ウマ娘三部作Firstシーズン 片翼の撃墜王 ~イカロスの黎明~【完結】   作:DX鶏がらスープ

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彼女の出した答えは…

※すいません。
24日に出すと言いましたが、
諸事情でその日は出せなくなりそうなので、
予定を繰り上げます。



テイクオフ

「夢、なんだよね?」

 

「……………………は?」

 

マヤの決定的な言葉を聞いたトレーナーちゃんは、今までに見たことのないくらいポカーンとした顔をしている。

そのあまりにもアホッぽい顔が、マヤには面白くて面白くてたまらなかったものだから

 

「あはははははっ!

トレーナーちゃんなにその顔?い、いくらなんでも面白くすぎるよ!!

あははははははっ!!」

 

「…え?…いや、ちょっと…」

 

「ふ、普段はカッコつけてるくせに…あははははは!な、なにその顔!!…ふふふっ!ちょ、ちょっとダメ!マヤ限界!!あははははは!!」

 

「…あ…あのー…」

 

「あははははははははははは!!」

 

流石にトレーナーちゃんも戸惑ってるけど、ちょっとこれは無理!!

 

「…マ、マヤさーん?」

 

だってここまで面白い顔したトレーナーちゃん始めて見たから!笑いが止まらない!!

 

と言うわけで、マヤはひたすら笑い続ける。そしてその間ずっとトレーナーちゃんは状況についていけず戸惑ってる。でもそれも当然で…

 

「…あぁ、面白かった。

それで、トレーナーちゃん?

なにか聞きたそうな顔してるけど?」

 

「ま、まぁそれはな…」

 

ようやく笑いが収まったマヤに、少しひいてるけどトレーナーちゃんが話しかけくる。そしてその話題は当然…

 

「…マヤ、君は俺が本物だと思ってるんじゃなかったのか?」

 

 

そう、これに尽きる。

ここまでマヤは、トレーナーちゃんに完璧な証拠を叩きつけ、トレーナーちゃんがマヤの夢ではなく本物であることを証明した。

だからこそ、トレーナーちゃんもそれを直接言われると思ったんだろうけど…

 

「…ううん、全然」

 

だからこそ、そう返したマヤにトレーナーちゃんはまたも唖然とした顔をさらす。

 

だから、マヤもまた少し笑ってしまいそうになるのを堪えて答える

 

「だって、さっきのだって状況証拠を積み重ねた穴だらけの当てずっぽうな推理だよ?究極的なところ確証はないんだよ?」

 

そう答えるものだから

 

「で、でも俺は前の夢の記憶を持ってて…それでいて香水の匂いは誤魔化せなくて…」

 

「トレーナーちゃん自分で言ったじゃない。

夢は荒唐無稽なものだって。それならそんな記憶があるトレーナーちゃんが出てくる夢だってあり得るし、香水の匂いだってマヤの勘違いな可能性は高いよ?」

 

そう反論してくるトレーナーちゃんの意見を封殺する。

 

「だが…」

 

「そもそもさ、ここが夢の世界であるかどうかすら確証持てないんだよ?

もしかしたらここはマヤの脳の中じゃなくて、どこかの異世界かもしれない。

もしかしたら、実はマヤはもう死んでて、ここは黄泉の入り口なのかもしれない。

目覚めることが出来れば、これは夢だったって証明できるけど、逆に言うと、目覚めない限りはここが本当はどこかなんて証明できない。

だからね」

 

そう言いながらマヤはトレーナーちゃんの目を見つめる

 

「証明できないんだよ。本質的に。ここがどこで、マヤが誰で、そして目の前にいるトレーナーちゃんが誰なのか、マヤには本当は証明できないんだよ」

 

その目が困惑に揺れているからこそ…

 

「だから、今目の前にいるトレーナーちゃんは、マヤの夢。

本物じゃない。」

 

受け入れてはいけない。この人が本物だなんて、絶対に言ってはいけない。

 

「マヤの妄想で、本物じゃない。

そう、本物であるはずがない」

 

夢じゃないって思ってしまったら、本物だって認めてしまったら…

 

「…だからね、トレーナーちゃん」

 

マヤは今からでもこの人の元に駆けて行って泣いてしまうから

 

もう絶対に離さない、そう言って一生トレーナーちゃんから離れられなくなるから

 

「…マヤ、君は…」

 

だから…

 

 

 

「そう、キミはマヤの夢…なんだよ。トレーナーちゃん?

