From ハムナプトラ to アベンジャーズ   作:注ぎグチ

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日刊ランキング入りだと!?
思わず牛乳を吹きかけました。

多くの皆様に見ていただけていることに感謝します。
温かく見守ってください。


第4話 エジプトエクスプレス

 照り付ける日光がチリチリと肌を焼く感触に懐かしさを覚えることはない。

 つい、二日程前まで此処にいたのだ。

 

 また、エジプトに帰ってきた。

 

 辺りでは人が忙しなく行き交い、列車が排気の音を発している。

 

 僕 アレックスはロンドンで攫われて今はエジプトのカイロの鉄道駅に来ています。

 次の目的地がカルナック神殿なので、列車で移動するようだ。

 

 エジプト鉄道会社(日本で言うJR)は1833年のオスマン帝国の属州時代から始まり、路線をエジプト全土に向けて広げていた。1851年にはエジプト初の標準軌鉄道を造るため、イギリスの土木技術者に協力を仰いだりし、時代が進むにつれてエジプトの近代化と鉄道開発の推進は同時に進んでいった。

 昔はナイル川に橋を架けるのも一苦労でナイル川を越える手段は船のみだった。それは鉄道も同じで、鉄道を24メートルの鉄道輸送船に乗せてナイル川を越えていたりしたのだ。しかし、1858年5月15日にサウジアラビアの皇太子を乗せた特別列車が船から転落したために皇太子は溺死した。そのため、エジプト鉄道は鉄道輸送船を500メートルの架道橋に置き換えた。失敗は成功の母とはよく言ったものだ。

 カイロから一番近いインババ橋は今年の1933年に改築を終えたばかりの真新しい橋だ。これにより人の流れや交通の便が飛躍的に伸びている。

 

 驚きなのは1933年現在で21世紀初頭の路線図と遜色ないくらいに鉄道網が敷かれていることだ。元々、土地の大半が砂漠のため、人の住む場所への路線拡大は現在までにほぼ終わってしまっている。

 残されたのはナイルデルタ(ナイル川三角州地帯のこと)内の細かい路線や将来的な地下鉄くらいだろう。

 

 カイロからルクソールまで約12時間。列車の旅と洒落込むようだ。

 

 

「荷物を積み込め。すぐに出発するぞ」

 

 これからの片道一週間の砂漠の旅だ。往復二週間分を想定しているのだろう。食料は人数も相俟ってかなりの量になっている。ロックナーの指示に部下達が次々に列車へ物資を積み込んでいく。

 

 それをぼけーっと眺めているとロックナーに抱えられる。

 

「お前はこっちだ」

 

 僕は大人しく俵の様に肩に担がれる。

 お姫様抱っことまでは言わないが、モノ扱いはやめて欲しい。自分で歩くから降ろして欲しい旨を伝えるが無視される。解せぬ。

 

 そのまま運ばれていった列車内はとても豪華で上流階級の人用に装飾されている。こいつら、変な赤い衣装でお揃いな癖に金は持っているようだ。

 そんなことを考えていると車内には先客がいるようだった。

 

 既に乗り込んでいたハフェズが綺麗なお姉さんに死者の書を渡している。

 

「死者の書だ」

 

 僕の声に気が付いた二人がこちらを向く。

 ハフェズの目は僕の腕輪に、お姉さんは僕のことを面白そうに見ていた。

 

「あらまぁ、なんてお利口な子なの」

 

 そう言うとお姉さんがこちらに近づいてくる。

 

「今頃、ママは心配してるでしょうね。ママに会いたければ良い子にしてなさい」

 

 頭を撫でて来る。何とも妖艶な雰囲気を纏ったお姉さんだ。

 

「そうしたところで僕に何か良い事がありますか?ママの為にもしたことないのに」

 

 暴れる気は更々無いが、聞いてみる。

 

「そりゃ、ママはあなたのベッドに毒蛇を入れたりしないものね」

 

 綺麗な花には棘がある。とんでもねぇ事を言う美女。

 そうして、徐に僕の頬へ顔を近づけてくる。

 

「チュッ・・・でも、私はするわよ」

 

 頬に口付け。

 キス。

 チュウ。

 ちゅう。

 

 

「お姉さん。この後よければ僕とナイル川を眺めながらお茶でもいかがでしょうか?今後の私たちのことについて語り合いたいのですが?」

 

「フフ。時間があったらね」

 

「是非」

 

 うお~!エキゾチックな美女最高!

