From ハムナプトラ to アベンジャーズ   作:注ぎグチ

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アレックス君はチートが無いので華々しい活躍はないですね。
この話から徐々に活躍の場を増やせていけたら良いなと考えています。正直、リックの方が本作の主人公みたいですよね。原作主人公の存在感恐るべし。
がんばれアレックス!空気になるな!

温かい目で見守って下さい。

ナイト ミュージアム(2006)
2006年公開のアメリカ映画。日本では2007年公開。主演ベン・スティラー。
夜になると展示物が動き出す博物館で働くことになった主人公が,展示物たちと付き合っていくことで成長する話。コメディ作品でお子様から大人まで楽しめる作品です。


第3話 ナイト ミュージアム

 屋敷から1時間ほどで大英博物館に到着した。

 車を止め、アレックスとジョナサンに車で待機するように命じ、俺とアーデスは博物館へ乗り込む準備の為に車のトランクを開けていた。

 

「どれにする?ショットガンか?」

 

 トランクの中には銃器が積んであった。

 

「いや、マシンガンを貰おう」

 

 要望の通りマシンガンとドラムマガジンを渡してやる。

 俺の方もショットガンと銃弾ベルトを身に付け、弾を装填していく。ミイラ相手には決定打に欠けるが、衝撃で吹っ飛ばすことはできる。

 

 ベルトに弾を補充していると不意にアーデスから声をかけられる

 

「もしも、私が“東から失くしたものを探しに来た”と言ったら?」

 

「・・・こう答えよう“俺は西から来た旅人 お前の探しものはこの俺だ”?」

 

 突然の問いに何だ?と思ったが、自然と口が言葉を紡いだ。

 

「その通りだ!聖なる印だ」

 

「これか?これはカイロで孤児だった時に入れた刺青だ」

 

 突然、右腕を掴まれてガキの頃に彫った刺青を指差してくる。これが何だって言うんだ。

 

「それは人類の守護者の印だ。神に仕える戦士メジャイだ。我々とは違う、真の意味でのメジャイだ」

 

 信じられないと捲くし立てるアーデス。ピラミッドに瞳、2人の王はそれを示しているんだと言う。

 

「悪いが、人違いだ」

 

 そう答え、腕を放して貰った。

 しかしアーデスの表情は興奮冷め止まぬ様子で、俺が本当にメジャイであることを疑っていない様子だった。守護者?戦士?勘弁してくれ。こちとら愛する妻と子を持つただの父親だ。

 

 呆れた様子を隠すこともなく、乱雑に上着を脱いでトランクに投げ入れると何かが転がり出てきた。

 それは木を掘って作られた、猫の像だ。

 

「バステト神の木彫りか?魔除けの呪文まで刻まれてる」

 

「ああ、さっきアレックスから渡された。お守りだってよ」

 

 大きさは手に収まる程度ながらも細かく作りこまれた像。あの子はこういった物を作るのが好きで、なかなかの出来栄えにエヴリンが屋敷中に飾っていたのを思い出した。

 

「あの子か・・・おもしろい子だな。度胸があるし、なにより賢い。そのお守りは悪霊にとって、絶大な効果を発揮する、身に着けておけ」

 

 8年前のことを思い出した。復活したばかりのイムホテップが猫に怯えて逃げ出したことがあった。

 小難しい本や(まじな)い書を読み漁っているような子だ。その意味を理解して作っているのだろう。

 

「俺には勿体無いくらいの子だよ。好奇心があり過ぎるのが玉に瑕だがな」

 

「将来が楽しみだな」

 

 くつくつと笑い、俺の考えとは真逆なことを言うアーデスの肩を叩く。

 

「さぁ、行くぞ」

 

 軽口もここまでにし、俺たちはエヴリンを救うため夜の博物館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 夜も深まった博物館は昼の喧騒とは裏腹に独特な静けさを醸し出していた。月明かりが廊下と展示品を照らしてる。

 その中を進んでいく小さな影があった。

 

 こちらスネーク。中に入った。

 これよりミッションを開始する。オーバー。

 

 

 皆さん、こんばんは。

 さて今、夜の月明かりに照らされた博物館の廊下を進む、好奇心旺盛で古代エジプト語とその歴史に造詣の深い天才少年。両親の目鼻立ちをしっかりと受け継いだ将来イケメン間違いなしな子供は誰でしょう。

 

 そう、僕 アレックスです。

 

 父達が博物館に入っていくのを確認した僕は()()()を済ませるために一人、博物館へ侵入しました。入る時は1階のトイレの窓から侵入した。大人は通れないが小さい子供の僕なら何とかは入れる大きさだ。