ユー・コピー?」

 

 

 

そう言ってマヤは目の前のトレーナーちゃんに微笑む。

 

しばしの沈黙。文字通り、時間も空間もない場所に、マヤとトレーナーちゃんは無言で立ち尽くす。

そして…

 

「………あぁ、分かったよ。マヤ」

 

そう言って

 

「……アイ・コピー。君の覚悟は分かった」

 

目の前にいるトレーナーちゃんも、自分が夢であることを認めてくれたから…

 

「…だからこそ、聞かせてくれ。

俺に、自分の言葉で聞かせてくれ」

 

やっとマヤも、本当のことを…

 

 

 

 

「マヤノトップガン、君はなぜ走るんだい?」

 

 

 

 

 

マヤが見つけた走る理由を、ようやくキミに伝えることができるから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「…マヤね、トレーナーちゃんのこと好きだったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

なにも語らない墓石の前で、今朝見た夢で話したことと、まったく同じことをマヤは口にする。

 

「…いっつもバカなことやって…他のウマ娘の皆に気持ち悪がられて…格好をつけようとしても絶妙に格好をつけられていなくて…そんなバカでバカで、どうしようもなくバカな人。それがマヤのトレーナーちゃん」

 

そう、客観的に見てマヤのトレーナーちゃんはバカだった。本当にバカな人だった。

 

くたびれた黒いスーツに黒い中折れ帽子、そして黒いサングラスとかいう、10人中10人が怪しいと言うような正統派不審者ファッションを本気でカッコ良いと思ってたし、嗅覚が鋭いウマ娘のために匂いものを付ける文化が排斥されているトレセン学園で、ひとりだけ香水をプンプンさせているような人だった。

 

いつでも自分のカッコ良いに素直で、お洒落に必要以上に気を使ってたせいで、毎月の給料日の前には常に金欠でピーピー言ってたし、それでそろえたお洒落も、絶妙にダサくて全然カッコ良くないものばかり。

 

能力はあるのに詰めが甘いせいで、何回も何回も失敗して、おまけに良いウマ娘に目がなくて、マヤと一緒にいても、いつの間にか目についたうま娘を、怪しさ満点の勧誘で誘おうとしてたよね。

 

…思い出すと、ちょっとイラッとしてきたけど、それでも、それでも…

 

 

「…それでも、マヤはトレーナーちゃんのことが、好きだった。大好きだった」

 

 

そうだ。それでもマヤは、そんなどうしようもない人が好きだったんだ。

 

 

「マヤがレースで勝った時、一緒に喜んでくれた。マヤがレースで負けた時でも、一緒に悲しんでくれた。

どんなに辛いときでも一緒にいてくれたし、一度だってマヤのことを疑うようなこともなかった」

 

…そうだ。マヤは知ってるんだ。

 

「サングラスなんかしてるのは、目付きが怖いから。

ウマ娘が怖がらないようにだったの知ってるし、いつもバカやってるって思われてたことも、大抵はマヤか他のウマ娘のためのことだった」

 

それで逆にウマ娘に避けられてしまうのは、本人のセンスが壊滅的なのが悪いんだけど…少なくともその行動の根本には

 

「格好をつけようとしてたのだって、少しでもマヤ達が親しみやすく、気軽に話しかけられるような人になれるようにだったのも知ってるし、実はいつも買ってた化粧品とか服だって、本当はすごい安物で、給料の大半をマヤのトレーニングの為に使ってたのだって知ってる」

 

いつもウマ娘、敷いてはマヤへの思いやりがあったのを知ってるから...

