ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~   作:哀上

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第二十一話 灯台離散志望な高3偏差値40

 第二十一話 灯台離散志望な高3偏差値40

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「何言ってるの? お姉ちゃんも一緒に行くんだよ」

 

 え?

 

「え? それはちょっと……」

 

 ついて行くというのは、さすがに厳しいものがあると言わざるをえない。そら、物理的について行くこと自体は不可能ではないだろうが、この幼女が言っているのはそういう話ではないだろう。

 

 一緒に学園生活をしたいと、きらきらとした瞳が俺に訴えかけてくる。相当な無茶でもなければ答えてやりたいところではあるが、これは相当な無茶に分類されるレベルのものであると思う。

 

 まず金の問題がでかい。残念なことにというか当たり前なことにというか、俺は王立魔法学園への招待状なんてもの持っていない。招待状がないということは、当然入試を受けるための金が必要だ。

 

 そんな莫大な金、ママンは持っているかもしれないが出してもらえるかどうかというのは怪しいところである。正直言って子供にそのレベルの大金を掛けるというのは、ただの博打でしかない。

 

 入試金額ですらそれである。もし仮に受かったとして、その後の莫大な授業料を払ってもらえるのかどうか。幼女はどうせ学園から補助もらえる程度の成績は出すだろうけど、俺は仮に受かってもそれほどの成績は出ないだろうし。

 

 子供が自分の後を継ぐからとかそういう理由で教育を施すのであればともかく、俺の場合そもそも後を継ぐ気なんてみじんもないし。ママンの後を継ぐなら学園に行くより現場で学ぶ方が早いということもある。

 

 貴族ですら、中堅以下は基本長男のみ通わせても次男まで。それ以外は別の学校で学ばせるのが基本。それ以上は金の無駄であるって世界だ。

 

 やっぱり、無理なものは無理である。

 

「お姉ちゃんはやっぱり学園は嫌い? お姉ちゃんたちをないがしろにした近代魔法の結晶のような場所だから? 才能ある子供たちの未来を丁寧に摘んでいる場所だから?」

 

「……」

 

 いや、好き嫌いではなくって……

 

 それに、仮に金の問題を解決できたとして。そもそも俺なんかが受かるわけがないという、これまた別の問題が発生する。

 

 もちろん実技の問題もある。幼女のおかげで成長できているとはいえ、当然初めて会った時の幼女に届く気配すらない程度である。

 

 ただ、これは何とかなる可能性もあると思っている。正直実技に関しては幼女のせいで感覚が狂いまくっていていまいち平均というのがつかめないのだ。

 

 まさか幼女並みが平均ということもあるまい。人類の平均値がそれならばとっくに魔族との戦争は終わっているだろうし、あるいはこの世界の平均がそれであるならばこのあたりが焦土と化しているだろう。

 

 奴隷含めある程度下位のレベルだろうが、魔法使いというのはある程度の数見てきた。平均があれより上程度で学園が上澄みの集まりとはいえそもそも魔法使えるという時点で相当な上澄み、しかも子供だし。

 

 何とかなってくれると思う。信じている。

 

 まぁ、魔法力では何とかなっても使える魔法が美容系ばかりというのは正直詰みかねないけど。今から練習始めたところで、練度が間に合うのかどうか問題である。

 

 でも、それ以前な問題が一つある。才能のせいでどうこうという実技以前に、筆記の方が心配である。転生者として情けない限りであるが。

 

 日ごろから魔術書に対しあれやこれやと文句を言いながら読み込んでいる幼女なら楽勝なのであろうが、すでに役に立たないと切り捨ててしまった俺からしたらまさにちんぷんかんぷんといったところだ。ただ記号が並んでいるようにしか見えない。

 

 大人の頭脳を子供の内から持っておいて座学がダメダメとか、転生者失格である。仕方ないだろ? はじめは結構頑張っていたんだ。ただ、役に立たないとわかった瞬間、一切の勉強への気力が消え去ってしまったのだ。

 

 現在の俺の魔法に関する知識は美に関してのみ。要は自らの体をチェックしたり、内側からいろいろいじったりみたいなものだ。当然独学であり、他人からもらった魔力で行うイレギュラーなもの。

 