 

 この時代にも監視カメラは存在する。前世では世界初の監視カメラは今年 1933年にイギリスから始まったと言われていた。しかし、現段階では大金持ちの屋敷や王室関係しか設置されていない事が調べてわかった。大英博物館にもまだ設置されていない。その内に取り付けられる事になるだろう。

 

 普段は夜間警備員が巡回しているが、館内はハフェズ一派のおかげで誰もおらず、当のハフェズ達もここから離れた倉庫で儀式をしている。

 この後、父らが乱入し、銃撃戦、爆発が起きることだろう。

 

 だからこそ、今夜“展示品が無くなる”ことがあっても連中の仕業に見せかけられるし、バレる可能性が極めて低い。

 

 そんなことを考えながら、廊下を進みアジア部門の展示ホールへ入る。

 

 僕は迷うことなく、目的のショーケースの前に来ると、躊躇なくハンマーでガラスを破った。

 

 ガシャーン!!

 

 警報は鳴らない。ハフェズ達が警報を切っている事は確認済みだ。

 

 ケースの中から拳大の“ソレ”を取り出す。

 

 

 目的達成。

 

 

 用は済んだと早足で入って来た1階のトイレへ戻る。途中の清掃用具の納まった部屋から脚立を持って行くのを忘れない。

 トイレに着いたら天井板を外し、その中に先ほどのモノを隠しておく。

 

 後日、今回の件が落ち着いた時に取りに来るのだ。

 

 脚立を戻し終えた僕は入って来たトイレの窓から再び外に出ると車で待つ伯父さんのもとへ急いだ。

 

 

 

 

 車まで戻った僕は待っていたジョナサン伯父さんに声をかける。

 

「伯父さん、ただいま」

 

「アレックス、遅かったな。どこのトイレまで行ってたんだ?」

 

 伯父さんにはトイレに行くと言っていた。嘘は言ってない。

 

「ちょっと迷っちゃってね」

 

 時間にしたら10分位だ。

 6歳の時に博物館でソレを目にし、今日の為に計画していたのだ。

 

 結果は上々。将来の為にやって損はないだろう。

 

「まあ、間に合ったならよかったよ。でも僕をあまり一人にはしないでくれよ」

 

 僕の言い訳に納得した伯父さんはそう言う。

 あまり8歳の子供を頼られても困るのだがと苦笑を返す。

 

 

 ババババッ

 

 

 そんなことを考えていると博物館の方から銃声が聞こえてきた。

 

 顔を見合わせた僕らは急いで車に乗り込む。

 

「伯父さん、エンジンをかけておいて!」

 

「分かってるよ!焦らせないでくれ!」

 

 震える手で鍵穴にキーを近づける。

 まだかまだかと助手席で見ていると急に伯父さんの動きが止まった。

 何かと思えば手に持つキーを見せてくる。それは根元から折れてしまっていた。挿せたと思ったら震えのあまり車のキーを折ってしまったようだ。

 

「どうしようか」

 

 静かな口調で問い掛ける。

 

「落ち着いてるね。僕はパニックだよ」

 

 その口調とは裏腹に内心では慌てている様だ。顔に出ている。

 

 

 ヴォアアアアアアアー

 

 

 博物館の方から何かの雄叫びが聞こえてくる。

 

 それを聞いた伯父さんはますますパニックになり、車を降りる。僕もそれに続く。

 

「どうする!?どうする!?」

 

 と問い掛けてくる。8歳の子供に聞くなよと思いながらも遠くに見えたモノを指差す。

 

 するとそれを見た伯父さんは、走っていってしまった。

 僕は此処で待っていよう。

 

 

 少しすると博物館の裏口の方が騒がしくなり、両親たちが走ってくるのが見えた。

 

「アレックス!」

 

 母が俺に抱きつき、無事を喜んでいた。よかった、無事に救出できたようだ。

 

「アレックス!ジョナサンはどうした!?」

 

 車に戻ってきた父が一人でいる僕に向かって聞いてきた。

 

 それに対し、僕は母に抱き着かれながら無言で道路の方を指差す。

 

 そこには颯爽と走ってくる真っ赤な車体。

 

「お待たせ!」

 

 目の前に止まった車体の運転席から伯父さんが顔を出す。父がたまらず問い掛ける。

 

「俺の車はどうした!?」

 

「事情があってね。悪いが代車で我慢してくれ」

 

 悪びれた様子無く言い放つ伯父さん。

 

「2階建てバスでか!?」

 

