本作はあらすじにある通りの内容で進行します。
ですから主人公はアホほど無双しますし、御都合主義は昭和ヤマトの真田さんが泣いて許しを請うレベルです。
どっかの壺野郎のSSを期待してお読み頂くと大変危険です。
頭を空っぽにしてお読みください。
と、予防線を張っていくぜ!これもまたテンプレ。
「さて、始めるか」
肌寒さから異世界に降り立ったことを理解した俺は、早速端末を取り出しスイッチを押した。
すぐに画面が点灯し、正常に動作することを伝えてくる。
「さあ、神器の力を見せてくれよ」
そう呟きながらツリー化された項目から物資生成の項目を選択、その中から携行食料セット(1か月分)を選択する。実行の可否が表示され、一呼吸してYESを選択すると目の前の空間が歪み、そこに十数箱のダンボールが現れた。
「は、はは、すげぇ、チートだ。俺、マジでチート主人公になったんだ!」
人里離れた山中で大量のダンボールを前に笑い声をあげるという、通報待った無しの行動をとりながら画面の確認を続ける。有り難い事にヘルプ機能まで付いているので迷うことなく確認作業を終わらせた。結果解ったことは、事前にあの神の間(仮称)で伝えられた通りという事だった。
内容としては、
1.物資の生産や保有技術のアンロック、身体強化や技能獲得を功績ポイントで行える。
2.功績ポイントはBETAを殺害することで得られる。
3.現世界にて認識されていない物質を生産する場合ポイントとは別に、
BETA由来のグレイシリーズという素材が必要になる。種類は問わない。
4.技術は平行世界すべての技術が適用される。
5.技術はそれがある事を使用者が認識していなければならない。
6.神器は信仰心によって機能しているので、人口が低下で機能も低下、最悪停止する。
「む、むふふ。やりたい放題、やりたい放題じゃないか。さて、現状のポイントは…」
だらしなく頬が緩むのもかまわず端末を操作すると、すぐにポイントは確認できた。
「ほうほう、残り19990ポイントね…さて、とりあえず技術獲得か?いや、装備…」
呟きながら技術取得ツリーを開き、俺はそこで愕然とした。
「は?ミノフスキー基礎理論、2万ポイント?」
そのほかに並んでいる項目もどれも軒並み1万を超えるものばかり、しかもどれも単独ではあまり効果のなさそうなものばかりだ。
「え、え、あれ?」
何かないかとスクロールしてみるが、結局確認できた技術は大まかに分けて4通り、最初は基礎技術と名付けられているものだが、どうもこれはこの神器のプリセット技術のようだ、どこかで聞いたような技術がいくつも並んでいるが値段に対する効果の程が不鮮明だ。
二つ目は現世界の技術、これは比較的安価だが原作以上の技術は出てこない。
三つ目はアーマードコアの技術、シリーズによって価格の差が大きいが、ミグラント、レイヴン関係は安めだが、リンクス、ネクスト、そして古代機動兵器群などはちょっと0の数がおかしくなっている。
最後がガンダムの技術、非常に高価だがエネルギー事情や生存圏の確保などに一番期待が持てそうではある。ただし何故か宇宙世紀シリーズに関するものしか出てきていない。
「う、うろ覚えの知識は除外されてるって事か?くそ!マクロスとかしっかり見とけば…」
後悔したものの、最早後戻りは不可能である。しばし唸っていたものの、そもそもこのままでは生活すら危うい事に俺は気づいた。
「きょ、拠点、先ずは生活基盤を作らないといけないじゃないか」
何しろ神器と体一つで送り出されているのだ。こちらの通貨どころか身分証すら持っておらず、肉体に関して言えばせめてもの温情ということで20歳の体にしてもらったが、それでもただの一般人の枠は越えていない。季節は春であり、即凍死などは無いと思いたいが何せ山の中である。確証は無い。
「あ、あれ、思ってたよりこれ、マズイ?」
スタートから躓きかけている俺であった。
「そもそもだ、どうやってここからポイントを稼ぐというのか」
世界に降り立って二日目、取りあえず10ポイントで入手できたログハウスに引きこもり俺は不満を漏らしていた。
日時を確認すれば、1995年4月5日、午前8時丁度、場所は長野と群馬の県境の山中である。
「BETAはまだユーラシア大陸、倒さないとポイントが手に入らない、が、倒す手段が無い」
転移直後こそ、MSで無双してやるぜ!などと考えていたのだが、そもそもMSで行ける距離にBETAが居なければ戦いようがないのである。
「おまけにMS超高いし」
ガンダムでも初期の機体であるザクJ型でも8000ポイント、機動力を考えて最初の機体と目をつけていたドムでは三倍の24000ポイントである。加えて設備も何もない状況では補給もポイントに頼らねばならないため、気軽に呼び出したら最悪餓死の可能性すら出てくる。尤も、現状ではミノフスキー粒子をポイントで生成しなければいけないため生産できないのだが。
