異世界転生チーレムもの   作:アスター---------

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凄く間が空いたので、お気に入り0になっちゃってるかなと思ったら、36に増えてました! 嬉しい! やったー!
1ヴァリスの円換算が公式設定に無いようなので、勝手に25円で計算しています。
家が800万ヴァリスやヘスティアの借金2億ヴァリス等を基準にしました。
じゃが丸くんは結構大きいし、中身に関わらず一律30ヴァリスなのでギリギリセーフだと思います。

今話のみ、ヴァリスの後ろに(¥)で日本円換算を表記します。


オラリオ

 ──そこに行くから

 

 意識を失う直前、アイズは暖かな風の中で黒竜に立ち向かう()を見ていた。

 

 ──必ず迎えに行くから

 

 それは荒々しくも、しなやかに絡めとり、包み込み、命すらも封じ込める様な大きな力を感じさせた。

 

「絶対、取り返すから!」

 

 

&&&

 

 

 舗装された街道を歩く男が隣のアイズに問いかける。

 

「そんなに楽しみか?」

 

 アイズは答えようとしたがその前に、男の繰り出した拳への対応を迫られた。

 不意打ちとはいえ一年以上続けた訓練故、全身全霊だが危なげなく躱してみせる。

 アイズは続く攻撃を警戒し距離を取ったが、当の男は遠くを指さし気楽に語った。

 

「見ろよ、あれが支配の証(バベル)だ。趣味悪いだろう」

 

 チラリとそちらを見やったアイズは遠くに見える巨塔と、その最上階で往来する仮面の集団に目を止め──

 ──男の蹴りをギリギリで往なし、きれず、腕が折れ響いた衝撃に血を吐いて倒れた。

 しかし男はオラリオへの歩みを止めず、楽しそうに続ける。

 

「けど今は俺たち【仮面】が、万人に自由を強制するための拠点だ。・・・・・・あれは自由と不自由、どっちの象徴だと思う?」

「・・・・・・どうでもいい」

 

 答えたのは不満げなアイズだ。

 立ち上がり口元の血を(ぬぐ)うと、少し駆けて男に追いつく。その間に服の血はぼやけて薄れて消えていった。

 アイズはどうでもいいと答えたがその実、反射的にアイズなりに解を求めていた。自由を強制するのは自由か不自由か、という事実どうでもいい解を真剣に。

 頭の体操のように、どうでもいいことや細かい事を真剣に考える癖が身に着いていたからこそ、つい下らない事を考えてしまい機嫌を損ねた。

 

「なにキレてんだよ? 俺なんかした?」

 

 珍しく驚いた様子を見せた男に、アイズは少し良い気になって答える。

 

「邪魔した。今日の夢を思い出してたのに」

「・・・・・・へぇ、そんな良い夢だったの」

「・・・・・・たぶん?」

「へぇ、よかったね」

「・・・・・・邪魔した」

 

 

&&&

 

 

 昼を少し過ぎた頃、アイズは初めてオラリオの地を踏んだ。

 期待に胸を躍らせるでもなく、静かに街並みや人々を眺める。

 長いこと旅をしたアイズをしてオラリオの発展は目覚ましいものがあったが、湧き起こる感情は失望であった。

 文明の発展と食事の味が比例する事をここ数年で体感していたが故、隣を歩く男の家に劣ると見えるオラリオでは、飲食の高も知れている。といった感慨で連れて来られた西地区。

 【異次元の食事処】にて、アイズは異次元の味と出会う。

 

 [異次元の焼き鳥]100g/80ヴァリス。(¥2,000)

 [異次元のシーフードピザ]30c/10000ヴァリス。(¥250,000)

 [ポテトフライ]600g/40ヴァリス。(¥1,000)

 [異次元のフルーツ・オレ]1l/13000ヴァリス。(¥325,000)

 [異次元の日替わりステーキ]1k/6000ヴァリス。(¥150,000)

 [異次元の日替わりステーキ(特上)]100g/8000ヴァリス。(¥200,000)

 [カレーうどん]500g/30ヴァリス。(¥750)

 [異次元の旨辛唐揚げ]1k/2000ヴァリス。(¥50,000)

 

