From ハムナプトラ to アベンジャーズ   作:注ぎグチ

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感想を頂き、ありがとうございます。
あまりにも嬉し過ぎて、筆を取ってしまいました。
もう少しゆっくりと更新していくつもりでしたが、温かい励ましにモチベアップです。

完結目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。

バック・トゥ・ザ・フューチャー(シリーズ)(1985~1990)
両親のそして家族の存続の危機を救うために、ドク博士(クリストファー・ロイド)の作った自動車型タイムマシンで60年代へタイムスリップする高校生マーティ(マイケル・J・フォックス)。
SF映画のスタイルをとっているが、内容はまったくの青春映画で、しかもいろんな映画のパロディをぎっしり詰め込んで何回見ても発見があるという面白さ。後に未来編・西部劇編と呼べる続編が作られ、3部作となっている。ちなみに私は3が好き。


第2話 バック トゥ ザ ロンドン

 車のエンジンを切り、後部座席へ振り返りながら声をかける。

 

「アレックス、車の荷物を屋敷へ運んでくれ。ママと話して来るから」

 

 イギリス ロンドンにある屋敷へ帰ってきた。屋敷に到着して早々にエヴリンは「もう一度エジプトに行く準備しなきゃ」と荷物も持たずに屋敷へ入っていった。

 使用人は明後日まで暇を与えている。運んでくれる人はいないので、アレックスにお願いする。

 

「御意~」

 

 アレックスは変な返事をして荷物をひとつずつ運んで行く。聞き分けのいい出来た息子だ。

 偶に散見するおかしな言動と母親に似て猪突猛進な所は頂けないが・・・

 

 そんなことを思いながら俺がエヴリンに追いつくと彼女から声を掛けてきた。

 

「あの腕輪は鍵なのよ!失われたアム・シェアーのオアシスへのね」

 

「エヴリン、何考えてる。駄目だぞ、帰ったばかりなのに」

 

 せっかくの我が家だ。暑くない、砂がない、毒蛇もいない。最高じゃないか。暫くはゆっくりさせて欲しいもんだ。

 具体的には半年くらい。

 

「だからいいんじゃない。荷造りできてるし」

 

「エジプトに戻る理由を一つでいいから言ってみろ」

 

 彼女と向き合い、目を見て問いかける。

 

「オアシスに行ってみたいのよ―――ダーリン。 綺麗で・・・心ときめく・・・ロマンチックな・・・オアシスへ」

 

 甘い誘惑の言葉。魅惑的な雰囲気を纏いながら、しな垂れかかってくる。子供を生んでもう8年になるのに、彼女の魅力は些かも衰えない。その甘美な誘いにオアシスのバカンスを想像する。

 

「そうだな・・・白い砂浜にヤシが茂り、冷たく澄んだ青く水。飾りに小さな傘が付いたドリンクなんかあると最高だ」

 

「素敵でしょ?」

 

 そんな最高のバカンスを愛する人と過ごせたならそれは―――

 

「素敵過ぎるぜ。―――で、落ちは?

 

「アヌビスの軍が眠っている場所なのよ」

 

「ほ~ら見ろ。君の話にはいつも落ちがあるんだ」

 

 拗ねた顔をしながら階段を上っていく彼女を追いかける。

 

「で? そのアヌビスの軍を指揮していたのがスコーピオン・キングって奴なのか?」

 

「ええ。彼は5000年に一度目覚めるの」

 

「で、そいつを倒さないと世界が滅ぼされるってんだろ?」

 

「知ってたの?」

 

「いいや、勘さ。いつもの展開だ」

 

「最後にアムシェアーに到達した遠征隊はラムセス4世が派遣した。3000年前の事よ。隊の人数は1000人」

 

「で、誰も戻らなかった」

 

「知ってたの?」

 

「勘さ。またいつもの展開だ」

 

「黄金のピラミッドの話はしたっけ?」

 

「2回」

 

 お宝の話は好きだ。

 