 当たり前ながら一般で使われているような魔法論理への応用とか聞かないし、一から勉強する羽目になるわけだ。使いもしない魔法論理を。

 

 他の学校ですらすでに受かる気がしない。

 

 ただでさえそれなのに、王立魔法学園なんてのは選ばれた者の中でもさらに選ばれし者のみが通う学校だ。いわば、その選ばれた者のみが理解できればどうでもよく、それ以外を落とすための試験である。

 

 何を当たり前のことを、前世での試験もそんなものでは? と思うかもしれないが、正直言ってレベルが違う。そもそも前提とした全員が義務で通う教育機関なんて存在せず、当たり前のように想定された試験範囲なんてものもない。

 

 魔法に関する理解というものが直接試されるので、当たり前のようについ最近発表されたばかりの最新理論がそのまま問題になったりするらしい。こんな田舎ではそもそもその内容すらまだ届いていないようなものが、当たり前のように出題されたり前提条件として意見を求められたりする。

 

 貴族が強いというのも当然だ。だって、常に最新の情報を手に入れているし、家庭教師も現役のものが付くことが多い以上より詳しく知っているというもの。そしてこんな試験の学校だからこそ、通わせる価値があると思う人が多い。

 

 試験が最新式なら当然授業も最新。常に新しい授業が行われ、なんなら試験とは違い絶対に答えが必要というわけでもないので平気で研究途中のものが授業になる。

 

 正しいかどうかは多少怪しいが、常に最新を叩き込まれる。その方が国のためになる人材に育つ可能性が高いのだから。

 

 それに間違っていたとしても何も問題ない。彼らは常に最前線の立つようになるわけで、間違いなんてものはすぐ耳に入る。何なら彼らがその間違えを発見する立場になる人間なのだから。

 

 それこそ、習ったそばから間違いを指摘するなんていう神童もいるとかいないとか。そういう人材を求めていて、そういう人材を育てる場所なのだ。

 

 未来の賢者であったり、国を背負って立つ貴族だったり、一般から大きく外れた逸般人を教育する学校なのだ。決して前世の義務教育のような下に合わせる教育なんてしない、上に合わせる。ついてこれないものは容赦なく振り落とす。

 

 そんな学校なのだ。

 

 俺が行ったところで、入試に落ちて大金を無駄にしてとぼとぼ変えるのが関の山といったところであろう。確かに成長はしたのだが、成長したといっても所詮そのレベル感でしかないのだから。

 

「……それとも、お姉ちゃんを頼ろうとした私のことが? お姉ちゃんの弟子にしてもらっておいて、いつまでたっても頼りっぱなしで情けないから?」

 

 幼女が不安げな視線を俺に向けてくる。

 

「そんなこと、ない!!」

 

 断じてそんなことは思っていない。ただ、俺が幼女に不釣り合いであるというだけで。

 

 知らないだけであったとしても、騙してる俺をここまで慕ってくれているのだから。何とかわがままをかなえてやりたいと思ってしまうのはおかしなことだろうか?

 

 正直金の問題は何とかなる心当たりがある。今のパパ一人体制じゃ入試の費用はともかく授業料が何年かかっても不可能であろうが、増やせば何とかといったところである。

 

 もちろん何人も相手にしてれば、数が増えれば増えるほどそれがばれるリスクも増えることになる。でも、入学するまでばれなければ問題ないわけで、新天地でまた心機一転始めればいい。

 

 だけど試験そのものに関しては……

 

 パパ活の金で貴族のように家庭教師を雇うにしても、正直今更感がぬぐえない。それに、そもそも俺の才能はないわけで家庭教師程度でそれがどれだけ優秀であろうと入学できるのかは微妙なところだ。

 

 東大の離散に高3から勉強始めて入れますか? ちなみに偏差値は40くらいです。みたいな感じだろう。

 

 どう考えても間に合わない。いい家庭教師を付ければとかいう問題ではなく、もはやカンニングの勉強を始めた方がいいまで……

 

 ……カンニングかぁ。

 

「私も学園に行く」

 

「あ……ごめんお姉ちゃん。別にそんなつもりで言ったわけじゃなくて、」

 

「いいの。それに、あなたとの学園生活なんて楽しそうじゃない」

 

 いいこと思いついちゃった。

 

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