「何か手段…手段は…」
唯一の頼れる相手である神器を操作していると、その中に訓練と題された項目がある事に気が付いた。説明を軽く読んでみると、どうやらこれはVRでこの世界の戦場を体験できるというもののようだ。実戦に関しては小学生の喧嘩程度しか経験のない俺にとってその経験は得難いものであるが、それ以上にその下に書かれた文章にすべての意識を持っていかれた。
「訓練プログラム内での戦果は自身の戦略的価値の向上による人類への貢献を考慮し、実戦の0.1%が支給されます…これだぁ!」
視野狭窄という言葉がある。
元々は眼球の病により視界が制限される事柄を指すのだが、転じて物事を俯瞰して考えることが出来ない場合などにも使われる。閉じてしまったように見えた現状を安易に打開できる方法が提示された事に冷静さを失い、まさしく言葉通りそれしか見えずに訓練開始を承認してしまった。そう、少し考えれば気付けたかもしれない。
絶対に物理的には死ぬ可能性の無い仮想訓練で、何故ポイントが僅かと言え支給されるのか。数分後、俺は身をもって知る事になる。
「おや、こんにちは、ブートキャンプへようこそ。歓迎するよ」
仕立ての良いスーツを着込み事務机で新聞を読んでいた、どことなく戦闘狂の大隊指揮官殿に似た男がにこやかに告げてくる。この時点で俺の危機感は最大限に警鐘を鳴らしていたが、それはあまりにも遅かった。
「当訓練所はどんな無能な蛆虫以下のゴミクズであろうとも人並みの戦士に変えることを売りにしている。ああ、心配しなくても良い、何せ死なないからね。慣れるまで幾らでも付き合おう。幸いこの空間は圧縮空間でね、そう、所謂精神と時の部屋と言う奴さ。まああっちと違って経験以外は持っていけないがね。その分圧縮具合は折り紙付きだよ」
PTSDや廃人という言葉が脳裏を過った俺は慌てて逃げようとするが、その時重大な事に気が付いた。
離脱ボタンが、無い。
「さあ、楽しい楽しい戦争の時間だ。生憎相手は無粋な作業機械モドキだが、まあ、贅沢はいけないね」
その言葉を最後に視界が暗転すると、骨董品と言えるようなボルトアクションライフルを手に、塹壕の中に放り込まれていた。
「あ、これあかんやつだ」
死なないという事は、死ねないという事だ。
そう言ったのは誰だったか、どこかで聞いたような、あるいは自身がたどり着いた答えだったか。
念願のドムのコクピットに収まり両手に構えたMMP-80から盛大に砲弾をばら撒きながらそんな事を考えていた。時間に対する感情は遥か昔に摩耗したが、鍛え上げられた体が正確に時間を認識させてくれる。
既に戦闘が開始されて4時間。その間に5回の補給を行い、3波のBETAによる侵攻を防いでいる。もっとも、防げるのはこれで最後だろうと俺は考えていた。
大隊規模で参加したというシチュエーションだが、既に味方を示すIFFは9機にまで減っている。損耗率7割超え、戦術単位で言えば全滅をとっくに超えている。もっとも、未だに組織だって行動できているだけマシである。他の戦術機で構成された大隊は2波目の段階で文字通りの全滅をしているからだ。
「流石ドム、文句なく優秀だな」
戦術機とは比較にならない運動性と重装甲は確実に生存性に直結している。一方でこのままMSを使用しても思ったほど劇的な変化はもたらせないであろうことも既に理解していた。
「とにかく弾が少ない。それにセンサー類が貧弱すぎる。戦術機とデータリンク出来なきゃ地中侵攻に全く対応できない」
突撃級を正面からでも撃破可能なガンダム世界の火器は火力こそ優秀であったが、如何せん装弾数がBETAの物量に対抗するにはあまりにも心もとなかった。実際、戦闘中弾薬不足から後退する機体が続出。その穴を埋めるために戦術機部隊に負担がかかったことも同隊の損耗増加に繋がっている。
さらに無視できないのがセンサー類だった。元々ミノフスキー粒子下での運用を前提としたMSは光学センサー以外が貧弱、と言うよりはほとんど装備されていない状態だった。精々接近警報とレーザー照射警報くらいなもので、これは戦術機も大差ないがゲームに慣れていた俺にとって、周囲の状況が常にミニマップなどで把握できない状況は非常にストレスが溜まったし、何よりソナーが無い事は地中侵攻に全く対応出来ないことを意味していた。
「ちっ、ここまでか」
撃ち切ってしまったマシンガンを至近距離にまで近づいていた戦車級の群れに投げつけ、ヒートサーベルを引き抜く。さて、この訓練はあと何回死ぬ間にクリア出来るだろうか。
「おめでとう。今日で君は蛆虫を卒業し、一人の戦士になる。まあ、持っていけるのは経験だけだがね」
「有難うございます。教官殿」
時間にして100万時間。およそ100年ちょっとの訓練を満喫した俺は古強者の雰囲気を纏いながら礼を述べた。
