ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~   作:哀上

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第十九話 学園からの招待状?

 第十九話 学園からの招待状?

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「お姉ちゃん?」

 

 色々と思考をめぐらせていると、いつの間にか幼女が俺の目の前に立っていて顔を覗き込んできていた。どうやら魔法の訓練はもうおしまいらしい。

 

 いつも思うのだが、どうしてこう陽キャというのはしっかりと目を合わせてくるのだろうか。俺としては、気まずいったらありゃしないのだが陽キャは状態異常に対する強い耐性でも持ってるのだろうか。

 

 しかし、これやっちゃったかな。これからいろいろ詰められるかもしれないというのに、さらに相手が怒る理由を増やしてどうするんだって話である。

 

 煽りかな? 

 

 命を懸けた煽り、まるで漢みたいだ。

 

「どうした?」

 

「あのね、大切な話あるって言ったでしょ」

 

「ああ、」

 

 ……ついに来たか。

 

 幼女が、いつになく真剣な表情で俺を見つめてくる。心なしか緊張しているようにも見えるが、もしかしたら完全に断定されているわけでもないのかもしれない。ただ疑ってるってだけで。

 

 しかし、そう思っても怖いものは怖い。幼女は幼女でしかなく見た目としては愛らしい限りなのだが、さっきまで目の前で大量破壊兵器並みのエネルギーをその身から迸らせているのを見ていたので、剣銃突きつけられる以上の緊張感である。

 

 いつでも逃げれる準備を、と一応軽く足首をひねったり、手首をこねこねしたり、準備運動をしてみる。そんなもの完全に無駄でしかなだろうけど。

 

 いや、多分ばれてないと思うんだ。俺が幼女の才能を搾取してることとか、師匠と言いつつただの詐欺師だとか。ばれてないと思う。

 

 ……そう思いたい。

 

 こんなところで、せっかくの二度目の人生終了はごめんである。そもそも、まだ前世で死んだときの年齢にすら達していないし。しかも、死因が前世と全く同じく因果応報とか勘弁である。一体死んで何を学んだんだって話になる。

 

 ……

 

 神様、どうか少しだけ情けくれませんか? ほら、未成年には少年法適用されるっていうじゃないですか。俺、未成年っすよ。

 

 お前は、前世も合わせりゃ魔法使いだろって? 何言ってるんですか、前世でも今世でも俺は一度も大人というものになったことがない生粋の子供ですよ。ピーターパンですよ。ピーターパン。

 

 ……別に、ピーターパン症候群じゃないよ?

 

「それでね、もちろん自分勝手だって分かってるんだけどね」

 

「お、おう」

 

 あれ? これやっぱり違うんじゃね?

 

 明らかに起こっている人の態度ではない。どちらかといえば、申し訳なさそうというか、緊張しているというか。怒られるかもしれない側の人の態度である。

 

 逆切れを恐れてる? いや、それで人はこんな態度にはならないはず。そもそも俺程度が逆ギレしたところで、幼女からしたら蟻が騒いでるレベルだ。怖くもなんともないだろう。

 

 間違いない。バレてない。つまり、バレなきゃ犯罪じゃない理論によって、被告人は無実。

 

 やったね俺君大勝利!!

 

「勘違いしてほしくないんだけど、もちろんお姉ちゃんのことを一番尊敬してて感謝してて。だからこそっていうか……」

 

 ……いや、やっぱり疑われているのかもしれない。俺を尊敬しているうえで疑っているから、こんな遠回りな言い回しになっているのでは?

 

 でも、それならそれでセーフという理論も? 尊敬されてるならいくらでも丸め込めるだろうし、これまでの俺ナイスである。

 

 いや、ここまで尊敬されておいて疑われてるって相当なのでは? しかも、本人に言うほど疑われてるっていう……

 

 それ、ほぼ確信と変わらないのでは?

 

 もしかして、ナイスどころか戦犯だったりします?

