ユメミグサロンパ   作:24社長

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消えたアイス②

はじめにクロ候補から外れたのは

 

アンジュちゃんとラピスくん

 

ユキちゃんとえがき先生

 

中夜ちゃんとあるむちゃん

 

流星くんと麻堂くん

 

の、ペアで行動していたらしいこの8人。

 

特に挙動不審だったあるむちゃんは初手で疑われていたけど、中夜ちゃんが「……一緒にいた。うさみとあるむ。」と発言したことにより、無事(?)無罪が確定することになり。

 

 

『うさみんとあーちゃんは仲良いもんね』

 

「…………うん。」

 

 

それ以外は単独行動ではあったけれど、時間帯前後別の場所で目撃されていた人が殆どで…

 

例えば、

 

トレーニングルームで柊くん

 

音楽室できるちゃん

 

渡り廊下でぶどーくん

 

教室のはじっこで琴梨くん

 

階段の踊り場にまどかくん

 

…とか。

 

目撃した人も今回はアリバイあり、ということになって本当に誰にも見られず一人で過ごしていた人物は俺含め5人に絞られた。

 

るかくん

 

オレーシャちゃん

 

グレイちゃん

 

美織くん

 

…あと、俺。

 

やっぱり情報が少ないかな、なんてため息。

 

るかくんの方を盗み見るも彼は依然として変わらない態度でそこに立っていた。

疑われているかもしれない、なんて不安がっていないようで本当に大人っぽい。

 

絞れたはいいものの、議論が動くことはない。

 

身の潔白を証明しようにも証拠も、立証してくれる人もいないんだから仕方ないよね。

どうしようかって頬をかいたとき、

 

 

「おい」

 

 

無愛想な声、

蒼太郎くんだった。

 

 

「……21時過ぎ、お前食堂で何してた」

 

「終夜は誰に言ってんですか」

 

「目線の先見れば分かんだろ」

 

「分かんないから聞いてんですけど」

 

 

夏月くんとちょっとした若干喧嘩腰のやり取りを繰り返したのち、

 

 

「……はあ…本当、だる…。」

 

「そこの、ドール作家だよ。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

と、オレーシャちゃんを指さした。

 

 

「アタシ…のこと、かしら」

 

「お前以外誰がいるんだよ似た才能の人形師か?」

 

「…………全然違う。」

 

『まあ、うさみんも人形…ドール系の才能だけど。ええ…?本当にオレーシャちゃん…なのかな、一番らしくなくない?』

 

 

首を傾げるオレーシャちゃん。

表情こそ大きく変わりはしないけれど、それは確かに「困っています」という顔だった。

 

事前に麻堂くんに「21時頃自室に入っていくのを見た」と言われていた蒼太郎くん。

各自の部屋に戻るには食堂の前を通る必要がある。だからこそ、食堂に入るオレーシャちゃんを目撃するのは特におかしくない話なんだけど…

 

 

「お前のせいでこんな面倒なこと起きてんじゃねえの」

 

「私も知りたいな。オレーシャちゃん、今の話って本当?」

 

 

威圧的な蒼太郎くんをやんわりとカバーするように、奏撫ちゃんが極めて穏やかに聞くも、小さく首を横に動かして、はくはくと口を動かすだけのオレーシャちゃん。

 

違う、行っていない 食べていない

そう言いたいのかな

 

言葉にもならないくらい追い詰められてしまっているのかと思うと、胸が痛くなる。

 

 

「せめて出てきたところを見た人がいれば…」

 

 

呟くように話す流星くん。

顎に手を置いて真剣に考えているよう。

 

 

「…でもさ!食堂が閉まるのって21時半じゃなかった?そんなギリギリにオレーシャさんが食堂に入るとは思えないんだけど♪」

 

「そうですね。私も貴方様に賛成します、オレーシャ様が人様のものを食べるとは思えませんし…。」

 

 

そんなとき、反論を繰り出したのは日頃からオレーシャちゃんと仲睦まじい様子のみいはくん。

ラピスくんもそれに同意し、オレーシャちゃんのことを庇う。

 

オレーシャちゃんではないことを立証する証拠、それか証言。その逆で、蒼太郎くんの証言を裏付ける証拠か、証言。

あと数歩、あと一歩、そんな感じ?

