マルバツクイズ、それは単純明快。
○か?✕か?
二者択一で答えるクイズ
たとえ正解を知らなくても、50%で当てられる。
そして、クイズのテクニックを心得た者ならば更に正答率を上げることができるという。
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『ファイナルクイズフラッシュ!!』
鳴り響く音声に合わせて解人を蹴り抜いたクイズ。
着地した瞬間、その背後で大きな爆発が起こった。
「仮面ライダー……クイズ……」
歩美は、そう呟いた。
変身を解除した主水は、爆発が治まったのを確認し、解人のそばへと向かうが……
「……おかしい」
すぐに異変に気づき、声を上げる。
「どうしたんですか?」
その様子に気づいた歩美も、主水へ声をかける。
爆心地には必殺技によって生じた『クレーターのみ』が残されていた。
「誰も解放されてない……」
主水は顎に手を添え、改めてクレーターを見つめる。
「技は確実に決まった。その手応えはあった。逃げられたわけじゃないのに、解人が忽然と消えた……」
そう呟くと、主水は天を仰ぐ。
「……この謎はまだ解けていないってことか」
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「素晴らしい。あの仮面ライダーから逃れるとは、やはり面白い能力ですね」
とある研究室、メガネをかけた研究者が、青い解人にそう語る。
「でも、仮面ライダーって何だよ!あんなのにどうやって勝てばいいんだ!?」
青い解人はそう叫び、研究者へと詰め寄る。
しかし、研究者が手を翳すと、○✕パネルを模した壁が立ちはだかり解人をはね返す。
「さて、どうしたものか……」
研究者はそう呟いた。
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「それで、なんで水族館デートなんですか?」
「デートじゃない。調査だ」
歩美と主水はふたりで近くの水族館へと来ていた。
「あの解人が求める答えは魚に関係している。水族館に来れば何かヒントが掴めるかと思っただけだ」
主水はそう言いながら、館内を見て回る。
「答えが魚?」
歩美は状況を飲み込めずに疑問の声をあげる。
「……解人にはいろんな種類がいるが、共通していることが2つある」
指で数を示しながら主水は語り続ける。
「ひとつ、身体中にビスやコードのようなもので何かを固定している。ふたつ、その固定したものに関連した謎に囚われている」
歩美はそれを聞き、自分を襲った解人の姿を思い出す。
「あ、魚の骨みたいのが付いてた」
「そういうことだ。何故かはわからないが、あの解人からは謎に囚われた人間が解放されなかった。まだ仕留め切れてない」
「それで魚について調べに来たんですか?」
「あぁ、解人にもいろいろといるが、あいつは典型的な『謎解き』タイプ。自身が囚われた謎に関連した能力を使う解人だ。攻略するには謎を解くのが手っ取り早い」
「魚についての謎と、それに関連した能力かぁ〜」
歩美はそれを聞き、考える。
自分はあの解人が求める答えを知っているはず。
魚に関する謎とは……
「さっぱりわかりません!」
「諦め早ぇな、おい」
きっぱりと宣言する歩美、それに呆れる主水。
「だから水族館に来たんだ。いろいろと魚を見てれば、何か思いつくかもしれないだろ?」
「そういうもんですかねぇ……」
歩美はキョロキョロと辺りを見渡す。
たくさんの魚、魚、魚……
「昔ならともかく、今のわたしには食材の宝庫に見えちゃいますね」
料理人を志し、随分と経った。
食材に対する目利き力も上がった自信がある。
でも、水族館で魚を眺めてロマンチックな気分に至れないと思うと、ちょっと複雑な気持ちにもなった。
「食材か……」
そう呟くと、主水は再び何かを考え始める。
「……腹減ったな。おやっさんとこ行くか」
「わたし、何か作りましょうか?魚料理得意ですよ!」
そんな話をしながら、ふたりは水族館をあとにした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「お待たせしました。これが私の得意料理です!」
喫茶店のキッチンを借りた歩美は、カウンターに座った主水とおやっさんに、自慢の料理を振る舞う。
「へぇ、ソールムニエルか」
主水は差し出された皿の上の料理を一瞥すると、そう呟く。
「流石はクイズ王、詳しいですね。でも、ただの『ソールムニエル』じゃありませんよぉ〜」
「……何?」
フッフッフッと不敵な笑みを浮かべる歩美。
その様子を見てから、主水はナイフで切り分けたソールムニエルを一口、口にする。
「!?」
声に出せない驚きを発する主水。
「何これ、スゴイ美味い!」
率直に感想を口にするおやっさん。
そんな対照的な態度をとるふたりに、歩美は語りかける。