 

「いつも夜遅くまでマヤを勝たせるためにお仕事してたのだって知ってるし、マヤを模擬レースに出すために、色んな人に頭を下げて回って、人によっては土下座だってしてたのだって、マヤは知ってる!」

 

そして何より…

 

「自分の夢を諦めかけてたマヤに!諦めないでって初めて言ってくれた人だから!!」

 

そんなキミが…

 

「好き!好き!大好きだった!!

 

いつからか分からないけど!

そんなどうしようもなくバカで!ダメで!おっちょこちょいで!それでいて、本当はすっごく優しくて!誰よりもマヤのことを真剣に考えてくれて!いつもキラキラした目で前だけを見ていた!

 

そんなトレーナーちゃんのことを、マヤは好きになっちゃったの!!」

 

口に出せば出すほどに、思いが溢れてとまらない。言いたいことが、胸の奥から次々に溢れてくる。

 

「いつからか、レースに勝った時のトレーナーちゃんの顔を見るのが好きになった!

笑顔で喜んでくれるトレーナーちゃんの顔を見ると、心臓がドキドキして嬉しくて嬉しくてたまらなくなった!

レースに負けた時のトレーナーちゃんの顔を見るのがつらくなった!マヤの敗けを悲しんでくれるトレーナーちゃんの顔を見ると、胸の奥がキュ~ってなって苦しくなった!」

 

思いは止まらない

 

「バカなこと考えているトレーナーちゃんの横顔を見るのが好きになった!

どうしようもないことばっかりやらかすけど、それでもいつも楽しそうなトレーナーちゃんの顔を見ていると、マヤもなんかドキドキした!

トレーナーちゃんに頭を撫でてもらうのが好きになった!子ども扱いされるのは嫌だったけど、トレーナーちゃんの、オトコのヒトの大きな手は暖かくて気持ち良かった!!」

 

ふと気が付くと目の前が歪んでいる。涙が、後から後から溢れてきて止まらない。それでも、マヤは続ける。トレーナーちゃんへの恋を語り続ける。

 

「トレーナーちゃんの匂いが好きになった!最初は変な匂いって思ってたけど、いつの間にかトレーナーちゃんの匂いに包まれてると、落ち着くようになった!

トレーナーちゃんと二人でいるのが好きになった!あの貯水槽の上で、二人で食べたあのお菓子は世界で一番美味しかった!!」

 

あぁ、だからこそ…

 

「こんな気持ち初めてだったから、あの時はマヤわか・・んなかった!この気持ちが何なのか、マヤにはまったくわか・・んなかった!!

 

でも、トレーナーちゃんが死んじゃって、いっぱい悩んで苦しんで、そしてマヤはわか・・った!この気持ちがなんなのか!マヤはわか・・っちゃった!!」

 

そしてマヤはお腹の底から絶叫した。それが、それこそが、マヤの中にある真実。たった一つのシンプルな答え。それは…

 

 

 

「マヤはトレーナーちゃんが好き!大好きなの!!」

 

 

 

そう、結局はそういうこと。確かにトレーナーちゃんはマヤにとって大事な人だ。

だからこそ、その死別にダメージを受けるのは当然のこと。

でもマヤはこの気持ちに、自分のトレーナーちゃんへの初恋に気付いていなかったからこそ、あそこまで傷ついてしまったんだ。

 

 

 

 

 

…でもだからこそ

 

 

 

 

 

「…うん、だからこそ」

 

墓石の前で絶叫していたマヤは、手で涙を拭う。そして墓石に向き直ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「マヤは、この恋をここに置いていく」

 

 

 

 

 

目の前のトレーナーちゃんに向き直ると、マヤは話し始める。

 

「トレーナーちゃんが死んでから、マヤは悲しくて辛くて仕方がなかった。多分皆がマヤのことを助けてくれなかったらホントにマヤは死んでたと思う」

 