 パパママごめんなさい。助けに来るのはもう少し後でお願いします。

 

「ミラ、悪ふざけもその辺にしておけ。主が子供に会いたがっている」

 

 おい、爺!邪魔をするな!あんな干物は放っておけ!僕はそれよりもミラお姉さまとお話していたいんだ!

 ロックナー!お前も男なら僕の気持ちがわかるはずだ。その手を離せ!

 

 抵抗も虚しく、ロックナーによって隣の車両へ引き摺られて行く。

 

 ああ!?ミラお姉さま~!

 

 

 

 

 

 隣の車両に入る。

 辺りにはエジプトの調度品で装飾されていた。この車両の主のために施されているのだろう。

 

「進め」

 

 前に押し出された。そこには黒いマスクをした男が立っていた。

 そいつは振り返り、こちらに対して皺枯れた声を発する。

 

『私の話す言葉がわかるな?これから言う事をよく聞け・・・子供よ、お前は選ばれたのだ。私をアム・シェアーへ連れて行け」

 

 男が話し始めた言葉は間違いなく古代エジプト語だった。しかし、最初は意味を考えながら聞いていたそれが次第にすんなりと頭の中に入り込み理解できる。

 アヌビスの腕輪のおかげで古代エジプト語がわかるようになっているようだ。

 

 腕輪のお得な効果に感心しながら答える。

 

「連れて行く。でも条件を飲んで貰う」

 

 少し、挑発的に告げる。

 

「フハハハ、お前は強い子だな。あの父の子だけある。だが良いことを教えてやろう」

 

 そうして男が僕に手を向けると自然と腕輪をした方の手が持ち上がる。

 念動力の様なものかな。

 

「この腕輪には力があるが呪いも掛かっている。時の砂は既に落ち始めた。時間は少ない。条件など出せる状況かな?」

 

 砂時計をひっくり返し、砂を落としながら語りかけてくる。演出を大切にするところは嫌いじゃない。

 

「ああ、その話なら聞いたよ。僕が腕輪をはめてから七日後にスコーピオン・キングが目覚めるんでしょ」

 

「これも聞いたか?その七日目、日が昇る前にピラミッドの中に入らねばお前の命は腕輪に吸い取られるのだ」

 

 したりっと男は言うが僕はあっさりと答える。

 

「うん。知ってた。その上での条件だ」

 

「ほう・・・言ってみろ」

 

 感心したような声色だ。

 

「アンタ達は幻のピラミッドに行きたい。僕はピラミッドに行って腕輪を外したい。要求は2つ。なに、簡単なことさ。僕は逃げないし大人しくアンタ達に協力する代わりに捕虜としてではなく、客人として扱ってもらいたい」

 

「どうやってそれを信じる。そう言って逃げ出したらどうするのだ?」

 

 尤もだ。監視の目を緩めて逃げ出す可能性はある。しかし、

 

「結局、ピラミッドに行かないと僕は死んでしまうのに?そんな事して間に合わなかったら意味ないでしょ」

 

 両親が後を追ってきてくれているだろうが、逃げ出したところで合流は難しいだろう。原作通りに非協力的に物事を進めてもピラミッドに入るのがギリギリになるだけだ。

 協力的にした所で早く着く事はあっても、遅れることは無いだろう。

 

 え、追って来てくれてるよねパパァン?

