ウマ娘三部作Firstシーズン 片翼の撃墜王 ~イカロスの黎明~【完結】 作:DX鶏がらスープ
ウマ娘二次創作どころか執筆活動すら初めてですが、
頑張って書きます
彼女が駆けつけた時には、全てが終っていた。
「…っ!トレーナーちゃ―――…!!」
降り注ぐ夏の陽気の中を全力で駆け抜け、ようやくのことでたどり着いた病室の中はしかし、外のうだるような暑さとは対照的にとても冷え冷えとしており、そしてとても静かだった。そのあまりの落差故に、ドアを押し開けた彼女は息を飲むが、そうして一瞬でも頭が冷えたからこそ、彼女の視線は何のバイアスもなく病室の中央のベッドに向けられる。向けられてしまう。
そう、彼女は天才だった。大抵のものは見ただけでわかってしまう。面倒くさい学校の宿題だろうが、自身の生涯を掛けた負けられないレースの展開であろうが、そこに差異はない。目の前にある事象の本質を、あらゆる虚飾に惑わされずに正確に見通し、完全に理解する、わかってしまうことこそが、彼女の最大の強み。だからこそ…
「…トレーナーちゃん?」
一目それを見た瞬間に、彼女は当然わかってしまった。
自分が間に合わなかったことを。そして、もう二度と大好きな彼が目を開けてはくれないということを。
「…嘘…だよね?」
目の前にある事実を否定したくて、わかってしまいたくなくて、彼女の口から漏れた呟きに、しかし答える者は誰もいない。
顔を伏せ彼女を見ようとしない医師も、何も言わずにベッドまでの道を開けてくれた看護師も、痛ましいものを見る表情で彼女を見るそれ以外の人達も。誰も何も言わない。だがそれ故に、彼女は理解してしまう。どうしようもなくわかってしまう。
「…ねぇ、起きてよトレーナーちゃん。どうせいつものつまんないギャグなんだよね?キミの考えることなんてぜんぶわかっちゃってるんだよ?だから…」
そう、だからこそ、それを認めなくなかった彼女が震えながらも握りしめた彼の手が…
「…ひっ!」
思わず手を離してしまったそれが、そのままベッドのはしに力なく放り出されるそれが、記憶にあるそれよりもあまりにも、あまりにも冷たくて…
「…ぁ」
あの暖かい笑顔を、もう二度と見ることが出来ないことを、今度こそはっきりとわかってしまって…
「…っっっ!!うあああああぁぁぁぁぁぁあああっっっっっ!!!!!」
…その日の空は、憎らしいほどに青く染み渡っていた。
・・・・・・
「はい、ネイチャ。今日もお疲れ様」
「はぁっ、はぁっ…
…うん。ありがとう、トレーナーさん」
グラウンドの片隅、今日の最後のトレーニングのメニューをこなして息を整えていたアタシは、トレーナーさんの差し出したスポーツドリンクを受け取り礼を言う。
季節は秋。ついこの間までの茹だるような猛暑が嘘のように収まり、過ごしやすい気温になっていたとはいえ、それはそれ。
夏であろうが、秋であろうが、運動をしたら体が熱くなるのは当然のことであるし、ましてやここはトレセン学園。
レースを志すウマ娘にとって日本一の名門校であると共に、日本中から集められた輝く才能達。それこそ天才、秀才、神童、怪物、その他諸々が日々鎬を削り合う日本屈指の伏魔殿でもあるこの場所では、生半可なウマ娘では存在すら許されない。
故に当然の帰結としてそこで行われるトレーニングも熾烈を極めるものであり…
「んっ…んっく……はぁ、染みますなぁ~」
だからこそ、過酷なトレーニングで体中の水分を出しきり、加熱しきった体に入れるスポーツドリンクは至高の一言に尽きる。サラリーマンの人じゃないけど、毎回この瞬間の為に生きてるって感じる。
…まぁ、本音を言えば常温なのが惜しいところだけど、そこはほら、アタシ達仮にもアスリートの端くれだしね。
と、そんな益体もないことを考えてると、手に持っていたタオルをアタシに渡しながら、トレーナーさんが話しかけてきた。
「調子良さそうだね。ネイチャ」
「うん。良い感じだよ、トレーナーさん。
…これなら次のレースでもネイチャさんに期待してくれても良いかも~、なんて?」
「あぁ、勿論だ。俺はいつでも君に期待してる。君なら、君がいうところのキラキラしたウマ娘になれるって、俺は信じてるよ。」
「…」