「では、ここで問題です。わたしのソールムニエルの味の決め手は、一般的には使われない『ある隠し味』にあります。その隠し味とはなんでしょう?」
自信満々にそう告げる歩美。
主水はさらにもう一口食べ、目を瞑ってしっかりと味わう。
「ダメだ。俺にはさっぱり分からん……主水、分かるか?」
「流石のクイズ王、堂安主水もわたしの料理の秘密は分からないですかぁ〜?」
ふたりの問いかけにも応えず、主水はただ目を瞑り続ける。
「主水さん?」
「これは、謎解きモードに入ったな」
おやっさんの言う通り、主水の頭の中でいろいろな情報が飛び交う。
―魚についての謎と、それに関連した能力かぁ〜―
―あの解人からは謎に囚われた人間が解放されなかった―
―わたしのソールムニエルの味の決め手は、一般的には使われない『ある隠し味』に
あります―
そして、主水の閉じていた眼がバチっと開き、
「見えたぜ、正解」
そう呟いた。
「わたしの隠し味が分かったんですか!?」
「違う、そっちじゃない……」
驚く歩美に、主水は少し呆れながらツッコむ。
「このソールムニエルがお気に入りの常連客、いなかったか?」
「え?……いましたよ。週に1回は必ず食べに来る熱心なお客さんがひとり」
「そいつの居場所わかるか?」
「テイクアウト頼まれたこともあったから、自宅は知ってますけど……」
「よし、案内してくれ」
「え?ちょっと、主水さん?」
事情を全く飲み込めない歩美は、ただただ主水に言われるがままに常連客の元へと向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ピンポーン
主水は常連客の住むアパートの呼び鈴を鳴らす。
「……はい。なにか御用で?」
「平田さん、こんにちは。碓井です!」
怪訝そうに扉を開けた常連『平田』に歩美が明るく声をかける。
「碓井さん!大丈夫?レストランで事故があったんでしょ!?」
「大丈夫ですよ。ご覧のとおり、ピンピンしてます。そうだ、今日はソールムニエルを持ってきてて……」
タッパーを取り出そうとした歩美と、それを見つめる平田の間に、ヌッと主水が割って入る。
「問題。お前が今回の事件を引き起こした解人クエスタライザーである。○か?✕か?」
主水はそう呟き、平田を指差す。
「はぁ?いきなり何言ってんだ、お前?」
「ヒント、お前の足元に変身用のクエスタルが落ちている」
主水がそう言うと、平田は慌てて自分の足元を確認する。
しかし、そこには何も落ちていない。
続けて自分の懐を探り、何かを見つけたようでホッとして……
「あっ……」
平田は自分の迂闊な行動に気づく。
「こうもミエミエのブラフに引っかかるとは、張り合いがない。答えは○のようだな」
主水は平田にそう告げる。
「さぁ、大人しくそのクエスタルを渡してもらおうか?」
「ふざけるな。俺はまだ『答え』を見つけてないんだ!!」
そう言うと、平田は懐からクエスタルを取り出す。
『クエスタライズ』
不気味な音声とともに、クエスタルから光が溢れ出し、その輝きに包まれた平田は青い解人へと変貌する。
「……問答無用か。まぁ、それでも問うけどな」
主水は首にかかった銀色に輝く『クエスチョンマーク』のペンダントを指で摘む。
ピコピコン!ピコピコン!ピコピコン!!
鳴り響く音に合わせ、主水の腰に赤と青の配色が目立つベルトが巻かれる。
そして、ベルトと似た色彩をした赤と青のクエスチョンマークを象った板をベルトへと差し込む。
「変身!」
『ファッション パッション クエスチョン!クイズ!!』
堂安主水の体が、赤と青の光に包まれる。
そして、その光の粒子が主水の体を変貌させる。
頭にオレンジ色のクエスチョンマーク、胸に「○」と「×」の文字。
右半身に赤、左半身に青のクエスチョンマークが数多く描かれた戦士。
― 仮面ライダークイズ ―
「救えよ世界、答えよ正解。問題!」
クイズは解人へ問いかける。
「俺はお前の囚われた『謎』を知っている。○か?✕か?」
「俺の謎を?お前が知るわけないだろ!✕だ!」
そう答えた解人の身体に電撃が落ちる。
「答えは○だ!」
そう言うと、クイズは電撃に苦しむ解人を投げ飛ばす。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
アパート近くの廃工場へと場所を移したクイズと解人。
離れたところから、歩美もその様子を見ている。
「さて、謎解きといこうか」
クイズがそう言い、指を鳴らす。
「お前は見ての通り、魚に関する何らかの謎に囚われている。では、いったいそれは何か?」
クイズは解人の周りをゆっくりと回るように歩きながら、説明を続ける。
「ソールムニエル……これは『シタビラメ』という魚を使ったムニエルのことだ。シタビラメはカレイやヒラメの1種で、その独特な形状からウマノシタ(馬の舌)や靴底(ソール)などと呼ばれる」
歩美はその説明を聞いて、首を傾げる。
ここでソールムニエルに何の関係があるというのか?