 

「どう?多少の自由を認めるだけだ。面倒な手間が省けてアンタも部下達も楽だし、僕も快適に過ごせる。お互い良い事尽くめだ」

 

 相手にデメリットと呼べる物はほぼ無い。この条件を飲むメリットの方が圧倒的に大きい。

 

「・・・いいだろう。やることは変わらんのだ。条件を飲んでやる。だが・・・」

 

 そう言って、徐に男はマスクを取り外す。

 

「逃げ出せば・・・無事では済まさんぞ」

 

 そこには皺くちゃなミイラの顔があった。

 

 うん。知っててもキモイな。脅しとして見せて来たのだろうが、こちとらミイラなんか博物館で見慣れてる。

 

「お前なんか僕のパパに敵うもんか」

 

「フン。それはどうかな・・・おい、ハフェズを呼んで来い」

 

 交渉成立。

 イムホテップは僕の後ろに声を掛けるが、当のロックナーはポカーンと口を開けている。

 

 ああ、そうかロックナーには僕らの会話が古代エジプト語に聞こえているのか。僕自身も自然と口から言葉が出るから気付かなかった。腕輪様々だな。

 

「おじさん、ハフェズを連れて来いってさ」

 

「あ、ああ」

 

 ロックナーは古代エジプト語を話す僕に驚いているのか、ミイラの顔を見ても驚かない僕に驚いているのか、どっちなんだろう。

 いずれにせよ、僕に対し驚いていることだけは確かなようだ。

 

 

 「小僧、もう1つの要求は何だ?」

 

 要求のもう1つ? それは・・・

 

 

「暇な時でいいから、話し相手になってよ」

 

 古代エジプトを知る生き?証人だ。この機会を逃すのなら母の子をやってられない。

 

 

 その後、ハフェズを交えて無事に交渉成立し、監視にロックナーが就く事になったが扱いはハフェズ達幹部同様に扱われるようになった。

 

 これで旅の間は快適に過ごせることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 汽車が発車して直ぐの頃、三日くらい前にスコーピオン・キングの遺跡で見かけた3人組がイムホテップの部屋に入った後、ぷるんぷるんのモチ肌イムイムがミラお姉さまと一緒にこちらの車両へやって来た。

 どうやらあの3人は美味しく頂かれてしまった様だ。南無。

 イムイムは完全復活していた。ミイラの見た目からは想像できない劇的ビフォーアフター。

 

 

 

 しばらく、食事を楽しんだ二人はまた前の車両へ戻って行ってしまった。

 

 ナニか?ナニしているんか!?

 

 ふざけやがって!リア充氏ね。と思いながら憤慨。

 

 

「もう着く?」

 

「まだだ」

 

 

 僕はその憤りをロックナーで遊ぶ事で発散していた。

 まだ着かないのを承知でこの質問を繰り返している。

 

 

「もう着く?」

 

「まだだ」

 

「もう着く?」

 

「まだだ!」

 

「もう着く?」

 

「まだだ!!」

 

 数十回と繰り返した頃だろうか。

 

 遂にロックナーがキレた。

 

 ナイフを抜いてテーブルに置いていた僕の手目掛けて振り下ろす。

 ナイフは指と指の間に見事突き刺さり、僕の手は無事。

 

「ロックナー、やるねぇ。ドンピシャだよ!」

 

 その腕前に賞賛の声を掛ける。

 

「・・・狙ったんじゃない。は・ず・し・た・の!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 えー、突き刺すつもりだったのかよ。そんな事したら客人扱いって話が違ってくるじゃないか。

 

 ハフェズも僕と同じような顔で見ているじゃないか。こいつ無いわーって。

 

 そんな事を考えながら、変な汗をかいた手のひらを拭っていると・・・

 

「・・・お前はこの状況で怖くないのか?」

 

 そんなことをロックナーが問い掛けてくる。

 どういう意味なのかは僕でもわかる。

 

「まぁ、怖くは無いかな。四六時中、見張られてるのとトイレに大男が着いてくること以外は比較的快適だよ」

 

 僕の答えに呆れたような感心したような視線を向けてくる。

 

「僕からも聞いて良い?」

 

「何だ?」

 

 質問に答えたので、こちらも思っている事を聞く事にした。

 

「ロックナーは何でこんな奴らと一緒にいるの?」

 

 世界征服。そんな大それた事を考えるハフェズに何故従っているのか。聞いてみたかったんだ。

 