「アレックスのアイディアだ!」

 

 そして僕のことを指差してくる。

 

「まぁ、間違っちゃいないけど。原因は伯父さんだよ」

 

「シィーッ」

 

 伯父さんがこちらに向けて、黙ってろとサインする。貸しにしておくよ。

 

「もういい、バスをだせ!」

 

 走り出すバス。

 それに全員が乗り、加速していくと後ろから壁を突き破って4体のミイラが現れた。

 

 そいつ等はこちらに気が付くと直線状にあった車を破壊しながら追って来た。

 

「よせ!俺の車!」

 

 ぺシャンと大きく車体を潰し、走ってくる。

 車からは火花が散り、小さく煙も出ていた。

 

「・・・だから、ミイラは嫌いなんだよっ!」

 

 今年に買ったばかりだったのにね。

 

「パパ、ドンマイ」

 

 アーデスも声をかける。

 

「懐かしいだろ?」

 

「昔を思い出すぜ!」

 

 そう言って父は二階に上がっていった。

 

 バスは速度を上げていくが、奴らもかなりのスピードで追ってくる。

 2階に上がった父がショットガンを打つ。

 

 弾は見事にミイラの胴体に直撃するが、多少後ろに倒れるだけでお構いなしに追ってくる。

 父にも分かっているのか、打たないよりマシにと続けざまに発砲している。

 

 ミイラもただ打たれているだけでない。奴らは大きく左右に跳躍し二手に分かれて壁を走ってくる。

 

「何!?」

 

 左後方から1体のミイラが飛び掛ってくるが父が見事にショットガンで粉砕する。

 

 続けて2体目が飛び掛ってくる。銃撃を掻い潜り1階の後方へ侵入しようとする。

 

 すぐにアーデスがマシンガンを掃射する。ボトッと落ちた音がする。マガジン交換しようとしていると上半身だけになったミイラが押し入ってきた。

 思わぬ奇襲にアーデスは銃を取り落としてしまう。どうやら下半身だけが落ちていったらしい。

 ミイラは器用に手すりに掴まりながら縦横無尽に移動する。上半身のみになったが、その怪力はアーデスを安々と持ち上げ、窓に叩きつける程であった。

 

 上でもやり合っているようだ。銃声が未だに止んでいない。

 

 ふと、横を見ればもう一体のミイラが走って並走しているのが見えた。これはまずい。

 

「伯父さん!もっと飛ばせないの!?」

 

「これでもベタ踏みだよ!」

 

 再び横を見るとミイラもこちらを伺っているようだった。視線の先には運転席の伯父さん。飛びかかろうとしているようだ。

 

「ぐあっ!」

 

 後ろを見ると爪を鋭く伸ばした上半身ミイラがアーデスを襲っていた。それを見た母が、

 

「兄さん曲がって!曲がって!」

 

 母の声と同時に外のミイラが飛び掛ってくる。双方でピンチだ。

 

 しかし、飛び掛ってきたミイラは伯父さんがハンドルを切るとバスの側面にぶつかり、車体の下で磨り潰されながら後方へ消えていった。

 アーデスに襲い掛かっていたミイラも慣性で体制を崩していた。

 

 安心するのも束の間、バスの正面からは1台の車が走ってきていた。

 

「危ない!退け退け!」

 

 伯父さんが叫びながらハンドルを切る。正面はかわしたが、路上に止めてあった別の車に側面をぶつけながら走り続ける。車体が左右に揺れる。

 上からドタバタと音がする。まだ上で父が残りの1体とやり合っている。

 

 アーデスが体制を崩し追い込まれていく。

 助けないと!と方法を考えていると、車体の揺れで落ちてきた父のショットガンを母が掴んだ。

 

「アレックス、伏せてなさい!」

 

 そのまま、銃口を押し倒されたアーデスの上に乗る上半身ミイラへ向け、全弾ぶっ放す。

 

 バァーン!バァーン!バァーン! ガッシャーン!

