ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~   作:哀上

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外伝 幼女side 2 お姉ちゃん、お願い

 外伝 幼女side 2 お姉ちゃん、お願い

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 たすけなんてくるわけない。

 だって、ままのいいつけをやぶってひとりでいえをでてきたのはわたしなんだから。

 そんなわるいこをたすけてくれるひとなんているわけない。

 

 なんでわたし、ままにあんなこといっちゃったんだろう。

 なんで、ひとりでおそとにでちゃいけないってあんなにいわれてたのに、ひとりでそとにとびだしちゃったんだろう。

 なんで……

 

 なんで、わたしってこんなにばかなんだろう。

 

「はぁ、はぁ」

 

 ただあるいてるだけなのに、べつにはしってるわけじゃないのに、ほんきでかけっこしたときみたいにむねがどきどきする。

 てあしがだんだんびりびりしてきたきがする。

 ちょっとくるしい。

 きゅうけいしたい。

 でも、ぜったいとまっちゃだめだ。

 

 とまったらきっと……

 

 ねぇ、ほんとはだれもいないんでしょ?

 おいかけられてるのなんてばかなわたしのかんちがいで、じっさいはうしろにひとなんていないんでしょ?

 

 ふりかえってかくにんしたい。

 ふりかえって、だれもいないってあんしんしたい。

 でも、できない。

 だって、ぜったいだれかいるきがする。

 もしふりかえったら、すがたをめにしたら、きゅうにかけだしてくるようなきがして。

 

 なきそうになりながら、ただひたすらにまえをむいてあるいた。

 

「え?」

 

 ひとなんてぜんぜんいないみち、そのさきにわたしよりすこしとしうえぐらいのおんなのこがいた。

 

 たすけて!!

 

 いますぐにでもおんなのこのもとにかけだしたくて、あしがとまった。

 のどまででかかったそのさけびごえも、くちからでていくことはなかった。

 

 もしわたしがおんなのこにたすけをもとめたら?

 

 わるいこなわたしだけじゃなくて、なんにもわるくないおねえちゃんまできっとこわいめにあう。

 まっかにそまっていたあのおんなのひととおなじ、とってもいたくてこわいめに。

 わたしのせいで。

 

 わたしはままのいいつけをやぶったわるいこだ。

 でも、そんなにわるいこになりたくない。

 だって、わるいこはままにおこられるから。

 そんなわるいこ、ままのもとにかえってもきっとだきしめてもらえない。

 

 もしかしたら、ままのこじゃないって……

 

 てあしがぶるぶるとふるえる。

 ただでさえはげしかったむねのどきどきが、もっともっとおおきくなる。

 

 こわい。

 ただ、こわい。

 でも、おこったままのほうがもっとこわいもん。

 

 てをにぎりしめ、ゆうきをだしてふりむく。

 

「あれ?」

 

 そこにはだれもいなかった。

 それに、さっきまでずっとかんじていたおとこのひとのしせんもいやなけはいもなにもかんじない。

 

 もしかして、わたしのかんちがい?

 

 いや、そんなはずない。

 だって、さきまでずっとうしろをおいかけられて……

 ふりかえったりはできなかったけど、あしおとはきこえていたきがするし、なによりあんなにこわかったのに。

 

 ばかなわたしは、いもしないおとこのひとにおわれるようなきがしてこんなとこまでにげてきたのだろうか?

 まったくみおぼえのないばしょまで、ものすごいこわいおもいをしながら。

 そんなわけない。

 そんなわけ、

 

 ……

 

 うしろからしせんをかんじだ。

 でも、いやなかんじはしない。

 

 やっぱり、おねえちゃんだった。

 わたしのことをみつめて、くびをかしげている。

 

 もしかして、おねえちゃんがたすけてくれたのかな?

 ほうほうなんてどうでもいい。

 とにかくあんしんした。

 

 おねえちゃんにおれいをいおうとおもってかけよったんだけど、おねえちゃんはすこしかおをしかめた。

 もしかして、なにかだめなことやっちゃったかな?

 どうしよう。

 おこらせるつもりなんかなかったのに。

 

 でも、べつにおこってたわけじゃないみたい。

 わたしがちかよっても、おねえちゃんはわたしをとおざけようとしたりはしなかった。

 すぐちかくにきて、あんしんして、おもわずだきついてしまった。

 

 すごい、おねえちゃんのうでのなかはままとおなじぐらいおちつく。

 きっとすごいひとなんだとおもう。

 もしかしたら、わたしをたすけたことがひみつなのかもしれない。

 だにもばれちゃいけない、すぎちからがあるんだ。

 

 でも、なかよくなりたい。

 

「ねぇ、ねぇ。なにしてるの?」

 

 わたしのひーろーともっとおはなししたい。

 

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 私のヒーローは本当にすごい人で、そのあと魔法を教わって契約をして私はお姉ちゃんの弟子になった。そして今でも魔法の修行をつけてもらっている。

 

 あの時お姉ちゃんに出会わなかったら、私はきっとおじさんを初めて見たとき横たわっていた女性と同じ結末をたどっていたと思う。今思い出しても、あの時の記憶は恐怖でいっぱいだ。

 

 あの時、幼い私は直感的におじさんをお姉ちゃんが追い払ってくれたと思っていた。けど、それは半分正解で半分間違いだったんだとおもう。

 