「・・・俺は孤児で食い物を盗んだのがバレて殺されそうになったんだ」

 

 あれまぁ、教えてくれるんか。

 シカトされてお終いかと思った。教えてくれるのだから大人しく聞く。

 

「そんな時にハフェズさんに命を救われた」

 

「じゃあ、恩返しってこと?」

 

「ああ」

 

 ふーん。

 

「イムイムが世界征服する過程、またはその後はどうなると思う?」

 

「?どういうことだ」

 

 簡単なことだ。たくさんの人が死ぬだろう。その中で運よく生き残った子供がロックナーと同じように孤児になり盗みを働くだろう。世界は混沌と化し、間接的に人々は命を落とすことになる。そこに秩序は無く、弱い者が強い物に搾取される世界。

 アンデットは生きる者を憎むものだ。決して相容れる存在ではない。その憎しみは全ての命を刈り取るまで消えることは無いだろう。

 

 理性でそれを抑えられたとしても、長くは持たない。永遠ともいえる命は精神を擦り切らし、やがては世界を飲み込む。

 

 よくある展開だ。

 

 そんな事を言ってやれば、ロックナーは驚いた顔をして黙ってしまった。

 まぁ、僕の言ってることがその通りにならないかも知れないが、自分がどんなことに加担しているのか、その可能性を考えているようだ。

 

 

 話し相手が黙ってしまったので、どう暇を潰すか考えていると数時間ぶりにミラお姉さまが車両に入ってきた。

 興味があったので、ミラお姉さまにも聞いてみることにする。

 

 ハフェズ?どうせ世界の半分は私の物だとか何とかの理由でしょ。バカに興味なし。

 

「お姉さんは何でこいつ等と一緒にいるの?」

 

 僕の問いの答えは簡単な物だった。

 

 曰く、前世の記憶について悩んでた時にハフェズにあったこと。

 曰く、自分はアナクスナムンの生まれ変わりであること。

 曰く、前世の自分が如何に美しく輝いていたかということ。

 

 そこまで聞いて疑問に思ったことを問いかける。

 

「お姉さんはイムイムが好きなの?」

 

「え?」

 

 問いの答えは戸惑いだった。

 

 愛してる。

 

 そんな当たり前の答えが出てこない。

 二人は3000年前から続く恋を成就させようとしているはずだ。

 

 しかし、先ほどの説明で彼女の口からは彼のことが一度も出てこなかった。

 

「・・・」

 

 その沈黙に僕は納得していた。

 

 映画の最後のシーンを思い浮かべながら再度問う。

 

 

「お姉さんはイムイムが好きなの?それとも禁断の恋をしている自分に恋してるの?」

 

「・・・」

 

 その問いに答えは返って来なかった。

 

 

 ―――イムホテップも報われんなぁ。

 

 

 答えは一向に返ってこない。

 

 僕は眠くなってきたので、空いてる席に寝転ぶ。

 ハフェズに着いたら起こしてと伝えておく。

 

 ミラお姉さまには早めに話ができてよかった。

 

 カルナックに着いた晩、イムホテップは冥界からアナクスナムンの魂をミラへ宿らせる。全ての記憶を思い出すのだ。

 

 その後の()()はどのような存在になっているかわからない。元からあったミラの魂はどうなるのか。

 

 

 

 後、2時間は眠れるな。そう思いながら僕は瞼を閉じた。

 

 

 後に残されたのは心に陰りを残した二人。

 

 しばらく動けないでいた。

 

 

 

 まぁ、僕のせいなんですが・・・

 

 ケケケッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リック!あったわ!」

 

 ロンドンでアレックスを攫われてから三日。私達はアレックスの残す手掛かりを追ってルクソールのカルナック神殿からフィラエ神殿に来ていた。

 

 エジプト南部、アスワン近郊にあるヌビア遺跡。中心となるのがイシス女神を祀るイシス神殿で、現存する神殿はプトレマイオス朝時代に建設されその後ローマ時代にわたって増築が行われてきたものである。4世紀末にテオドシウス1世が、帝国内の全ての古代神殿を閉鎖しようとしたとき、フィラエ神殿は抵抗を続け、453年に条約が締結された。周辺地域の宗教的自由が保証され、条約が約100年間守られた場所だ。