とにかく死にまくる訓練であったが、おかげで痛みや死の恐怖への耐性がついたし、何より安易に考えていた戦略の問題も色々と検証できたのだから、望外の結果と言えるだろう。
「戻ってから暫くは感覚に体が追い付かないだろう、それはどうもしてやれない、ここでの経験を活かして努力したまえ」
「は、鋭意努力致します」
「うむ、迷ったり、寂しくなったらまた来たまえ。歓迎しよう」
満足気に送り出す教官に対し、最敬礼をしつつ俺は満面の笑みで言い放った。
「それは二度とごめんです」
「うう…、ひどい目にあった。収穫はあったけど、ひどい目にあった」
日が傾き始めたログハウスの一室に戻ってくると、誰にともなく愚痴を吐きながら原因となった神器を操作する。日付は4月5日のまま、オリジナルの時の部屋もビックリの圧縮具合である。
酷く気怠さを訴えてくる頭を振りながら、ポイント欄を確認すると、数値は一気に100万ポイントまで増加し設備関係の入手ポイントが半額まで落ちていた。訝しんでいると、メール機能が新着を告げていることに気付いた。
「ああ、お約束なのね」
メールの内容は神様からだった。
どうやら神様、俺以前にも幾人かこの世界に送り込んだらしいのだが、最初にポイントを与えておくと気楽に使って簡単に詰んだり、BETAを過小評価し過ぎてあっさり殺されてしまったようだ。なので最低限の戦闘に対する知識と慎重さを覚えてもらう為にあえてこの方式にしたらしい。
「言ってくれれば…」
そう言いかけて、自身もチートがあればBETAなんて楽勝と考え、おまけにいきなりMSを呼び出そうとしていた事を思い出した。仮にチュートリアルをやるように促されても、“良く知った”と思っている世界の事だ、時間の無駄などと考えて実行しなかった可能性も、いや、間違いなく実行しなかっただろう。
「前任が死ぬ訳だわ」
BETAは強い、そしてその戦争は人とのそれより遥かに危険で困難であることを、前任者達は理解せず戦いに赴いてしまったのだろう。そう、情報として知り得る事と、理解しているには絶対的な隔たりがあるのだ。
「とにかく、地盤を固めないと話にならない」
画面をスクロールさせ生産工場のタブを開く。シミュレーターによって痛感したのは、BETAに質的優位だけで戦う事の困難さだった。そしてそれはMSという現状の戦力を大きく凌駕した場合でも同様であった。
であれば後は単純、質で補えない分は数で補うしかない。
早速タブの中から資源生産プラントを選択し建造、さらに食料プラントを作成すると、同時に宇宙世紀技術から冶金技術と植物遺伝子組み換え技術を獲得、超硬スチールと高収量型作物をアンロックする。また、発展型CADシステムと第三世代戦術機の技術を獲得した。
「取りあえず装甲材と食料の供給源の確保、後は」
そう言って発展型燃料電池技術と地熱発電システム、さらに水素燃料生成技術を獲得した。
ここまでで既に50万ポイントを消費したが、手は止まらない。
更に20万ポイントをつぎ込んで対ビームコーティング基礎技術と高性能学習コンピュータをアンロック、そしてミノフスキー物理学を応用学まで取得しミノフスキー粒子生成技術とMS基礎技術を獲得した。
「よし、こんなもんかな」
最後に作業員として初期型作業用ドロイドとか言う棒人間を多少マシにしたようなロボットを30セット購入し各施設に割り振ると、手持ちのポイントは5000ポイントほどになっていた。
「さて、最初のお仕事だ」
そう言うと、俺は資源生産プラントに併設されたCADセンターに入っていく。
設置されているのは、非常に巨大な工作機械とそこに申し訳程度に据え付けられたコンピュータ端末だった。
「ふむふむ、いいね、ちゃんと入ってる」
端末を開くと中にはアンロックした技術のデータが入力されていることを確認し、早速入力を始めた。
「んー、今後の事を考えると、機体強度の高い奴…だよなぁ」
幾つかの第三世代機に目移りしながらも、第一世代、それも元祖とでも言うべきF-4ファントムを選択する。装甲で耐える事を前提とした第一世代はそれ以降の世代に比べ機体の基本構造が頑丈に作られており、さらに機体重量における装甲の占める割合が大きい。
この為、大口径火砲を運用するために必要な機体剛性の確保が容易であり、新素材装甲による軽量化の恩恵も顕著になる。加えて第三世代すら突き放す動力と推進器を与えれば、マッドサイエンティストも真っ青な魔改造ファントムの出来上がりである。
「問題は制御系だが、大丈夫だ、問題ない」
鼻歌交じりに条件を入れ替えてスペックグラフをおかしなことにしつつ、俺は最後の項目を入れ替える。
「高性能学習コンピュータ、頼りにしてるよ?」
目標
大体のMuv-LuvSSが佐渡島攻略で力尽きると聞いたので、佐渡島越えを頑張る。