「アレクサンダー大王も軍を送ったの」

「そりゃすげー」

「それにシーザーも」

「結局、殺された」

「それにナポレオンも!」

 

 気の無い返事に若干声を荒げてくる。

 エヴリンは本棚に備え付けられたハシゴに登り、本を探し始める。おそらくはサソリ野郎の本でも探しているのだろう。

 

「俺たちはナポレオンより頭が良い。それに背も高いしな」

 

「その通りよ。だから私達なら見つけられる!」

 

「背が高いから? っおっと!」

 

 急に梯子から飛び降りてきた彼女を受け止め、お姫様抱っこする。

 

「ん~そういう所が好き♥」

 

 蠱惑的な囁きを間近でされ、一瞬大きく胸が高鳴る。

 

「・・・・・・無駄だよ」

 

 その魅惑を振り払い、絞り出した声は思いのほか小さかった。また、発声までの数瞬を要したせいで彼女には俺の心情が筒抜けになっているのだろう。

 その証拠に先ほどから可笑しそうニヤニヤと口を歪ませながら、見つけたの本をヒラヒラ見せてくる。とてもチャーミングだ。

 

 

 

 

 

 

 ようやく、最後の荷物をリビングに入れる。

 やばいな、肩が外れそうなんだがこの箱。8歳児にはちと厳しい重さだ。

 

「ママ~!この箱はどうする~?クッソ重いんですけど~?」

 

「汚い言葉を使わない!」

 

 二階から怒声が響く。

 

「・・・大変、重う御座います」

 

 丁寧な言葉に直したところで腕の限界が近づいてきた。とりあえずリビングの小さな丸テーブルへ箱を下ろす。

 

 リビングは大きな吹き抜けになっているため、ちらりと2階の両親を伺う。

 

 ―――うん。イチャコラに急がしそうでこちらのことはもう見ていない。

 

 箱には鍵が掛かっているが確保済みだ。右ポケットからペンダント状の鍵を取り出し、箱に押し当てる。

 

 そこで手が止まる。

 

「あれ、これ着けない方が良いか?」

 

 シナリオに忠実に行くのなら、腕輪を着けなければならない。

 しかし、これを着けてしまうと後戻りできなくなる。装着の7日後にスコーピオン・キングが復活してしまう。腕輪からは聖地 アム・シェアーへの道標が映し出されるのだ。それを辿って行くと黄金のピラミッドに行くことができる。

 

 装着者は古代エジプト語が堪能になり、伝説では幸運を運ぶとされているお得なアイテムなのだ。問題があるとすれば、装着者が7日以内に黄金のピラミッド内に入らなければ腕輪が持ち主の魂を奪ってしまうことだ。

 これは敵側しか知らない情報だったはず。そのせいか原作では夜明け直前にそのことが判明し、ピラミッド入りがギリギリになった。

 

 7日以内にピラミッドには入れれば良いが、この世界には(転生者)がいる。よく耳にする歴史の修正力がどの程度なのかわからない以上、何が影響するかわからない。

 

 そんな感じにチキっていると、

 

 カシュッ

 

 何かが外れる音がした。

 恐る恐る手元の箱を見る。

 

「音、したね?」

 

 あれ~?まだ鍵を回してないぞ~?

 まさかと思いつつ蓋を持ち上げるとすんなり開き、黄金の腕輪がこんにちは。

 

「・・・・・・・・・」

 

 これはあれかな?歴史の修正力さんが「いいから、はよ着けろやっ!」って代わりに開けといてくれたってこと?修正力さんはなかなかせっかちな様だ。

 

「・・・すんません。着けます」

 

 そうだよね。僕がこれを着けないと両親がピラミッドに行くことができなくなってしまう。

 腕輪つけない。敵が狙っている。敵側で腕輪をつける。両親がピラミッドにたどり着けない。スコーピオン・キング倒せない。世界の終わり。

 着けない訳にはいかないじゃない、コレ。

 

 その考えに至り、泣く泣く腕輪を持ち上げ、右手首に充てがう。映画ではどっちの腕に着けていたっけ?