 

 私の声にリック達が集まってくる。

 アレックスの上着の下に隠されていたのは砂で作られた精巧な4体の像。壁に彫られたような像はいすに座っているようであり、その半分が下半身を砂に埋もれさせ、無駄な再現率であった。

 

 あの子は捕まりながら、こんな精巧な代物をどうやって作っているのか。我が息子ながら手先の器用さに呆れる。分かりやすくて助かるのも事実だが。

 

「アブシンベル大神殿だわ」

 

 エジプト南部、スーダンとの国境近くにあるヌビア遺跡。

 その1つ、砂岩でできた岩山を掘り進める形で作られた大神殿と小神殿からなる岩窟神殿。建造主は新王国時代第19王朝の王、ラムセス2世。セティ1世の息子だ。

 大神殿は太陽神ラーを、小神殿は女神ハトホルを祭神としており、小神殿は王妃ネフェルタリのために建造されたものでもある。

 

 建設後、長い年月の内に砂に埋もれていたが、1813年にスイスの東洋学者ヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルトによって小壁の一部が発見され、1817年にブルクハルトの知人であったイタリア人探検家ジョヴァンニ・バッティスタ・ベルツォーニによって出入り口が発掘された場所だ。

 

 現在、発見されている遺跡で助かった。

 

「よし。えらいぞアレックス!」

 

 アレックスが手掛かりを残してくれるおかげで、何とか追い縋ることができている。一刻も早く追いつかなければ。

 

 急ぎ飛行船に戻ってアブシンベル大神殿へ向かわないと。

 

 私達はイジーの飛行船で移動していた。

 

 リックの旧友 イジー。

 エジプトで空輸会社を運営しており、リックには過去に散々振り回されたために彼が訪問した際には悲鳴を上げて会社の門の鍵をかけた程であった。飛行機を「(リックみたいに)騒々しい乗り物」と称し、追跡には飛行船を運用している。アレックス救出を急ぐリックに頼まれ、彼の持っていた()()()を条件にアム・シェアーへと連れて行ってくれることになったのだ。

 

「イジー、次はアブシンベル大神殿だ」

 

「あいよ。仰せのままに」

 

 早くあの子を助け出さないと。

 そう考えるが、不安なこともある。エジプトに着いてから活発に前世の記憶が呼び起こされるのだ。

 

 昨晩は特に酷かった。

 前世の記憶として父 セティ1世がイムホテップとアナクスナムンによって殺害される幻覚を見た際には動転し、飛行船から落ちそうになったのをリックに助けられた。

 

 アーデスに言われたことが頭にこびり付いている。

 「君はセティ1世の娘 ネフェルティティの生まれ変わり。友よ、君は神々の戦士。息子はアム・シェアーへの案内人。全てが繋がっている」と。

 

 夫のリックは偶然だといった。しかし、私はアーデスに同意だ。全てが3000年前から決まっていたことなら、私達で止めないと。

 

「アレックスが心配かい?」

 

 思考の海から引き上げられる。後ろからリックが声を掛けてきた。

 

「あれだけ精巧な手掛かりが残せてるのだもの、あの子は危害を加えられてないわ」

 

「じゃあ、昨晩のことかい?あの・・・前世の記憶とか」

 

「ええ。貴方は偶然だと言っていたけど・・・「運命と偶然の違いはごく僅か」・・・アーデスの言葉よ」

 

「運命だろうが、偶然だろうが俺が君たちを守るよ」

 

「・・・ええ」

 

 夫の言葉が何よりも心強い。

 今はアレックスを助けることだけを考えよう。

 

 

 

 ・・・アレックス。必ずママ達が迎えに行くから待っていなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 




映画では描かれなかったロックナーやミラの心情を少しでも表現できていたら良いなと思い、書きました。

次話も早めに投稿したいと思っています。

ご意見・感想・指摘等ありましたらよろしくお願いいたします。
温かく見守ってください。

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