ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~   作:哀上

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第二十話 幼馴染っていいよね

 第二十話 幼馴染っていいよね

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 天才というものは、どんな環境に置かれたとしても目に留まり成り上がれてしまうような、そんな存在なのだろうか? 

 

……違う気がする。

 

 それはもはや天才どうこうという次元を遠に超えた、もっとこう別のレベルの存在か何かな気がしてならない。どちらかといえばそれは、世界の中心に存在していてすべてがその存在にとって都合のいいように動く、そんな世界の住人。

 

 ご都合主義、そんな言葉すら生ぬるいほどの世界からの特別扱い。天才だからではない。そんな特別な存在だから、当たり前のように天才でもあるというだけ。あくまでそれはおまけでしかない。

 

 この幼女、やはり……

 

 主人公、なのかもしれない。

 

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 普段に比べて、やけに強情だなとは思っていたのだ。そこまでして魔法学園に行きたい理由がるのか? と。普段とのあまりの違いに、違和感を覚えるなというのが無理難題というものである。

 

 そして、そういえばこの幼女物語とか大好きだったなって思い出した。王道の勇者が魔王を倒して姫と結ばれるような話から、賢者○○の探検記みたいな少しリアルよりのドラマ仕立てなものまで幅広く好んでいたように思う。

 

 この幼女、ちょっと中二病の毛があるのだ。

 

 いや、もちろんそもそもまだ中二病とか言われる年じゃないし、自分を特別と勘違いしているのかと言ったら、この幼女は実際特別で。なんなら、物語の中の読者にリアリティーなさすぎと言われないために半端なリアリティー持たされたキャラなんかよりずっと特別な存在だ。

 

 別に中二病というわけではない、ちょっと似たような性質を持っているだけ。だからこそ、初めはそれが理由なのかなって思った。

 

 実際、こういうあこがれを持った未来ある子供を集めるという目的もあるのだろう。事実がどうなっているかというのはこの際おいておいて、物語の勇者様や賢者たちをはじめとする多くのこの国の偉人達は得てしてこの王立魔法学園の卒業生ということになっているものが多い。

 

 それがただそういう設定なのか、それとも事実なのか。でも、影響される子供は多いだろう。自前で教育環境が準備できるような上級貴族の子供に対しても、この手段は極めて有効だ。あこがれの勇者様と同じ学校に通うというのは強い魔力を持つ。

 

 だから、幼女も同じように影響されたのかと思っていた。あこがれの勇者様と同じ道をたどりたいとか、聖地である魔法学園に行ける機会があるなら逃したくないとか、そんなところだろうと思っていた。

 

 でも……

 

 もしかしたら、全く持って違うのかもしれない。これは自画自賛でも自惚れでもなく、事実として幼女が最も尊敬している人物というのは勇者様でも賢者様でもなく俺である。

 

 詐欺がばれるまでの期間限定ではあるが、ばれていない以上今はそれは関係ない。いくらあこがれの勇者様の言っていた学校とは言っても、それ以上に尊敬している相手に止められてそれでも行こうとするだろうか?

 

 答えはノーだろう。

 

 だからこそ思い当たったのだ。そういえば、この幼女に初めて会った時に一つくだらない想像をしたことがあったなと。幼女がこの世界の主人公なのかもしれないなんて、そんな妄想を。

 

 もし、幼女が主人公なのだとしたら。これはもはや本人の意思どうこうとかいう、そんな話ではなくなってくるのかもしれないと思った。

 

 ……もしかしたらこれが本来の話の流れというやつなのかもしれない、と。

 

 この幼女ははじめから学園に通う運命にあった。理由なんてものはない。ただ、そういう話だから。そうならないと、幼女が王立魔法学園に入学しないと話が始まらないから。

 

 これを変えようだなんて、不可能にもほどがある。運命に逆らう、正しい歴史の流れに逆らおうなんて、そんな修正力との真っ向勝負なんてどう考えても無謀である。

 

 俺にそんな力は存在しないし。そもそも学園への入学なんて言う物語の中で非常に大きな存在を占めそうな事柄もし変えれたとして、どんな結果になるのかなんて想像もつかない。

 

 例えば、主人公の成長フラグがおられてしまって、主人公以外誰も勝てないみたいな敵にもはや主人公すら勝てなくなってしまったり。例えば、実力は十分だったとしても、学園に通ってたからこそ噂とかで早期に対処できたはずなのに、学園に行ってないせいで大規模な被害が出てからの後手後手での対応になったり。

 

 国が滅ぶなんてのはまだいい方で、主人公のそんな大きな流れを変えたら世界が滅んでもおかしくない。前世親しんだ多くの物語、実に容易くそんなイフが妄想できてしまう。そんな結果、是非とも遠慮させてもらいたいものである。

 

 幼女が学園に行く、これはもはや変えられるものではないのかもしれない。

 

 圧倒的な才能を持つ平民が、貴族ばかりの学園に入学する。よくある話だ。俺も前世で腐るほど読んだ。ありふれた導入であり、実に先の展開につなげやすい優秀なプロローグだ。

 

 単純な主人公最強系の無双物、異世界転生や異世界転移もの、それこそ死ぬ直前まで流行っていた悪役令嬢ものまで。主人公の強さと成長を描くのに、その世界の世界観を描くのに、学園という教育機関であり学生という名の多くのモブがいる舞台装置は面白いほどに使い勝手がいい。

 

 本来弱いはずの立場で、例外的に強い主人公が周りを振り回しながら日常を過ごしていくというのも、絵としてとても映えるものだしね。

 

 行っておいでと、もはやそう送り出すしかあるまい。

 

 もったいないとか、そんなこと言ってられるわけもない。俺の魔力どうこうと世界の流れ、どちらが大事かという話である。

 

 ……個人的に、自己中な俺としては

 

 まぁ、どっちみち無理なものは無理という奴だ。どう思ったところで仕方ない。無理やりではあるが、破産することなくギャンブルから足を洗えたと思って納得するほかあるまい。

 

 だから、

 

「そうか、寂しくなるなぁ」

 

 送り出すときぐらい、本当に優しいお姉ちゃんでいるというのも悪くない。

 

 まさか、王立魔法学園にまでついて行くというわけにもいかないしね。

 

「何言ってるの? お姉ちゃんも一緒に行くんだよ」

 

 え?

 

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