 

 カシャッ ジュウゥ!

 

「あっつ! え?なにこれ?なにこれ!?」

 

 ただ腕輪を嵌めて道しるべの確認をするはずが、予期せぬ熱と痛みを感じる。手の甲側の手首に焼印が押されるような(押されたことないけど)痛みが走る。

 

「いっつ~~~!」

 

 熱は暫くするとなくなったが、痛みはまだジンジンと続いている。あ、涙。

 原作では腕に着けて外れなくなるだけっだたのに。

 

 痛みに腕を押さえていると、腕輪に腕が引っ張られるようにして突き出される。空中にギザの三大ピラミッドが映し出される。道標だ。空中のビジョンは空を翔けて行き、カルナック神殿が映し出される。

 

「え~、そんなことより、この痛みの説明を要求したいのですが・・・」

 

 道標のことよりも、痛みについて説明を要求する。当然の如く、その要求が認められることは無かった。

 

 しばらくするとビジョンは消え、腕輪に持ち上げられていた右腕が解放され、重力に従い自由になる。まだ痛い。

 

 

 

「アレックス。5分でいいから良い子にしていろよ」

 

「! 御意~」

 

 

 二階の父から声がかかる。思わず脊髄で返事をする。きっとジョナサン伯父さんが連れ込んだ女性の下着でも見つけたのだろう。父は返事を聞くと二階の浴室のほうへ姿を消した。

 腕を摩っていると二階から母が下りてくるのが見えた。本を見ているようでまだこちらに気がついていない。

 

「っ!」

 

 慌てて、近くにあったものを箱に入れて閉じ、鍵を遠くに投げる。

 

 パタンッポイッ

 

「アレックス?」

「なに、ママ?」

 

 シャツの袖を戻し、腕輪を隠す。

 あぶねぇ~!バレるところだった。あれ?別に隠さなくても良かったんじゃ?予測できない痛みに慌てて、原作と同じことをしてしまったが、見られても良かったのかもしれない。

 

「帰ってこれてうれしい?」

 

「うん 最高」

 

 母が開いていたページを僕に見せてくれる。

 

「スコーピオンの年よ。こういうの好きでしょ?」

 

 大好物です。何せ母の子だ。昔からこの手の本は読み漁り、母からも色々教わってきた僕はすっかりエジプトマニアだ。

 父からも銃やナイフ、体の動かし方などをごっご遊びとして教えてもらった。本物の銃は撃たせてもらえなかった。まだ早いとのこと。

 いまだ8歳の身では、銃の衝撃に耐えられるわけが無いからね。

 よく騎士ごっこで剣やナイフなどの体の動かし方を教わっている。

 

「あら?アレックス、鍵はどこ?」

 

 ドッキっとする。

 

 そうこうしていると、母が箱を開けようとしていた。

 今、箱の中を見られて腕輪の所在を問い詰められると面倒だ。ここは何かいい言い訳を考えなければ。僕にかかれば、こんなもんだ!

 

「さあ、ちょっとお手洗いにでもいってるんじゃない?」

 

 僕は脊髄で会話するのを直そうと誓った。

 

「・・・アレックス~?」

 

 母が凄みの効いた目で睨んで来る。

 

「黙秘権を行使します」

 

「あなたに黙秘権はありません」

 

 そんな!

 

 そう言うと母が僕の服をまさぐり始めた。

 

「もう!目を離すとすぐにイタズラするんだから」

 

 母よ、残念ながら鍵はあっちのソファーの向こうへ消えたのだ。諦めてくれ。

 

「箱の鍵を失くしたのなら、遊びは禁止よ」

 

「失くしてないけど、見つからないんだ。どっかにあるよ」

 

「なら早く探して見つけてきなさい」

 

 我ながら語彙のなさに呆れてしまう。

 面倒になってきたな。いっそのこと腕輪を見せてしまうか考えていると、

 

 

「こんばんは」

 