それは事実だ。

自身の初恋にすら気付かずに、トレーナーちゃんの死を知ったマヤは、完全に人間として壊れる寸前までいった。

損失の苦しみがあまりにも大きくて、自分はこの世界に一人ぼっちになったんだと思い込み、走る意味どころか生きる意味まで失いかけた。

 

「だからこそ」

 

トレーナーちゃんの目を見る

 

「マヤはね、マヤが皆からどれほど大切にされてるか、皆がどれだけマヤのことを想ってくれてるのか知ったんだ」

 

そうだ。ネイチャちゃんにテイオーちゃん、マベちんにブライアンさん。他にもたくさんの、ホントにたくさんの人達が、マヤに手を貸してくれた。マヤのことを助けたい、その一心で。だからこそ、マヤは立ち直ることができた。彼女達がいたから、マヤはトレーナーちゃんの死を乗り越えることができた。

そして同時に、自分がどれだけ彼女達に愛されているのか、彼女達がどれだけ自分を大切に想ってくれているのかを実感したんだ。

 

「そんな人達の想いを、マヤは裏切れない。

…ううん、そんなマヤのことを大切にしてくれる人達のために、マヤは走りたいって強く思うんだ」

 

そう、テイオーちゃんもネイチャちゃんも、一見正反対の理由に見えて、その理由の本質は似通ったもの。

つまり、他ならぬ自分の為に走ること。自分らしく生きるために走る。これが本質なんだ。それならマヤもきっとそうすべきだし、そうしたい。

マヤもまた二人と同じく、自分が大切に思うもののために走りたいって、そう思っちゃったんだ。

 

「だからね、トレーナーちゃん。マヤはね、走る理由を見つけたんだ」

 

そう、苦しみ抜いた先にマヤの得た走る理由は…

 

 

 

「マヤが走る理由はね…キラキラなオトナのウマ娘になること。

 

…でもね、ただマヤだけが輝くんじゃない。

マヤが大事に想う人、マヤのことを応援してくれる人、マヤに関わる人達全員を、マヤの走りで幸せにしたい。キラキラさせたい」

 

 

 

それこそが、マヤが出した答え。

 

だからこそ…

 

「…辛く、苦しい道のりだぞ?」

 

トレーナーちゃんはマヤに問う。

 

「自分に関わるすべての人達を幸せにする…それは言うほど簡単なことじゃない」

 

その覚悟を、自らが決めた道を完遂することを誓えるかどうかを

 

「君は、本当に走り抜けるのかい?」

 

聞いてくる。

 

あぁ、そんな真っ直ぐな瞳にマヤは恋をしたんだ。だからこそ…

 

 

・・・・・・

 

 

マヤは、一束のブーケを墓石に供える。

それは、あの天皇賞でマヤが手に入れたもの、魂の可能性の一つの到達点で…

 

「…だからこそ、トレーナーちゃん。これをトレーナーちゃんに預かってて欲しいんだ」

 

そうマヤは呟く

 

誰もいない丘の上は静かで、目の前の墓石も何も語らない。

だけど…

 

「これはウェディングドレス。マヤの初恋が詰まった祝福のブーケ。

これをマヤはここに置いていく。だからトレーナーちゃんにはこれを預かってて欲しいんだ」

 

信じてるから…

 

「いつかマヤが走りきったその果てに、そのブーケを持って待ってて欲しいんだ」

 

今はまだ、キミのところに行けなくても…

 

走り続ける限り、キミはそこにいるから…

 

マヤは立ち上がる。

そして荷物を持って帰ろうとする時に、一度だけ振り返る。

 

そこには、確かにトレーナーちゃんが眠る墓石がある。

春の陽気を受けて、静かにそこにたたずんでいる。

 

だからマヤは、最後に一度だけほほ笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…だって、ウェディングドレスは結婚する時に着るものでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと想いは届くって、信じてるから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

~お坊さんside~

 

「…これは…」

 

