ユメミグサロンパ   作:24社長

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日常③

琉霞視点

 

息が詰まるような感覚。

あまり見慣れない光景がそこに広がっていた。

 

 

「〜〜〜っ、ほ、星霰くん、もぅやめて…」

 

 

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「ほら、ほら。どうなの?俺は見たんだからね、小鳥遊が……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

顔を真っ赤にして縮こまっている小鳥遊さんと、そんな小鳥遊さんを揶揄うようにしてちょろちょろと周りを彷徨いている星霰さん。

 

胸の奥あたりがあまり気持ちが良くないけれど、どうしてだか分からない。水でも飲めばマシになるか?

それにしても、何の話をしていてそんなに表情を変えているんだろう。見たことがない顔だ。

 

 

「あぁっ、一ノ瀬くんナイスタイミング!僕達、君に聞きたいことあるんだけどぉ」

 

『…?俺に聞きたいことって、なに?』

 

「星霰くんが興味深いこと言ってたの。ねね、一ノ瀬くんと小鳥遊ちゃんって…」

 

 

夢描さんは口元に手を添え、俺の耳元まで寄せる。

付き合ってるの?なんて、予想もしていないことを聞かれて少しだけ呆気に取られてしまった。

せいぜい仲良いの、くらいだと思っていたから。

 

違うよそういうのは何もないよって答えれば深読みするように俺と小鳥遊さんを交互に見る。女の子が恋愛話が好きというのは、どの時代においても本当らしい。

 

ふと、視線を感じて後ろを振り返ると、一瞬だけ小鳥遊さんと目が合う。すぐ逸らされたけど。

 

 

「…ねぇ夢描ちゃん、ほんとになんもないのかなぁ」

 

「いやこれは…ある、立派にあるよ宇留賀ちゃん」

 

 

…よく分からないな。

自分のモヤモヤも、目の前で何か納得してる二人ともも。

俺からしたら、これで付き合ってないという宇留賀さん達の方がよっぽど噂になりそうだと思うけど。

 

 

「………………本当、やってらんね」

 

「でも最近は慣れてきたんじゃないかな、蒼太郎くんも。ほら、だんだん一緒にいる時間、増えてきたでしょ?」

 

「は?…超高校級共揃って脳内花畑かよ」

 

 

毒つく終夜さん、あくまで穏やかに貫く暁美さん…。

なんだか今日は一段と明るい気がする。

少し前の日常だった時間を過ごしてるようで心地いい。

 

 

「………ってことでさ、教えてくれない?一ノ瀬。昨日のこと」

 

「ふふ…なんだか微笑ましいわね。わたしも気になるわ、琉霞くん。美織くんてば、ずっとその話をあるむちゃんにしているんだもの」

 

 

昨日…?昨日、何かあったっけ。

小鳥遊さん関係で何かあったとすれば、夜に少しだけ話をしたくらいだけど。…放っておくのは酷い気がして、口下手ながらに励まそうと思って。

 

それを伝えれば、星霰さんはそれだけ?と言う。

宇留賀さんも、夢描さんも、レディさんも、何かを期待したような目を向けてくるけれど…逆にそれ以上に何をやることがあると言うんだ。

 

でも、元気が出たみたいでよかった。

口下手な俺の言葉で安心してくれたなら…それで、満足かもしれない。

 

 

奏瑛視点

 

「うおっ、なんだきみ達ここにいたのか!廊下を歩いてても奏瑛とオレーシャ、未依葉しかいなかったから探してたんだよ」

 

 

ガチャ、と音を立てて入ってきたのは流星くん。

 

なんだか頭髪に違和感があると思ったら、頭頂部の山藍で染めたような灰色がかった青緑が伸びている。

染めてたんだな、と思いながら地毛?と聞くと少し間を置いてからそうだと頷かれた。

 

続けて未依葉くんとオレーシャちゃんも顔を覗かせる。

 

 

「あれ本当だ、お客様方勢揃いだね?元気そうでよかった!」

 

「…もしかして、何か集まる約束とかしてたかしら…?アタシ、聞いてなかったけれど」

 

 

…元気そうな様子で、よかった。

 

 

「ただの偶然だよ、人って不安になると無意識に話し声が聞こえるところに集まっちゃうのかもしれないね」

 

 

奏撫ちゃんがふるふると否定をすると、三人は安心したように息をついていた。どうやらよほどの思いで探していたらしい。

 

 

「あ…グレイ!このあと時間あるか?ほら、きみが言ってた…」

 

「いつでも大丈夫よ、流星くん。あなたの都合のいいときに始めてくれてかまわないわ」

 

 

ジ、と彼らのやり取りを見つめる蒼太郎くん。

なにか気になるのだろうか、逆にその視線が気になったのか、グレイちゃんが丁寧に教えてくれた。

 

 

「なんてことないの。ただ、わたしが…ほら、腕を負傷しちゃったでしょう。そのリハビリについて相談したかっただけよ」

 

「そうそう!やっと才能を生かせると思ったし、何より約束をしてたからなぁ。尚更いないことに焦って…まあ、いたから良いんだけど」

 

「別に誰も聞いてねえよ、アンタらの約束事なんて」

 

「…そう?てっきり気になってるのかと思ってたけれど…思い違いだったかしら?」

 

 

うざ、なんて吐き捨ててそれきり目を瞑る蒼太郎くん。

でも納得はしたんだろう、流星くんとグレイちゃんが会話を続けてても、もう気にする事はなかった。

 

翌朝。

 

 

__死体が発見されました!繰り返します、死体が発見されました!死体発見現場の【多目的室】まで急いで集合してください!

 

 

__死体が発見されました!繰り返します、死体が発見されました!死体発見現場の____

 

 

鳴り響く何度目かの聞き慣れたアナウンス。

 

普段はモーニングコールがてら一日の始まりを教える内容のものなのに、今日は違う。

 

感じ慣れない、次は誰がという焦燥。

寝癖もそのままに走る。ドアを押し開け、壁に当たった扉の角が鈍い音を立てた。

 

自室の部屋が晒されようと最早どうでも良かった。

それより、それよりもだ。それよりも気掛かりなことがあって、

 

 

死体発見アナウンスが二回、鳴った。

 

 

思い浮かぶのは前回のこと。

中夜ちゃんが三人殺したとき、死体発見アナウンスは三回鳴った。一人見つかる度に一回鳴るのだと認識を改めた記憶は真新しい。

 

だからつまり 見つかったのは二人の死体

 

 

「ぁ……ああっ……」

 

 

ひと足早く現場についていたえがきちゃんが口元に手を当て、後退りながら嘔吐く。

走り込んだ勢いでそのまま部屋の中を覗くと

 

 

_____狭い部屋に酷く籠った、血臭

 

 

 

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