 お姉ちゃんはスラムが近くなったから追いかけるのをやめたんじゃないかって言って、別に自分は関係なかったと思うよみたいな感じだった。けど、多分お姉ちゃんに近づく勇気がなかったからだと思う。

 

 詳しくは知らないけれど、お姉ちゃんはスラムの中でどのマフィアの人たちからも一目置かれるすごい人らしい。狙っていたただの女の子が、お姉ちゃんの知り合いかもしれないと思ったら急に怖くなったのかもしれない。

 

 そんなの少し遠くから見ていればしりあいじゃないなんて一瞬で分かったと思うんだけど、そんなことよりもすぐにでも逃げ出したかったんだと思う。私がおじさんに感じていた恐怖と同じかそれ以上のものを、お姉ちゃんに感じていたのかもしれない。

 

 あのおじさんはたぶんマフィアの人ではないらしい。お姉ちゃん曰く、マフィアの人はスラムの外であんな分かりやすい犯罪は犯さない。スラムのなかなら何やっていても国は動かないけど、外で大きなことすると組織自体に迷惑がかかることになるし、最悪スラム自体がなくなってしまうから。

 

 どちらにしても小物だってお姉ちゃんは笑っていた。でも、そんなこものにすら周知されているってすごいことだと思う。だって、私この国の王様とか貴族様の顔知らないし。

 

 気になるなら掃除を頼もうか? なんて笑いながら聞いてきた。お姉ちゃん、ナチュラルにこわいよ。

 

 でも、お願いしなかった。だって十分怖い思いしたと思うし、何よりお姉ちゃんと出会うきっかけになったから。わたしは感謝してるぐらいだ。

 

 まぁ、お姉ちゃんに頼まなかっただけでもし出会ったらどうするかはその時次第だけど。

 

 ほんと、今思い出しても偶然の連続である。少しでも歯車がずれていたら、きっとこんなことがなければ、私みたいな平民がお姉ちゃんみたいな本物の魔法使いの弟子になることなんて出来なかったから。弟子どころか、今の魔法の常識を見るに出会えてたかも怪しい。

 

 だから、手にした幸運を手放したくなくて。私とお姉ちゃんの確かなつながりを探してしまう。

 

 調べても出てこなくて、聞いてもはぐらかされるだけなのだけれど。

 

 ……そういえば、振り返っていて思い出したけどあの儀式とか言うのも大概おかしなものだと思う。

 

 まるで契約のための儀式みたいな言い方してたけど、どう考えても違う。今でもたまにやってるし。

 

 私の魔力源をほんの少しだけ切り取り、師匠の魔力源に張り付ける。そもそも、そんな概念自体が現代魔法には存在しなかった。

 

 魔力源に傷をつけるなんて、現代魔力の凝り固まった概念に支配された魔法使いに聞かせたら発狂物だろう。そんなことしたら、魔法が使えなくなってもおかしくないって。

 

 過剰に魔力源を傷つけるのを嫌うのだ。物語の中でも、魔力源にダメージを追って戦えなくなった賢者様みたいのが師匠ポジで出てくることがある。その程度にはメジャーな概念で正しいと思われてる概念なのだろうけど。

 

 そんなだから……って、私もお姉ちゃんからの受け売りで天狗になるのはさすがにあれだと思うけど。でも、正しい教育を受けると間違ったものを正したくなるのは仕方ないと思う。

 

 だって、魔力源傷つけてあげないとすぐ魔力の成長限界に達しちゃうんだから。

 

 最初は、特に意味もわからずお姉ちゃんに言われるがままにやったんだけど、何回か繰り返すうちに段々と意味がわかってきた。ほんと、なんでいつもちゃんと説明してくれないんだろう?

 

 魔力の伸びが悪くなってきたなぁってタイミングで、お姉ちゃんが今日はお願いしようかなって言ってくるの。そして儀式を行うと私の魔力の最大量が少し減って、そしてその傷を覆うように完成しつつあった魔力源がより大きく成長する。

 

 次の日から、伸び悩んでた魔力が嘘みたいに一気に伸びる。いつでもいいわけじゃないらしい、今日はいいのって聞いたら今日やると逆効果だって言われたことあるし。

 

 ほんのすこしというのも、傷つけすぎると覆うように治らず小さくなってしまう可能性があるし、それでなくても治るのに無駄に時間がかかるからだろう。

 

 それをお姉ちゃんは、私の魔力源が成長ししかし完成する前という絶妙なタイミングで管理してくれている。

 

 どう考えても契約のなんて無関係、私への修行の一環だと思う。

 

 お姉ちゃんは色々と口下手なのだ。もしかしたら人里離れて研究でもしていたのかもしれない。

 

 でも、別に1人でいたいわけじゃないみたいだし。これ、お姉ちゃんに渡したら怒るかな? それとも喜んでくれるだろうか?

 

 お姉ちゃんを蔑ろにした場所で、未来ある子供達の未来を丁寧に摘んでいる場所。お姉ちゃんと離れて行きたいとは思わないけど、でもお姉ちゃんみたいなお人好しだったらきっとほっとけないよね?

 

 まだ無理だけど、私もいつかお姉ちゃんみたいになりたい。だったら私も見捨てちゃダメだよね。それに、お姉ちゃん子供好きだろうしきっと楽しんでくれると思うんだ。

 

 ずっと眺めてた手紙を開封する。

 

『王立魔法学園 入試ご案内』

 

 お姉ちゃんと一緒に学園生活、絶対楽しいよね?

 

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