そんなアタシの軽口に真顔で返すトレーナーさんの目を直視できず、アタシはつい目を反らす。顔が赤くなってるのなんて自分でも分かってる
…あぁ、またこれだ。この人は本当にもう。
そう、この人は何時だってこんな感じ。どんなにアタシが自分のことを卑屈に言っても、そんなことはないと言ってくれるし、どんなにアタシが荒唐無稽な位に高い目標を建てたとしても、キミならできると心の底から信じてくれる。
いくらアタシが出来ないって言っても関係ない。この人は本気で心の底から、アタシのことを信じてくれている。
…正直な話、どうしてアタシなんかをそこまで信じてくれるのか、アタシには未だに分からない。それなりに長い間一緒にいるけど、それでもこの人の善意100%の信頼は、何て言うか、ちょっとアタシには眩しすぎる。…と言うか、あんまりにも純粋すぎて、なんならちょっと引く。
…でも、そんな人の言葉だからついつい耳に入れてしまうし、そんな人の応援だからこそ、その期待に応えたくなってしまう。…うん、そうだ。こんなにも純粋にアタシを信じてくれるからこそ、アタシはその期待に応えたいって思っちゃうし、無理かもしれない、駄目かもしれないって思っても、それでもあと一歩だけ頑張れる。この人がいたから、アタシはもう一度だけ頑張ろうって思えたんだ。でも…
(…うぅ、でもだからと言って直球すぎるよ~…。)
…そう、とは言うもののしかし、この人はあまりにも直球勝負が過ぎる。
…いや、まぁね。勿論感謝はしてるし信頼もしてる。この人がトレーナーさんで本当に良かったと心の底からアタシも思ってる。
でもあまりにも堂々とこの人がこちらにぶつけてくる恥ずかしい言葉の数々は、本当にアタシの心臓に悪い。
…うら若き乙女であるところのネイチャさんの心臓にはちょっと悪すぎるんですよぅ…。
そして何より…
「…?どうした、ネイチャ?」
「…なんでもない」
すーっ、と目を反らしたアタシの顔を、不思議そうに回り込んで覗き込もうとするトレーナーさんから、さらにすーっ、と目を反らす。
…そう、何よりこの人の困ったところは、自分の言葉がアタシにどんな効果をもたらすのかなんてまるで分かっちゃいないところ。今だってきっと、アタシの顔が赤いのも、もう沈み始めてる夕陽に照らされたから、だなんて思ってるに違いない。
(…トレーナーさんのアホ)
…だから、心の中でそう呟いたアタシはきっと悪くない。地震も火事も、雷も、全部全部きっとトレーナーさんのせいなんだから…
…なんてアタシが内心もんもんしてるのを不思議そうに見詰めていたトレーナーさんだけど、気が付くと、彼は少しばつが悪そうな顔になっていた。はて、どうしたのだろう?と少し不思議に思っていたアタシに、トレーナーさんは話しづらそうに私に問いかけた。
「…それで、そろそろ一月経つけど…、その…彼女は…」
「…」
気が付くと、周囲にはもう誰もいなかった。秋の夜長を寝て過ごす、なんて子は流石にトレセン学園にはいないだろうけど、それでも日が沈んできたら外を出歩かないなんて常識だし、寮の門限も夏の日が長い時期よりは早くなってる。だから、今この場にいるのはアタシとトレーナーさんの二人だけ。
「…相変わらずだよ。」
「…そっか」
誰もいないグラウンドを風が吹き抜けていく。そしてその後を追うように、沈み始めた太陽の光が、佇む私たちの影を長く、長く伸ばす。
自身の足元から伸びる長い影を見つめていたアタシは、ふと後ろを振り返る。すると当然そこには沈みつつある太陽があるわけで…
(…)
アタシはどうしてか、ゆっくりゆっくりと沈み行くその赤く大きな太陽から、目を離すことが出来なかった。
・〇outubeでMTR怪文書を見る
・一本では足りなくなり、色々なチャンネルのMTR怪文書を見る
・体が怪文書を求める
・気が付いたら怪文書(自作)が目の前にある ←今ここ
マヤちゃんのMTRが少ないな~、と怪文書を書いてみたら、明らかに怪文書で処理できる量じゃなかったので、小説にしました(何を言ってるのか(ry)
加えて言えばこの話多分MTRですらない(困惑)
…しかしどうして1話から、主人公ではなく君達がイチャイチャしてるのかな?
ナイスネイチャさん?