「前回の戦闘で、お前は俺のファイナルクイズフラッシュを喰らっても無事だった。何故か?それは、以前倒したのが『本体』ではなく『片割れ』だったからだ」
「……片割れ?」
またもや唐突な話に、歩美は思わず疑問の声をあげる。
主水はいったい何が言いたいのか?
「左ヒラメに右カレイ……これはヒラメとカレイの見分け方を説明した言葉だ。ヒラメもカレイもよく似た偏平な魚。腹を手前にして置いたとき、頭が左を向くのがヒラメ、右を向くのがカレイという特徴を使った見分け方だ」
「主水さん!!」
訳がわからずたまらず叫ぶ歩美。
「それだけよく似たヒラメとカレイ。一説によると、昔はヒラメとカレイが1対で1匹の魚であると考えられていて、半分に別れた片割れの魚『片割れ魚』から転じて『カレイ』と呼ばれるようになったとか……」
「片割れ魚……?あっ!?」
ようやく悟った歩美。
クイズは解人を指差す。
「つまり、お前は『カレイ』だ。ソールムニエルの隠し味が気になり、その謎に囚われた。手に入れた能力は『片割れ』の分身体を生み出すこと。これが今回の謎解きだ」
「流石はクイズ王といったところか。見事な推理だな」
そう言うと解人の身体の輪郭がボヤけるように霞み、よく似た分身を生み出す。
「さて、謎解きは終わりだ。問題!」
クイズは解人へ声高らかに出題する。
「大きく成長したカレイは体長2m以上にもなる。○か?✕か?」
「2m?そんなに大きくなるわけないだろ。✕だ!」
そう答えた途端、解人を再び電撃が襲う。
その衝撃で分身体は消えていく。
「今のはサービス問題だぞ。存在証明を問うマルバツクイズで非存在が正解になることはまずあり得ない。世界のどこかにそれが存在する可能性を否定しきれないからな」
「うるさい……ごちゃごちゃと……」
クイズは苦しむ解人の様子を見ると、エクスクラメーションマークの板をベルトに挿す。
『ファイナルクイズフラッシュ!!』
ベルトから鳴り響く電子音声。
「最終問題。お前が知りたがっていた隠し味についてだ。あのソールムニエルの隠し味はレモンである。○か?✕か?」
そう言って跳び上がるクイズ。
空中に○と✕のパネルが投影される。
「レモン……?そうか!?」
解人はハッとした様子で頷く。
「あの独特な酸味。濃厚なソースの後味を重くさせない清涼感……レモンなら納得だ。答えは○だ!」
そしてクイズが、投影された『✕』のパネルを跳び蹴りで突き破る。
その勢いのまま、解人の胴体を蹴り抜いた。
「残念。不正解だ……」
青い解人を取り囲むように○と✕のシンボルが回転し、電撃を浴びせる。
「たしかに柑橘類特有の酸味は感じられたが、あれはレモンほど単純な風味じゃない」
クイズが着地した瞬間、その背後で解人は爆散した。
「碓井歩美、その男を病院に連れていってやれ。大したケガはしてないはずだ」
変身を解除した主水はそう言うと、その場をあとにした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
翌日の昼頃。
主水はようやく起き出し、喫茶店の2階からゆっくりと降りてきた。
「おやっさん、おはよう……」
「全くお早くないですよ、主水さん」
「……ん?」
主水の視界に入ってきたのは、喫茶店の制服を着てカウンターに居る歩美の姿。
「何やってんだ?」
「レストランがしばらく営業再開できそうにないので、ここで働かせてもらうことにしました!」
「はぁ!?」
明るく告げる歩美に、主水は思わず素っ頓狂な声で叫ぶ。
「おやっさん、聞いてないぞ!」
「別にお前に言う必要ないだろ。ほら、うちフードメニュー弱かったし、歩美ちゃんなら大歓迎!」
「ありがとうございます!!」
おいおい……と呟きながら、カウンターに腰掛ける主水。
「あ、そういえば主水さん?」
そんな主水に歩美が話しかける。
「クイズの答え、まだ聞いてないんですけど。ソールムニエルの隠し味、なんだか分かりましたか?」
「…………」
主水は黙り、喫茶店に静寂の時が流れる。
「おやっさん、モーニングくれ」
「主水さん!?スルーですか??」
「うん、やっぱりおやっさんのコーヒーは美味いな……」
「ちょっと、主水さん!!もしも〜し!!」
煽る歩美。黙る主水。
そんな光景をおやっさんは微笑ましく眺めていた。
【次回予告】
歩美「作曲家が襲われてるんですか?」
解人「教えろ……その曲の答えを!!」
『クワイエットリマーの生成を開始します』
第3問 まずはこちらをご覧ください