 

 赤い民族衣装を身に纏った黒人の大男が現れた。

 

「あなた誰?・・・何の用なの?」

 

「もちろんその箱を頂きに来た」

 

 腕輪が無いことを悟られないように箱を持って下がる。

 すると大男がこちらに気がつき、凄んでくる。

 

「こちらに寄越せ」

 

 相手側の目的を認識した母は壁際に立てかけてある美術品の剣を抜いた。

 

「出て行ってちょうだい。今すぐによ!」

 

「ねえママ、やめた方がいいんじゃない?」

 

「アレックス、下がってなさい」

 

 母はそう言うが、大男の後ろから同じ民族衣装の男たちが大勢現れた。

 

「ほらやっぱり。パパを呼ぶに一票」

 

 僕を庇いながら、じりじりと後退する。

 

「殺してでもその箱は貰うぞ」

そうはさせん

 

 大男の言葉に被せる様にして、声の主は僕らの前に躍り出た。

 

「アーデス!」

 

 この人がアーデスおじさんか。

 黒く闇に溶け込む様な服に身を包んだ男性。

 

 アーデス・ベイ。

 嘗て両親とイムホテップ復活を阻止し、砂漠の平和を守るメジャイの戦士。前作の冒険を経て父 リック達とは良き友。

 彼はハフェズ一派の陰謀にいち早く気付き、彼らの目的を知ると、オコーネルファミリーを救うためにイギリスへと渡ってきたのだ。

 

「何でここに?」

 

「説明なら後でゆっくりする」

 

 アーデスと大男が睨み合う。

 

「アーデス・ベイ。今日はいつものお仲間がいないんだな」

 

 大男が挑発的な口調で言う。

 

「ロックナー・・・」

 

 二人は初対面ではなかった。

 ハムナプトラの発掘の際にアーデス達 メジャイも指を咥えてみていた訳ではない。何度か襲撃を掛け、不届き者共を追い払おうとした。しかし、そのすべてがこの男 ロックナー率いる部隊に迎撃された。両者共に少なくない犠牲を出し、自身たちも相対していたのだ。お互いの技量は拮抗し、メジャイの中でも指折りの戦士であるアーデスでもロックナーにはその剣が届かず、追い払うことができなかった。

 

「殺せ!」

 

 ロックナーの言葉を皮切りに両陣営が剣を抜く。

 襲い来る複数の斬撃をアーデスは手にした剣で危なげなく捌いていく。

 

 襲う刃を交わし、切り捨てる。返す刃で横合いから迫った剣を受け止め、腹に一撃を叩き込む。食らった相手はたまらず、うめき声を上げながら地面へ転がる。 

 

 数人の男がエヴリンにも迫る。

 

 だが、こちらも負けていない。相手の振り下ろしを剣で受け止め、数合切り結ぶ。後ろから迫る別の敵に気が付くと目の前の敵を掴み、立ち位置を変え、衝突させる。衝撃に体制を崩してしまった男の腕が宙を泳ぐ。その隙を見逃さずに剣で相手の剣を巻き取り隣の本棚へ深々と突き刺さらせた。

 

「ママやる~!どこでそんなの習ったの!」

 

「そんなの知らないわ!」

 

 順調?に前世のファラオの娘の記憶が順応してきているようだ。母はスコーピオンの年をきっかけに前世の記憶を思い出し始めている。その記憶のおかげで腕輪も見つけることができたくらいだ。本人は覚えの無い記憶に戸惑っているようだが、現在進行形の荒事には大助かりのようだ。

 

 後ろから来た敵の体制をうまく崩し、正面の敵へぶつける。

 

 一息付いたのもつかの間、横合いから別の敵が掴みかかり、剣を落としてしまう。

 壁へ押し付けられてしまうが、すかさず金的、からの膝蹴り、からのアッパー!相手は死ぬ!