 

 上半身ミイラは粉砕されながら後部窓ガラスを巻き込み、外へ吹っ飛んでいく。ナイス ママ。

 

「大丈夫?」

 

 母が声を掛ける。

 

「はぁ、ありがとう・・・」

 

 何とか無事なようだ。切り裂かれた左肩を抑えている。

 

 ドタッ ダダッ バタンッ

 

 上はまだ戦っているようだ。

 後方の階段から2階に向け走っていく。

 

「アレックス!待ちなさい!」

 

 車の揺れで体制を崩し、追って来れないようだ。背後から声がするが構っていられない。

 

 階段を上がり2階の車内を見ると、父がミイラに首を掴まれていた。

 

「パパ!お守りはどうしたの?」

 

「アレックス!?何で来た!?」

 

「いいから!お守り出して!」

 

 僕の声を受けて左のポケットを漁る。

 その手には僕があげたお守りが握られていた。

 

「そいつの目の前にかざして!」

 

 父は言われた通りにミイラの眼前へお守りを(かざ)す。

 

 それまで、首に掴みかかっていたミイラは目の前のバステト神を模したお守りに怯え、後ろに下がり始める。

 

「パパ!前!前!」

 

 大声で目の前に迫る壁を指差す。

 すぐに察した父はこちらに走ってきて僕の頭を抱えるようにして床に伏せた。

 

 瞬間、バスは小さなトンネルに差し掛かり、2階の上部を破壊しながら押しと通っていった。

 

 バスが過ぎ、トンネルの入り口 上側には干からびた人型が張り付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バスはロンドン橋を渡った所で停車する。

 

 車体はボロボロ、2階にいたっては上半分が削り取られていた。

 父と一緒に1階へ降りる。

 

「ありがとう、アレックス。こいつはすごいな」

 

「どういたしまして」

 

 僕にお礼を言うと父は大事そうにお守りをポケットにしまい、ポンポンと頭を撫でてくる。ミイラ嫌いの父には欠かせないお守りだろう。

 

 

 降りた先にはアーデスが息を整えているところだった。父が声を掛ける。

 

「無事か、アーデス?」

 

「ああ、・・・、っ生まれて、初めてバスに乗った」

 

 それがこれか。なんとも可哀想になる。今度ロンドンに招待して観光案内でもしてあげようと思い声を掛ける。

 

「今度は観光で乗ろうね」

 

「・・・ああ」

 

 ほんの少しの間。バスに乗るのは懲り懲りなのかもしれない。少し笑ってしまった。

 

 運転席では伯父さんが呆然とした様子で、ハンドルを握り締めたままだった。

 

「伯父さん、もう終わったからハンドルから手を離していいよ」

 

「あ、ああ・・・」

 

 未だ心ここに在らずといった風だが、声を掛けておく。

 

「最高の運転だったよ」

 

 そう言って僕が突き出した拳を暫し見つめて、弱々しく拳を返してくれた。うん、満足。

 

 

「・・・貴方が居なかったら死んでた」

 

「司書ってのは、皆こうなのか?」

 

 運転席のすぐ後ろでは両親がイチャコラしていた。ラブ空間に呆れた僕は当てられないように後方へ非難する。

 

「もぉー、家に帰ってからにしてよねぇ。我が親ながらまったく・・・」

 

 バスの最後尾まで来ると階段下から壊れた2階を見遣る。うわすげっ。

 綺麗さっぱり無くなった屋根に感心していると背後から太い腕が伸びてきて体が引っ張られる。

 

 ガシッ

 

「うお!おい、放せ!」

 

 顔を腕の人物に向けると屋敷を襲ってきたロックナーが僕を軽々と持ち上げ、車に押し込まれてしまった。

 

「アレックス!」

 

 父が気付き、慌てて追いかけてくる。

 

 僕らが居たのとは反対側へ車が走って行く。

 

 ロンドン橋から警報が鳴った。跳ね橋が上がるときの警報音だ。

 

 車が真ん中を過ぎると徐々に橋が上がってしまう。

 

 追いかけて来ていた父の姿が後ろの窓からで見えなくなってしまった。

 

 僕は見事、攫われたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ!」

 

 上がりきってしまった跳ね橋の前で悪態を付く。奴らは反対側へ走り去ってしまい、アレックスが攫われた。

 

「リック!」

 

 エヴリンが駆け寄ってくる。その体を抱きとめる。

 

「・・・すまない。アレックスを連れ去られてしまった」

 

 あいつらはどこへ向かう?馬鹿正直に博物館へ戻ってるとは思えない。愛する息子だ。このままでいられるか!考えろ考えるんだリック。

 思考を巡らせているとアーデスが近づいてきた。

 

「友よ。・・・息子さんなら大丈夫だ。あの腕輪をしていれば危害は加えられない」

 

「! アレックスが腕輪をしてるの?」

 

 エヴリンが驚きに声を上げる。

 

「嵌めた時にギザのピラミッドやカルナックの神殿を見たそうだ」

 

 腕輪の話の時にはエヴリンが攫われていたから、説明する。アーデスが言葉を続ける。

 

「カルナック神殿に着けば腕輪が次の目的地を示すはずだ」

 

