博士の言葉を聞いて、彼は思った。
『・・・あっち行ってよ!』
彼女の茶色い髪の毛が、何かに似ていた。
あの子、僕に嘘をついたのは、
どんな理由だったんだろう。
・・この感情は何?
いや、どうでもいい。
知りたい、かもしれない。 ものすごく。
「・・・目つきが変わったね」
彼の様子を察した博士が言った。
「私は君が興味を持ったそれに全く興味がないのだけど、
君が人に近づこうとやっとやる気を出してくれて嬉しいよ」
まあ、そのつもりはないのかもしれないが、
博士がそう言うと、本当に嬉しそうに笑った。
「性別は男。そして性格は内向的。
子供なんて分からないけど、あと君は、見た目と精神年齢ともに約9歳ぐらいになるのかな」
「・・・」
私の若いころとは全然違うタイプを造ったものだと、ふと最後、思ってしまった気持ちを隠すように、
博士は彼に背を向けた。
「・・・」
僕は、人でないことはわかっている。
また、人であるこの人から造られたことも、わかっている。
でも、どうして造られたのか。
どうしてなのだろう。
僕を一通り説明した後の、博士の背中を見て思った。
これも、知りたいこと、なのかもしれない。
「あの、博士・・、名前を・・」
ふと、恐る恐る彼が博士を呼んだ。
「・・・あ、そういえば」
博士がそれに答えた。
「君の名前をまだつけていなかった。
どんな名前がいいかい?」
君が選んでくれと、博士は彼にあるとあらゆる名前が格納されたデータを彼に取り込ませた。
「いや、ちがうの。博士」
彼が頭を軽く振ると答える。
「僕のじゃなくて、博士の、名前を教えてください」
私は、女の子。・・・だった。
名前は忘れたの。
でも一個、覚えていることがある。
趣味は、ブランコ。
あと、サプライズで人を驚かせること。
あら、一個じゃなくて二個になるわね。
「・・・それにしても、どこからどうみても若いわよね、あの昼間の自称博士。
この私のせいで安くなったとはいえ、
この私の高価な土地と建物を、あの若さでどうやって手に入れたのかしら、と
夜風にたなびくあの博士の敷地内の木々を見て、ふと、彼女がつぶやいた。
ふとその時、星が輝く夜空が珍しく彼女の視界に入った。
ああ、星ってこんなに綺麗だったのね、いつも下ばかり向いていたから、
とふと忘れていた感情が少し込みあげた。
と、同時に、あの掛けられた昼間の言葉がふとよぎった。
『・・・変わり者が変わり者を見たら、その人は普通になるはずだよ、お嬢さん』
「・・・このわたしが変わり者ですって!?」
小さな彼女が思わず叫んだ。
「そんな訳ないわ!今に見てなさい!あの余裕ぶった青二才の透かし博士!
この星空に誓って、ゆーれいの本領発揮よ!」
続