ネカマ傾国記~TS転生した元ネカマガチ勢は乙女ゲームの世界で元気に傾国の美女やってます~ 作:哀上
第三話 人生ハードモードだったりします?
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やはり、この世界はファンタジーな異世界らしい。そう思えば納得できることも多々ある。いくら貧乏とはいえ、さすがに一切の電化製品がないのはおかしいとは思っていたのだ。
「いや、ならなんで気が付かなかったんだよ」そう思うかもしれないが、電化製品もなかったけど異世界っぽいファンタジーなものもなかったからだ。ほら、こういう場合って家にある魔法の道具とか、あるいは親が自然に使う魔法を見て「ああ、ここは異世界なんだ」って悟るのが普通じゃん。
そういう、いわゆる異世界フラグってやつが一切なかった。だから気が付かなかったのだ。
転生といえば鉄板は異世界転生、初めは疑ったんだが魔法の影もない世界でそれをやり続けるのは……中二病の黒歴史に苦しめられた過去を思い出すようで非常につらかったのだ。誰に見られているわけでもないが、着実に俺の心にダメージがかさんでいく。
ファンタジーな世界に転生したのだと先入観を持ってこの世界を見て見れば、おそらくそうなのであろうと思える部分は他にも多々あった。俺の失敗は、ほぼ動けもしないのに周りに情報だけで現代っぽいなどと勝手な偏見を固めてしまったことであろう。
しかし……ファンタジーな世界の家だとしてもやはり貧乏であることに違いはないのだろう。魔法の品がないことももちろんだが、家も結構ボロボロだし。この世界の基準なんてものはわからないが、少なくとも貴族なんてよさげな身分でないのは確かである。
平民の、それもかなり下位層の家庭に生まれたんじゃないかな。家から出たことなんてないので周りの様子などよくわからないが、窓から見える景色と日ごろの静かさを見るにスラムなどではないとは思う。まぁ、確実に街中でもないと思うが。
父親に会わないのも古い価値観の持ち主なのか、それともいわゆる単身赴任にでも行っているのかとも考えたのだが、この感じ俺はまだ会っていないのではなくそんな存在いないのかもしれない。
でも、ママン別に働いている様子ないんだよなぁ。いや、俺がずっと起きているわけでもないし、寝てる間に働きに行ってたりするのかもしれないけど。それにしたって、あまり働いている様子はない。
平民の女が短時間で稼げるものといえば……夜の仕事ぐらいの物だろうか? こういう世界、当然のように男尊女卑であろうし、まっとうに稼ぐ選択肢は少ないだろう。
それに子育てしながら稼げるほど優秀なら、俺が生まれる前はそれなりに余裕があったはずでこんな家にはならないだろうというのも容易に想像できてしまう。
おそらく、俺の父親はママンの交際相手などではなく、仕事で相手をしたお客さんとの子なのだろう。
……しかし、そうなるとなぜわざわざ生んだのかが気になる。別に愛の結晶というわけでもない子供、わざわざ自分の生活をひっ迫させてまで育てる理由なんてなさそうなものだが?
いや、相手が欲しがるというケースもあるのか? 自分の子供っていうのは案外使える駒になるともいうし、平民を買っていてそいつがはらんだら子供もかいとるということもあるのかもしれない。
売女の子供が誰の子かなんて確証がモテるようなものでもない気がするが、元の世界ではDNA鑑定なんてものがあったし、この世界もそれに相当する魔法みたいのがあるのかもしれない。
いや、もしくはそれを想定して生んだだけという可能性もあるのか? 相手から頼まれていないけど売るために。もしくは自分はその客の愛人だったと主張して金でもとれたりするのだろうか?
夜の仕事なんて長年続けられるものではない。価値は落ちる一方だし、肉体労働は当然ガタが来るのも早い。
これは、第二の人生相当ハードモードかもしれない。
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新事実が発覚した。
どうやら俺、女だったらしい。
この世界がファンタジーなことに気が付かなかったり、自分が女なことに気が付かなかったり……俺は案外凝り固まった思考回路をしているのかもしれない。赤ん坊のころなんて、男女の差は相棒の有無ぐらいしか無い。しかも赤ん坊のころの相棒の存在感なんてほぼあってないようなものだろう。
と、一応言い訳させてもらう。
気づいた時、当然のようにそこにあると思っていた相棒がいつの間にか消えていて心底驚いた。結局前世ではつかってやることができなかった相棒、第二の人生では休む暇もないなんて妄想もしたのだが、出番はなさそうどころか存在事消滅してしまっていた。
「あうー、あうー」
気づいて何とか息子の存在を確認しようとうねうねしていると、
「どうしたの? おなかすいたんでちゅか~」
「あう!」
ママンに抱きかかえられて、おっぱいを口の中に突っ込まれた。お腹がすいて暴れていると解釈されたらしい。
柔らかいおっぱいの先から、ちゅぱちゅぱと甘い母乳を飲む。毎日何度もやっているので慣れた手つきである。
おっぱいを手で軽く押す。赤ん坊の力でも簡単に沈み込む。柔らかくて、なんとも心地いい質感だ。
ぷにぷに、ぷにぷに
何だろう、この気持ち。
ぷにぷに、ぷにぷに
これは……
「あっ、ああ ……もう、いたずらしちゃめっ! よ」
怒られてしまった。
どうやら肉体から相棒は失われても、心の中からは失われていなかったようである。さすが、俺の相棒だ。
しかし、そうなると非常に困ったことになる。女として使われることになるのはちょっと……
俺の父親がだれで、母親が何のために生んだかなんて、結局ただの想像でしかない。そうである以上、俺がその誰か知らない父のために取引先相手の年老いたおっさんの元に嫁がされるなんて言うのもただの被害妄想だ。
でも結局、貧乏な平民の女が生きていく道なんて限られているだろう。俺がいやだと言っているこの未来は、平民の女の未来としては比較的いい方というかむしろあこがれの類にはなるのだろう。
そしてそういう価値観である以上、ママンも良かれと思ってそう動いてるだけという可能性もあるわけで……
でも、善意でも何でも知らないおっさんのもとに嫁がされるとか嫌なんだけど。いや、もちろんイケメンでも嫌だけど。
神様、どうしてこんな運命に? TS転生の上にこの生まれは、ほぼ人生固定されてませんか?
確かに前世ではネカマプレイなんてしてましたけど、でもそれは別に女になりたかったわけじゃなくて、いや確かに全く興味なかったかと言われればそういうわけではないんですけど……少なくとも性的対象は女なんすよ。
ネカマとして男どもにちやほやされるのは好きでも、女として男どもに抱かれてみたいかと言われたらそれは別のはなしなんすわ。
どうしよう。俺、未来に不安しかないんだが?
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