 

十数秒の静まりの後、唐突に動き出した。

それは今まで腕を組み、路を巡らせていたもの。

 

 

「あ……ああ!!そうだ!!21時半の少し前!!…5分くらい前の話!」

 

 

「食堂から出てくるオレーシャくんを僕はこの目でしかと見たのだよ!!!!うんうん、間違いない!!!!!!」

 

【挿絵表示】

 

 

 

「!宍戸サマ、それは本当…でしょうか?ええと5分前…ということは、最後に食堂に入ったのはオレーシャサマ…?」

 

 

 

じわじわ、布に染みつく水のようにオレーシャちゃんに向かう視線の数が多くなる。

 

 

「……。」

 

「ォ、…ォレーシャ、ちゃん…?」

 

 

やがて、落ち着くように息を吐き、

長いまつ毛を揺らし目を伏せた。

 

 

「…そうよ、アタシが食べちゃったの。葉金のアイス。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

とても静かな自白。

 

 

「え!?オレーシャちゃんが食べちゃったの!?!?」

 

「…へえ、ホーネットちゃんって意外と人間らしいね。綺麗な人形だと思ってたけど。」

 

 

視線を横にすすす、と逸らしながら恥ずかしそうするオレーシャちゃんに驚く葉金ちゃん。

鼻で笑うように口元に弧を描くのは麻堂くんだった。

 

俺は葉金ちゃんと同じようにすごく驚いた表情をしていたんだと思う、意外な…そう、すごく意外な犯人だったから。

 

 

「ホーネットちゃん、ホーネットちゃん。どうして食べちゃったこと隠したりしたの〜?」

 

「…それならユキは、裁判沙汰になっても素直に言えるのかしら…アタシには無理だった。言おうとは思っていたのだけれど…。」

 

「…、…。お腹が空いたからといって、食堂に行かなきゃ良かったわ…。ちょっとだけ、我慢したら…葉金も……。」

 

「………ううーん。…おかしいなそろそろ浮き出るはずなんだけど…あ、出た!」

 

 

ぽわん、と目の前に浮かび上がったのは何の変哲もないデジタルアンケート。

空中に映し出されたその画面には数人の名前が書かれていた。

 

 

「さあオマエラ、クロだと思う人…うぷぷ、もう考えるまでもないかなあ?タッチして投票してねえ!」

 

 

葉金のアイスを食べた人物は?

 ▶オレーシャ・ホーネット

 

 

「そう、葉金ちゃんのアイスを食べたクロはオレーシャちゃんだよお!…オマエラ、はじめてにしては上出来だったんじゃないかなあ?」

 

 

と賞賛の音をあげる。

 

 

「まあ今回は自白って形になるんだけどお…………うぷぷ、あーあ、クロだってバレちゃったかあ!」

 

「アタシは受け入れるわ…どんなものでも。」

 

 

✿ クロ が 特定 されました

 オシオキ を カイシ します

 

 

「Danger!」と書かれたテープで囲われた場所に立っているオレーシャ・ホーネット。

 

一面ガラス張りの世界。

その先には歌方奏瑛率いる刻ヶ峰学園の生徒達がこちらを見つめている。

 

頭上から落ちてくるのは大きな大きな、それはもうとても大きな…当たったら一溜りもないような、巨大なタライ。

 

 

「…え、ちょっと…大きすぎじゃ、」

 

 

鳴り響いた衝突音と小さな悲鳴。

 

彼女は糸の切れた操り人形のように、ふらりと地面に倒れ込んだ。

 

 

✿ オシオキ 完了

 

 

一瞬気を失ったようだけれど、すぐに正気を取り戻したオレーシャちゃんは頭をさすりながら帰ってきた。

 

大きなたんこぶ、浮かぶ涙

無事…とは言えないけど…。

 

見た目ほど重量はさして無かったようで一安心だ。

 

 

「次にここに来るときはコロシアイが起きたとき、…多分近いうちにまた来ることになるんじゃなあい?うぷぷ!」

 

 

「実際のオシオキはこんなカワイイものじゃないからバレないよう気を付けて殺してね」

 

 

そういうとモノクロックさんは我先にと足早に裁判場を後にした。

 

 

「___葉金、本当にごめんなさい…今晩のデザートは葉金にあげるわね」

 

「いいよ!あたしもまさか裁判になるなんて思ってなかったし、アイスも綺麗な子に食べられて喜んでるよきっと!」

 

 

腰を曲げて深く頭を下げるオレーシャちゃんと手を振り歯を見せて笑う葉金ちゃん。

 

和やかな雰囲気。

 

ああ、それでも。これは確かに…

 

 

「オレーシャちゃんでもつまみ食いしちゃうんだね、なんだか親近感かも」

 

『奏撫ちゃんもつまみ食いする人?』

 

「え?んー…内緒!なんて、ふふ」

 

 

「笑って許す師匠もかっこいい…!」

 

「アー…ともあれ、平和に終わって良かった…」

 

 

絆を深めるレクリエーションゲーム

これは成功したんじゃないのかな、

個々に溢れる笑顔を見て俺も思わず笑みを浮かべた。

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