突然寺に訪ねてきたマヤノトップガン殿の帰りを見送り、手桶を回収に来ると、そこには一束のブーケが置いてあった。そして、それが何なのか、ここに眠る人物が誰なのかを知っているからこそ、私はその意味を即座に悟る。

 

…そう、実を言うと私はこの墓に眠っている者のことを知っている。

まぁ、自分の寺にお墓があるなら、そこにどこの誰を埋めたかぐらいは知っていて当然なのだが、この場合の意味はそういうことではない。

 

私はこの墓に眠る人物の生前の姿を知っている。あぁ、よく知っているとも。何故なら私は彼の叔父なのだから。

 

両親から虐待同然の扱いを受けて育ったあの子を、途中で引き取ったのは、他ならぬこの私だ。だからこそ、あの子はこの寺に縁があったし、実は彼の墓を用意したのもこの私だ。

 

あの子の両親、正確には実家と私の兄の家は、恐らく絶対にあの子を自分達の墓には入れないだろう。

そう思ったからこそ、流石に早すぎるなと苦笑しながらも、本人も気に入っていたのでここを用意していたのだが…まさかこんなに早く使うことになるとは思わなかったな…。

 

そんなことを墓石を見ながら考えていると、生前彼が、たまにここに里帰りしてきてくれた時のことを思い出す。

 

私は詳しく知らないが、トレーナーというのはかなりの激務で、だからこそ、あの子がここに帰ってくるのも年に一回あるかないかではあったが、家に帰ってくると、彼はいつも自分の愛バの話しばかりしていた。

 

だからこそ、私もたまにテレビでその件の愛バの姿を見ており、今日も初対面であったがなんとか対応できたのだが…

 

「…ふむ」

 

墓前に供えられたブーケを見る

まだ瑞々しいそれは、間違いなくあの天皇賞で彼女が手に入れたものだろう。そして、それがウェディングブーケだとすれば…

 

「存外幸せ者だな、お前も」

 

甥っ子の墓の前で私は苦笑する。

そして手桶を回収して丘を下りながら思うのは、帰省していたときのあの子のことだ。

 

あれは確かURAファイナルとかいう大会で優勝した直後だったか。あまりにもあの子が自分の愛バのことばかり話すので、一度そこまでその子のことが好きなら告白でもしてみたらどうだ、とからかったことがある。

まぁ年齢が年齢なので、当時は本当に単なるからかいであり、私もあの子から「俺はロリコンじゃないんですよ!叔父さん!!」という言葉が帰ってくるものだとばかり思っていたのだが…

 

「…本当に良い子だったな。

まぁ、あれなら確かにお前が惚れるのも無理はない」

 

そう思いながら丘を下っていく。が途中でくるりと振り返る。するとそこにはすっかり遠くなった墓石が丘の上に立っており…

 

「あそこまで慕われているんだ。

お前にもその気があるというのなら、いつかの時には絶対に迎えに行ってやれよ?」

 

そう言って再び丘を下るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで第4部は完結です。

…答えを見つけ、歩きぬくことを決めた少女は、再び立ち上がります。
彼女はこれからも困難に遭遇することでしょう、悲しむ日もあるでしょう。
それでも、彼女はきっと歩き続けます。
…なぜなら、彼女は一人じゃないから。
例え片方のつばさを失っても、みんながいるから。
傷ついても、傷ついても、それでも歩んでいくことでしょう。

…これは、そんな始まりの物語。
終わりから始まる、新たな始まりの物語なのです。

さて、そんな物語のプロローグは終わりました。
残念ながら、そこから始まる偉大なる本編に関しては、このお話の管轄外です。
彼女がこの後どんな道筋を歩んだのか、それは読者の皆様のご想像に委ねます。

ですが、ものごとは始まらなければ終わらない。逆もまた然り。
このお話が物語である以上、エンドマークを付ける必要があります。

ですから、これは些細な蛇足
ある少女が見たとある少女の記憶。今でも記憶に焼き付いている、とある少女の歩いた轍。

それを持って本編を締めさせていただきます。





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