 等々、様々な料理が運ばれてはアイズの腹に消え、新たな料理が運ばれてはアイズの腹に消え、と繰り返される。

 [異次元の]と名のついた料理はどれもこれもがこれまでに食べたことのない超常の美食であり、極めて美味しいと捉えていた男の出す食事を思い出せば、全てがまるで泥水に浸かったタワシの如く思えた。正しく異次元の、隔絶した味。

 そんな美食の数々を入店から3時間、食べ過ぎで痛む腹に苦しみつつも食べ続ける。

 そうしてアイズが満足した頃、男はアイズが食べ切れなかった残飯を食べていたが、もう十分と見て通りがかった店員を呼び止めた。

 

「クロエ、会計してくれ」

「はいニャー! ちょぉっと待つニャぁ・・・・・・ッニャ! スゴイ額ニャ! こ、こんな小さい子が・・・・・・っにゃ・・・・・・可哀想ニャ・・・・・・いったいニャにをさせられるんニャ・・・・・・オーニャーはトンでもないロr」

「2,280,300ヴァリス(¥57,007,500)か────じゃあこれな。いつも通り釣りはボーナスだ。今日出てるやつ全員で分けろ」

「──見た感じ会計ちょうどニャ? 何を分けるにゃ? 袋? ボーニャス出せニャ」

「ボーナスは出した。けど、アイズには何もしてないし、しないんだよなぁ。そこ間違えたから減額で、残念ゼロになった。大きいボーナスだったんだけどな」

 

 その言葉に3人のウェイトレスが反応し、仕事を熟しながら眼球をクロエに向けていた。

 

「ニャニャーン!? ニャッ! ニャ?! 待つにゃオーニャー! オーニャーはよく金でオンニャを釣ってたニャ! 今回と似た手口ニャと、ミャー達は知ってるニャ! ニャからいま手を出してニャくてもどうせすぐヤるニャあ! ニャらミャーは間違ったこと言ってニャーし、むしろ大正解ニャ! 増額してボーニャスを出──〜〜〜〜」

「・・・・・・ンー久しぶりだなぁ、この話通じない感」

「──〜〜〜〜ミャーたちが汗水流して働いて、幼女と遊んでるオーニャーが金を持っていくニャ!? ええい、もう仕方ニャい! ニャンニャら大正解のミャーにだけでもボーニャス──〜〜〜〜」

 

 満腹で動けないアイズを抱き上げた男が退店するまでクロエは訴えを続けたが、男が財布を取り出すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尚、男は来店前に予め店長に、忙しくなるからと準備を求め出勤者21名分のボーナス──一人当たり20,000ヴァリス(¥500,000)──を預けている。

 

 

&&&

 

 

 オラリオの説明をしながら歩き回り、夜になった頃漸く男はオラリオの象徴、バベルへと足を踏み入れた。

 アイズは食事処を出て以降、男は旅の始まりから常に【無貌の仮面】を被っている為、二人とも150cの黒い人型と目元の白い仮面のみが他者から認識されている。

 その状態で昇降機に乗り込み30階へ、30階でセキュリティチェックを素通りし40階へ、40階でもセキュリティチェックを素通りし44階へ。怪しげな風貌にもかかわらず、一度も止められる事なく45階手前に辿り着く。

 そこで初めて、45階に昇る昇降機の手前を警備している五人の内、一人の女が二人を呼び止めた。

 

「シーオ様! お〜帰りなさいませ! もの凄くお久しぶりじゃあないですか!」

 

 なぜ機密性の高いバベル上層階を当たり前に闊歩できるのか──それはバベルの45階から上、50階まで全てが彼ら【仮面】のホームだからである。

 

 

&&&

 

 

 リュー・リオンがダンジョンでの訓練を終えてホームに帰ると、珍しい事に明るい、浮ついた雰囲気が漂っていた。

 何があったのか、気に掛かりはしたが生憎リューが気軽に雑談できる相手は少ない。

 その少ない相手を一人も見かけなかった為、リューは浮ついた空気の理由を知らずに自室の前に帰りつき、気づいた。

 見知らぬ気配が一つ、部屋の中にある。

 しかしその気配は随分と静かで落ち着いている。眠っているかの様にも思える程だ。

 勝手に他人の部屋に侵入した悪意ある人物だとはとても思えない、無邪気とも言える気配。

 場所柄、敵対者が騒ぎを起こさずに侵入できる訳も無い。危険は無いだろうと扉を開け──

 ──ベッドの上に正座しこちらを眺める金髪金眼の少女と出会った。

 