「っじゃあ、カルナックに先に着かないと何の手掛かりも無くなってしまうわ!」

 

 確認するようにエヴリンがこちらを見てくる。見つめ返す余裕無く、思考を走らせる。

 大急ぎでエジプトに飛ぶ。早くとも明日のだ。問題はエジプトでの移動手段。何か無いか、やつ等よりも早い移動手段・・・

 

「という事は・・・魔法の絨毯がいるな・・・」

 

 頭に思い浮かべたのは、エジプトで観光客相手に飛行機を飛ばしている古い知り合いだ。

 

 確か会社名は―――魔法の絨毯航空、だったか。

 

 急いで屋敷に戻り、エジプト行きの準備をしなければ。

 そんなに時間も掛からないだろう、既に荷造りはできているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 大英博物館 ―――

 

 

 

「・・・そうか、わかった」

 

 腕輪が手に入った連絡を受け、私は復活したイムホテップへ向き直り、(こうべ)を垂れる。

 

『イムホテップ様、腕輪を確保しました』

 

 その口からは古代エジプト語が発せられる。目の前のミイラの姿をした主に伝えるにはこの言語で無ければならない。

 その言葉を受けた彼はミラへ向き直り、告げる。

 

『アム・シェアーへ出発するぞ。 スコーピオン・キングに引導を渡すのだ』

 

『そして彼の軍隊で世界を支配するのね、私たち二人で・・・』

 

 目を輝かせるミラに対しイムホテップも頷き返している。

 

 ハフェズには懸念があった。

 屋敷で会った男。オコーネルと間違えて尋問していた男は“オシリスの笏”を持っていた。あれがまだ向こう側の手にあるとすれば奪う方がいいだろうか。伝説上ではスコーピオン・キングを倒す武器として描かれていた。復活した主なら武器が無くとも倒せるだろうが・・・ そこまで考え、お声をかける。

 

『主よ、大事の話が。奴らはオシリスの笏を持っております』

 

 それに主は一瞬考え、

 

『案ずるな。アム・シェアーへ着く頃には我が力は完全に復活していることだろう。そうなれば、笏など必要ない』

 

 そう言うと徐にミラへ顔を近づけていった。

 一瞬、ミラが近づくミイラの顔に戸惑うが、ハッとしたかと思うとその口付けを受け入れた。どうやら、主が何かしらの術で姿を変えて見せているようだ。

 

 我々は二人を残し、退室する。

 

「すぐにここを出る。準備しろ」

 

 部下に指示を出す。

 この騒ぎに警察が来るのも時間の問題だ。すぐにエジプトへ向かうため、準備しなければ。

 

 ―――もうすぐだ。我が主が最強の軍を手に入れるのは。そして私は主と供に世界を征服する!

 

 その野望の為に今はエジプトへ急がなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、タブロイド紙 デイリーミラーにて

 

 先週に起きた大英博物館での爆発は倉庫にある薬品が爆発したものだとわかりました。それだけでなく、現場には多くの弾痕が残されており、激しい銃撃戦があったと警察が述べております。同晩には爆発音とおびただしい銃声が響いていたと周辺住民から情報がありました。また、アジア部門展示ホールでは“シャングリラの眼”と呼ばれる宝石が盗まれており、銃撃は侵入した窃盗犯によるものだと思われます。

 

 また事件から行方の分からなくなっている博物館館長 ハフェズ氏が事件に関係している可能性が高く、盗まれた宝石と一緒に警察が行方を追っています。

 

 なお、同日に発生した二階建てバス盗難事件についても関係性を調査しているとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




映画の中でも曖昧な設定があり、それを想像と考察で補填するのがちょっと楽しい。

■独自解釈■
メジャイの独自解釈ですが、
本来の意味では神に選ばれし戦士で、古代エジプトではファラオとエジプトの財宝を守護する者達だと考えます。
映画でアーデス達 メジャイ十二部族もメジャイを名乗っていますが、彼らはかつてのメジャイの子孫たちであり、前作に登場した秘密組織“マギ”はメジャイの使命の為に外部の協力者を取り込んで組織したものであると解釈しています。マギにはメジャイ以外の構成員もいるということです。前作の館長とか。

シャングリラの瞳はお分かりになる方もいるでしょう。映画では1940年に中国から持ち出されたことになっていましたが、本作では1930年とし、大英博物館に展示されていたことにします。

何か不明な点がありましたら感想でお聞きください。
作中や前書き、後書きまたは返信でお答えさせていただきます。

次話は1週間後に投稿予定です。

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