 

 果たしてこの状況から丸め込めるのであろうか? 疑問である。まぁ、少なくとも悪即斬されることはなさそうなので、最悪の事態は避けられそうである。よかった。

 

 というか、ここまでヤン化してると勝手にいなくなったりした方が危なかったまである気がする。サーチ&デストロイからのホルマリン漬け、あると思います。

 

 水中にぷかぷか浮かぶ俺の生首。人形のように整った顔をしたそれを、嬉しそうに眺めながら話しかける幼女。ホラーでしかない。そんな未来は御免被る。

 

「……? 言い訳はいいから、結論を言ってくれないと何もわからないんだけど」

 

 とりあえず丸め込み方針で行く。とにかく押して、それでダメなら押してみろってことで。

 

 引く? 人生引いたら負けである。

 

「えっと、怒らない?」

 

 この幼女、なぜこんなに不安げなのだろうか。

 

 ……かわいい。

 

 成長しても、あの時出会った当時のことを思い出される。そして、そのたびに罪悪感が、がが……

 

「こんなかわいい弟子のこと、怒るわけないでしょ」

 

 不安げな幼女の頭をなでなで。

 

 こんな幼女を騙して養分にしているやつがいるなんて、許せん。そんな奴、即刻死刑からの地獄行き確定である。因果応報、幼女の命は何よりも重し。

 

 ま、まぁ……ね。

 

「あの、私王立魔法学園に行きたい」

 

 へ?

 

 魔法学園? ……学園? 

 

 なるほど。

 

 いや、もちろん違うと思ってたけどね。別に才能吸ってたのがばれたとか、詐欺やってるのがばれたとか、そんな可能性はないと思ってたけどね。

 

 しかしそうか、学校行きたいのか。それも王立魔法学園ねぇ。ほぼ貴族しか通えない、王国の未来を担う人材を育てるためのガチガチのエリート校である。

 

 そもそも、識字率すら低く店の看板が絵だけなんてことがざらにあるこの世界。平民が学校に行こうなんて言う時点で驚きものだが、そんなエリート校に行こうだなんて、そういう選択肢が出てくる時点で普通の平民とはレベルが違う。幼女クオリティーである。

 

 幼女のためを思って言うのなら、別に行けばいいと思う。貴族だらけの学園こ中にポツンと平民がいるのは何かと大変なことも多いとは思うが、この魔法の腕さえあればどんな場所でもやっていけるだろう。

 

 それこそ、嫌がらせでもしようものなら大変なことになる。小国と戦うより幼女と戦った方が被害がでかくなる可能性すらあるわけで、貴族の子供でもそんな藪蛇突っついたらただじゃすまないだろう。

 

 家から勘当されるか、御家取り潰しみたいな騒ぎになるか、そもそも幼女に即殺されるのか。その辺は幼女の良心による暴れ具合によって左右されるだろうけど。

 

 仮にいろいろ罪を押し付けられたりして八方ふさがりになったとしても、逃げるだけなら簡単だろうしね。絶対的力の前にすべては無力というやつである。

 

 全く心配することはない。

 

 でも……

 

 いや、本人のためを思えば多分行った方がいいんだろうし、俺はばれずに殺されずに万々歳でハッピーエンドなわけなんでけど。でも、なぜだろうか。これ以上魔力増やせないと思うと、もったいないと思ってしまうのは。

 

 甘い蜜をすった人間というのは、破滅するまでその蜜を吸うのをやめられない。例えそれが自らの破滅につながるとわかっていても、それが己が身に起こるまで。

 

 王都にまでついて行くって選択肢もなくはないけど、あそこの学園って確か全寮制だった気がするしなぁ。着いて行って何するのって話だ。

 

 貴族学校の寮なんて当然部外者が入れるわけなんてなく、結局ついていく意味がなくなっちゃうだろうな。それに、学園での授業なんて受けて、レベルの高い友達と話して、今度こそばれるだろ。ついて行ったところで無駄足でしかない。

 

 是非、やめてほしいところではある。

 

