特別な何かがなくなったときに。

 

 理由もなく賢者様に見初められる、まるで物語の勇者様みたい。勇者様は何の才能もなかったはずなのに、なぜか賢者様に気に入られてその教えを一身に受け魔王を倒し世界を救った。

 

 もし、私が勇者様みたいになったらお姉ちゃんはずっと私のそばにいてくれるのかな?

 

「……契約」

 

 私がお姉ちゃんに魔法を教わった後に出てきた言葉。弟子になりたいなら私と契約を、と。

 

 その契約って、いつまで有効なんですか?

 

 どれだけ調べても結局得られなかった、私とお姉ちゃんをつなぐ唯一言葉に出来る確かな存在。血のつながりも何もない、私とお姉ちゃんの間をつなぎとめてくれる唯一の繋がり。

 

 弟子になりたいなら契約をと言われた。でも、師弟子の契約とは一言も言われなかった。

 

 それに、タイミングもおかしかった。だって、あの時すでに私はこの世から消えかけていた真実の魔法を教わり魔法が使えるようになった後だった。多くの人が知らない、特別なものを教わった後だった。

 

 当時の私にそんなこと思いもしなかったけど、魔法を使えるようになったから師匠なんていらないなんて言う無礼なやつもいるかもしれないのに。

 

 ただ、たまたま目に留まったから魔法を教えて、流れで弟子にしてくれただけ? そう言わなかっただけで師弟子の契約だった? 調べても出てこないのは、これも同じく失われてしまったものだから?

 

 でも……

 

 私は今日届けられた手紙を日にかざし、ぼんやりと当時お姉ちゃんと初めて出会った頃に思いをはせる。

 

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「ままのばか! あほ!」

 

 わたしは、いえをとびだした。

 

 はしってはしって、とにかくはしった。

 

 ひとりでそとにでちゃだめっていわれてたけど、そんなことはいまはどうでもいいの。

 だってままがわるいんだもん。

 

 ままがわるいんだから、わたしもやくそくをやぶってわるいこになってもおあいこでしょ? 

 

 だからいいの。

 しんぞうがどきどきする。

 はしってるからだけじゃなくて、きっとわるいことをしているからだとおもう。

 

 はぁ、はぁ……

 

 はしるのつかれちゃった。

 ちょっときゅうけい。

 

「あれ?」

 

 あたりをみまわす。

 そんなにはなれてないはずなのに、まったくしらないばしょ。

 ひとりでそとにでるのなんてはじめてだったし、もくてきちもなくとにかくとおくへはしったせい。

 

 どっちがいえだろう?

 

 ふん、べつにかえるきなんてないからいいんだけどね。

 せいぜいままがこまればいいの。

 

 

 ……

 

「う、うぅ……」

 

 だめ、わたしなかない。

 だって、つよいこだもん。

 

 あ、おじさん!

 

 かけよろうとおもって、あしがとまった。

 

「……え?」

 

 おとこのひとのちかくに、まっかにそまったおんなのひとがたおれていた。

 おとこのひとはそれをみつめながら、てについたあかいものをなめていた。

 

 なんにもわからない。

 でも、やだ!

 

 わたしはいますぐにでもそのばをはなれなかった。

 でも、はしったらおいかけられるきがしてはやあるきではなれた。

 

 ふりかえるちょくぜん、おとこのひととめがあったきがした。

 

 おとこのひとがついてきているきがする。

 いますぐにでもはしってにげたい。

 でも、はしったらおとこのひともかけだしてくるようなきがして、ただひたすらはやあるきではなれるようにあるいた。

 

 もういえからもだいぶはなれてしまった。

 まま、ごめんなさい。

 わたしがわるいこだから。

 だから……

 

 たすけて!!

 

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