 

「今のは、パパの真似!」

 

「かっこいい~!」

 

 母に注目していたせいか、僕は後ろから近づく敵に気が付かなかった。

 後ろから来た敵は僕の腕から箱を奪い取ろうとする。

 

「あっこら、やめろ!はなせよ~!」

 

 奪われまいと必死にはこを掴む。箱の取っ手を両側で引っ張り合うような格好になってしまった。

 足を地面につんのめって踏ん張るが、大人相手にずるずると引きずられてしまう。

 

「くそっ」

 

 ふと思った。腕輪が入ってないんだから渡していいのでは?

 そう考えた俺は箱から手を離した。

 

 急に手を離された相手は大きく後ろに転がり、その顔面に重い箱が直撃して悶絶している。結果オーライ。

 

 部下の無様な様子にそれまで静観していたロックナーが動き出す。それに合わせアーデスも今の敵を片付け、相対する。

 

「箱の中身はナンだ!?」

 

「アヌビスの腕輪よ!」

 

 アーデスの問いに素早くエヴリンが答える。

 瞬間。剣と剣が激しくぶつかる。ロックナーとアーデスの激しい剣戟の応酬。

 剣を受け流すが、アーデスに先ほどまでの余裕は無い。ロックナーはその巨体に見合う怪力によって振るわれる剣でアーデスを押していく。

 体制の崩れたところに拳が放たれ、よろめく。お返しにと拳を放つがロックナーは涼しい顔で蹴りを放つ。押されている。

 

「奴等に腕輪を渡すな!腕輪を持って逃げろ!」

 

 状況の不利を悟ったのか、アーデスが叫ぶ。

 その声に箱は?と視線をリビングへ向けると敵が箱へ向かっていくところだ。

 

 僕は箱の近くの本棚に駆け寄り、それを箱のほうへ倒す。

 箱を取ろうと近づいてきた敵は倒れ来る本棚に吹き飛ばされ、地面を転がっていった。

 

 空白地帯となった箱へエブリンが近づき確保する。

 しかし、後ろから来た敵に殴り倒されてしまう。

 

 敵はそのまま母と箱を抱え、走り出してしまった。

 

「ママっ!」

 

 その敵へ追い縋るも簡単に突き飛ばされてしまう。非力な体が恨めしい!

 

「エヴリン! ぐぁっ!」

 

 アーデスの注意が一瞬、エヴリンへ移る。だが、目の前の敵はそんな隙を見逃してくれるほど甘くない。

 袈裟斬りに肩を斬られ、更にもう一撃を胸に受けてしまう。

 

 ロックナーは無様に転がるアーデスの顔、スレスレに投剣を叩き付る。

 明らかな挑発だが、アーデスは一瞬動きが止まってしまう。

 

「ふんっ」

 

 鼻で笑うと箱を持っていった部下を追うようにロックナーも屋敷を後にする。

 他の部下たちも肩を貸し合いながら撤退していく。

 

「大丈夫?アーデスおじさん」

 

「ああ。すまない、君のお母さんを追おう」

 

 アーデスへ手を貸し、起き上がらせ二人で屋敷の外へ向かう。

 すると外から銃声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エヴリーン!!」

 

 どうやら遅かったようで奴等の車は遠くへ走り去っていってしまった後のようだ。

 ロータリーにいる父へ駆け寄っていく。

 

「パパー!」

 

「アレックス!無事でよかった」

 

 父のほうも無事なようでなにより。

 

「・・・オコーネル」

 

 僕と一緒に来たアーデスが父に声を掛ける。

 

「・・・なんでお前が此処にいる!いいや、それよりも!あいつらはエヴリンを何処へ連れて行ったんだ!」

 

 アーデスへ顔を向けたかと思えば、いきなり胸倉を掴み問い詰める。

 彼もエヴリンを攫われてしまった負い目から、なるべく落ち着いた口調で語りかける。

 

「友よ・・・それはわからない。でも、こいつの所に、奥さんは必ずいる」

 

 そう言って取り出した写真の人物には見覚えがあったので、横から奪い取る。

 

