──2385年。
魂のエネルギーを利用した兵器『
魂のエネルギーを流用し、魔法の如き力を発生させる機械。
それを使い何度目とも知らない世界大戦が行われようとしていた時、宇宙からの侵略者達が現れた。
突如として宇宙からの侵略者達に襲われた地球人達は、その魂装機の力を侵略者に向けた。
しかしその魔法の如き力を以ってしても、地球人は科学技術を極めた侵略者には敵わなかった。
故に地球人は、魂装機に最も適応させた人工人間を作り上げ、それに魂装機を持たせて戦わせ、侵略者を迎撃した。
それこそが
人の都合で作られた人間。
そしてそれに味を占めた地球人は、その人工律者の量産に踏み切った。
今から8年前の出来事である。
***
「10番、起きろ!」
誰かに怒鳴られて目を覚ます。
十字に拘束されて、壁に貼り付けのようにされている俺が目を開ければ、そこは研究室。
いつも通りの景色だった。
「……やはりセーフティを掛けすぎたか。未だに出力が一般人以下だ」
「今回の実験も失敗だ。……全く、コレに時間を掛けても仕方ないと思うんだが」
「仕方ないだろ、上の命令なんだから……。それに保有エネルギー量自体だけを見ればあの818番より多いだろ」
3人の研究者が俺の前で言い争う。
その中には明らかに俺のことを人として思わない言葉があるが、それはいつもの事だし気にしない。
「……仕方ない。おい、10番」
「はい」
いつも通り、俺を呼ぶ研究者を見る。
この後はいつも通り帰らされるのだろう。
この場所で作られて、何度も行われてきたこのやりとり。
いつも通り、いつも通りに流してればそれでいい。
「今日はこれで終わりだ」
「わかりました」
研究者がそういうと俺を拘束する鉄の拘束具は外れ、地面に落とされる。
それには気にせず、研究者達はすでに自分たちの話に入っていた。
それを見ながら、俺は立ち上がって研究室を出る。
研究室から出た大通りにある、窓の外の青い地球と星空を見ながら少し考える。
今日はアイツも研究があると言っていたし、おそらく来ないだろう。
今日は愚痴も言えないか、そう思い先程の実験へ思考を移す。
ああいう実験は毎日ではないが、時折こうやって研究室に呼ばれて俺の潜在能力を無理矢理引き出そうとする実験を行なっている。
理由としては俺の能力は他の人工律者よりも桁外れに大きいが、その能力を全く使えていないからだ。
その出力は普通の一般市民にすら劣り、全くと言って良いほど出力が出ない。
唯一肉体は優れていると言っていいが、そんなものでは侵略者には立ち向かえなかった。
「……能力を解放したいって言うくらいなら最初からセーフティなんて掛けなきゃいいのに」
「ほんとそーだよね。ロイはずっとそう言ってるのに」
「うぉっ!? 加賀美!?」
思わず思ったことが口から漏れると、それに後ろから反応する女性の声が聞こえる。
驚きながらバッと振り返れば短い髪で、白衣を着た女性が立っている。
彼女は加賀美友香。
なにかと俺に関わってくる研究者で、さっき俺がアイツと言った奴だ。
「なんでこんな所に、って顔してるね」
「毎度思うがなんでわかんだよ」
「ロイが分かりやすいからに決まってるじゃん!」
相変わらずテンションの高い加賀美に、俺はため息をつく。
その様子を見ながら、加賀美は口を開く。
「とりあえずカフェでも行かない? 愚痴なら聞くよ」
「……ああ、そうする」
今のはお前のせいなんだが……と言うツッコミは入れず、最寄りのカフェがあるエリアへ向かう。
実際愚痴を言いたいのは事実だしな。
「ってかお前研究があるとか言ってなかったか?」
「ばっくれてきた」
「おまっ……。そんなだからいつまで経っても上がれないんだぞ?」
軽い雑談をしながら、俺達はカフェへ向かっていった。