 いや、決して自分本位だけの理由でもない。幼女にはそもそも学園に通える通えない以前に、挑戦する権利があるかすら怪しい。

 

 金の問題があるのである。例外でもない限り、授業料はもちろん入試を受けるのにすら大量の金が必要になる。貴族ばっかの学校だから当然なのかもしれんが、とりあえず普通の平民に払える額でないのは確実である。

 

 総合して、まぁ

 

「あんまり、おすすめはしないかな」

 

「そう言われるのは何となく想像できてた。でも……」

 

 なんでこんなに意志が固いのだろうか。そこまでしていきたいのか? 珍しいな、幼女がここまで強い意志を見せるなんて。普段、俺の言うことに対して基本イエスマンのくせに。

 

 まぁ、意志が固いのはいいんだけど。何か、あてはあるのだろうか?

 

 俺に話したってことは、紹介状でも書いてもらってって算段だったのかもしれないが……当然俺にそんなつてあるはずない。紹介状を書くだけなら可能だが、何の効果もないゴミが一枚荷物として増えるだけである。

 

 実力があれば確かに評価はされる。でも、こういう身分社会はそもそも実力を判断されるために、その対象になるために最低限の身分というのが必要になるのだ。

 

「でも……行きたい!! 私がお姉ちゃんに並ぶようなすごい魔法使いになるために」

 

 下を向いていた幼女がガバっと顔を上げて力強く宣言した。お前の中で俺はどんな存在になり果てているのだろうか? 非常に疑問である。

 

 ある意味目標が高いともいえる。そもそものレベルが違い過ぎて、並ぶなんてほんとに不可能だし。不可能を可能にするというと、言葉の響きだけはよさげだ。言葉の響きだけであるが。

 

「これが、そのきっかけになると思って。きっと神様が、私にそうしろって言ってる気がしたの」

 

 そういいながら、幼女は何やら手紙を差し出してきた。

 

 なになに『王立魔法学院、入試ご案内』?

 

 ……??

 

 え? マジで?

 

 何を驚くことがある? たかが入学案内でしょ、と思うかもしれない。実際、これは入試案内だ。中身はただ学校の宣伝みたいな冊子が入っているだけである。

 

 そう、宣伝冊子だ。

 

 ほぼ貴族しか通えない、王国の未来を担う人材を育てる学校。王国中から受験希望者が集まってきて、莫大な入試費用にもかかわらず毎年倍率がすごいことになる。そんな学校の宣伝だ。

 

 ただの入試案内と思うことなかれ、出す必要がないのに出すということはそれだけその人物が欲しいという証拠に他ならない。つまり、ぜひ受けに来てくださいとわざわざ手紙をよこしたということだ。

 

 こんなもの貴族の、それもかなりの上位の貴族にしか行かないと思っていた。上位貴族ともなると自前で学園以上の環境をそろえられてしまう。でも、それをされては学園の面目丸つぶれ。

 

 だから、親に向けて勉強以外にもいろいろメリットがありますよとか。子供に向けて学園って楽しいとこですよとか。そんな情報をまとめた冊子を送るのだ。

 

 是非、うちの学園に来てくださいと。貴族からしたら些細なことではあろうが、当然招待したので入試に金は掛からない。

 

 この幼女、マジか……

 

 実力があれば確かに評価はされる。でも、こういう身分社会はそもそも実力を判断されるために、その対象になるために最低限の身分というのが必要になる。

 

 卿に入っては卿に従え。人間とは社会のルールや常識に逆らって無視して生きられるほど強くない。

 

 ただし、天才とはルール程度に常識程度に縛られる生き物ではない。それを無意味だと笑い飛ばし、好き勝手生きる生き物である。

 

 しかし、こんなもの何処で手に入れたのだろうか? いくらこの幼女が凄いと言っても、そもそも学園のお偉いさんが目にする機会なんてそうそうないはずだが。

 

 それとも、天才というのはそんな中ですら目に止まってしまうものなのだろうか? いや、これは天才どうこうというよりどちらかと言えば……

 

 この幼女、やはり……

 

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