「この人知ってるよ!館長だよ。大英博物館の館長」

 

「本当か!?」

 

 6歳から週1ペースで博物館に通っている。もちろん趣味ということもあるが、()()()()()のため、大英博物館の詳細な構造が知りたかったのだ。

 

「博物館に入り浸りのこの子が言うなら間違いない」

 

 攫われた母を追うために皆で車に向かい始める。

 大人の急ぎ足についていくのが大変だ。小走りで後を追っていってると、父がアーデスに問う。

 

「アーデス、君が来て、悪党共も現れたってことは、つまり・・・」

 

「そうだ。墓から奴がまた掘り出された!」

 

「おいおい、そういう事が起こらないようにするのが君の仕事だろ?」

 

 あ、ジョナサン伯父さんいたんだね。

 なんかビショビショになってるし。僕らが襲われている頃に二階でもひと悶着あったようだ。

 

「さっきの館長と一緒にいた女が何故かすべての秘密を知っていて、イムホテップも掘り当てたんだ。アヌビスの腕輪だけは、守りたかったが・・・盗られてしまった」

 

 おっとそのことか。

 

「腕輪ならご安心を」

 

 そう言って右袖を捲って見せる。装着時に受けた痛みがピリピリしているが、幾分かマシになった。

 

「それ純金かっ?」

 

 さすが伯父さん。人とは目の付けどころが違う。そういうの嫌いじゃないよ。でも今は、無視させてもらうよ。

 

「嵌めたらギザのピラミッドが見えた。それからブーンっと砂漠を越えてカルナックの神殿へ・・・」

 

「これを嵌めたことで君は世界滅亡への扉を開いた」

 

 OH...知ってた。

 

「そう力むな」

 

 流石は父だ。愛息子を庇ってくれる。

 

「お前も目を輝かすな。後でお仕置きだ」

 

 スッとこちらに向き直った父が告げる。

 流石は父だ。締める所はきっちり締めていくスタイル。解せぬ。

 

「全員、さっさと車に乗れ!」

 

 

 

 

 車が走り出す。

 

「怯えさせたかもしれない。すまない」

 

「いやぁ、この子はそういうのは大丈夫だ」

 

 それってどういう意味なのか問い詰めようとするが先にアーデスが口を開く。

 

「だが、教えておこう。あの腕輪を嵌めた以上スコーピオン・キングが目覚めるまで後、7日しかないのだ」

 

「で?どうなる」

 

「殺さなければアヌビスの軍が目覚めてしまう」

 

「それってヤバイのかい?」

 

 なし崩し的に連れて来られたジョナサン伯父さんが問いかける。状況がわかっていない為、なんとも呑気だ。

 

「世界は滅亡だよ」

 

「あ~また、そういう展開な訳ねぇ~」

 

 うんざり顔で手を振る。どうやら前作の経験から察せられて、もうこりごりなようだ。どうでもいいが、手を振るな水が飛んで来る。

 

「スコーピオン・キングを倒したものなら、アヌビスの軍を地下へ送り返せるが、その軍で人類を破滅させることもできる」

 

「スコーピオン・キングに勝てそうなのはイムホテップくらいだから掘り返した訳か・・・」

 

「その通りだ」

 

 本当に嫌になってくる。昔の人は何だって世界滅亡のおまけをミイラに付けるのが大好きなのか。未来の子孫たちのことも考えて欲しいね。

 いくら原作知識があろうと8歳にできることは驚くほど少ない。ここまでまったくっと言っていいほど、流れを変えられていない。

 頼みの知識も朧げな物ばかり。こんなことなら映画のディスクでも買って見まくってればよかった。

 

 方針は変わらない。臨機応変にできることをする。家族と命大事に。 

 

 一同、車に揺られながら、博物館へ急ぐのだった。

 

 

 




アレックスの原作知識は大きな流れは把握していますが、細かい部分については曖昧です。
30代の方が昔小さい頃に見た映画の記憶というのが一番あった表現です。

え?作者の年齢?お察しください。

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