 

&&&

 

 

 バベル最上階、50階のある一室にて、男は留守にしている間に起きた様々な事柄を確認していた。

 素人目でも魔道具だと判る異質な品々が所狭しと並んでいるが、それ等を使う事なく紙媒体の報告書を読みながら、傍らに立つ少女が読み上げる報告も確認していく。

 少女は男と再会した瞬間からずっと、幸せそうで楽しそうだった。

 誰がランクアップした。や、抗争で誰が死んだ、誰が何人殺した。等、報告内容に関わらず、可愛らしい笑顔を浮かべて読み上げる。そんな時間が数時間続いた。

 突如、ノックもなく部屋の扉が開かれる。

 

「シーオ、居ますか!」

 

 そして苛立ちを見せるリューが部屋に侵入したと同時。

 リュー以上の不快と悪意を顕に少女はリューを睨みつけた。

 その美貌を餓鬼が如き形相に歪め、ただひたすらにリューの排除を望む様子に、当のリューは苛立ちも忘れて焦る。

 相手はシーオに関しては直情的かつ短気で極端だ。

 ノックをしなかった、侮辱的な態度をとった、それだけで真っ二つに引き裂かれ殺されかねない。

 そんな考えで、リューが時間稼ぎに土下座をしようと動く直前。

 

「シル、邪魔すんな。リューは俺に用があんだから、リューが無駄なことをすればその分俺の時間も無駄になる。──てか前から思ってたけど、なんでリューに当たりキツいんだよ? 嫉妬か?」

「──畏れながら申し上げます・・・・・・リューなら一度追い払えば、シーオ様のお手を煩わせる事なく、何事も自力で解決できると考えました」

「ああ、まあ、できるだろうけど、やってほしいとは思わないから良いんだよ。俺の所に来たら対応したいんだ。俺が」

「大変失礼致しました」

 

 シルは男とリューに一度ずつ頭を下げ、一歩後ろへ下がる。薄鈍色の頭が自分に向かって下げられ、リューは嫌な汗を全身に感じた。

 アイズの教育係変更を求めてここに来たリューは、口を開く。

 

「先ず、ノックをし忘れた事を謝罪します。誠に申し訳ありませんでした。──ええ、それで、ヴァレンシュタインさんの教育方針や範囲、後は聞ける程度で彼女の事情や注意すべき事などを確認しに来ました」

「ンーまあ、知りたがった事は全て教えてやれ。一般常識はあるはずだ、結構いろいろ行ったからな。だから聞かれたら答えて、後は適当に鍛えてやって。他は本人に直接聞いてくれ」

「・・・・・・・・・・・・分かりました」

 

 シルの視線を強く感じながら、リューはそそくさと自室に戻っていった。

 再び二人になった部屋で、しかしシルに笑顔は戻らず吐息まじりに呟きを落とした。

 

「・・・・・・シーオ様?」

 

 期待と不安に揺れる小さな声だった。

 この男と二人の時にのみ見せる、シルの一面。

 

「なんだ?」

 

 対する男は普段通りで、報告書をペラペラと捲る。

 

「実は嫉妬も、あるんです・・・・・・。シーオ様はあの子を特別扱いされますから。私が求めても手に──ンン」

 

 強引にキスをした男は獣じみた表情をしていた。

 とても楽しそうで、非常に珍しい笑顔。

 シルの大好きな表情。

 

「はぅ・・・・・・」

「可愛い事言うじゃねぇか・・・・・・ここ数年ご無沙汰だったんだ、一週間は離さねえぞ」

 

 言いながら、胸の前でシルを横抱きに抱え部屋を出る。

 

「こ、壊れちゃいますよ・・・・・・エヘヘ」

「シルも特別だって、しっかり分からせてやるからな」

 

 喜色満面のシルと股間にテントを張った男は二人で寝室に消えた。




残念ながらフレイヤ様はお亡くなりになりましたので、バベル最上階は主人公が使ってます。
シルは孤児の方です。女神じゃありません。

やっとチーレムが若干出てきました! 1万文字を超えてこれでは少し嘘タイトル臭いですが、そのうち確りチーレムしますよ!
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